ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [6月22日(金)~6月24日(日)]

2018-06-27 14:49:35 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
6月25日は朝鮮戦争が勃発した日(1950年)です。韓国ではこの日に合わせて国防意識を高める映画が公開されたりしたものです。「戦火の中へ」(2010年6月16日公開)とか、近くは「ノーザン・リミット・ライン 南北海戦」(2015年6月24日公開)とか。しかし、最近はそのような「クッポン映画」はこの時期の定番でもなくなってきたようです。まあ、このようなご時世だし・・・。今、朝鮮戦争関係では、トルコ映画の「アイラ」が6月21日公開されました。後述のように実話に即した感動物語です。主人公2人の名前で検索すると、関連のエピソードがわかります。

▸27日は桜木町のブルク13で韓国・朝鮮関係の映画を2つ観てきました。1つ目は「V.I.P.修羅の獣たち」。国家情報院とCIAの<企画脱北>で北朝鮮から来たVIPのキム・グァンイル(イ・ジョンソク)が連続殺人事件の有力な容疑者として浮上。警察官のチェ・イド(キム・ミョンミン)がグァンイルを追いますが、国家情報院の要員パク・ジェヒョク(チャン・ドンゴン)の保護によりグァンイルは幾度となく捜査線上から抜け出し・・・、というのが物語の骨格。中国の北朝鮮レストラン従業員たちの脱北が国情院による<企画脱北>では?と騒がれたのが2016年4月。(→関連過去記事。) 3月の南北会談でも再び問題になってましたね。この映画の韓国公開は17年8月ですが、この出来事が製作の契機になったのかも。しかし、ふつうの日本人は<企画脱北>と言っても意味不明だし、それ以前に事件の捜査権を警察と争っている<国家情報院>という組織って一体何なの?と思うのではないでしょうか? かつてのKCIA(韓国中央情報部)の後身で・・・と言えばわかる人は少し増えるでしょうが・・・。

▸ブルク13で観た2つ目は「焼肉ドラゴン」。関西の地方都市の朝鮮人集住地域にある焼肉店が舞台で、1969年春~71年という時代を反映して「造反有理」というセリフがチラッと出てきたり、大阪万博ネタも出てきます。鄭義信監督は→コチラのプロフィールによると「一家は姫路城の外堀の石垣の上で暮らしていた」とのことで、当時の自身の体験がこの作品に盛り込まれているようです。3人姉妹の弟が登場しますが、彼に当時の監督の姿が投影されていると思われます。

▸→コチラの記事によると、「焼肉ドラゴン」に文化庁が助成金を出していることに対して、「日本を貶める映画に日本人の税金出すな」という声が一部から上がっているようです。先の「万引き家族」に対する非難と同様、自分こそ日本人の代表!と思い込んでいる人がけっこういるのですね。しかし、映画に限らず文化事業に対する行政の姿勢は「金は出すが口は出さない」のが基本で、その逆だと文化全体が委縮するし、それ以前に憲法を否定することになってしまいます。こういう傾向が続くと日本がどんどんダメになっていきますよ。
    
「朝鮮日報」6月22日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。)

평생 멸시당하고 死後에 칭송받은 사진가
로버트 메이플소프는 남성 누드, 백인•흑인 누드 사진을 거침없이 찍었다. 바로 그 점 때문에 맹렬하게 비난받았으나 죽고 나선 열광의 대상이 됐다.

 《週末の劇場街》で紹介

   「メイプルソープ」




    終生蔑視され、死後に称賛された写真家

 [写真説明] ロバート・メイプルソープは男性ヌード、白人・黒人ヌードをはばかることなく撮った。まさしくそのことによって猛烈に非難されたが、死んでから熱狂の対象となった。

  「アイラ」
    信じられない戦争実話 ★★★



  「探偵:リターンズ」

    リズミカルに笑わせる ★★★



  「CUSTODY/カストディ」

    息詰まる衝撃のドラマ ★★★★



  「女子中学生A」

    調味料が無しの淡白さ ★★☆



  「ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~」

    適当に甘いがタイクツ ★★☆

 上記の作品についてはすべて先週または以下の記事の中で紹介しています。

         ★★★ NAVERの人気順位(6月26日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
          ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。

①(1) ダンガル きっと、つよくなる  9.60(1,491)
②(-) アイラ  9.53(381)
③(4) グレイテスト・ショーマン  9.37(12,848)
④(6) KING OF PRISM -PRIDE the HERO-(日本)  9.24(897)
⑤(5) ボムシェル:ヘディ・ラマー・ストーリー  9.24(85)
⑥(-) 犬ヶ島  9.17(295)
⑦(2) 機動戦士ガンダム THE ORIGIN 誕生 赤い彗星(日本)  9.17(36)
⑧(8) 霊魂の巡礼道  9.14(36)
⑨(-) TOMORROW パーマネントライフを探して  9.13(23)
⑩(-) ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~  9.10(656)

 ②⑥⑨⑩の4作品が今回の新登場です。
 ②「アイラ」と、⑩「ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~」については後述します。
 ⑥「犬ヶ島」は、ウェス・アンダーソンによる日本趣味満載のストップモーション・アニメ。韓国題は「개들의 섬」。日本では5月に公開されています。まだ観てない人にはぜひオススメ!
 ⑨「TOMORROW パーマネントライフを探して」は、フランスの女優メラニー・ロランと、彼女の友人のジャーナリスト/活動家のシリル・ディオンが監督を務めたドキュメンタリー。日本では2016年に公開されています。韓国題は「내일」です。

     【記者・評論家による順位】

①(1) 牯嶺街少年殺人事件[デジタルリマスター版]  9.00(6)
②(2) 顔たち、ところどころ  8.86(7)
③(3) エセルとアーネスト  7.75(4)
④(4) バーニング(韓国)  7.69(13)
⑤(5) 共同正犯(韓国)  7.67(9)
⑥(-) 犬ヶ島  7.50(10)
⑦(7) 瑞山[ソサン]開拓団(韓国)  7.50(2)
⑦(-) メイプルソープ  7.50(2)
⑨(-) CUSTODY/カストディ  7.40(10)
⑩(10) デトロイト  7.13(8)
⑩(10) 遺伝  7.13(8)

 ⑥、⑦「メイプルソープ」、⑨の3作品が新登場です。
 ⑥「犬ヶ島」については上述しました。
 ⑦「メイプルソープ」は、花や男性ヌード等のモノクロ写真が有名なアメリカの写真家ロバート・メイプルソープ(1946~89)についてのドキュメンタリー。彼の作品はいろいろと物議を醸し、日本でも彼の写真集が「わいせつ図画」にあたるかが問題とされたいわゆる「メイプルソープ事件」(→ウィキペディア)が長年にわたり法廷で争われたりもしました。近年彼への注目度が高まっているようで、昨年は銀座のシャネル等でも写真展が開かれました。(→コチラ参照。) 韓国題は「메이플쏘프」。日本公開は未定のようです。
 ⑨「CUSTODY/カストディ」(仮)は、2017年のベネチア国際映画祭で銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞したフランスのドラマ。英題の「CUSTODY」は「親権」の意。ブレッソン夫妻は離婚しましたが、ミリアム(レア・ドリュッケール)と、彼女の夫だったアントワーヌ(ドゥニ・メノーシェ)は11歳の息子ジュリアン(トマ・ジオリア)の親権をめぐって争っています。ミリアムの弁護士は彼女の独占的親権を主張します。アントワーヌは暴力的で、ジュリアンも父には会いたがらないと。一方アントワーヌの弁護士は、アントワーヌは優しくて寛大な人物と会社の同僚も認めていると、親権共有を主張します。その後審判が下されますが、3人の関係は以後も続き、緊迫した場面も・・・。その中で一体どちらの言い分が正しかったのか、観客にも徐々に見えてきます・・・。韓国題は「아직 끝나지 않았다」。日本公開は2019年1月。これはぜひ観たい・・・って、つい数日前まで横浜で開かれていた<フランス映画祭>の中で上映されていたとは、残念至極!

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績6月22日(金)~6月24日(日) ★★★

         クォン・サンウ&ソン・ドンイルのシリーズ第3作「探偵:リターンズ」が2週連続1位

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・探偵:リターンズ(韓国) ・・・・・・6/13 ・・・・・・・・・627,031・・・・・・・2,032,610・・・・・・・17,718 ・・・・・・・1,135
2(2)・・ジュラシック・ワールド/炎の王国・・6/06 ・・・・335,042・・・・・・・5,282,821・・・・・・・46,686・・・・・・・・・898
3(3)・・オーシャンズ8・・・・・・・・・・・・・・6/13 ・・・・・・・・・241,844・・・・・・・1,047,245・・・・・・・・9,318・・・・・・・・・679
4(2)・・督戦[トクジョン](韓国) ・・・・・・・5/22 ・・・・・・・・・・86,199・・・・・・・4,978,204・・・・・・・42,781・・・・・・・・・529
5(62)・・ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~・・6/21 ・・54,542・・・・・・・74,045 ・・・・・・・・・640・・・・・・・・・472
6(新)・・女子中学生A(韓国)・・・・・・・・・・6/20・・・・・・・・・・・41,531・・・・・・・・・64,364・・・・・・・・・・548・・・・・・・・・473
7(5)・・アイ・フィール・プリティ・・・・・・6/06 ・・・・・・・・・・17,847 ・・・・・・・・213,598 ・・・・・・・・1,899・・・・・・・・・129
8(58)・・アバター ・・・・・・・・・・・・・2009/12/17 ・・・・・・・・・・16,863・・・・・・13,325,055 ・・・・・・125,152・・・・・・・・・・68
9(新)・・アイラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/21 ・・・・・・・・・・15,771 ・・・・・・・・・23,671・・・・・・・・・・189・・・・・・・・・352
10(新)・・ユニコーン遠征隊・・・・・・・・・・6/21 ・・・・・・・・・・10,831 ・・・・・・・・・11,579・・・・・・・・・・・91・・・・・・・・・235
       :秘密のダイアリー
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回の新登場は5・6・8・9・10位の5作品です。
 5位「ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~」は、2006年の日本映画「タイヨウのうた」のハリウッド・リメイク作品。日本ではすでに5月公開されています。韓国題は「미드나잇 선」です。
 6位「女子中学生A」は、韓国のドラマ。趣味はゲーム、特技は物書きという女子中学生ミレ(キム・ファニ)が一番好きな場所はゲームの世界のワンダリングワールドです。怪物のようなパパもいなく、寂しい学校も行かなくてもいいその世界で、ミレは自分だけの世界を夢見て生きています。しかしある日、初めて現実の友だちとつきあおうと、勇気を出してテヤン(ユ・ジェサン)とペカプ(チョン・ダビン)に近づきますが、思わぬ事件によって傷つき、さらに萎縮てしまいます。その上、ワンダワールドまでサービスを中断するという知らせニュースが伝えられ、再び1人になってしまったミレは、オンライン上の友人ジェヒ(キム・ジュンミョン=EXOのスホ)に会いに行くのですが・・・。原題は「여중생A」です。
 8位「アバター」は、いうまでもなくあの世界的に大ヒットした2009年のアメリカ映画の再上映です。韓国題は「아바타」です。
 9位「アイラ」は、朝鮮戦争当時の実話に基づいたトルコ映画です。国連軍として参戦した国々は韓国を含めて22ヵ国。その中にトルコも含まれていることはどれほど知られているでしょうか? 数千人派遣された兵士の中にスレイマン軍曹がいました。彼はある日漆黒の闇の中で1人取り残された少女を発見します。戦争の中で親を失い、保護をする者もありません。この5歳の小さな少女がスレイマンの心をとらえます。彼は少女を軍の基地に連れて行きます。そして少女に、2人が出会った夜に浮かんでいた月に因んで、トルコ語で月の暈を意味するアイラという名前をつけます。アイラは、戦中のトルコ軍に思わぬ安らぎをもたらしたが、戦争は終わりるとスレイマンの所属部隊も変えることに。しかし彼はアイラを捨てることはできません。彼女を守るために自分の選択を敢行します・・・。韓国題は「아일라」。日本公開は未定のようです。
 10位「ユニコーン遠征隊:秘密のダイアリー」は、インドのアニメ。世界各地を歩き回って神秘的な宝物を見つけたりした偉大な探検家チャールズは<伝説のユニコーン>を探しに旅立った後、行方不明になってしまいました。お父さんのチャールズを見つけるため、お父さんの友人であり天才博士のジョーンズと出会ったメロディーとモーの兄妹は、お父さんが残した謎を解いて興味津々の冒険を開始するのですが・・・。韓国題は「유니콘 원정대: 비밀의 다이어리」。日本公開はなさそうかな・・・。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・・上映館数
1(35)・・ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~・・6/21 ・・54,542 ・・・・・・・・・74,045・・・・・・・・・・640・・・・・・・・・472
2(新)・・アイラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/21・・・・・・・・・・・15,771 ・・・・・・・・・23,671・・・・・・・・・・189・・・・・・・・・352
3(11)・・アイ・キャン・オンリー・イマジン・・6/21・・・・・・・・・・7,000 ・・・・・・・・・12,532・・・・・・・・・・107・・・・・・・・・148
4(1)・・劇場版ポケットモンスター・・・・・・6/06・・・・・・・・・・・・5,443 ・・・・・・・・180,299 ・・・・・・・・1,365・・・・・・・・・104
       ダイヤモンド&パール ディアルガVSパルキアVSダークライ(日本)
5(3)・・顔たち、ところどころ・・・・・・・・・・・6/14・・・・・・・・・・・・3,032 ・・・・・・・・・12,317・・・・・・・・・・103・・・・・・・・・・47

 1~3位の3作品が新登場ですが、1位「ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~」、2位「アイラ」については上述しました。。
 3位「アイ・キャン・オンリー・イマジン」は、今世紀初頭「I Can Only Imagine」という大ヒット曲を出したアメリカの伝説的なバンドMercy Meのリードボーカル、バート・ミラードの人生と歌の誕生に秘められたされた実話に基づくドラマ。あ、基本的に<キリスト教の映画>といった方がよさそうです。若い頃からバートの悩みの種だったのはアルコール中毒だった父親アーサーでした。音楽好きなバートが自分で創作した曲を全て捨てられたり等々。バートが高校の頃アーサーは脳腫瘍で入院しますが、卒業後バートはギターを持ってテキサスを去ります。その後アーサーは亡くなりますが、その前に彼は聖書を読み、良いクリスチャンとなるために変わろうとしていました。父の葬儀の後、バートがツアー中に思い浮かんだ曲が「I Can Only Imagine」でした・・・。韓国題は「아이 캔 온리 이매진」です。
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尹東柱の<聖地探訪>① 宇治川に懸かる天ヶ瀬吊り橋で撮られた写真をめぐる物語

