真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「不倫旅行 一晩に三人と」(2004『小説家の情事2 不倫旅行』の2007年旧作改題版/製作・配給:新東宝映画/監督:深町章/脚本:河本晃/企画:福俵満/撮影:長谷川卓也/編集:酒井正次/助監督:佐藤吏/出演:若宮弥咲・里見瑤子・麻白・久保新二・岡田智宏)。
 執筆の山篭りと称して家を出る作家の浜野耕二(久保)に、不倫旅行を疑ふ妻・町子(若宮)が追ひ縋り、往来も憚らず長々と回す痴話喧嘩。案の定、駅―但しロケーション的には、到着先のJR東日本中央本線塩山駅―でアサミ(麻白)と落ち合つた浜野は、小娘に振り回されつつも一路温泉地を目指す。一方、御馴染み水上荘では、女将の多佳子(里見)がイケメン板前の健一(岡田)を喰ふ形の初濡れ場。結局至らないものの、多佳子の菊穴舐めに健一が生まれて来る生まれて来ると盛り上がるのは、一体何が生まれて来るといふのか。事後、庭を掃除する多佳子は宿を訪ねた旧知の浜野、ではなく連れのアサミを見た瞬間表情を一変。健一に一方的に仮病を言ひ包めると、客の相手も放棄し引つ込んでしまふ。部屋に入るなりヤリたい浜野をかはし、アサミはひとまづ一風呂。待ち惚けを喰はされた格好の浜野の携帯が、道子からの電話を着弾。無視を決め込み庭でも眺めてみた浜野は驚く、疑り深い町子が遥々押しかけて来てゐたのだ。文字通り、水上荘に役者は揃つた。
 これぞ終幕の魔術師の真骨頂、深町章2004年第一作。好色男が傍らの女房の目を掻い潜り、浮気相手と、あはよくば女将とも虻蜂取る情事を目論む。ひとつめの大技でふたつめの、伏線だけは先に蒔いたより大きな荒業を中和すると、マッタリモッサリした始終をジェット・ストリーム・アタックでそして誰もゐなくなつた結末に丸め込む。オーソドックスな攻防に終始し、フィニッシュは絶妙なクラッチ技で決まるベテラン同士のプロレス第三試合にも似た、工芸的な一品。鍵を握る妙手中の妙手は、浜野の描いた絵図には違(たが)へ、昼間の内にオッ始まる若宮弥咲V.S.岡田智宏戦。ところで浜野の丹前と浴衣は誰が何故隠したのか?フルチンでフラフラする久保チンの滑稽さに免じて、然様な瑣末はさて措くべきだ。
 備忘録< 元々百合を咲かせてゐた多佳子とアサミ、瓢箪から駒が出た町子と健一が各々出奔。久保チンは水上荘ひとりぼつちに


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