元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

メンタルヘルス・マネジメントとは?(うつ病等の対策)

2012-01-30 05:00:56 | 社会保険労務士
 うつ病はどこでもある病気ですので、その対策を!!

 メンタル面での病気、心の病を持つ人が増えてきています。事業所でも例外ではありません。その大半は、うつ病と言われていますが、うつ病の発症率2~3%といわれ、その他、躁うつ病0.5%、統合失調症0.8%となっています。とすれば、100人の事業所があった場合には、数名はかかっていることになります。現に、私総務課長を経験しましたが、50人以内の職場で1人は必ずいましたし、100人近い職場では、確かに数名はいたようです。

 とすれば、だれでもかかるし、けっして特殊な病気ではありませんし、体の病気と同様、早期発見・早期の治療が早期回復につながります。強度のストレスや弱いストレスであっても持続すればだれでもかかり得る可能性のある病ということを考え、監督者の注意義務はもちろんですが、不調におちいった者がいつでも自分から声をあげられる職場を作ることが必要です。メンタルヘルス・マネジメント(心の健康の「マネジメント」)は、現在では、経営管理と同様に重要なマネジメントの一つと考えられています。

 うちの職場では、そんな余裕はないよというところでは、今では、各地区に地域産業保健センターが開設されています。メンタルヘルス相談等の無料の産業保健サービスを実施していますので、ご利用ください。

 さて、従業員の健康と組織の生産性については、大阪商工会議所のメンタルヘルスマネジメントのテキスト※では、次のとおり述べられています。

 「従来は、従業員の健康を重視して、職場環境の改善を行ったり、仕事量を減らすなど労働不可を軽減したりすれば、コストがかかり生産性も低下すると考えられていました。そのために、従業員の健康問題は経営上の優先課題にはなりにくい状況でした。
 最近では、従業員の健康や満足感と組織の生産性を両立させることは可能であり、むしろ両者には相互作用があり互いに強化することができるという考え方が示されるようになりました。これは、米国立労働安全衛生研究所が提示した考え方で、「健康職場」モデルと呼ばれています。この考え方によれば、従業員の健康や満足感を維持・向上させることが、組織の生産性向上に寄与することになります。つまり、従業員が心身ともに健康で満足感が高ければ、目標に向かって意欲を高め、持てる力を最大限に発揮することができます。そして、そのことが組織の生産性向上や高業績につながると期待できるわけです。ここに、企業がメンタルヘルスに取り組むことの意義があります。」(以上)

 この「健康職場」モデルの考え方に、長年勤めてきた私としては、将に「実感」です。うつ病の患者が出た職場では、職場の雰囲気も停滞気味になるし、欠勤等の補充で他の者への負担は大、またそんな職場では同様の環境下での次のうつ患者も出そうな感じになってきます。
 
 あなたの職場でも、メンタルヘルス・マネジメントの考えを導入してみませんか。メンタルヘルスの考え方・進め方は、ちょっと硬いですが、「労働者の心の健康の保持促進のための指針」に全て述べられているような気がします。これは、厚生労働省が労働安全衛生法に規定されている方針として公表したものです。職場の監督者にも、まだまだメンタルヘルスに対する理解がないような気がします。まずは、メンタルヘルスの職場研修を行い、メンタルヘルスに対し理解を皆が共有することから始められたらどうでしょうか。
 
追伸;今日のニュースで厚生労働省が「パワーハラスメント」の検討を始めたとの報道がなされました。まだ、国においてはパワハラの定義もない状態で「職場のいじめ」しかことばとしては出てきていませんでした。このパワハラにより、メンタル面で不調に落ち入る者もいるようです。いずれにしても、メンタルヘルスに対する理解を管理職を含めて職場全員で広めていく必要がありそうです。そのことだけで、メンタルヘルス・マネジメントは、ほとんど出来たようなものと考えますがいかがでしょうか。


 ※メンタルヘルスマネジメント検定試験公式テキスト(Ⅱ種第2版)P44~45


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出張の移動時間は労働時間なの?(その4、短時間の移動=居宅介護サービスの例)

2012-01-26 06:24:06 | 社会保険労務士
 移動時間が通常の移動時間に要する時間である場合は、労働時間!!

 居宅介護サービスについては、利用者宅を訪問し、一定時間お年寄り等の介護サービスを行い、また次の利用者宅に移動することになりますが、この移動はどう考えるべきでしょうか。

 厚生労働省は次のように述べています。「介護サービスの利用者宅間の移動を使用者が命じ、当該時間の利用時間が労働者に保障されていない場合は、労働時間に該当する。」(平成16.8.27基発0827001号)としています。これを見たときは、私は、実務で賃金計算を行ってきた者としては、衝撃を受けました。というのも、前回、前々回紹介したように、移動時間は、一般的には、時間外等として考慮すべき「労働時間」として計算に入れていなかったからです。

 前々回紹介した、交通機関を利用して入る場合には、目的地まで確かに乗物の中に拘束はされており不自由な時間であるが、何も労働はしておらず、しかも乗物に拘束されているとはいえ、その他は何をしようと自由な時間として、労働時間とはならないとしました。
 また、前回、車の運転での移動を取り上げ、車を足代わりとして利用している場合は、車の運転を命じられているので、労働時間にはなるが、自由裁量が認められているので、一般には、みなし労働時間が適用になり、所定労働時間の労働とみなすことができるとしました。
 ⇒下記通達の反対解釈として、このいずれの場合も、ある程度の「長時間」の移動ということにはなりますが・・・

 しかし、この通達では、はっきり「労働時間」とするとされています。この通達が出たのは、それなりの事情があるようです。パートタイマー登録型のホームヘルパーなどについては、介護保険法では自宅の訪問から退去までの実質サービスを介護保険サービス時間とみなすこことして介護保険の報酬の対象となっていますが、移動時間については対象とはなっておらず、そのため、これに応じて介護保険から報酬の出ない移動時間を労働時間として取り扱う介護事業者は少ないということなのだそうである。

 通達ではまだ続くのです。「具体的には、使用者の指揮監督の実態により判断するものであり、訪問介護の業務に従事するため、事業所から利用者宅に要した時間や一つの利用者から次の利用者への移動時間であって、その時間が通常の移動に要する時間程度である場合には労働時間に該当するものと考えられること」(平成16.8.27基発0827001号)となっており、移動時間が「通常の移動に要する時間程度」であるとしています。利用者宅を介護作業が終了したのちに、次々に移動していくイメージでしょうか。でもそもそも、「通常の移動に要する時間程度」って何。

 労働時間と求められるかどうかは、原則に戻って考えると、使用者の指揮命令下に置かれているかどうかによって決まります。今まで紹介してきた事例では、拘束はされているが、または、指揮命令下と考えられるが、自由な時間がある程度確保されている場合でした。
 この例では、どうでしょうか。安西愈氏は次のように述べています。

 訪問居宅が事業所内の区域内で比較的短時間で訪問し、自転車や徒歩でも訪問できる程度の短距離、短時間の場合には、具体的指示命令に拘束された直接的指揮命令下にあることになるから、「みなし労働時間」ではなく、通常の事業所内の労働時間と同じように算定すべきケースとなろう。この場合、移動時間が仮に労働時間として取り扱われる場合にも、その時間の賃金については居宅での介護サービス時間と同じ金額でなくても、別の賃金(ただし、最低賃金以上)としても、労働に従事していない単なる交通移動時間であるから差し支えない。(労働時間・休日・休暇の法律実務=中央経済社P542 ※)

 私としては、これは、「介護事業者である」というイメージが強い通知文ではあったが、これをよく見ると介護事業者だからというわけでなく、事業所区域でその日のスケジュールが決まっていて、作業自体も自由裁量の余地もないということで、指揮命令下にあると捉えられる業務であり、その移動が短距離・短時間である場合は、労働の間の単なる手休め時間とも考えられる時間であり、これまた指揮命令下にあるということであり、全部が労働時間であるといいたかったのであろう。しかも、その労働時間が把握され管理されていると認められる場合であって、「みなし労働時間」にもならないということであろう。これって、他の業種でも同様の例があれば、適用になるということですね。ただし、その場合でも、同氏がいう下線部分のように、この移動時間には別の料金設定が出来ます。

 ここまでくると、移動時間もいろいろ取り扱いがあり、単に機械的に労働時間との認識はしていなくて良いとはならず、もう一度原点に帰って、移動時間を労働時間なのかどうか、違反にならないか考えてみることも必要かもしれません。

※なお、同氏は、労働基準法のポイント(厚友出版)でも、同趣旨の解説をされておられるが、ここでは、介護業務は訪問先居住内の各種介護サービスという家庭労働的なものであるから、「事業外のみなし労働時間」の適用が妥当と解されるとして、厚生省の通達とは別の立場をとっておられる。



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出張の移動時間は、労働時間なの?(その3)

2012-01-23 05:09:23 | 社会保険労務士
 社有車運転の移動は、労働時間であるが、「みなし労働時間」の適用が可能
 
 前回までは、出張を電車・バスで移動する、その移動時間は、物品の監視等の別段の指示がある場合を除くほかは、労働時間として取り扱わないとしました。

 では、会社の車を運転して出張に行く場合には、どうでしょうか。これは、移動について自動車の運転を命令されていることになるので、「労働時間」にはなると考えられますが、社有車を出張先への乗物と使用するような交通機関としての足代わりの場合には、出張先で手待ち(実際に手足は動かしていないが待機している時間)や休憩時間等の自由裁量制を有するのであれば、「みなし時間」となり、所定労働時間の労働とみなされることになります。
 
 この「みなし労働時間」とは、「労働者が労働時間の全部又は一部について事業外で業務に従事した場合において、労働時間を算定しがたいときは、所定労働時間労働したものとみなす」という労基法38条の2のことを言います。例えば、営業等で社外に出ている方で、労働時間の管理が困難の場合に、いつが自由な時間で労働から解放されているのか、いつが労働時間なのかわからない時に、このみなし規定が適用になりますが、社有車の運転についても、同様に解されるということです。
 
 となれば、社有車の運転で出かけた場合には、その運転は労働時間ではあるが、この「みなし労働時間」の規定により、一般的には所定労働時間働いたと考えることが可能ということになります。
 
 これは、自家用車で出かけたとしても、考えかたは全く同じですが、事故が起きたりしたときには、会社の責任がいずれにしても問われますので、就業規則に自家用車での承認などの規定をして置くなど、ここでの議論とは別の意味で、就業規則上、必要な規定を設けなければならないでしょう。
 
 ただし、乗客や物品の運送を本来の目的としている運送業の場合は、労働時間を管理し、それにより労働時間を計算することになるので、この「みなし規定」の対象にはなりません。
 
 (参考)安西愈著 全訂版労働基準法のポイント(厚友出版)
     同著   労働時間・休日・休暇の法律実務 



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出張の移動時間は、労働時間なの?(前回に続き、その2)

2012-01-19 05:22:27 | 社会保険労務士
 列車、バス等の移動時間は、労働拘束の程度が低く、実労働には当たらない!!
 
 前回(1/16月)の分で、一般的には出張の移動時間は、物品の監視等の別段の指示がある場合を除くほかは、基本的には労働時間として取り扱わないとしました。(休日労働の通達あり)

 これは、列車、バス等に乗っている時間は、拘束されている時間ではあるが、業務に従事していない休憩時間と類似の時間であり、労働時間ではないという理由でしたが、なかなかすっきりしない方も、いるのではないかと思います。
 これについては、安西愈氏は次のとおり述べておられます。(「労働基準法のポイント」厚有出版)
 
 この時間は、乗物から降りて自由に行動できないという、乗物等の「場所」に目的地まで拘束されている時間であるが、その到着までの間は乗客として眠っておろうが、飲食をしようが、読書をしようが全く自由で、その内容につき別段の指示がなされていない時間であるから、あたかも外出が制限された事業所内の休憩時間と同じなので、労働時間ではなく休憩時間に類似された時間と解するのが正当である。判例上も「移動時間は労働拘束の程度が低く、これが実労働に当たると解することは困難である。」(平6.9.27東京地裁判決、横河電気事件)・・・・・・したがって、この時間は労働時間に該当しないので、夜行列車で赴く出張を命じても深夜労働にはならず、休日に出張旅行をしても休日労働にはならない。(昭23.3.17基発第461号)



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休日の出張移動は、休日労働なの?!

2012-01-16 08:04:47 | 社会保険労務士
 一般的には、休日労働にはなりませんが、例外もあります!!

 1月14日(土)に LEC(東京リーガルマインド宮崎本校)で公務員志望者に対して、宮崎県庁OBとして、県職員の「勤めがい」(生きがい・やりがい+勤め)について話してきました。⇒LEC宮崎本校の「公務員フォーラム」
  そういえば、昔は、東京や大阪などに出張して、公民員試験をしていた時期がありました。試験日は日曜でして、移動の際の試験問題の管理は厳重にすることになりますが、その移動時間もこれって休日労働になるのでしょうか。(ただし、現在は県外での公務員試験の実施はないので、検討の必要はないのですが。)

 休日に関し、行政解釈は、「出張中の休日は、その日に旅行する等の場合であっても、旅行中における物品の監視等別段の指示がある場合の他は、休日労働として取り扱わなくても差し支えない。」とされています。

 したがって、出張の目的が物品の運搬であり旅行中その物品の監視をしなければならない場合や、持参する物品の監視等について使用者から特別の指示がなされている場合には休日労働になることになります。ただ、出張先において、必要な書類、用具等を携行する程度の行動は、労働時間に相当するものではないとしています。(労働法実務Q&A下Q128、労務行政研究所編)

 出張の移動自体は一般的には、漠然とした拘束時間であるが、業務に従事していない休憩時間と類似の時間であり、労働時間ではないとされています。出張の目的が会議等の出席であれば、会議の時間は労働時間でありますが、その他は自由ということなのでしょう。


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