頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

ジム・ジャームッシュの映画「コーヒー&シガレッツ」がいい

2008-09-30 | days



ジム・ジャームッシュの映画を観るなんてひさしぶり。

カフェでコーヒーと煙草をたしなむ二人。これを色んな人間が演じるというただそれだけの映画。各篇にそれほどオチがあるわけでもないのになぜかしみじみと「よかったなー」とつぶやいてしまう。

COUSINSでケイト・ブランシェットが実在ケイトと架空の従姉妹との一人二役をこなしているが、まるで別人のよう。本当にすごい役者なんだな。SOMEWHERE IN CALIFORNIAでは あ!トム・ウエイツとイギー・ポップだ!と叫んでしまったが、台詞も洒落ていた。JACK SHOWS MEG HIS TESLA COILを観て、ん?と思って出演者の名前だけチェックすると、メグ・ホワイトとジャック・ホワイト・・・ あー!二人ロックバンド、ホワイト・ストライプスの二人ではねえか!うわ!ビル・マーレイがこんな役で出てる。

というような、本質とかけ離れた箇所での驚きがやや多いのはジム・ジャームッシュのせいではなく私のせい。






今日のありそうな店的教訓




志賀レッツ

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判断不能、映画『L change the World』

2008-09-29 | film, drama and TV



Death Noteからのスピンオフ映画だが、ここで私が何やらを書こうと、読者諸君の方が間違いなく私より詳しいはずである。

世間での評判もよく知らないのだが、まあ悪くなかったといった感じ。いまいちキレが悪いのは

1.Death Noteのストーリーをほぼ完璧に忘れているので最初、何がなんだかよく分からなかった。
2.FBIにナンちゃんはないだろう。
3.タイのシーンに物凄い勢いでリアリティがない。どうすればあんなに金をかけてしょうもない映像を撮れるのだろう。
4.しかし環境保護団体の理念、バイオテロへの流れは意外とスムーズに入って来た。
5.感染した人間の演技、特に鶴見慎吾の演技は迫真。

と、プラスマイナスが入り乱れていて、判断がつきかねる。

さらに、地球上に人間は多すぎているので、淘汰(殺害、殺戮)せねばならないという犯人グループの考えに同感してしまうので、すると正義の味方L側に感情移入がやや薄めになる。あまり記憶にないのだが、Death Noteの方がずっと良かったような。




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山と車とサウナとYOSHIKIと

2008-09-28 | days

※以下ウィルコムにのアドエスによる更新のため改行位置などおかしいかもしれませぬ。


 今日蓼科山に登って来ました。2500メートルあるのでトレッキングじゃなくて登山て感じでした。登ってる途中で調子がよすぎていくらでも登れる気分になりましたね。ランナーズ・ハイでしたっけ?クライマーズ・ハイってあるんですかね?頂上付近は鎖があるのどんだけ剣呑やねんでしたね。

 いやそれでですね、下山して車運転したですよ。それで3分ほどたちましたかね、隣に座る者が

「きゃーー みぎーみぎー!」

と叫ぶので私へ右翼への転向を薦めているのかと思ったら、

右車線走ってました。しかも結構長距離。実話なり。いやいや肝を冷やしましたね。肝ってどうやって暖めるんでしょうね?

 それから数時間後ですよ。見たくもないテレビ見てたんですよ。だから、愛人宅じゃないですって。しつこいですよ。行列のできる法律がどうとかいうやつですよ。あまりのつまらなさに驚きましたね。通販のおじさんがどうとか売れない芸人がどうとか太鼓の達人とか。昨今テレビ局の広告収入は減り続け、制作費が削られた結果、日本のテレビは制作の現場も出来上がったものもひどいですけどね。しかしあの番組見たことなかったんですけど視聴率は高いんですよね?あんなもん見る方もどうなんでしょうね?え?だったら見なければいいって?久しぶりに入った風呂にサウナがついててそこにテレビがあったんだけれよーチャンネルが変えられねえんだよ。だーかーらー 愛人宅の風呂にサウナなんてついてねえよ。だーかーらー サウナコーワがあるとかつまんないこといってんじゃないよ。