2018-06-24 19:06:55 | 韓国・朝鮮と日本の間のいろいろ
     

 3月8~10日に京都に行ってからもう3ヵ月以上経ちました。
 旅の第1目的は9日の大阪アジアン映画祭で韓国映画「朴烈 植民地からのアナキスト」を観ること、2番目は京都鉄道博物館の見学でした。残りの時間でどこか行ける所は?と考えて、思い出したのが昨年10月、尹東柱の記念碑が宇治川の新白虹(はっこう)橋のたもとに設置され、除幕式が行われたという毎日新聞の記事でした。(→コチラ。)
 また、除幕式の3日前の聯合ニュースの記事(→コチラ)には、記念碑設置の機縁となった1枚の写真が載ってします。それが上左の画像。 記事にあるように、宇治川の天ヶ瀬吊り橋で1943年初夏に撮った尹東柱(前列左から2人目)の生前最後の写真です。そして右の画像は、今回私ヌルボが撮った写真です。

 9日午前10時30分頃JR宇治駅に降り立った私ヌルボ、案内所で訊くと。吊り橋まで「歩くと50分くらいかかりますよ」とのことだったので、タクシーで新白虹橋まで行きました。そこに建てられた記念碑のことはいずれ書くことにして、約300m川の下手(西)にある天ヶ瀬吊り橋のことについてまず書くことにします。
 長さ50mを超えるこの吊り橋ができたのは1942年。翌43年に尹東柱たち同志社大学文学部英文学科の学生10人がここにピクニックにやって来たのも、平等院から遠くない所の、できて間もない観光スポットとして注目したからかもしれません。
 私ヌルボ、現地を訪れるまでの予備知識といえば、上述の新聞記事だけでした。したがって、行ってみて初めて知ったこと、その後本を読んだりして知ったことがたくさんあります。

 その「行ってみて初めて知ったこと」とは、この現在の吊り橋は1943年当時のものとは違うということです。戦後1953年9月、台風13号は宇治川の堤防を壊し、多くの被害をもたらしましたが、その時に1度流失。その後架けられた橋は老朽化のため1998年に改修され、今に至るとのことです。上の2枚の写真を比べると、吊り橋のワイヤーロープや背後の山の稜線から、同じ橋のように思ってしまいますね。

    
 橋のたもとには<東海自然歩道>という標柱がありました。(左画像。) また、下流方向に少し行ってふり返ると、吊り橋の向こうに白虹橋が見えます。(右画像。)

 そして、「その後本を読んだりして知ったこと」は、この学生たちの写真の来歴と、写真が撮られた前後の尹東柱のことです。
 この写真については、最初、尹東柱の評伝の決定版というべき宋友恵「空と風と星の詩人尹東柱評伝」(藤原書店.2009)に書かれているだろうと思って図書館で見てみたら全然記述なし。載っていたのは多胡吉郎「生命の詩人・尹東柱」(影書房.2017)でした。
 多胡さんは1995年当時NHKのディレクターとして韓国のKBSと共同でNHKスペシャル「空と風と星と詩 尹東柱・日本統治下の青春と死」と題した番組を制作しました。この本は、その時の取材記録にその後知り得た情報を加え、昨2017年2月刊行されました。(その翌月神保町のチェッコリで多胡さんのトークイベントがあったことは今知りました。残念。)
 さて、その番組制作に際して、多胡さんは1994年の春~初夏、尹東柱と同時期に立教大学(1942年4~10月)と同志社大学(42年10月~43年7月)に在学していた可能性のある人たちに卒業者名簿をたよりに片っ端から電話をかけていったのだそうです。
 平沼東柱(ひらぬまとうちゅう)を知りませんか? 朝鮮からの留学生、平沼さんを憶えていらっしゃいませんか?」 ※日本留学に際し必須とされたため、尹東柱は(留学の2年前に)尹氏一門が創氏改名で決めていた「平沼」という姓を日本で用いていた。
 ・・・という質問に「記憶がない」「知らない」という返事ばかり続く中、「平沼さんですね。はい、覚えています。朝鮮から来ていた平沼さんのこと」という声が返ってきたとは! 尹東柱と同じ同志社大の英語英文科にいたMさん(京都在住)で、彼女からは今も親交が続いている同窓のKさん(北鎌倉在住)の消息も得ることができ、その後「平沼さんについてよく覚えている」というお二方を訪問取材したとのことです。
 お二方とも、朝鮮からの留学生であることはわかってはいたが、尹東柱(ユン・ドンジュ)という本名はおろか、戦後の韓国で国民的詩人になっていることは「まるで知らなかった」そうです。
 現在でも尹東柱を知っている日本人は100人中5人もいないでしょう。いや、1人いるでしょうか? 番組放映時の1994年だとなおさら・・・。(この番組はNHKスベシャル中歴代下から2番目の低視聴率だったとか・・・。)
 そして、このKさんの自宅にあった古いアルバムから出てきたのが冒頭の天ヶ瀬吊り橋で撮った写真だったのです。尹東柱の右隣がMさんで、その右がKさん。当初はお二人とも撮った場所の記憶はなかったそうですが、番組終了後の調べで天ヶ瀬吊り橋とわかり、Mさんも現地に行ったりしているうちに記憶が次第に蘇ってきます。つまり、その日は英語英文科の学生たちの1日遠足で、宇治駅→平等院と歩き、さらに吊り橋まで行って河原で飯盒炊爨をしたそうです。
 で、この遠足の目的というのが「故郷に帰ることを決めた「平沼さん」の送別」だったとのこと。「だからいつもは控えめな尹東柱が写真の中央に写っているわけなのだ」というのは多胡さんのナットクの解釈です。
 Kさんの記憶によると、東柱は昼食の後級友たちから請われるままに河原で「アリラン」を朝鮮語で歌ったといいます。
 この1日遠足の時期を、多胡さんは服装等から「おそらく5月から6月のことだった」と推定しています。
 この時、故郷(「満州国」北間島の龍井)に帰ることを決めていた東柱ですが、約1ヵ月後の7月14日逮捕・拘禁されます。帰郷のため用意していた切符は使われることなく、朝鮮まで一緒に帰省する約束をしていた同じ同志社大の留学生張聖彦さんは1人で帰ることになります。
 44年3月京都地裁で治安維持法違反により懲役2年の刑を言い渡された東柱は福岡刑務所に送られ、45年2月16日獄中で死亡します。
 このようなその後の奈落に落ちるような人生の暗転を思うと、この写真が撮られたピクニックの1日は彼にとってほとんど最後の楽しい思い出だったかもしれません。
 それはこの写真に写っている他の学生たちも同様で、Mさんの家に残る男子学生の学徒出陣に際しての寄せ書きの中には、宇治へのピクニックがいかに楽しかったかを回想する文章もつづられているそうです。

 多胡吉郎さんの絨毯爆撃的な電話取材作戦がほとんど奇跡的に功を奏して、上述のように尹東柱についての新情報が得られるとともに、MさんとKさんにとっても人生に新たな「物語」が加わり、またそのゆかりで宇治市に詩碑が建てられてより多くの人に尹東柱のことが知られていくというこの20年余の経緯が、この<聖地探訪>を経ていろいろわかりました。

 「生命の詩人・尹東柱」という本は、この写真の件以外にも、尹東柱の人生や作品等の中の「謎」について、実に細かなところまで独断を排して実証的に探求し、多くの関係者に会って話を訊いたりして真実に迫っています。ちょうど推理小説を読むような感じで引き込まれます
 この本は今年5月韓国でも翻訳書「생명의 시인 윤동주」が刊行され、新聞等で紹介記事も書かれました。・・・が、読者の反応は必ずしも良いとはいえません。というのは、代表的作品「序詩」の解釈や、福岡刑務所での死因をめぐって等の論点ゆえなのですが、それについてはまたいずれ・・・。
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[韓国]北朝鮮修学旅行を実現させたい人たちがいる! ▸▸▸ 実は10年以上前に行われていた金剛山修学旅行

2018-06-23 15:25:47 | 韓国の時事関係(政治・経済・社会等)
 南北首脳会談・米朝首脳会談に対する韓国の大方の人たちの好意的な受け止め方は、日本あるいはアメリカ等とずいぶん隔たりがあるようです。とくに南北統一に対する大きな期待感については「そんなに先走っちゃっていいの?」と思わざるをません。

 4月27日の南北首脳会談の前の4月1日、韓国メディア<ニューデイリー>の「“北朝鮮に生徒たちを修学旅行で送ろう”という全教組、生徒の安全は心配しないのか」という記事を読みました。(→コチラ.韓国語)
 ※<ニューデイリー>は、朝鮮日報・中央日報・東亜日報以上に保守的なニューライト紙と見られているようです。
 記事の要点は以下の通りです。
 光州広域市教育庁が「北朝鮮への修学旅行を許可」を首脳会談の議題にしてほしいという提案をした
 ②3月28日、(進歩系教組の)全教組光州支部がこれを積極的歓迎する声明を発表した。声明には統一教材の開発、6.15公開授業の推進などの計画も含まれている。なお全教組関係者は北朝鮮修学旅行のための青瓦台(大統領府)の国民請願運動も展開していく予定と付け加えた。
 ③このような光州教育庁の提案と全教組の歓迎声明に対して、脱北者の証言等を通じて伝えられる北朝鮮の現状を考えると安全面に不安があり、また修学旅行が北朝鮮政権の広報手段に変質されることがあるという批判もある。(保守系教組の)韓国教総は、生徒の北朝鮮修学旅行に対して「慎重なアプローチ」を求めている。


