年金暮し団塊世代のブログ

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フェルメール作品メモ(#08)  笑う女と役人

2008年04月09日 | フェルメール


Officer and a Laughing Girl  「笑う女と役人」
c.1658, oll on canvas,
The Frick Collection, New York, USA


消失点が2人の人物の中間にあり、2人の関係を示唆している。

シーンの情緒的なインパクトを補強する色/光/透視画法は、彼の全時代に渡る特徴である。 例えば、この絵では、鮮やかな赤と黄色の服装、窓の奥行きを極端に縮めた描画、女のストライプの入つた袖や地図に反射する光がきらめく効果で二人の人物の関係を増幅している。

殊に、この絵と「#15/手紙を読む青衣の女」 (1663-64)で描かれている地図は同じもので、1620年にBalthasar Florisz van Berckenrode が描いたHolland とWest Friesland の地図である。 この絵では、陸地と海面を色で区別した地勢図的な特徴を持っているが、「#15/手紙を読む青衣の女」では、サイズも大きくモノクロ風で地勢図的な特徴は少ない。
 この違いは、彼自身の描画スタイルの変遷と関連しているが、構図上の理由によって対象物の形状、サイズ、色を意図的に変更する彼の姿勢は、彼の全作品で常に見られる現象である。

フェルメールは「#09/牛乳を注ぐ女」 (1658-60)の前に同様なイメージの風俗画を描いている。 即ち、「#04/娼家にて」(1656)、「#05/開けた窓辺で手紙を読む少女」 (c.1657)、 「#06/居眠りをする女」 (c.1657)と、この絵である。
これらの絵は、空間に人物を注意深く配置することで、雰囲気やムードを創り出す方法を彼が示したものである。



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