 そうそう。その番組で久しぶりにYOSHIKIを見たんですよね。よくわかんないのは、他の出演者より高い位置にお内裏さまお雛様的に座ってたんですよね。私がしばらくテレビ見ない間に(現在22:30~02:00がテレビの電源が入ってるときですね) YOSHIKIはデヴィ夫人のポジションに行っちゃったんですかね?あのポジションはやですね。

合コンで「神永君てインベストメントバンクに勤めてるのーすごーい年収もすごいんでしょ?」とか言われながら「芦田さんて外務省なんだーすごいねー」とか言われながら、どういうわけか自分が高い所にまつりあげられたみたいな?結局特にいい出会いは今日もなかったみたいな状態?ええっとですね今すごいちっちゃいキーボードで打ってるので打ち込んだ分確認してません。すみませぬ。自分がその場の人間たちより「上」の位置にいるのって人によるんでしょうけど私は居心地悪いですね。だから→YOSHIKIになりたくないって結論にゆくのもどうかとは思いますが、決してなりたくはないですねあんな風には。

 以上麦酒をしこたま呑みながらシンガポールグランプリを見ながら書きました。だーかーらー 愛人宅じゃないって、



今日の教訓


サウナに
へえったんだって?
さうなんです
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森達也の『死刑』を読んでたっぷりと色んなことを考える

2008-09-27 | books

日本に暮らしていると本当に治安がよいなあと感じる。昨今凶悪事件が増えていると報道されていてもその実感はない。ローマでは財布を盗られたし、ロンドンでは連れがリュックを盗られたし、NYでは路上で拳銃が発射されるのを見たことがある。ジャカルタやバンコクの裏通りは昔の歌舞伎町以上にワイルドだ。

そんな治安のよい中生きていると、自分には関係ないと思うことの一つが死刑。自分が死刑になるとは思わないし、家族が死刑になるとも、死刑判決が下るような犯罪に自分や自分と近い人が被害者になるなんてあるわけないと思う。可能性の問題として、確率が低いのだから仕方ない。

死刑のある日本は野蛮だと非難する国もある。死刑の犯罪抑止効果はないとのデータがある。だとすれば死刑は廃止すべきなのだろうか。明治大学の博物館で、森は処刑具を見ながら思う(69ページより引用)


 人は人を殺す。戦争で。虐殺で。嫉妬で。憎悪で。利害で。独占欲で。かっとして。錯乱して。報復で。快楽で。宗教で。理念で。イデオロギーd。善意で。思いやりで。正義で。愛情で。
蛮性があり、そして善性がある。彼にも。彼女にも。あなたにも。そして僕にも。だから時おりは優しい。時おりは残虐になる。時には誰かを傷つけ、時には誰かに傷つけられ、やがて年老いる。そして死刑囚は誰かを殺し、その報いとして自分も殺される。



死刑廃止はイージーな話のたねというか、軽い議論、ディベートのとっかかりとして使えるネタだったのだが、自分の言っていたことが実に不謹慎極まりないと珍しく思った。死刑とは何か、読者と一歩ずつ考えていく本である。中学校の読書感想文でこの「死刑」を課題図書にする先生がいたら素敵だ。

死刑廃止に賛成なのか、反対なのか、この本に出会う前からの自分に対する大きな疑問だった。結論は「分からない」やっぱり分からない。国家による代理復讐に被害者サイドの意義はあるだろう。犯罪抑止効果はあると思う。ゼロじゃない。冤罪のリスクだってある。以前の問題として「人が人を裁くことができる」のだろうか。わからないわからない。


 だからもう一度書く。人が人を裁く以上間違いは起こる。冤罪が完璧に起きないような創意工夫などありえない。死刑制度を考察する際に、どれほどに誤判と冤罪が多いか知ることは、絶対に不可欠な要素のはずだ。
 ただしこれは死刑制度の属性であって、本質そのものではない。誤判や冤罪は刑事司法全般の問題とみなすこともできる。もちろん死刑は取り返しがつかないのだから、有期刑における誤判や冤罪と同列に論じるべきではない。でもならば仮に冤罪が絶対にない刑事司法のシステムが構築されたとき(現実にはありえないが)、僕は死刑制度を支持するだろうか。(206ページより引用)



「のぼうの城」を読んでいておやっと思ったのは、戦国時代までの武士たちは自分の命を粗末に扱わなかった、切腹してお詫びする風習は江戸時代からだとのこと。ふむ。死んで詫びるのは昔からあったわけじゃないんだ。平和な時代に生まれたファッションだったのだろうか。今でも生活苦精神錯乱などと無関係の「責任をとって」の自殺がある。

ちょっと死刑から話が飛んだ。死刑を考えることだけじゃなく、読む人それぞれに色んなことを考えさせる、考えるヒントを与える本だと思う。著者の森達也は紆余曲折を経てある答えに達する。しかし私は必ずしもこの結論に与しない。意見が違うということと読むに値しないということとは関係がない。色んなことを考えさせてくれればそれは読むに値した本なのだ。例えば、死刑判決が確定したのに再審請求が通って冤罪が証明されたのがなぜ80年代にだけあって以降にないのかとっても気になる。人権人権だと人は声高に叫ぶ。被害者の人権と加害者の人権は等しい価値を持つのだろうか。加害行為が認められた瞬間加害者の人権は減り、トレードオフした分の人権は被害者の取り分として加算されるのだろうか。現実の世界ではこのトレードオフが行われているように思うが、そこに正義はあるのだろうか。人権はそもそも増えたり減ったりするものなのだろうか。などと思いウィスキーをすすると夜はふけてゆく。






今日の教訓






たぶん誰も
ここまで
読んでない




死刑 人は人を殺せる。でも人は、人を救いたいとも思う
森達也
朝日出版社

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原作を読んだのを忘れた映画『しゃべれども しゃべれども』

2008-09-26 | film, drama and TV



まだ二つ目の噺家、三つ葉が口下手な人のために話し方教室という名の落語教室を開くことになる。生徒は3人だけだけど。それだけの話。

原作は「結構面白かったぞ」という意外ほぼ全て忘れていた。淡々と進むストーリ、特に大きく盛り上がるわけでもないのに気がつくと時間が過ぎてる。そういうことがいい映画が持つ特徴なのかも知れない。

「火炎太鼓」を演じる国分太一が段々と上手くなってゆく様なんてなかなかの煮物。いや見物。しかし最大の見ものは子役、森永悠希が演じる村林優。彼の独特の関西弁の間、そして彼演じる「まんじゅうこわい」これは桂枝雀のバージョン。ストーリーの中ではなかなか「まんじゅうこわい」を覚えられない村林が枝雀の「まんじゅうこわい」のビデオを見たら面白くってこのバージョンで覚えてしまったという設定。枝雀の「まんじゅうこわい」を見た記憶はないんだが、まるでちっちゃい枝雀が演じているかの如く上手い。

ぶっきらぼうの香里奈も悪くない。国分君も地ではなくて少し誰か演じているように抑えて台詞を読んでいる様も良かった。




今日の教訓




たべれども たべれども
わがおなか
ふとくならず
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プリティな動物に船の上からこんにちは(北方見聞録)

2008-09-25 | travel



かなり港の近くで見えたラッコ





Puffin(パフィン)この旅で最もお気に入り














なんだかよく分からなかった。シャチ系?






海鳥ーず





パフィンだ!










きゃーー!飛んだー!飛んだー!きゃわいいぞー!

船長が「パフィンは世界で一番かわいい海鳥だ」と言ってた。心の底からその通りだと思う。









鯨。ホエールウオッチングは主目的ではなかったので余禄かな。





ラストにまたパフィン。船長が「ここはパフィン・ランドだ」と言ってた。

面白いと思ったのは、このクルーズツアーは氷河と動物両方を見るよくばりツアーだったのだ。しかしほとんどの客は氷河だけか動物だけにしか興味がないようで、船長が船内放送で「○○が10時の方角に見えまーす!」と叫んでも、行かない人は行かない。行く人は常に行く。って感じ。

