古くから知られる名水の地、山崎。利休もここに茶室を構えました。この地下水が山崎のウィスキーになります。
蒸留所のすぐ上にある椎尾神社(しいおじんじゃ)。奈良時代から続く歴史があるそうで、この鳥居の形から「サントリーローヤル」の瓶がデザインされたそうです。ローヤルは鳥井信治郎が八十歳を越えて最後に自らブレンドしたウィスキーで、ベストセラー「サントリーオールド」の上級の製品として、盆暮れの贈答品の定番でした。知名度は抜群で、ウィスキーを飲まない人にでも、とりあえずローヤルを贈っておけば喜ばれた、昭和を代表する国産ウィスキーです。
その鳥井信治郎と佐治敬三の像。
さてお楽しみのシングルモルト比較試飲に入ります。
スペイサイド代表はグレンフィディック12年とマッカラン12年。アイラ代表はボウモア12年とラフロイグ10年。ローランド代表がオーヘントッシャン12年。最後に日本代表は山崎12年。スコッチを代表するシングルモルトの代表格に勝るとも劣らぬというサントリーの自負をここに見ます。まずはテイスティンググラスを回して香りを立てて、原酒の香りを評価します。続いて水で倍に薄め(twice up)、同じように回して残りの香りを十分に引き出し、試飲します。
シングルモルトの先駆者にしてベストセラーのグレンフィディックは洋梨のようなフルーティーな風味と言われますが、ウィスキーの果実香はワインに比べるとほのかなものですし、長いこと嗅いでいると嗅覚が鈍磨するのであまりわかりませんでした。もう少し修行が必要です。
これに対し、シェリー樽での熟成にこだわり、より熟成の進んだドライフルーツのような果実香で知られるマッカランの特徴はすぐわかりました。余韻もふくよかで長いし、現状で1つ選べと言われたらこれですね。さすがはシングルモルトのロールスロイス。
ボウモアはアイラ島独特のピート臭が鮮明で、これは好き嫌いがはっきり出るでしょう。悪く言えば正露丸みたいな最初のアタックが強烈なので、これが嫌いな人はまずお手上げのはず。生牡蠣にぶっかけて食べるのが現地の味わい方ということなので、強烈な磯の香りにはよく合うのでしょう。余韻はこの6種の中で一番豊かな感じがして、ワインから修行に入った私としてはこれは捨てがたいです。個人的には第3位。
ラフロイグはボウモアより更に強烈で個性的。非常にスモーキーなので、スモーカーの人は一服やりたくなるはずです。私は吸いませんし、蒸留所も禁煙ですが。
オーヘントッシャンは特徴的な3回蒸留法により軽い味わいが特徴的。豪快なラフロイグの後では目立たなくなって損をしたかもしれません。これだけ別に味わってみたい気がします。
そして山崎。ウェルカムドリンクの印象と同じで、落ち着いていて繊細。ワインでも日本酒でも、酒はその土地の料理に合わせて造られるものですから、山崎が和食にぴったり合うのは当然。線は細いですが長くてきれいな余韻が印象的です。この日の評価は2位。まあ、ウィスキーを飲みつけてない初心者の印象ですし、酒の評価は食事などのTPOあってのものなので、一般の方が様々な状況で飲まれる場合にはほとんど参考にならないと思います。
次はより風味が際立つハイボールの試飲。
おつまみも出してもらえました。
最後にブレンドウィスキー「響12年」の2014年サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティションの最優秀金賞を記念したビデオを見て、その試飲もありましたが、もう帰りの時間が迫っていましたし、この頃になると程好くアルコールが回ってきて、細かい風味の違いがよくわからなくなってきてましたので、評価は割愛。サントリー山崎蒸留所とユニーの皆様、楽しませて頂きありがとうございました。