雑記帳

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東京帝大叡古教授

2015-05-19 21:00:00 | 

門井慶喜著"東京帝大叡古教授"を読みました。
明治38年の話です。
阿蘇藤太は熊本の五高から夏休みに帝大の叡古教授の助手として
上京してきました。
阿蘇藤太は叡古教授が初めて会った時に本名が知られるのは
まずいととっさにつけた名前です。
藤太は叡古教授との最初の待ち合わせ場所の図書館で高梨
教授が殺されているのを発見します。
犯人は叡古教授が親しくしている国民新聞の社主の徳富蘇峰が
見つけて連れてきました。
香具師をしているおはつという老婆です。
続いて鳥居久章教授、中倉金吾教授が毒殺されます。
鳥居殺害の犯人として夏目金之助、小説家の夏目漱石が犯人と
疑われます。
時は日露戦争が勝利で終わり交渉に入ったところです。
殺された人物たちは七博士のうちの三人です。
彼らは国民を扇動して戦争を開始させました。
勝利した今は敗戦国からの賠償金や領土の分割を求めて政府の
方針に反対し、それぐらいなら戦争をずっと続けろと論じて
います。
国民は彼らに賛同して暴動が起きています。

日本の近代の歴史を知らないなと感じました。
実在した政治家が登場してきます。
ここに書かれているようなことが実際に起こったのか
全くのフィクションなのかの判断がつきません。
では直近の自国の歴史のことを知れよということに
なりますが、どうにも億劫です。
どうしてなんでしょうか。
中学でも高校でも日本史の授業はあったのにどちらでも
近代史まではたどり着きませんでした。
これはそうするようにとの配慮があるのかと感じます。

政府のとった方針に国民が反発してデモや暴動が起こったと
いうのは本当のこととは思えません。
国は間違っていると言える人たちが当時いたとは思えないです。
結局この時は国のトップの方針は間違っていませんでした。
国を引っ張っていくトップのいうことに国民はだまって従えば
いいのだというみたいであまりすっきりした気分ではありません。
トップは絶対正しいわけではなく、間違うこともあります。
情報がきちんと開示されて、自分たちで考えられる社会であって
欲しいと願います。

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