雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

化身 アヴァターラ

2013-02-13 19:15:58 | 

愛川晶著"化身 アヴァターラ"を読みました。
人見操は両親を亡くしています。
大学一年で一人でアパートに住んでいます。
母は早くに亡くなり父は最近に交通事故で亡くなりました。
保障金や保険金などで大金を持っています。
星野秋子という裕福で明るい友人ができました。
操のもとへ写真が送られてくるようになりました。
保育園と思われる写真とインドの神話を描いた絵の
写真です。説明文はありません。
保育園の写真に植物が写っていました。
秋子のアドバイス植物に詳しいアウトドア研究会の先輩の
坂崎英雄の協力を求めることになりました。

坂崎は早々に保育園を探しだしてくれました。
保育園に行って彼らは二十年近く前に起きた園児の
誘拐事件を知ります。
両親が誘拐犯で自分が誘拐された子ではないかと
操は自分の出生に疑いを抱き始めます。

誘拐された時刻に向かいの家の中学生の息子が
保育園をずっと見ていました。
彼は誰も出入りしたものはいないと証言します。
しかし警察はそんなはずはないと無視しました。

操の両親がどのような生い立ちなのかぜんぜん聞いて
いません。
操は両親の過去を追い始めます。
何度も引越しを繰り返しています。
戸籍も何度となく移動しています。
操は夏休みに実家の塩竃に帰りました。
実家の隣家の夫婦は操を娘のように大切にしてくれます。
委任状を書き坂崎に戸籍を追いかけることを任せます。

保育園の誘拐事件があった時の保母をしていた人が
見つかります。
彼女が関係しているのだろうと話を聞きにいきます。
悪びれた様子はありません。
しかし彼女は水死してしまいます。
事故死と見られましたが実際は酔い潰して海に投げ
入れたのです。

少し前によく似た状況でもう一つの幼児誘拐が起きて
いたことがわかります。
それが両親の娘だったことを知ります。
彼女には一つ上の姉がいました。
失踪で死亡が確定しています。
彼女はこう考えます。
両親は娘を誘拐され、こんどは別の娘を誘拐して
自分たちの娘として戸籍をごまかしたのだと。

やがて両親の本当の娘だと名乗る女性と、操の本当の
父親だと名乗る男が操の前に現れます。

ここまで話が進んでくるとどういうことなのかと
見えてきます。
父の残した遺産を分けるように要求してきます。
操は気が動転してあっさりと通帳を渡してしまいます。

真実はあっと驚く意外なものでした。
両親は操を守るため涙ぐましい努力をしたのでした。

おもしろい話でした。
操が簡単に委任状や判をほとんど知らない坂崎に
預けてしまうので、ひょっとして坂崎は悪事を
企んでいる悪者ではないのかと怪しみました。
安易に人を信用して大切なものを渡してかなり
騙されやすい人だなぁと心配しました。

コメントを投稿