平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

JIN-仁- 第3話~美しい夕日ですね。こんなに美しくていいのでしょうか

2011年05月02日 | 大河ドラマ・時代劇
 仁(大沢たかお)が「いっしょになって下さい」とプロポーズした時の咲(綾瀬はるか)のせりふは、なかなか深い。

 「美しい夕日ですね。こんなに美しくていいのでしょうか」

 プロポーズされて咲は最高に嬉しかった。
 だから「こんなに美しくていいのでしょうか」という言葉を使った。
 だが、咲は自分を冷静に客観的に見ている。
 それはプロポーズに対して「夕日」を話題にしたことからうかがえる。普通なら、嬉しくて「はい。お受けします」とすぐに答えてしまう所だ。
 咲は自分を冷静に見て、<自分だけが幸せになってはいけないこと><仁が未来に帰っていく人間であること><仁といっしょになれなくても自分が前向きに生きていける生き方→仁友堂を残すことであること>を考えている。
 何と繊細で複雑な人間心理だろう。
 何と上手いせりふだろう。

 この咲の考え方は、野風(中谷美紀)のそれと対立している。
 以下のせりふは、野風が仁に言ったせりふだが、咲に向けた言葉でもある。
 「あちきは、おなごの幸せをすべて手に入れるつもりでありんす」
 「先生も我が身の幸せだけをお考え下さい」
 <おなごの幸せを手に入れること><我が身の幸せのみを考えること>
 おそらく、咲は今後このことについて考え悩み続けるのであろう。

 それにしても咲のせりふは常に婉曲的だ。
 先程の「夕日」もそうだが、仁が釈放された時もそう。
 「今宵は何を食べとうございますか?」
 決して、「ご無事でよかった」「嬉しい」ではない。

 かと言ってストレートの直球の時もある。
 前回の神に仁のことを祈る時のせりふ。
 「今すぐに先生を未来にお戻し下さいませ。どうか先生をお助け下さいませ」

 このせりふのメリハリ。
 実に上手いし、咲がヒロインたるゆえんである。

※追記
 前半の仁が釈放されるまでのサスペンス。
 仁がかつて関わった人物たちが奔走するシーンは萌える。
 龍馬(内野聖陽)は叫ぶ。「こん国はいつから恩知らずになったとじゃあ!」
 新門辰五郎(中村敦夫)は語る。「あの男は江戸の宝だぜ」
 咲も「先生の罪が晴れますまでは」と食べ物を口にしない。
 そして仁友堂の仲間たち。
 ついでに牢屋の囚人たち。「お前様は仏じゃあ~!」
 ちなみに龍馬が「こん国はいつから恩知らずになったとじゃあ!」と叫んだのは、放送開始20分。最初のCM前。
 この作品は必ず最初のCM前で見せ場、泣き所を作る。

※追記
 仁の言葉。
 「全力で今を生きる。志を持って。この時代の明日を変えていくんだ」
 震災後の現代に響く言葉。

※追記
 原作を消化しなければならないのか、話が走りすぎているのが気になる。
 せっかく内容のあるドラマなのだから2クールくらいでじっくり描いた方がよかったのでは?


コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする