元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

「親権者又は後見人は未成年者に代わって労働契約を締結してはならない」とは

2018-05-28 09:44:48 | 社会保険労務士
 単独で未成年が労働契約を締結できるわけではない!!

前にも別の観点から書いたと思うが、私、白状しますと民法の勉強の方が労働基準法よりも後になっていまして、まず仕事で必要だったのが労働基準法(以下、略して「労基法」と呼びます。)だったせいで、今までも民法の勉強が追いついていない所があります。

 実は、労基法の58条1項に「親権者または後見人は、未成年者に代わって労働契約を締結してはならない」とありますが、初めてこの条文を読んだ時に、じゃあ、未成年でも独立して使用者と労働契約をすることができると間違って読んでしまいました。この条文だけを読むと、そんな間違った解釈をしてしまうのも無理はない話しではありますが、まったく民法を理解していないことからの大きな解釈ミスになってしまいました。

 やはり、ここは民法の条文があって、特にこの労基法の58条1項の条文の解釈に当たっては、民法の条文が前提にあって、初めてこの労基法の条文が規定してあるということなんです。

 もともと、「民法によれば、満20歳未満の未成年でも、親権者又は後見人の同意を得れば、労働契約を締結できるし(民法5)、また逆に、親権者または後見人も、未成年者の同意を得れば、その未成年者を代理して労働契約を締結でき」ます。(民法824、859)

 「しかし、労働契約について代理締結を認めると、親権者や後見人が一方的に未成年者を代理して労働契約を締結し、未成年者の利益を損なうおそれがあることから、労基法では、たとえ未成年者の同意があっても、親権者や後見人が未成年者に代わって労働契約を締結をすることを禁止している」ということなんですね。(以上前2つの「」書きは、社会保険労務ハンドブックから引用)

 そこで、この労基法の58条1項の条文は、民法824条・859条の親権者や後見人の代理締結を労働契約において否定しただけで、未成年者に労働契約に関して完全な行為能力を認める趣旨ではなくて、未成年者が単独で契約を結ぶことはやはり不完全であり、未成年者の労働契約締結においては、親権者又は後見人の同意を得なければならないという民法5条の条文は大きな意味を持つことになるわけです。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする