元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

非常勤等の勤める介護事業所は予告手当例外の「試用期間」には注意!!

2018-07-23 13:53:32 | 社会保険労務士
予告手当等の例外が認められるのは働き始めて14日以内

 使用者は、労働者を解雇しようとする場合には、少なくとも30日前の予告を行うか、あるいは、これに代えて、30日分の平均賃金を支払わなけれなならないのは、良く知られているところであろう。(または、このミックスとして、例えば20日前の予告+10日分の平均賃金の支払いでも可能)

 この例外として、入職後14日までの試用期間というのがある。試用期間であっても14日を過ぎれば、解雇予告や解雇予告手当(以下、併せて「解雇予告等」という。)をしなければならないが、14日までは「即時解雇」も可能となる。ただし、あくまでも、解雇予告等を出さなくてもよいことであって、合理的・相当な理由がなければ、解雇そのものができないことは言うまでもない、(労働契約法)

 ところで、介護事業所の場合は、非常勤や登録型訪問介護がいて、常勤は一般的には1週間に5日以上勤めるのがふつうであるが、この非常勤は1週間に3・4日しか勤めないというのもおり、登録型訪問介護に至っては、週によっては1・2日しか勤めないというのもある。

 この場合も、あくまでもこの試用期間14日というのは、勤め始めてから14日を過ぎれば、解雇予告・手当をしなければならないのであって、登録型訪問介護のように極端にいえば、週1日で2週間で2日しか務めていなくても、2週間過ぎれば就業後14日経過していることになり、予告等をしなければならないことになる。

 すなわち、この試用期間は就業後14日間の間の例外であるので、注意が必要である。勤め始めて2週間=14日を過ぎれば、その間に働いたのが実質2日しかなく、その間に能力等を見極める期間がなかったとしても、これは解雇予告等は出さないといけないので要注意である。

 介護事業所のように、常勤だけではなく、非常勤等が混在している事業所では、特に間違えやすいので、即時解雇が認められるには、入職後14日以内に限られることを覚えておきましょう。
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訪問介護(介護保険)の登録ヘルパーは就業規則を届出しなければならない労働者の数にカウント!!

2018-07-09 11:20:51 | 社会保険労務士
 介護保険の訪問介護者は登録ヘルパーを含めて「労働者」(=委託ではない)である!

 就業規則を作成して労働基準監督署に届け出なければならないのは、その事業所に常時10人以上の労働者となっており、この10人以上というのは、正規の労働者だけではなく、常態的に雇っているパートタイマーも含まれます。臨時的に増減した労働者は含まれませんが、パートでも常時雇っているかよって判断して、それが10人以上であれば、労基署に届け出なければならないということになります。

 ところで、小規模の訪問介護事業所を行っているところでは、正規の職員が事務担当兼介護担当1人で、後の職員は「登録ヘルパー」というところもあります。訪問介護が必要なときに、登録しておいたヘルパーの中から、その登録ヘルパーに訪問介護をしてもらうというのが、一般的な「登録ヘルパー」といわれるものです。問題は、この登録ヘルパーは、10人以上かどうかの人数に含めるかです。

 登録ヘルパーは、いわゆる「委託」ではないかと勘違いされる向きもあるようです。委託であれば、これは民法上の「請負」や「委任(正確には準委任の方が多い)」に当たります。請負であれば仕事の完成を持って報酬を与える形であり、委任(準委任)であれば、仕事の完成にこだわらず仕事等の処理過程において報酬を与えるものであり、労働者のように使用者から指揮命令を受けないことから、この「委託」(請負OR委任・準委任)であれば、雇っているとはならず、労働者としてはカウントしません。

 しかし、一般的に、この介護訪問の「登録ヘルパー」の勤務形態は、身体介護1時間当たり××円、生活援助1時間当たり〇〇円というように報酬が決まっており、一般的な仕事の完成一件につきいくらというような請負や処理一件につきいくらというような委任等ではありません。時間当たりの報酬が決まっているのは、委任等にはないとも言えませんが、この登録ヘルパーの場合は、労務提供の時間の長さによって報酬の額が決定されることから、これは「労働者」として雇っていることになりそうです。

 また、訪問介護を介護保険の中で行っているとすれば、必ずその事業所のサービス提供責任者からケアの内容等について指揮命令を受けることになりますので、「登録ヘルパー」は事業所の使用者から労働者として使用されていることになります。

 こういった意味から、介護保険上の訪問介護員は、「一般的には使用者の指揮監督の下にあること等から、労働基準法の第9条(=「労働者」の定義)の労働者に該当するもの」(訪問介護労働者の法定労働条件の確保について、基発第0827001号)とされており、訪問介護員のなかには、正規職員やパートだけでなく、登録ヘルパーも含めて、全ての訪問介護員が労働者として認識されなければならないことになります。

 したがって、登録ヘルパーも労働者でありますので、この数を含めて10人以上であれば、労基署へ就業規則を届け出なければならないことになります。
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