ただ撮った写真を並べるだけでも、①メモリーカードからPCへ落とす②PCで写真のサイズを小さくする③どの写真にするか選ぶ(今回の旅では約1000枚ちょっとの写真)④似たような写真が多いので悩む⑤選んだ写真をてきとーにサイズを変える⑥3枚一組でgooのサーバーにアップする。もっと一度にアップできると大変助かる。といつもぶつぶつ言う⑦アップした写真を元に記事を書く という作業は大変で大変で働いて働いても我が暮らし楽にならずだったのが、こうして記事としてアップしてみると自分の記憶を蘇らせるという効用もある(と信じたい)読者諸君が写真を見てどう思うのかは不明であるが。





今日の教訓





最近、歳なのか
何も思いつかない
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結局観たドラマは『ゴンゾウ』と『魔王』だけだった

2008-09-24 | film, drama and TV

面白いにも関わらず見逃しているのもあるかも知れないが、それほどたくさん観ることはできないので、と言いつつ、単純に観るに値するドラマは数少ないので結局最後まで観るのは少数となる。

「ゴンゾウ」

現職の女刑事と若いバイオリニスト彼女らの狙撃&殺人事件、たったそれだけを解決するために1クール丸ごと一本使うというかなり勇気のあるドラマだった。そういう設定だと知らないで観ていたので「まだ解決しないのかよ」と何度となく思ったが。これで解決した → どんでん返し → 今度こそ解決 → ちがったー! この繰り返しの連鎖が段々心地よくなってくる。警察ドラマ、あるいはミステリーとしてもレベルの高いドラマだった。

主演の内野聖陽はかっこいいと素直に思えた。警察内部の組織や捜査方法などについては現実とは違うよなと思う部分もありつつもそんなこと小さい小さい。続編が放映されたらぜひ観たい。

「魔王」

最終回でわけわからなくなってつまらなかった、それまではよかったに残念な作品。復讐にそこまで人生賭けるか?サイコメトラーに頼らないといけないってちょっとどうなの?というツッコミどころはありつつも「次はどうなる?」が気になる作品だった。しかし最後にいい人になってしまった(他のことをしていてよく観ていなかったが)(つい他のことをしてしまいほどの出来だった)のはとっても残念。


スカパーで放送中で録画して観ているのは

HOUSE
MI-5
HEROES シーズン2
CSI マイアミ、NY、ラスヴェガス
BONES
・・・その他色々。

そうそう。来週月曜から篤姫の再放送をやるんだよね。ほとんど観たことなかったから録画しようかしらん。日曜はF-1シンガポールGPが深夜開催でしかも市街地コースなんだよね。日曜の夜は遠出してるからこれもまた録画かなー。


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マンガで語れ、リーマン・ブラザーズ倒産の余波を

2008-09-23 | laugh or let me die

























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うーん、宮部みゆき「おそろし」

2008-09-22 | books




「おそろし 三島屋変調百物語事始」宮部みゆき 角川 2008

結論から言うと、あまり面白くなかった。

なぜ面白くないのかということを声を大にして微に入り細に入り語ることが誰かのためになるのかと考えてみると多分あまりないだろう。若干でもあるとすれば、同じように面白くなかったという人たちと心が触れ合うとか、自分の備忘録としてとか。

怪談の一種だと期待して読んでしまったのだが、これが期待を大きく下回ってちっとも怖くない。これがつまらない最大の理由。さらには、幽霊の類が出たりすると→怖い。でもその幽霊の事情(なぜ化けて出るのかを知る)→同情の念が沸いたりする。こんな風に描かれている。この書き方がまず最初に現代において○○というような事件事物があって→それを江戸時代へ無理やり置き換えているような無理やり感を感じさせた。江戸時代が今ここにタイムスリップしているのではなく、下に「江戸時代」というテロップが流れるドラマを見ているよう。私が何を言ってるのかよく分からないとすればそれはネタバレを避けようとしているからか。

人物の作り方は悪くないんだがそれほど良くもない。ミユキストの一人としては至極残念だ。宮部みゆきの作品じゃないと決して読むことはなかっただろう。そして「宮部みゆきのわりに」という文脈でつい語りたくなる。

