平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

鎌倉殿の13人 第41回「義盛、お前に罪はない」~我こそが鎌倉随一の忠臣じゃ! 皆、胸を張れ!

2022年10月31日 | 大河ドラマ・時代劇
 和田義盛(横田栄司)と巴御前(秋元才加)。
「俺は生きて帰る。その時にお前がいないと困っちまうよ」
「我こそが忠臣和田義盛の妻巴なるぞ!」
 強い絆で結ばれた夫婦である。

 実朝(柿澤勇人)と義盛。
「勝敗は決したこれ以上の争いは無用である!
 義盛、お前に罪はない! これからも力を貸してくれ! 私にはお前が要るのだ!」
「これ程までに鎌倉殿と心を通じ合えた者がいるか?
 我こそが鎌倉随一の忠臣じゃ! 皆、胸を張れ!」
 強い絆で結ばれた主君と家臣である。
 …………………………………

 一方、義時(小栗旬)。
 実朝を脅迫。
「大いくさになってもよろしいのですか? 鎌倉が火の海になります。
 それを止められるのは鎌倉殿、あなただけなのです」

 政子(小池栄子)からは責められる。
「和田を追い詰めたのはあなたなのですよ」

 泰時(坂口健太郎)は酔っ払って、このいくさに否定的だ。
「わたしは戦うつもりはない。なぜ御家人同士で戦わねばならないのだ?」
 そして、今の立場から降りたい様子だ。
 泰時は聡明でやさしい。
 だから、この戦いの理不尽がわかるし、耐えられない。

 義盛は死に際して「小四郎~っ!!」
 シンプルだが、激しい怨嗟の言葉である。
 呪詛の言葉と言ってもいいかもしれない。
 こういう憎悪の言葉をぶつけられたら、ぶつけられた者の心は持たない。
 心が蝕まれていく。
 スペシャル番組で三谷幸喜さんが語っていたが、
 こうなってしまうと義時は安寧な死に方はできないと思う。
 ………………………………

 では義時は完全に闇落ちしてしまったのか?
 毎回この問いを発しているが、やはりそうではないようだ。
 和田義盛の死に際しての涙。
 周囲の者に涙を見せないように背を向けて歩いていく。
 この時には昔の小四郎に戻ったのだろう。

 ただ義時の政治手法は「強権政治」だ。
「人を束ねるのに一番大切なのは力でございます」
「人は力を怖れる」
「敵対する勢力、将来敵対しそうな勢力は潰していく」
「信賞必罰」「私情の入らぬ厳格な裁き」
 これが世の中の安寧のために必要だと考えている。

 一方、実朝は今回の件で覚醒した。
「わたしは安寧の世をつくる。わたしの手で新しい鎌倉をつくる」
 義時の「強権政治」の完全否定である。
 力ではなく慈愛によって治める「仁政」である。
 いくさで消耗するのではなく、皆で経済的に豊かになっていく道である。

 こんな実朝を義時は「父(頼朝)や兄(頼家)を越えようとしている」と評したが、
「仁政」がベストであることをわかっているのだろう。
 ただ権力基盤が弱い段階での仁政は脆弱だ。
 人の好いことをやっていたら、たちまち滅ぼされる。
 だから義時は鎌倉の権力基盤を強くしようとしている。
 それに行き過ぎた強権政治には必ず反動が来る。
 今回、義実朝や泰時は強権政治とは違う道があることに気づいたが、
 義時は彼らを目覚めさせるために、敢えて悪役を引き受けているのかもしれない。
 もっとも実朝の「仁政」は「西の方(後鳥羽上皇)に相談する」という危ういものではあるが。


※追記
 ところで大江広元(栗原英雄)強すぎ!

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消費税増税、年金支払い65歳──この国は搾り取ることしかしないな。今なすべきことは消費税減税だ!

2022年10月28日 | 事件・出来事
 消費税増税が政府で検討されているらしい。
 年金支払い65歳引き上げが検討されているらしい。
 来年のインボイス導入は決定。

 この国は搾り取るよなあ……。

 それでいて輸出企業は過去最高収益で、
 大企業は内部留保を溜め込んでいるのだが。
 大阪万博だ、札幌五輪だ、と税金を投入するイベントに浮かれているのだが。

 政府の打ち出した経済対策は29.1兆円だそうだ。
 いわゆる『バラまき』に使われる。
 バラまかれる先は自民党を支持している団体や企業──つまりお友達だ。
 オリンピックや万博もお友達に税金を流すための手段。
 それは現在の東京五輪疑惑を見ればよくわかる。

 あのさあ……もうバラまきはやめようよ。
 この10年やって来て経済がよくなったか?
 一時的には効果があるかもしれないが、焼け石に水で、すぐにもとに戻る。
 つまりカンフル剤を打っているに過ぎない。
 もっと抜本治療をしなくてはダメだ。

 では抜本治療とは何か?
 市中にお金を流すことである。
 バラまきで一部の人間にお金を渡すのではなく、
 すべての人にあまねくお金を渡すのである。

 具体的に言えば「減税」だ。
 手っ取り早いのは「消費税減税」だ。

 減税をすれば、人々は浮いた分、お金を使う。
 お金を使えば企業が潤う。
 企業が潤えば給料が上がる。
 給料が上がれば、人々はもっとお金を使う。
 そうすれば税収も上がる。

 どうして、こんなに簡単なことがわからないんだ?
 アベノミクスでトリクルダウンが起きないことは証明されただろう。
 なのに政府がやろうとしていることは増税……!

 何度も書くが、このままだと国内市場は死ぬぞ。
 子供を育てる金銭的余裕などないから少子化はますます進み、
 優秀な人材は海外へ稼ぎに行く。

 政府よ、自民党よ、もういい加減にしてくれ。
 今なすべきことは減税だ。


※追記
 EV車も走行距離に応じて税金を取ることが検討されているらしい。
 ほんと税金を取ることしか考えていないな。 

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朝ドラヒロイン~「舞い上がれ!」の舞と「ちむどんどん」の暢子を比べてみた!

2022年10月26日 | その他ドラマ
 朝ドラ『舞いあがれ!』の舞(福原遥)。
 朝ドラ『ちむどんどん』の暢子(黒島結菜)。
 このふたりを比べてみよう。

 舞 ~穏やか。喜びを静かに伝える。
 暢子~騒がしい。「ちむどんどん、して来たぁ!」と言う。

 舞 ~夢に向かって地道に歩む。
 暢子~夢に向かうが、行き当たりばったり。

 舞 ~人力飛行機部の先輩たちに敬意。すごいと思っている。
 暢子~オーナーに意見して勝負を挑む。笑

 舞 ~芯の強さがある。たとえば本日放送の兄を実家に引っ張っていく所とか。
 暢子~芯の強さがある。

 舞 ~言葉が少なく、表情で語る。間がある。
 暢子~表情の芝居がほとんどない。間の芝居がない。

 これはどう見ても、舞に軍配が上がるだろう。
「ちむどんどん」は、作劇の悪さもあったが、暢子がガサツ過ぎて、見ていて疲れた。
 僕は黒島結菜ファンなので見ていてつらかった。

 これは脚本や演出の責任だが、
 表情で語る芝居、間の芝居って大事なんだよなあ。
 ヒロインの何気ない表情にドキッとしたりする。
 福原遥さん演じる舞にはそれがある。

 福原遥さんが現在の芝居の境地に至ったのは『ゆるキャン△』の経験があったからだろう。
 ソロキャンパー志摩リン。
 テントの前で熱い飲み物を飲みながら星空を見上げる少女。
 あまり人と交わらず、距離を置いて、ひとりのキャンプを楽しむ少女。
 でも他人を拒んでいるわけではない。
 こんな少女を福原遥さんは魅力的に演じきった。
 おそらく何かを表現するのに、せりふなど要らないことに気づいたに違いない。

 というわけで、もう一度、『ゆるキャン△』を見直してみようかなあ。
 ちなみに僕は『3年A組』以来、福原遥さんのファンでもある←女優さんなら誰でもいいのかいっ!

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鎌倉殿の13人 第40回「罠と罠」~憑き物が落ちて心が穏やかになった義時

2022年10月24日 | 大河ドラマ・時代劇
 政子(小池栄子)は義時(小栗旬)に言う。
「もう誰も死なせたくないのです!」
「いくさをせずに鎌倉を栄えさせてみよ!」
「何を怖れているのです?」

 泰時(坂口健太郎)は言う。
「わたしは敵をつくらず皆で笑える世をつくる!」
「父上は間違っている!」

 実朝(柿澤勇人)は和田義盛(横田栄司)を「北条家に伝わる秘伝(成功率50%)」で呼び、
 義時と義盛の仲裁をする。
 その仲裁を経て義盛は義時に、
・頭がよく心のやさしい実朝の下で鎌倉を共に盛り立てていくこと
・義時が政治を行ない、自分が御家人をまとめ、外の敵と戦うこと
 を語る。

 これで義時も和田討伐を諦めたようだ。
 というより憑き物が落ちたように穏やかな顔になった。
 義時が楽になった瞬間だ。

 義時に取り憑いていたものとは何か?
「北条が板東武者の頂点に立って板東を治める」という兄の言葉であり、
「最も頼りになる者が最も怖ろしい」と語って上総介(佐藤浩市)を殺害した頼朝(大泉洋)の言葉である。

 義時は自分の言葉を失っていた。
 政子、泰時、義盛は自分の言葉で話しているのに、兄や頼朝の言葉に囚われていた。

 穏やかになった義時。
 権力の維持で汲々とし、反逆を怖れて不安でいっぱいだった自分から解放された。
 木簡を数えていたかつての自分に戻れた。
 うん、これでいいと思うなあ。
 これが人として一番幸せな生き方だと思う。

 しかし、歴史は皮肉なもので……。

 話がすこしはずれるが、ロシアのプーチンは義時と同じ状態なんだろうな。
 周囲が皆、敵に見えて強権政治をおこなう。
 権力を失えば報復に遭うことがわかっているから権力を維持しようとする。
 三谷幸喜さんは、義時を書く時、プーチンをイメージしたのではないか?
 …………………………………………

 実朝は初めて自分の意思を示して鎌倉殿の仕事をした。
 義時と義盛の仲裁といくさの回避だ。
 義盛が言うように、実朝は「心優しい人」なんですよね。
 甘さもあるが、こういう人がトップだと「仁政」をおこなえる。

 実朝がこんなふうになれたのは、知世(加藤小夏)に自分の秘密を話したからだろう。
 これで肩の荷が少し下りたし、知世はこれを受け入れてくれた。
 知世という理解者・心を通わせる人が出来て、すこし強くなれた。

 歩き巫女(大竹しのぶ)に寄れば、
 実朝・知世の夫婦は「幸せ3、寂しさ7」だそうである。
 でも、歩き巫女が言うとおり、幸せが3あるだけでもいいことだよなあ。
 今までの実朝には「幸せ3」もなかった。

「幸せ3」があるだけでも十分。
 このことを忘れずに生きていこう。

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1ドル150円に突入!~輸出企業を活かすか、国内市場を殺すかのトロッコ理論ですね

2022年10月22日 | 事件・出来事
 ついに円が1ドル150円に突入。

 まあ、円安にもメリットはあるんだけど、
 国内で生活している、僕たち庶民には恩恵は少ない。
 ネット掲示板の言葉を引用すればこういうことだ。

・海外に販路がある企業はみんな儲かってる
 海外生産してそのまま海外販売してるような
 コングロマリット企業は過去最高益になってる
 地獄なのは国内販売や国内製造
 物価高で利益が全然出ない


・中小でヤッバイのは
 原料や資材を輸入して国内で売る系やね
 給料据え置き買い控え圧力で価格転嫁がムズい
 体力ないとこは廃業かな


・円安の恩恵受けられるのは製品を直接海外に売れる者だけだぞ
 大企業にぶら下がる部品メーカーなどは価格転嫁できずに苦しむだ


 つまり単純に言えば、
 今まで100ドルの商品を売れば11000円だったのが、今は15000円になり、4000円も利益が上がる。
 でも製品の原材料は海外に依存しているから高く仕入れなくてはならない。
 電気代の元になる石油もそうだし、農家の肥料もそうだ。
 だから原材料費が高騰しているので実はそんなに儲かっていない。
 国内で完結している企業はもちろん、輸出企業も「円安万歳!」と単純に喜べない。
 おまけに新興国が台頭してきて、日本製品はそんなに海外で魅力的でなくなって来ている。
 ネット掲示板の言葉を引用すれば次のやりとりが示している。

・昔、日本が高度経済成長の頃は1ドル360円、
 ジャパンアズナンバーワンの本が書かれた頃は1ドル200円台、
 そしてバブル最盛期は1ドル140円台。
 日本の繁栄はほとんど為替に依存しているんだよ
          ↑
・高度経済成長期の頃の円安と今の円安じゃ話違うんだけど(笑)
 今は周りのアジアの勢いの方が凄いし、日本の労働者は日本に見切り付けて海外に逃げてる
 こんな状況で何を生産して売るんだよ、この国で(笑)


 おまけに頭のいい企業は、現地生産→現地販売をする。
 別に日本で作って海外に輸出する必要はない。
 結果、何が起こるかというと、日本の空洞化。
 輸入原材料費に頼る企業は利益が出ずどんどん倒産していく。円安倒産。
 日本の土地や有力な企業はどんどん外国人に買われていく。

 では、どうするか?
・資産のある人はドルを買う。
 結果、円安が加速するけど……。
・海外に出稼ぎにいく。
 何かの記事で読んだが、年収400万の寿司職人さんは海外だと年収8,000万になるとか?

 人材が流出して、有力企業は外国に買われて、国内企業は倒産して、
 いずれにして日本が空っぽになることは確かだ……。
 これ以上の円安はかなりまずいと思うが、岸田文雄首相は何もしない……。

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岸田不況到来……日本という国がどんどん縮小していく

2022年10月19日 | 事件・出来事
 岸田内閣の経済対策は次のようなものだ。

・電気代、燃料代抑制のために電気関連事業者・エネルギー関連企業に補助金
・円安で利益を上げている企業に補助金
・旅行援助&外国人旅行客獲得のための水際緩和
・低所得所帯に5万円給付
・原発の再稼働、新規増設

 はあ……ため息が出る。

 電気関連事業者、エネルギー関連企業に補助金?
 これって、その企業が潤うだけじゃないの?
 電気代。ガス代はどれくらい下がるのかね?

 円安で利益を上げている企業に補助金?
 これ最悪!
 つまり円安で苦しんでいる企業は助けないということか? 潰れろということか?
 それでいて、同じく円安で苦しんでいる電力会社や燃料輸入業者は助けるんだよなあ……。

 旅行援助&外国人環境客のために水際緩和
 まあ、旅行に行けばプラスアルファでお金を落としていくからありだと思うが、
 これでどれくらいの経済効果があるのか?
 日本は「観光」で食べていく国を目指すのか?
 テレビでは「外国人観光客が殺到しています!」と大喜びしてるが、
 昔は日本人が海外で爆買いしてたんだぞ。

 低所得世代に5万円給付?
 まあ、いいと思うけど、
 奨学金返済で苦しんでいる学生さんなどには援助はないんだよなあ。
 他にも困っている人はたくさんいる。

 原発再稼働?
 これで電気代が安くなるのなら、核廃棄物を押しつけられる将来世代にお詫びをして、
 一時的な再稼働はありだと思うが、新規増設はいただけない。
 原発にこだわっているかぎり、日本の再生エネルギーの技術はどんどん遅れていくぞ。
 要は原子力ムラの意向を反映させているだけだろう?
 ………………………………………

 以上のことをまとめると、
 岸田内閣の経済対策は
 自民党を支持している経済団体の意向を反映させているだけ!
 電力会社、エネルギー輸入関連企業など、要は大企業・経団連。

 低所得世代に5万円給付は従来からやっていることで、
 要は新しいことをなかなかやらない官僚の発想。

 円安で儲かっている企業に援助は
 要は切り捨て。
 儲かる企業は成長させて、そうでない企業は潰すという新自由主義的発想。

 あのさ~、岸田さん、
 今やるべきは減税だろう?
 具体的には消費税減税。

 関連団体にお金をバラまいても、低所得者に5万円を給付しても焼け石に水。
 一時的な効果があっても持続しない。
 安倍政権時代から同じことを何度もやって来て効果がなかったじゃないか?

 消費税減税をすれば、減税分、国民の所得はUPすることになる。
 消費税ゼロなら10%の収入UPだ。

 円安もなあ。
 先日、日銀が為替介入したが、あっという間に元に戻った。
 それどころか一時は1ドル=149円に……!
 もはや円安は止らない?

 今やるべきは焼け石に水の対処療法ではない。
 消費税減税という抜本的な治療だ。
 そうしないと、この国はどんどん縮小していく。

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鎌倉殿の13人 第39回「穏やかな一日」~実朝の無力と孤独と不安……

2022年10月17日 | 大河ドラマ・時代劇
 大海の磯もとどろに 寄する波
 破(め)れて砕けて 裂けて散るかも
               源実朝

 この歌を見るかぎり、実朝(柿澤勇人)は自分の破滅を予感していたようだ。
 権力闘争の中で殺されるかもしれない予感。

 実朝は自らの無力も感じていた。
 お飾りとしての鎌倉殿。
 和田義盛(横田栄司)の上総介就任の否定。
 反対したのに平盛綱(きづき)が御家人に昇格。
「わしはいてもいなくても同じではないか?」

 そして孤独。
 泰時(坂口健太郎)への思い。
「春霞たつたの山の桜花 なおぼつかなきを知る人のなき」
 妻・知世(加藤小夏)への申し訳なさ。

 実朝は無力で孤独だ。不安でもある。
 そんな実朝の救いは「歌」であったようだ。
 歌だけが自分の生きている証だった。

 今回は実朝の物語であった。
 その心の中に思いを馳せると哀しい。
 内面はすごく豊かな人だったと思う。
 それが「歌」として結晶した。
 …………………………

 義時(小栗旬)は完全に闇落ちか?
 僕は義時は主人公なので、自分の理想を実現するために悪者を引き受けていると考えていた。
 でも平盛綱の御家人昇格は完全に権力の濫用だ。
 力を維持するために北条家の者を積極的に国司にしているし……。
 頼朝(大泉洋)亡き後、『鎌倉殿の13人』を置いた昔のバランス感覚はどこに行ってしまったのか?
 13人の合議制ではうまくいかないことを目の当たりにして、自分が実権を握ろうと思ったのか?
 義時は「板東武者の頂に北条が立つ」ために行動していると言っていたが。

 今回で義時の心の中がよくわからなくなって来た。
 さて、三谷幸喜さん、どう決着をつける?

※追記
 冒頭の和歌。
「大海の磯もとどろに 寄する波 破(め)れて砕けて 裂けて散るかも」
 この歌を実朝は間違っていたと言って泰時に渡したが、
 泰時との恋が「砕けて散った」と解釈している人がいた。
 なるほど。
 これは深い。
 この解釈の方が物語に深みが出る。

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相棒21 「ペルソナ・ノン・グラータ~殺人招待状」~亀山薫登場で、右京さんの小賢しい推理なんか要りません!

2022年10月13日 | 推理・サスペンスドラマ
 亀山薫(寺脇康文)が帰って来た!

 亀山のもとに送られて来た脅迫文。
「アイシャ(サヘル・ローズ)を殺害しなければ飛行機を爆破する」
 飛行機には亀山薫の妻・美和子(鈴木砂羽)と150人の乗客が乗っている。
 右京(水谷豊)はさまざま情報をもとに「飛行機爆破はブラフで飛行機は安全に着率する」と推理するが、亀山は葛藤してこう叫ぶ。

「飛行機が安全に降りるって保障できますか!?」
「右京さんの口車に乗って飛行機が落ちたら俺は後悔します!」
「ひとりの命のために150人の命に引き換えにしていいとは思えません!」
「右京さんにとっては他人事なんですよ!」
「右京さんは黙ってて下さい! 右京さんの小賢しい推理なんか要りません!」

 亀山節さく裂である。
 長きにわたって相棒を務めた冠城(反町隆史)はあまり感情をあらわにしないスマートな人物だったので、新鮮でもある。
 飛行機爆発で死ぬかもしれない美和子に動画送ってくれと頼んだり、
 空港で美和子を抱きしめて泣いたりするのも亀山薫だなあ。

 感情の爆発。
 泥臭さ。
 最近の『相棒』に欠けていたのはこれだった。
 ドラマがあまりにもスマートになりすぎていた。

 右京さんは権力を利用する術を覚えた様子。
「これを聞いたら、あなたたちは共犯者になりますよ」
 と鑓鞍兵衛(柄本明)や片山雛子(木村佳乃)の好奇心を刺激し、なかば脅迫して
 内閣調査室を動かした。
 実にしたたかである。

 ただ、今回は右京さんの敗北。
 アイシャは自分が死ねば飛行機は爆破されず150人の命が助かると考え、自殺した。
 それが正しい行為かはわからないが、利他的な美しい心の持ち主ではあった。
 感情をぶつけた亀山もそうだが、右京さんの理性では解決できないものが世の中にはあるのだ。
 どんなに右京さんが合理的に説明しても、アイシャは自殺していたのではないか?
 ここに右京さんの限界がある。

 亀山がもたらすプラスアルファ。
 感情という理性では割り切れないもの。
『相棒』はこれで豊かなものになっていく気がする。

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「鎌倉殿の13人」裏話トークSP~全国民を抱きしめることができる男、それが大泉洋だ!笑

2022年10月10日 | 大河ドラマ・時代劇
「鎌倉殿の13人」応援感謝!裏話トークSP

 大泉洋さんと佐藤二朗さんがいたら現場は楽しいだろうなあ。
 そんな雰囲気が伝わって来た。

 佐藤二朗さん→北条を許さない御家人の会代表。笑
 大泉洋さん →大泉洋はどれだけぶつかっても優しく包み込んでくれる最強の男。
        ぶつかって来る全国民を抱きしめることができる男。
        だから人々は「全部大泉のせいだ」と言える。笑

 鎧が重いとか暑いとか寒いとか言うのは、大泉洋さんと佐藤二朗さんだけ。笑

 そんな中、佐藤浩市さん、中村獅童さんら硬派がいる。
 獅童さんもそうだが、坂東彌十郎さん、市川猿之助さんは歌舞伎役者だ。
 一方、中川大志さん、金子大地さんらイケメン若手がいて、
 小栗旬さん、山本耕史さん、菅田将暉さんら主役を張れる役者さんがいる。
 高岸宏行さん(ティモンディ)、坪倉由幸さん(我が家)らお笑いの人もいる。

 これらがミックスされて生まれる世界。
 やはり大河ドラマは豊かだ。
 今回のSPでは退場していった人物たちの映像が流れたが、
 それぞれに物語があり、愚行もあったが、みんな必死に生きていた。
 ……………………………………

 裏エピソードとしては──

・義経と政子の膝枕シーンのリハは、おじさん助監督の膝でおこなわれていた!
 菅田さんは小池栄子さんの膝の感触よりもおじさん助監督の感触を覚えていた。笑
・比奈の寝所に忍んで行く頼朝は小栗さんがやっていた!
・坂東彌十郎さんと佐藤二朗さんはすでに時政も比企能員も退場しているので、最終回の台本を渡されていない←とても寂しそう……。
 など。
 ……………………………………

 最終回はどうなるのだろう?

 脚本・三谷幸喜さんに拠れば、
 政子は「悪女」ではなく、最後まで誠実に生きた人物として描かれるらしい。
 政子は出来事と誠実に向き合って生きただけなのに、後世で「悪女」と呼ばれるようになってしまった。
 まあ、これまでの政子を見ているとそうなりますよね。
 泰時はほんのちょっとの希望。
 泰時は父・義時を反面教師として見ているし、義時もそうなろうとしている。
 義時は泰時に「自分のような政治をおこなってはいけない」と語っているのだ。

 では義時は?
 三谷幸喜さんは語る。
「いろいろな人の死に関わってきた彼が幸せな死に方をして本当にいいんだろうか?」

 確かに。
 だとすると、義時の死は悲惨なものになるのだろうか?
 以下は僕の予想だが、
 ポイントは、運慶が義時のために掘ると言っていた仏像だと思う。
 その仏像の顔はとても穏やか。
 修羅の道を歩んでいた義時は死によって「穏やかな世界」に導かれる。

 さて、最終回はどのようなものになるのか?