 この青瓦台への国民請願については後述するとして、もう1つ北朝鮮修学旅行に対する批判記事を紹介します。「北朝鮮修学旅行に行くのなら遺言状を書いていけ」という強い見出しの<ペン・アンド・マイク>(←これも保守系メディア)の記事です。(→コチラ.韓国語)
 この記事も、北朝鮮で拘束され、2017年6月に昏睡状態で帰国した後死亡したオットー・ワームビアさんを例にしつつ安全性に疑問を投げかけ、北朝鮮修学旅行を提案しているチャン・フィグク光州市教育監やチョ・ヒヨンソウル市教育監を批判しています。
 が、私ヌルボがとくに注目したのは、この記事の冒頭でイ・スルギ記者が高校生の時に北朝鮮修学旅行に行ったという経験を書いているからです。以下、その部分を訳出してみました。

 ふり返ってみると、ぞっとする。高校生だった2006年、何も知らずに全校生徒が一緒に出かけた北朝鮮修学旅行の話だ。分断の休戦ラインを越えると、空気までもガラッと変わった当時の記憶は鮮明である。金剛山の切り立った断崖の上に真っ赤な文字で刻まれた金正日称賛フレーズを見て愕然とし、金正日記念碑に足が触れたら怒鳴りつけた北朝鮮案内員の目を見て恐怖を感じた。まるで動物のように「調練」されたような感じがした北朝鮮曲芸団の公演を見るとなぜか悲しかった。
 金正日‧金日成の名前を絶対口にしないこと。許可されていない場所では絶対写真を撮らないこと。恐ろしい表情の北朝鮮案内員は私たちに警告した。修学旅行という事実に浮かれて分別を失っていた私と友人たちは、最善を尽くして案内員の言葉に従った。警告に反した場合、何が起こるかわからないが、彼らの脅しが尋常ではなかったからである。そして彼らの言葉が本気だったことを、昨年死亡したアメリカ人の学生オットー・ワームビアを見て遅まきながら確認した。


 ※金剛山の崖に刻まれた金日成等を称揚する字句については、以前→<アンドレイ・ランコフ「民衆の北朝鮮」を読む ②北朝鮮の景勝地に刻まれた数万(?)の悲しい文字>という記事で書きました。
  また、右画像は韓国サイトから拾ったものです。崖に刻まれている赤い字は、金日成の父・金亨稷(キム・ヒョンジク)を称える詩句です。
 1998年に始まった金剛山観光は韓国人観光客の1人が北朝鮮兵に射殺された2008年まで続き、多くの韓国人観光客が北朝鮮を訪れました。(05年に100万人を超える。) しかし、そこに中学・高校の修学旅行も含まれていたことは、上記の記事を読むまで知りませんでした。
 そこで、この記事以外の金剛山修学旅行体験者の記事をいくつか拾ってみました。

コチラのツイートから。

 高校時代、修学旅行で金剛山に行ったが、その時見た北朝鮮がすごく衝撃的で忘れられない。ガリガリにやせてあばら骨がすっかり見える牛がなんとか足を踏み出していたり、またトラクターの後ろで燃料を入れながら真っ黒な煙を吸い込んでいる人や100mくらいかの間隔で立っている銃を持った軍人たちの疲れた顔もみんな憶えている。

ヤン・ホジョン(양호정)という新鋭画家の紹介ページ。(→コチラ。) 以下はその一部分です。

 Q.<the north>シリーズは北朝鮮を主題にしていますが、理由や契機はあるのですか?
 A.私が高校生の時、修学旅行で北朝鮮に行って来たのですが、私たちとは完全に違った世界だということを経験しました。大変な苦労して生活している北朝鮮の住民たちの姿を目撃して、ニュースでは政治的な話題たけ取りあげて偏見を持たせるのが嫌でした。それで北朝鮮の実像と日常を知らせようと制作したシリーズです。


2008年高校の修学旅行で金剛山に行った時の写真を主としたブログ記事。→コチラ6月4日金剛山の九龍瀑布等と、曲芸団公演。→コチラは、翌5日海金剛と、簡易宿泊所の写真を載せています。北朝鮮の感想や考えたことがほとんど書かれていないのが残念。

