雑記帳

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風塵 風の市兵衛 上下

2017-07-11 13:11:45 | 

辻堂魁著"風塵 風の市兵衛 上下"を読みました。
市兵衛は元老中奥平純明に雇われます。
下屋敷に側室の露と息子の悠之進、娘の美帆と
暮らしています。
露は青い目をしています。ロシアの生まれです。
市兵衛の仕事は露と悠之進、美帆を守ることです。
元松前奉行配下の旗本の宮島が海外製の銃で
撃たれて死にました。
13年前にも蝦夷で厚岸会所の吉岡が同じように
銃で殺されています。
八王子千人同心の跡継ぎ以外の若者たちが
守りと開拓のために蝦夷へ送られました。
彼らは飢えと寒さ、病気で次々と倒れました。
幕府に助けを求めましたがまったく無視されました。

材木商の竹村屋雁右衛門は江戸と蝦夷を行き来して
商売をしていました。
奥平と竹村は海外との貿易をする必要を感じていました。
竹村は密貿易となるが蝦夷でロシアとの貿易を
開始しました。
しかし奥平は失脚させられ、竹村は罪を咎められます。

蝦夷で孤児になった露を竹村は引き取ります。
竜巻で船が壊された時に命を助けてくれたのが入植
していた生き残りの八王子千人同心たちです。

竹村は事故後、江戸に戻り露と夫婦となります。
江戸を追い払われた時に露は奥平に預けられ
その後側室となりました。

竹村は奥平を恨んでいます。
安宅猪史郎を頭とする八王子千人同心も恨んでいます。
彼らは手を組んで10年以上たっても恨みを晴らそうと
します。

奥平の大殿と息子の悠之進が馬で野駆けに行き
途中で安宅らに襲われました。
市兵衛の働きでこの時は助かりました。

安宅、竹村が諦めるとは思えず次の襲撃があることが
予想されます。
市兵衛は大殿と露に頼まれ竹村に伝言を伝えに
行きます。

今回は市兵衛が活躍する部分はそんなにありません。
蝦夷地の開拓に送り込まれた人々の悲惨な状況が
多く描かれています。
ばたばたと人が死んでいくのに状況を知ろうとも
しない役人たちは無知というか無謀というか。
この悔しさは何十年たっても忘れられないなぁと
共感できます。
わかるけどもっと別の生き方を考えてもいいの
ではとも思います。

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