頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『紙鑑定士の事件ファイル』歌田年

2020-02-29 | books
新宿で、持ち込まれた紙を鑑定したり、紙を用意するのを生業にする渡部。探偵と勘違いした女性から彼氏の浮気調査を依頼される。彼の作ったジオラマの写真を見せられゲイと浮気してるのではないかと。伝説のモデラー土生井を紹介され、謎を解く。そして今度は、妹が行方不明になった、部屋にジオラマがあったとして別の依頼が来た・・・

後半やや都合のいい展開があるけれど、紙とジオラマの蘊蓄は素晴らしく面白かった。

 

今日の一曲

なぜか数週間前から脳内をリフレインし、浴室で毎晩のように歌ってしまった(キモイってゆうな)、徳永英明で、「最後の言い訳」



では、また。


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『展望塔のラプンツェル』宇佐美まこと

2020-02-27 | books
児童相談所の松本と市のこども支援センターの職員前園は虐待児童を救うのに忙しい。前園は親に対して加害者のような見方をしがちな正義漢、松本は10年以上異動願いを出してないのが周囲に不思議がられる。フィリピンとのハーフの海(カイ)、父親に性的虐待を受け、兄の友達にもレイプされた那希沙(ナギサ)は、共同生活をしていて、虐待され家から徘徊している幼児を保護する。松本たちの苦労と、カイたちの生活が交差するのは・・・

重たいのに清々しい。虐待とその対処について大いに考えさせられる。

「うん、前園さんのしたことは正しいよ。でも正しいことがその子にとってのベストとは限らないんじゃないか」

舞台は多摩川市となっているが、川崎を連想する。読む限りとても治安の悪い感じがしてできれば住みたくないようか感じがするが住んでる人はどうなのだろう。



 今日の一曲

King Gnuで、「どろん」



では、また。

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『契約』ラーシュ・ケプレル

2020-02-25 | books
平和活動家ペネロペの女性の命が狙われるが、間違えて殺されたのは妹。ペネロペは逃げる。戦略製品査察庁の長官が自殺する。この二つの事件の繋がりとは。

「催眠」に続く、ヨーナ・リンナ警部シリーズ第二作。大きな悪が登場し、飽きさせない。誰が何のために起こしてる事件なのかは想像できるけれど、その真相にどうやって警部たちが迫るのか、なかなか読ませる。

 
 

今日の一曲

色んなテレビ番組を録画し、観て、消去しているけれど、唯一観ても消さない番組は、「関ジャム」 ややマニアックな音楽の見方を教えてくれる。先日紹介された、さかいゆうで「薔薇とローズ」



では、また。


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『まずはこれ食べて』原田ひ香

2020-02-23 | books
学生時代の仲間たちで起業したIT企業。掃除、片付け、料理のためにやって来た家政婦は気遣いができ料理上手の筧さん。親からの結婚しろというプレッシャーが嫌な池内胡雪、フィリピンとのハーフで祖国の叔母に送金してるマイカ、彼女にもっと大きな会社に転職してと言われてる伊丹大悟、山登りが趣味の桃田、行方不明の柿枝・・・

とっても面白かった。最初が感じの悪い女性から始まるので気分の良いスタートじゃないのだけれど、段々面白くなっていく。筧さんの料理に癒されてくだけど話かと思ったら、謎の女筧のプライベートと行方不明の創業者柿枝の話がミステリー的に膨らんでいった。素晴らしい。

 

今日の一曲

上白石萌音という女優をちゃんと認識したドラマ「恋はつづくよどこまでも」の主題歌、しばらく前から私の脳内を流れ続ける、」Official髭男dismで、"I LOVE..."



では、また。


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店名にツッコんでください234

2020-02-21 | laugh or let me die


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『ゴーストアンドポリス』佐野昌

2020-02-19 | books
桐野は新人警官。配属になった交番は「ごんぞう」ばかりいる交番で全員やる気がない。しかし警察庁肝いりで四交代制の実験を行なっているので他が注意できない。美人副署長から頼まれたのは、ごんぞうたちのスパイをすること。やる気のない警官たちは実は・・・

最初はどうかと思っていたけれど、3分の1を過ぎる辺りからかなり面白くなってきて、あとは一気読み。

デリヘル嬢行方不明事件や下着泥棒、DV事件やホームレス連続殺人事件を解決するのとその過程で、(本当かどうか分からないけれど)警察ネタや裏事情が沢山出て来る。ネタとストーリーのバランスがちょうど良く、気持ちよく読めた。

 

今日の一曲

Stingで、"Englishman In New York"



では、また。


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『チャイルド・ファインダー 雪の少女』レネ・デンフェルド

2020-02-17 | books
ナオミは行方不明になった子供を探すスペシャリスト。今までに何十人も発見した。三年前に消えた五歳の女の子の捜索を依頼され、故郷のオレゴンの山を探索する。自身も行方不明になった経験があり、それも描かれる。

だった一人を探すだけの話(プラス他の話も少しある)なのに、読ませる読ませる。社交的ではない主人公の内面、トラウマ、美しいオレゴンの自然。おぞましい話が静謐に描かれる。ナオミは北欧ドラマ、「THE BRIDGE/ブリッジ」の主役、サーガ・ノレーンを連想させた。

次作ではのナオミ自身の行方不明事件の詳細が明らかになるらしい。ぜひ読みたい。

 

今日の一曲

Deep Purpleで、"Smoke On The Water"



では、また。


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『一抹の真実』ジグムント・ミウォシェフスキ

2020-02-15 | books
シャツキ検事シリーズ第二作。女性が切り刻まれ殺される事件。凶器はユダヤ人が肉用に使う日本刀のように鋭利な刃物。反ユダヤ授業が根底にあるのか?そして第二の殺人が。

意外と楽しめた。ポーランドの反ユダヤ主義蘊蓄がこれでもかと出て来る。教会にユダヤ人がキリスト教徒を惨殺してる絵が飾られている所もあるそうだ。ナチスドイツの迫害以前そして以後も根強く存在してる。事件と関係あるかどうかと関係なくこの話は面白かった。そして真相もわりと好みだった。

そしてバツイチのシャツキは女性にモテモテ、にもかかわらず苦悩を抱える。彼の内面を読むのも(共感なのか反感なのか、その両方なのか)興味深い。

どうでもいいことなのだけれど、作者のミウォシェフスキはグラマーな女性が好きなのだろうか。

法服を脱いだタタールスカ判事はまさにダイナマイトボディの持ち主だった。見開きページを飾るモデルの女の子のようだった。紫色のブラウスからは胸の谷間がのぞいていた。ナイトクラブでも大胆を思われるほどに。

国家記銘院キェルツェ分室のとびきり美しい助手は曲線だけでできていた。それでいて余分な曲線はひとつもなかった。

次はやっと三部作最後の「怒り」  

※2/19追記:「怒り」は既に読んでることが分かった。しかも今日読んだ後に。俺は、馬鹿なのか?

 

今日の一曲

Bill Evans Trioで、"Round Midnight"



では、また。


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『ミレニアム6 死すべき女』ダヴィド・ラーゲルクランツ

2020-02-13 | books
ストックホルムで発見された遺体は物乞いで、おかしな事を口走っていたらしい。ポケットにジャーナリストのミカエル・ブルムクヴィストの電話番号が入っていたことから連絡があり、何者か調べて始めた。リスベット・サランデルは双子の妹と熾烈な闘いを始めた。シリーズ最終作。

うーむ。あまり面白くなかった。

エベレスト登山の話が大いに関わってくるのだけれど、強引というか必然性が感じられない。そして真相がややこしすぎてピンと来ないしスケールが小さ目。

そっちとは関係ないリスベットとカミラの闘いの方が読ませる。ハブとマングースの最終対決。

スティーグ・ラーソン亡き後、ラーゲルクランツが引き継いだシリーズは一旦終わりだそうで、遺族は出版社との契約を切ったそうだが、続編を作りたいと別の出版社が名乗りをあげてるそうなので、別の作者が書き継いでくれるかも知れない。キャラや設定は素晴らしいので続編希望。

 
 

今日の一曲

Silent Sirenで、「チェリボム」



では、また。


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『ヒヒは語らず』アンナ・カロリーナ

2020-02-11 | books
スウェーデンミステリー。アマンダは姉の自殺事件は殺人に違いないと信じ、真実を知るには警官になるしかないと考え刑事になった。姉の当時の交際相手の常習犯罪者、アドナンに近づき、また事件の担当者で怪しい刑事マグヌスの愛人になる。マフィアに近い関係のマグヌスは危ない捜査をし、妻に暴力をふるっている。そしてアマンダはアドナンのことを好きになってしまう・・・

激しく面白かった。構成や展開が非常に目新しく、非常に好み。先がどうなるかさっぱり分からず、アマンダがどうなってしまうのかドキドキがずっと続く。

主人公だけの目線ではなく悪徳警官マグヌスの目線でも描かれていて、こいつの嫉妬深さや自分勝手さに辟易し、早く不幸になれといつの間にか念じていた。それが物語の巧妙さなんだと思う。

タイトル「ヒヒは語らず」については大したネタではなく途中で想像できてしまったので、そこは減点だけどそれを大いに上回る加点があった。

 

今日の一曲

グラミー賞主要4部門受賞、Billie Eilishで、"bad guy"



では、また。




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『風間教場』長岡弘樹

2020-02-09 | books
警察学校シリーズ。校長が風間教官に命じたのは、4月入学の生徒が一人でも辞めたら風間も辞めるということ。辞めそうな者が何人もいる今期、苦労する。備品の盗難事件や恋愛、親戚が警察関係者だから嫌々ながら入って来た者がいたり・・・

(多分第1作を)先日キムタク主演でドラマ化されたけれど観てない。本作は謎解きあり蘊蓄ありの、大傑作とまではきかないけれど充分秀作。

左手をお湯に右手を氷水に入れた後両手をぬるま湯に入れるとどうなるか?とか一人の人間の中には二人の自分がいる(命令するのと実行する自分)前者が出しゃばり過ぎると後者が能力を発揮できないとか、蘊蓄が興味深かった。

 

今日の一曲

折坂悠太で。「夜学」



では、また。


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店名にツッコんでください233

2020-02-07 | laugh or let me die
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『パリのアパルトマン』ギョーム・ミュッソ

2020-02-05 | books
劇作家の男性ガスパール・クタンスがパリのアパートを一時的に借りる予定にしていたら、手違いで元刑事の女性マデリン・グリーンも同じアパートを同時期に借りていた。死んだ有名な画家ショーン・ローレンツが住んでいたアパート。画商から頼まれて画家の遺したはずの三枚の絵を探す。

とってもスリリングだった。一見ラブロマンス風だったけれど、ミステリー色が強い。画家の死の謎、画家の息子の死の謎、その他の人の死の謎を解くプラス絵の行方を追う。真相も二転三転してワクワクする。

翻訳ミステリー大賞シンジケートで、書評七福神の11月のベストに7人中5人がベストに挙げたのは頷ける。

 

今日の一曲

The Eaglesで、"I Can't Tell You Why"



では、また。


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『催眠』ラーシュ・ケプレル

2020-02-03 | books
スウェーデンミステリー。父母娘惨殺事件。唯一の生き残りはショック状態の息子ヨセフ。催眠療法を得意にしていた医師バルクに催眠をかけてヨセフから目撃情報を得ようとしたのは警部リンナ。ヨセフから有益な情報を引き出せるどころか猛烈な反感を持たれてしまう。そしてバルクの息子が誘拐され、、10年前、グループ催眠で起きた事件とは、、

うーむ。第四作「砂男」の評判がいいので、第一作から読んでみた。

かなりおぞましいサイコスリラー。長いのとかなりややこしく特に後半が読みにくかった。ただ設定とか謎解きは悪くないので、次作「契約」も読むつもり。

 
 

今日の一曲

STARDUST REVUE(スターダスト☆レビュー)で、「木蘭の涙」



では、また。


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『大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件』カーク・ウォレス・ジョンソン

2020-02-01 | books
大英自然史博物館のトリング別館で、非常に貴重な鳥の標本が大量に盗まれた。警察が解決出来なかった事件をアメリカのジャーナリストが解く。

物凄く面白かった。ドキュメント+ミステリー。(以下若干ネタバレ)犯人は留学中のアメリカの音大生で、フライフィッシングの毛針製作で有名。盗んだ羽や鳥を高値で売っていた。しばらく事件は発覚しなかったが、ある偶然から発覚し、逮捕され裁判にかけられる。しかし執行猶予がついてしまう。(なぜかまではネタバレしない)

という所までが本の半分。以降は著者が犯人にアプローチし、盗まれた鳥の行方を追う。インターネット時代らしい捜索が新しいドキュメントだなと感じさせる。

 

今日の一曲

ABCで、"The Look Of Love"



では、また。


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