 私ヌルボが常々疑問に思っているのは、韓国の進歩系の人たちが思い描いている北朝鮮のイメージがどんなものか?ということ。
 もしかして、「同じ民族同士」の感動的な交歓を期待しているのでしょうか?
 しかし、上記の感想を読むと感動というよりも衝撃を受けたとのこと。ずいぶん前のことですが、1991年訪朝した私ヌルボも同様でした。農村地帯の夕暮れ、やせた牛を牽いて歩く粗末な服を着た少年の姿が思い出されます。(1世紀も前の光景のようでした。) ただ、同じ旅行団で行った青年は北朝鮮から出国した後「別に変じゃない、ふつうの国だったでしょ?」と訊いてきましたが。(ヌルボともう1人は無言・・・。)

 さて、この北朝鮮修学旅行に対する私ヌルボの意見は・・・、(って完全に部外者ですが)ワームビアさんのように拘束されたり、2006年のようにいきなり射殺されたりされないという安全保証があれば金剛山に限らず北朝鮮のどこであろうと直接行って見てみることは非常に有意義だと思います。「衝撃」とともに新しい認識を得て、いろいろ考える契機になるはずです。ヘタしたら偏見につながるおそれもあるかもしれませんが。
 しかし、多くの北朝鮮ウォッチャーが指摘するように、北の政権にとって、韓国との交流が深まって外部の情報が大量に入って来ることは体制の崩壊を招く危険性があります。韓国の(とくに進歩系の)人たちはそこらへんのことがわかっているのでしょうか?
 したがって、開放を向かって進むような修学旅行を北朝鮮側が喜んで受け入れるとは思えませんけど。一部の人たちは北朝鮮の生徒たちも韓国に呼んで各地を案内して等々と考えているみたいですが、どこまで現実性を考慮しているのか疑問を抱かざるをえません。まあ、近年は北朝鮮でも多くの人たちがDVDで韓国ドラマを観たりして、韓国が自国よりはるかに進んでいることは周知のこととなっているようなので、開放政策に転換しても「我々はだまされていた!」という衝撃は少ないかもしれませんが・・・。
 そんなわけで、北の政権にしてみれば、韓国の進歩系の<南北交流>を求める熱いキモチは「ありがた迷惑」で「うざったい」のではないでしょうか? で、結局は(今年に入ってからのモロモロのように)そんなキモチを利用できる時は利用するといったところですかねー。

 最後に、上述の青瓦台への国民請願運動のその後について。
 <南北青少年 統一列車に乗って修学旅行に行こう!>という請願(→コチラ.韓国語)は、4月10日スタートして1ヵ月間の賛同者は981人でした。数多くの「泡沫」請願のことを考えればかなり多い数字ですが、何らかの回答が得られる基準ラインの20万人には遠く及びませんでした。
 逆に、5月30日スタートで現在進行中の<ソウル教育監候補チョ・ヒヨンの"北朝鮮修学旅行"の公約を撤回させてください。>という請願(→コチラ)は現在の賛同者が1,469人と、修学旅行推進派を上回っています。進歩性向の人でも実際に中高生の親となると二の足を踏む人がおそらくふつうなんでしょうね。
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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [6月15日(金)~6月17日(日)]

2018-06-20 11:00:57 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸6月15日(金)、池袋の新文芸座に行ってきました。けっこう観に行ってた旧文芸座の閉館は97年。そして新文芸座ができたのは00年。もうそんなに経つのですね・・・。ところが私ヌルボ、新文芸座は今回が初めて。これまでは観たい映画は新文芸座にかかる前に他で観ていたので・・・。建物は当然一新していますが、客層やフンイキはちゃんと受け継がれていると思いました。翌16日からは<梶芽衣子映画祭>(28日まで)が組まれていて本人もいらっしゃるし、29日(限定上映)には<緊急上映 追悼・西城秀樹>があるし、とヌルボのような昭和の人間にはホッとするような懐かしさを感じさせる空間です。

▸その新文芸座で観たのは、あやうく見逃すところだった韓国映画「悪女/AKUJO」。前々週の「犯罪都市」に続いて、これも中国朝鮮族がらみの犯罪アクション「ミッドナイト・ランナー(青年警察)」公開に際して抗議の声を上げた中国朝鮮族の気持ちがわかります。(→コチラ。) この2作品の他にもいろいろあるし・・・。※「哀しき獣」(2010)「共謀者」(2012)「新世界」(2013)「海にかかる霧」(2014)「コインロッカーの女」(2015)「女は冷たい嘘をつく」(2016)と、こんなにたくさん!