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銀河英雄伝説を読む5~人類は一から再出発ということになる。まあ、それもいいけどね

2022年10月08日 | 小説
 イゼルローン要塞攻略にあたりヤンは「薔薇の騎士」連帯の隊長ワルター・フォン・シェーンコップを呼ぶ。
 シェーンコップ、そして薔薇の騎士聯隊のメンバーは帝国からの亡命貴族の師弟だ。
 場合によっては帝国に寝返るかもしれない。

 そんなシェーンコップにヤンはイゼルローン要塞攻略の作戦を明かす。
 そして説明を終えると、こうシェーンコップに語る。
「先回りして言うとね、大佐、こいつはまともな作戦じゃない。
 詭計、小細工に属するものだ。
 しかし難攻不落のイゼルローン要塞を占領するには、これしかないと思う。
 これでだめなら、私の能力のおよぶところじゃない」

 ヤンったら「不敗の提督」なのに謙虚!笑
 というか自分の能力というものをしっかり理解している人。
 自分をいつも客観的に見ていると言ってもいい。
 それは自分の立てた作戦にも同様で「詭計、小細工に属するものだ」と言っている。

 シェーンコップの、自分は元帝国の人間で裏切るかもしれないのに信用するのか? という問いには──
「だが貴官を信用しないかぎり、この計画そのものが成立しない。
 だから信用する。こいつは大前提なんだ」

 ヤン、名回答である。
 ここで「貴官のことは信用している」と答えたらウソになってしまう。

 話はヤンの人生観におよぶ。
 シェーンコップにイゼルローン要塞の攻略を引き受けたのは名誉欲からか? 出世欲からか? と問われて──
「三十歳前で閣下呼ばわりされれば、もう充分だ。
 第一、この作戦が終わって生きていたら私は退役するつもりだから」
「年金もつくし退職金も出るし、私ともうひとりくらい、つつましく生活する分にはね、不自由ないはずだ」

 先程の謙虚もそうだが、ヤンには欲がない。
 普通の穏やかな生活をしたいと思っている。
 帝国の収奪を狙うラインハルトとは対照的だ。
 イゼルローンを攻略する理由については、こんなことを考えている。

「イゼルローンをわが軍が占領すれば、帝国軍は侵攻のほとんど唯一のルートを断たれる。
 同盟の方から逆侵攻というばかなまねをしないかぎり、両軍は衝突したくともできなくなる。
 すくなくとも大規模にはね。
 そこでこれは同盟政府の外交手腕しだいだが、軍事的に有利な地歩を占めたところで、帝国との間に、何とか満足の行く和平条約を結べるかもしれない。
 そうなれば私としては安心して退役できるわけさ」

 侵攻不可能→和平条約
 こんなふうにヤンは、チェスや将棋をさすように先の先まで考えているのだ。
 本来これを考えるのは政治家の仕事。
 まあ、トリューニヒトにはこう考える思考回路はないのだが……。

 そしてヤンはリアリストである。
 人間というものを過度に信用していない。
 シェーンコップが「それで平和が恒久的になるのか?」と尋ねると──
「恒久平和なんて人類の歴史上なかった。
 だから私はそんなもの望みはしない。
 だが何十年かの平和で豊かな時代は存在できた。
 吾々が次の世代に何か遺産を託さなくてはならないとするなら、やはり平和が一番だ。
 そして前の世代から手渡された平和を維持するのは、次の世代の責任だ。
 それぞれの世代が、後の世代への責任を忘れないでいれば、結果として長時間の平和が保てるだろう。
 忘れれば先人の遺産は食いつぶされ、人類は一から再出発ということになる。
 まあ、それもいいけどね」

 現役世代の責務は平和を次世代に受け渡すこと。
 なるほど。
 しかし、ヤンは一方で怖いことも言っている。
「人類は一から再出発ということになる」
 戦争に拠る人類の絶滅だ。
 そして、こうつけ加えた。
「まあ、それもいいけどね」
 ヤンはドライだなぁ。
 人類の滅亡→「絶対阻止しなければ!」ではなく、「まあ、それもいいけどね」。
 ヤンは達観している。人類史、宇宙史の視点で物事を見ている。
 あるいは、
 自分にできることは限られているし、最悪の事態になったらなったで受け入れるしかない、と割り切っている。
 ヤンのやわらかな強さである。

 これらのヤンとの会話でシェーンコップは言う。
「とにかく期待以上の返答はいただいた。
 この上は私も微力をつくすとしましょう。
 永遠ならざる平和のために」

「永遠ならざる平和のために」と付け加えるシェーンコップ、カッコ良すぎる!


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