頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『星落ちて、なお』澤田瞳子

2021-06-29 | books
江戸末期に活躍した絵師河鍋暁斎が死ぬ。娘の「とよ」の苦労を描く。義兄の周三郎は絵師として活躍するがクソ野郎。弟は役だたず。明治から大正にかけて活躍し苦労するとよ=河鍋暁翠の人生とは?

個人的には面白かったけど、若干読みにくかった。誰の視点で表現してるのかと、人物が二度三度登場しても、以前の記憶がないので、誰だか分からなくなってしまった(作者は悪くなく私が悪いのかも)

 

今日の一曲

Spandau Balletで、"True"



では、また。


コメント

『最高のアフタヌーンティーの作り方』古内一絵

2021-06-27 | books
桜山ホテルで念願のアフタヌーンティー部門に配属になった遠山涼音。企画で頑張りすぎてしまう。一人でやって来る常連客や、気難しいスタッフなどとやり合ううちに成長してゆく。

美味しそう&大変そう。

椿山荘をモデルにしてると即分かる。そして裏側の苦労を読むと、アフタヌーンティーは決して高いものではないと感じる。予約しようとしたけど、週末は全くとれなかった。食べ物小説は=食べたいと思わせる作品が最高、だと思ってる。そういう意味でも、ストーリーもとっても良かった。

 

今日の一曲

The Style Councilで、"Walls Come Tumbling Down!"

 

では、また。



コメント

店名にツッコんでください264

2021-06-25 | laugh or let me die
店名にツッコんでください264
コメント (4)

『ホテルクラシカル猫番館 横浜山手のパン職人』小湊悠貴

2021-06-23 | books
たまたま本屋で見かけたら意外な収穫。

東京で3年間修行したパン屋が廃業してしまった紗良。横浜の山手のホテルのパン部門に転職できた。居心地のいいホテルとは?美味しいパンとは?悲喜こもごも。

集英社オレンジ文庫というティーンズ向けでなく、大人向けで出して欲しい。

パン薀蓄に溢れてた。シュトーレンは真ん中から切って断面を合わせると日持ちするとか、パンにはリッチ系とリーン系があるとか。

美味しいハードパンを食べに湯河原のブレッドアンドサーカスに行きたくなった。

 

今日の一曲

平井 大で、"Stand by me, Stand by you."



では、また。



コメント

『嫌われる勇気』岸見一郎・古賀史健

2021-06-21 | books
過去の原因で自らが決まるとするフロイトやユングとは違って、目的を考えるアドラーの心理学を対談形式で描く。

何となく読まないでいたら、最近平台で目立つように置いてあった。パラパラめくってみたら面白そうだったので読んでみたら、なかなか良かった。

・性格や気質のことをライフスタイルと呼び、それは変えられる。

・他者の期待を満たす必要はない。他者もあなたの期待を満たすため生きてるわけではない。

・ユダヤ教の教え、「10人の人がいたら、そのうち1人はどんなことがあってもあなたを批判する。こちらもその人は好きになれない。そして2人は互いに全てを受け入れ親友になれる。残りの7人はどちらでもない」人生の調和を欠いた人は、嫌いな1人だけを見て世界を判断してしまう。

・人生とは連続する刹那。われわれはいま、ここにしか生きられない。目的地などない。

・一般的な運動(キーネーシス)には始点と終点がある。その間の運動は効率的になされるべき。エネルゲイア的(現実活動態的)人生は、いましてることのみに意味を与える。

 

今日の一曲

宇多田ヒカルで、"PINK BLOOD"



では、また。



コメント

『月下のサクラ』柚月裕子

2021-06-19 | books
米崎県警捜査支援分析センターにやっとの思いで配属された森口泉。会計課から9千万円が盗まれた事件勃発。辞めたばかりの会計課長の仕業か、新しい会計課長か。簡単そうな事件は、公安が出て来てややこしくなって来た。

作者の他の作品ほど、物凄く面白いとまでいかないけれど、つまらなくもなく。警察官が抱える普遍的な悩みが描かれてるのかどうかは不明。


今日の一曲

米津玄師で、"Pale Blue"



では、また。


コメント

『臨床の砦』夏川草介

2021-06-17 | books
規模が小さい、地域で唯一の感染性指定医療機関でのコロナとの闘いを描くドキュメント風小説

医療の現場は大変なのだろうが、何となくとしか理解してなかった事が、リアルに感じられる。今読むべき一冊。

 

今日の一曲

John Mayerで、"Last Train Home"