そう言えば、宮部みゆきって大好きな作家だったのに、この何年も面白いと思ってない。

87年デビュー以後、初期三大名作(私銘々)「レベル7」「龍は眠る」「魔術はささやく」以降、「火車」などミステリー作品中心+時代もの+ファンタジーとその活躍の場を増やしてきた。「蒲生邸事件」「理由」「クロスファイア」「模倣犯」この辺りまでは面白かった。しかし「R・P・G」以降がやや不発気味。「ぼんくら」は良かったけど「楽園」はいただけなかった。

宮部氏は今後この百物語を続けていく予定らしい。でもたぶんもう読むことはないだろう。
 





今日の人名的教訓




おそろ氏
よそよそ氏
をか氏



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隣は女子生

2008-09-21 | poetic inspiration



先日地下鉄に乗った。俺は手に本を持ってイスに座る。二駅ほど進むと、空いた隣の席に誰かが座った。読んでいる本が面白いので周りを見ないで集中していた。しかし、隣の人間がなにやら不穏な動き。ちらっと横目で見ると、制服のスカートを短く伐採した女仔生。何が不穏かというと、常に顔に何かを塗りたくっている。実にまめに動く指でそれだけ器用の動くのならきっと家庭科の成績はよひのだらうなどと思ってみたりみなかったり。また本に戻るも、隣の女児の動きが目に入って来る。ちらと見ると付けまつげというのかそふいふモノを指に乗せた。そしてその指が目へと動いた。揺れる車内でかのやうなモノを着けやふとするのは至極く達人の技なりか。正面に座る老婦人は怪訝そうな迷惑そうな叱りたひやふな表情を見せている。然し、女児が車内で化粧(けわい)を成す事がそんなに罪だらふか。車内で酒を飲む臭い中年男児は罪でなひのだらうか。化粧がぷんぷんと匂う中年女児は罪では否か。つーんとすへたやふな臭いを放出してひる、背中にAKB48と書かれた半袖のシャツを着た肥満児は罪ではなひのだらふか。思わず握り締めた拳を高く突き上げて、自分の脇の下の臭いを嗅いだ。






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船に乗って氷河が崩れ落ちる音を聴きに行く(北方見聞録)

2008-09-20 | travel

船に乗って、動物たちと氷河を見に行くことになった。氷河は前回のように歩いて行ける所にあるものもあれば、海から見に行くものもある。





まあだいたいこんな感じ。おいおいアバウトだね。

わが船内は、





途中でぷりてぃな動物に出会うが、その件は次回に。

氷河が近づいて来た。





キャプテンが船内放送で「しばし停泊しましょう。そして静かに耳をすましましょう。きっと氷河が崩れる音が聴こえるはずですよ」

すると、ずしーーん!という腹に響く音が聴こえる。これが氷河の崩れる音だ。翼よ!あれが巴里の灯りだ。どこの翼だ?キャプテンか?

なんだか地の果てまで来たなあという感慨。地球の上にこんなところがあるのかと驚嘆。そしてこんなところにまで俺が来てしまったという、俺がこのアラスカの地の中にいるという畏怖。

デジタル一眼レフに300ミリの望遠と三脚を使用して撮れた氷河崩落連続写真。












お分かりになるだろうか?いやごはんではない。それはお代わりだ。

人間何に感動するのか分からない。椎名誠は「人間はたき火に興奮する生き物なのだ」と言った。俺は、人間は氷河の崩壊に興奮する生き物なのだと言う。


クルーが後で氷河から削った氷を回してくれた。









今日の教訓



氷河を見ると、
就職氷河期を
思い出すって?
ひょ~がね~な~




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もったいない映画『ミッドナイト・イーグル』

2008-09-19 | film, drama and TV





ヒットしたんだろうか、この映画。

戦場カメラマンとして有名だった大沢たかお演じる主人公が穂高で謎の光を見た、それを自衛隊のF-15が追いかけるが途中で引き返した。謎の光は何か?米軍横田基地を出発したステルス爆撃機が工作員によって飛行中爆破され墜落。工作員たちの目的は?ステルスが積んでいたものは何?

カメラマン大沢たかおと、後輩の新聞記者玉木宏はひたすら山中をステルス目指して雪山行。玉木の着るジャケットは私と同じモンベルの同じ色なのが微妙。ネタバレになるので事情は避けて、なぜか山中で自衛隊員吉田栄作と同行することになる。竹内結子は大沢の義理の妹で写真週刊誌の記者。こちらは東京で、傷を負った工作員を追う。

大沢の妻はこの世になく、残った息子。総理は藤原竜也じゃなくて藤竜也。

キャストは豪華だし、ラストに向けて話はどんどん進むし、どんでん返しもあるし、何よりすごーくお金がかかってる感満載の映画だった。


うーむ。なんなんだろうこの感触。面白くなかったのかというと、むしろ面白かったねーと言いたい。でもねー。最終地点(これはすごくいい)に向かう方法として、つまり何を描くのか何を描かないのかがあまり上手くない。少し順序を入れ替えたり、総理の苦悩とか総理をいい人として描くのが無駄な感動を呼ぼうとしてる感あり。非常によく出来ているのに、リアリティがあるようなないような感じを受けるのは、官邸とステルス内部のCCD映像が変なミスマッチを起こしていたからだろうか。

映画では決してお客に思わせてはならない「でもこれ作り物だよね」を思わせてしまったようだ。

とは言うものの、作品の質としては決して低くない。宣伝をもっと効果的にがんがんと打ち出していけば、もっとずっと興行収入、DVD売り上げ、テレビの配信権など高く売ることができたのではないだろうか。つまりプロデューサーもっとがんばれよと。

自衛隊がかなり撮影に協力したようなので、防衛省が満足すればそれでよかったのだろうか?




今日の教訓






イーグルスときいて、
東北楽天!
と叫ぶ子にお仕置きを



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現実と非現実のカオス『美女と竹林』森見登美彦

2008-09-18 | books


「美女と竹林」森見登美彦 光文社 2008

なんじゃ、こりゃ!と松田優作の真似をしながら、この本を片手に腹をおさえておきたい。たぶんそれが正しいリアクションだ。

まだこの人の小説は一度も読んだことがないのだが、なんだかすごく琴線に触れたので読んでみた。(どうでもいいんだけど、いやよくないんだけど、今回のブログ原稿書いてる途中で消えたんだよね。で、思い出しながら書き直してるんだけど、全然前の文章と違ってるんだよね。どうして?)

たぶんつまらないと思う人は多いだろう。でも面白いと思う人も多少はいるだろう。少なくとも宮部みゆき「おそろし」より遥かに面白かった(比較の対象がおかしいが)なぜ面白いか説明すること自体がなんというか語るに落ちる状態になってしまう。

とりあえず、なぜ「美女と竹林」なのか、それはネタバレになるので避ける(それほどのネタではない気もするが)代わりに引用させておくれ。173ページより。


 登美彦氏は、父方、母方、ともに初孫であったから、生涯最初の数年は両家の愛情を一身に浴びて育った。(中略)
 まだ結婚していなかった叔母は登美彦坊やの命じるがままにおむつを換え、絵本を読み聞かせ、紙で犬の尻尾を作って「お犬様ごっこ」に付き合った。当時の登美彦氏は首輪でテーブルにつながれた犬になるのが好きであったからだ。
 首輪で拘束されながら藤原道長ばりに我が世の春を謳歌した登美彦坊やであったが



ふ・ふ・ふ藤原道長ばり・・・ どういうわけかこの箇所で脳が震えるほど笑ってしまった(先のブログ原稿では確か、鼻からソイラテが噴出すほどと書いたはずだがまあいい)やりたい放題の赤ん坊を藤原道長に喩えるとはかなりの腕前。喩え術八段ほどか。

