元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

宮崎県飲食店の休業要請と雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金の申請を(休業手当について)

2020-08-07 10:22:54 | 社会保険労務士
  休業手当の助成金申請はより簡単に・チャレンジすべし(20以下従業員の場合)

〇 休業・営業時間短縮と雇用調整助成金(休業手当)

1 新型コロナ感染の拡大が広がりを見せる中、ここ宮崎県においても、20年8月1日から16日まで県全域に飲食店を対象にして、休業や営業時間短縮に関する知事の要請がなされました。全国でも、内容に若干の違いはあれ、同様の措置が取られたところもあると承知している。
 コロナの影響で、こういった知事の直接的な休業要請<※注意※>に応じて、休業や時間短縮に取った事業所はもちろんのこと、お客が来ないなどの理由で自主的に休業・時間短縮を行わざるを得ない場合、その間、従業員に休業手当を出したときには、国(労働局)の雇用調整助成金が支給してもらえるようになっている。
 
〇 休業手当に対する雇用調整助成金=雇用保険の被保険者の場合⇒申請手続きの簡略化

1 元々この雇用調整助成金は、景気の調整局面での休業休業等に対してのいわゆる平時の助成金だったため、手続きが複雑であったが、今回は、コロナの影響による非常時のため、特に従業員が20人以下の事業主にとっては、支給申請が非常に簡単なものとなっている。
 この手続きの簡単な雇用調整助成金というのは、今言った従業員が20人以下というのが条件であるが、宮崎県みたいに休業自粛を要請したところの、業種を特定した居酒屋や飲食店等においては、少ない従業員で回していることも多いので、そのまま使えるのではと思っている。しかも、従業員数は、「おおむね」となっているため、正確に20人以下とはなっていないため、多少の上下は、この様式での申請でよいと考えられる。

2 さて、この雇用調整助成金の概要は、最初から言うと、新型コロナの影響で、休業した月の売り上げが、前年同月の売り上げに比べ(*1)、5%以上減少し、かつ、店舗の休業・時間短縮等の理由で、従業員を休業させ、平均賃金の6割以上の休業手当(労基法で規定されているところ。)を従業員に支給した事業主に支払われるというものです。端的には、売り上げが通常の5%減、平均賃金6割以上の休業手当を事業主が支払った場合に、月ごと申請し月ごとに助成金が出るというものです。

3 雇用調整助成金の助成率は、従業員の解雇がない かつ 4/5の雇用が維持されている場合は100%、そうでない場合であっても80%の支給率(後述のマニュアルに「助成率」該当のチェックシートあり)になっています。そのため、助成率100%支給に該当の場合は、一人一日の額の制限15,000円がありますが、これにかからなければ、全額助成金で休業手当分がそのまま戻ってきますので、休業手当もぎりぎり(平均)賃金の6割支給とするのでなく、賃金100%の支給も可能です。従業員は給料相当分100%の休業手当をもらえることになります。このように額的にも手続き的にも使い勝手がよいものとなっています。

4 申請書の様式等は、検索画面で「雇用調整助成金 コロナ 様式」(現在 一番簡単な検索方法です。)と検索すると、厚生省のHPに出てきますので、そこの「雇用調整助成金支給申請マニュアル」(6pの簡単な吹きだし・図示等での説明)と実際の様式(休業実績一覧表、支給申請表、申立表※2)を出してみてください。そして、このマニュアルを見ながら、この様式で、基本的なデータとしては、休業した日数分(※3)、休業手当の額を個人ごとに書き込み、労使で前もって決めた休業支払い率(上記で申し述べた平均賃金の6割以上の率)を記入し、労使でこの内容を確約したことのしるしとして、事業主と労働者代表との間で印鑑を押すだけでよいことになっています。(※4) 記入様式についてはできれば、エクセル計算がついているシートの方が、上記の基本的なデータのみの入力で作成できますので、こちらをお使いください。

 この本書類のほかに、添付書類としては、売り上げが減額したことが分かる比較月の売上簿など、休業させた日・時が分かるシフト表など、休業手当・賃金の額が分かる給与明細などの書類をつけて提出すればOKです。この具体的な書類については、どんなものかは、マニュアルにチェックシートとして載っています。