では、また。


コメント

『高瀬庄左衛門御留書』砂原浩太朗

2021-06-15 | books
時代物だけでなく、虚しい中年男の心の奥底までさらけ出す大傑作。

どこかの藩の郡方を勤める高瀬。結婚した息子は死んでしまった。義理の娘志穂を実家に帰そうとすると、弟中心の家に帰りたくないと言う。自分がちょっと描いていた絵に興味を持つ志穂と弟。穏やかに暮らしていた高瀬に藩内の様々な謀略が降り掛かってくる。

一概にどういう話だとは説明しがたく、江戸時代の50代、さえない男を通して描く、人間ドラマ。読後、これほど余韻のする小説はなかった。

 

今日の一曲

10ccで、"I'M NOT IN LOVE"



では、また。


コメント

『警部ヴィスティング 鍵穴』ヨルン・リーエル・ホルスト

2021-06-13 | books
ノルウェー、元大臣クラウセンが心臓発作で死んだ。別荘から多額のユーロやドルの現金が発見され、検事総長より極秘調査を依頼されたヴィスティング警部。現金を運び出したら翌日別荘は放火された。そして、検事総長の元には、昔湖の近くで若者が行方不明になった事件に関してクラウセンを調べろという手紙が来ていた。

登場人物がどんどん増えていってわけわからなくなりつつも、それを上回って面白かった。真相へ迫るプロセスに無理がなく、頁をめくる手が止まらなかった。

 

今日の一曲

東京スカパラダイスオーケストラとmiletで、「めくれたオレンジ」



では、また。


コメント

店名にツッコんでください263

2021-06-11 | laugh or let me die
店名にツッコんでください263
コメント (4)

『緑陰深きところ』遠田潤子

2021-06-09 | books
70を過ぎ、探していた日野の自動車コンテッサが手に入った三宅は、カレー屋を閉店して九州へ兄を殺しに行く。しかしこのコンテッサは不良品だからと伝えに来た元中古車屋どの出会いがあったり、兄が三宅の好きだった女性を殺した過去が明らかになったりするロードノベル。

途中まではイマイチかなと思っていた。しかし、ほんの少しだけ似たテイストの松家仁之の「泡」と比べると、ずっと良かった。

過去にこだわり過ぎたり、逃れられないと起こる不幸の物語でもあり、また再生の物語でもあった。

 

今日の一曲

Prince & The Revolutionで、"When Doves Cry"


では、また。

コメント

『泡』松家仁之

2021-06-07 | books
高校生薫は学校に行けなくなった。大叔父兼定の営むジャズ喫茶で働くことになった。岡田も流れて兼定のもとに来た。兼定は戦争でシベリアに抑留される過去があった。

作者の作品はすごく好きだったけれど、その中では、あまり心に響かなかった。

私の調子が悪いのか。ああ調子は良くないね。

 

今日の一曲

作中登場するのはトニー・ウィリアムズ。その曲ではないけれど、マイルス・デイヴィスカルテットでの演奏。タイトル何だったっけか?





では、また。


コメント

『サイエンス・ライターが古文のプロに聞くこんなに深い日本の古典』黒澤弘光・竹内薫

2021-06-05 | books
高校の古文の先生がサイエンスライターに、古文の様々な薀蓄を対談形式で教える。

平家物語や源氏物語、伊勢物語などの一節を話題にして。

面白かった。知らないことだらけ。特に「梓弓」の深い解釈が興味深かった。

 

今日の一曲

辻井伸行で、ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」


では、また。
コメント

『脳から見るミュージアム アートは人を耕す』中野信子・熊澤弘

2021-06-03 | books
脳科学者と藝大美術館の先生による対談。ミュージアムの成り立ちとか、意義とか、絵の見方等の広い話題が、とても面白かった。

脳が美をどう捉えるかを知る本かと思ってたけどそちらはやや薄め。でも無問題。

 

今日の一曲

George Michaelで、"I Can't Make You Love Me"



では、また。


コメント

『きまぐれな夜食カフェ マカン・マランみたび』古内一絵

2021-06-01 | books
マカン・マランシリーズ第3作。仕事ではストレスにさらされ、匿名サイトで漫画家の悪口を書き込む女性。味覚障害になってしまった和食料理人の男性。タワーマンションで暮らし離婚を考える女性。終活を始めた女性。みんなシャールさんに癒やされる。

やはりテッパンの面白さ。続き物で登場人物が複数回出て来るということを知らずに先に第4作を読んでしまった。楽しめたのでそれは良い。その人のその後を複合的な描くこのスタイルがすごく良いなあと思う。

人生に疲れた人はぜひ第一作から読むことをオススメする。

 

今日の一曲

先日の配信ライブを楽しませてくれた、竹内まりやで、「純愛ラプソディ」



しかし、66歳には見えない。でも無理してない自然体。

では、また。


コメント