本上まなみのファンであるとさんざ書いた上で、191頁より引用。


 彼はNHKの「トップランナー」という番組に出たのである。
 弁が立つわけでもなく、見栄えがするわけでもない彼が、なぜお茶の間に登場したかというと、それは本上まなみさんがスタジオで待っていたからである。ここで本連載の伝家の宝刀「美女と竹林等価交換の法則」を持ち出し、竹林そっちのけで彼女とのひとときについて熱く語ることもできよう。「幼年時代に書いた原稿を憧れの女性に朗読される。しかもそれがお茶の間に流れる」という、見たことも聞いたこともない羞恥プレイを味わった登美彦氏がいかに悶絶したか詳細に書くこともできよう。
 しかし、やめておく。
 あくまで主眼は竹林伐採にある。



どうだどうだ。ドゥだドゥだ(長嶋有「ぼくは落ち着きがない」よりややパクリ)竹林が気になるだろう。なぜ主眼が竹林伐採なのかすごーく気になるだろう。それでいいのである。あとは本屋へGOなのだ。いやその前にこの羞恥プレイなる文言にもツッコミを入れねばならぬが先を急ごう。(また読者諸君には無関係だが、さっき勝手にエクセルが立ち上がった。むかつく&不思議&原因考えるのが面倒)

そうそう。今回のタイトルを始末しておかねば。この「美女と竹林」はたして全てがノン・フィクションなのかはたまた全てが虚構なのか。その折衷として読むのが正しい読み方であって、その内のどの部分が事実なのか考えるというような無駄な作業はしない方がよいように思う。それよりはかなり現実っぽい話から明白に妄想な世界への実にスムーズな展開、虚構からリアルへの実に突発的な移行、それにただ体をゆだねて味わう。そんな作品だと思う。





今日の教訓




そう言えば、
このブログも
虚実のカオス





美女と竹林
森見登美彦
光文社

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Sewardという街で魚をさばいて売っている(北方見聞録)

2008-09-17 | travel
飯を食ったレストランの窓から、人が集まった不思議な光景が見えたのでそっちに行ってみた。











とれたばかりの魚をさばく人、それを待つ人。システムは

















こんな風にして吊るされている魚から自分がさばいて欲しい魚を指定する。

さばかれているのは























最後にここで重さを計測して代金を払う。





さばきマンたちが捨てた中骨やら臓物やらはここに捨てられていた。やや不気味な光景だった。

残念ながらホテルの中で調理できないし、冷凍させて日本に持って帰るわけにもいかないので、魚を買うことはできなかった。さすがアラスカなのか、包丁さばきもなかなかの腕前だった。いわゆる出刃包丁は使っておらず、なんというのか知らないが、刃が比較的薄めのナイフを使っていた。




今日の無理めな教訓



砂漠を
捌く
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大ベストセラー『夢をかなえるゾウ』を読んでみる

2008-09-16 | books




靴を磨く / コンビニでお釣りを募金する / 食事を腹八分目におさえる / 人がほしがっているものを先取りする / 会った人を笑わせる / トイレ掃除をする / まっすぐ帰宅する / その日頑張れた自分をホメる / 一日何かをやめてみる / 決めたことを続けるための環境を作る / 毎朝、全身鏡を見て身なりを整える / 自分が一番得意なことを人に聞く / 自分の苦手なことを人に聞く / 夢を楽しく想像する / 運がよいと口に出して言う / ただでもらう / 明日の準備をする / 身近にいる一番大事な人を喜ばせる / 誰か一人のいいところを見つけてホメる / 人の長所を盗む / 求人情報誌を見る / お参りに行く / 人気店に入り、人気の理由を観察する / プレゼントをして驚かせる / やらずに後悔していることを今日から始める / サービスとして夢を語る / 人の成功をサポートする / 応募する / 毎日、感謝する


ということが書いてあった。

何一つ間違ったことは書かれてない。この手の本の最大の特徴「読んだときはうむとうなる」「でも決して一つも実践しない」のど真ん中をいっている。決して悪い本じゃないのに。








今日の教訓



こんな風に生きるといいんだよと
他人に諭す本には
だったら自分だけそうしてりゃーいいじゃんと
ただ言い返したくなる。

自分の成功の秘訣はと語りたいやつは
その前に自分が本当に成功したのか
もう一度よく考えりょ。



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