 また、動画では、YouTubeで社労士さんが、いろいろ書き方について公開していますので、これらを参考にしていただければ、さらに分かりやすく作成できるかと思います。(※5)

 なお、申請期限は、申請月の末日から2か月以内です。例えば、8月1日から31日の休業の申請期限は、10月31日までですので注意のこと。(※6)

 また、コロナの特例による申請は、簡単記載の特例様式を含め、休業措置をとった期間が9月末までとなっていますが、今のような情勢によっては、このコロナ特例の期間は延期されることもあると思いますので、厚生省の同じ検索画面で注意しておいてください。

〇  休業手当に対する緊急雇用安定助成金=雇用保険の被保険者でないバイト等の場合⇒申請手続きの簡略化

1 今まで説明した雇用調整助成金というのは、雇用保険の被保険者の場合の助成金です。労働時間が少なく雇用保険の被保険者にはならないバイト等については、ほとんど同じ書き方でよいのですが、緊急雇用安定助成金というのが設けられました。 「緊急雇用安定助成金 コロナ 様式」を検索して、マニュアルと様式を取得してください。そして、こちらも、ほとんど同じ要領で書くことができます。
 すなわち、雇用保険被保険者は、雇用調整助成金という形で、それに入らないバイト等については、緊急雇用安定助成金という形で支給してもらえるというわけです。 

 以上、すでにご存じで申請された方が多いかとは思いますが、コロナ第2波が来ているようですので、休業要請や自主的な休業をせざるをえないという事業主さんは、この助成金をぜひ活用してください。書類が複雑であきらめたという方も、最初の申請時より簡単になっていますので、もう一度マニュアルや動画を見て作成してみてください。 申請先/問合先は各県労働局の助成金センターなどですが、詳しくは、検索ワードがマニュアルに載っていますのでそれで検索してください。(※7)

 <※注意※>都道府県知事の休業要請は、休業手当の対象となる「使用者の責に帰すべき事由」にあたるのかが問題とはなっているが、あくまでも「要請」であり、使用者の責任として、現実的には少なくとも休業手当を労働者に支給した上での助成金の申請となろう。
 (しかしながら、この知事の要請は、経営者として回避できるかという点では「不可抗力」に近いものであり「使用者の責任」ではなく、休業手当の支給は免除されるのではないかとの論議もあるところではあるが、当該助成金とは別途考えたいところではある。)~労基法第26条~

 (※1) マニュアルにあるが、最近開業した場合などは1か月~1年前の間のいずれかの月やそれとも2年前の同じ月でもよい。
 (※2) 過去不正受給がない、労働保険滞納がない、暴力団関係ではない等の確認書であるが、まとめて該当あるかを聞いているのでチェックは簡単。
 (※3) まるまる休業した日数と時短した時間数を別々に記載することになっているので、この点注意が必要である。時短した時間数は、積算して日数にしたら何日になるかを計算する。例えば、Aさんが1か月に時短した時間数が合計32時間としたら、1日の労働時間が8時間としたら4日(32時間÷8時間)休業したとみなす。そして、最終的には、Aさんの1か月の休業した日数は、まるまる休業日が仮に5日としたら、このまるまるの休業日5日と時短の日数に計算しなおした4日を合わせて9日として記載する。
 (※4) これも20名以下の特権で、本来は正式の労使協定を締結することになりますが、これを書いた数行で事足れることになっているようです。 さらには、これも、コロナ特例の様式の休業手当(単価)の入力は、実際の休業手当の実額そのものを入れるだけですが、本来の様式では、前年度の雇用保険賃金総額をもとに休業単価を計算することになっているためより複雑だった。 また、申請の簡略化の点で大きな違いは、もともと助成金の考え方としては、事前に計画書を出してから認められるところ、その計画書の提出も必要ない。
 (※5) なお、社労士連合会の動画には、20名を超える本来の様式での記載方法が公開されています。
 (※6) 支給対象期間の初日が4/1~5/31の休業の場合は、申請期限が特例によりで8/31まで認められています。 この記事記載の現時点は8月ですので、さかのぼってもまだ可能です
 (※7) 宮崎の場合は、宮崎労働局 職業対策課 助成金センター です。問い合わせも受け付けています。
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