▸で、ふと思ったのは、近年池袋西口の北方面がチャイナタウン化しつつあるということ。ということでその辺りを周ってみました。案の定、中国食堂といっても東北地方のものが多く、<延辺>の文字が入った朝鮮族系の店も相当数あるようです。
       
【中国東北料理の専門店(左)。中国マーケットの草分け・陽光城(中)の店頭にはチマキ等と共に韓国のチャメも。】

▸18日はヒューマントラストシネマ有楽町で「夜の浜辺でひとり」を鑑賞。いつものホン・サンス監督作品に新しい要素も加わったような・・・。主演のキム・ミニと監督との間の不倫騒動にもふれられているのが興味深いところ(笑)。
    
「朝鮮日報」6月15日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。)

권상우+성동일=포복절도
강대만(왼쪽)과 노태수는 경찰이 해결하지 못한 사건을 풀어보려 하지만 일은 계속 꼬여만 간다.

 《週末の劇場街》で紹介

  「探偵:リターンズ」



   クォン・サンウ+ソン・ドンイル=抱腹絶倒

 [写真説明] カン・デマン(左)とノ・テスは解決できない事件を解こうとするが、コトはもつれていくばかりだ。

 「オーシャンズ8」
   上ネタで作る微妙な味 ★★☆


 「遺伝」

   どの面でも格別な恐怖 ★★★☆


 「Ryuichi Sakamoto: CODA」

   目と耳が洗われるよう ★★★

 上記の作品については先週または以下の記事の中で紹介しています。

         ★★★ NAVERの人気順位(6月19日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
          ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。

①(1) ダンガル きっと、つよくなる  9.61(1,463)
②(-) 機動戦士ガンダム THE ORIGIN 誕生 赤い彗星(日本)  9.39(31)
③(4) バナナソングの奇跡(韓国)  9.38(60)
④(3) グレイテスト・ショーマン  9.37(12,823)
⑤(2) ボムシェル:ヘディ・ラマー・ストーリー  9.35(55)
⑥(6) KING OF PRISM -PRIDE the HERO-(日本)  9.24(895)
⑦(7) ゴッホ~最期の手紙~  9.20(5,218)
⑧(-) 霊魂の巡礼道  9.11(35)
⑨(5) 映画しまじろう まほうのしまの だいぼうけん(日本)  9.07(101)
⑩(10) アイ・フィール・プリティ  9.06(1,576)

 ②「機動戦士ガンダム THE ORIGIN 誕生 赤い彗星」だけが今回の新登場です。「機動戦士ガンダム」のTV放映開始が1979年。顧みれば当時の同僚が「早く帰ってTV見なくちゃ」と気もそぞろでした。彼より5、6歳ばかり年上だった私ヌルボはすでにそうしたコンテンツに関心が向かなくなっていて、現在もその延長線上にあります。ということでコメントなし、です。韓国題は「동전사 건담 디 오리진Ⅵ: 탄생 붉은 혜성」です。

     【記者・評論家による順位】

①(-) 牯嶺街少年殺人事件[デジタルリマスター版]  9.00(6)
②(-) 顔たち、ところどころ  8.86(7)
③(3) エセルとアーネスト  7.75(4)
④(4) バーニング(韓国)  7.69(13)
⑤(5) 共同正犯(韓国)  7.67(9)
⑥(6) ゴッホ~最期の手紙~  7.50(8)
⑦(7) 瑞山[ソサン]開拓団(韓国)  7.50(2)
⑧(8) ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー  7.29(7)
⑨(9) 七月と安生  7.17(6)
⑩(10) デトロイト  7.13(8)
⑩(10) 遺伝  7.13(8)

 ②「顔たち、ところどころ」だけが今回の新登場です。この作品については後述します。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績6月15日(金)~6月17日(日) ★★★

         韓国の犯罪コメディ第3作「探偵:リターンズ」が1位に

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・・上映館数
1(18)・・探偵:リターンズ(韓国) ・・・・・6/13 ・・・・・・・・・686,805・・・・・・・1,030,204・・・・・・・・9,052 ・・・・・・・1,040
2(1)・・ジュラシック・ワールド/炎の王国・・6/06 ・・・・667,617・・・・・・・4,752,807・・・・・・・42,116 ・・・・・・・1,230
3(20)・・オーシャンズ8・・・・・・・・・・・・・6/13 ・・・・・・・・・355,082 ・・・・・・・・620,953・・・・・・・・5,593・・・・・・・・・821
4(2)・・督戦[トクジョン](韓国) ・・・・・・・5/22 ・・・・・・・・・126,707・・・・・・・4,826,917・・・・・・・41,466・・・・・・・・・567
5(4)・・アイ・フィール・プリティ・・・・・・6/06 ・・・・・・・・・・27,189 ・・・・・・・・179,501・・・・・・・・1,598・・・・・・・・・168
6(3)・・遺伝・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/07 ・・・・・・・・・・17,956 ・・・・・・・・148,312・・・・・・・・1,309・・・・・・・・・135
7(5)・・ポケットモンスター・・・・・・・・・・6/06 ・・・・・・・・・・17,870 ・・・・・・・・173,455・・・・・・・・1,312・・・・・・・・・326
       ダイヤモンド&パール ディアルガVSパルキアVSダークライ(日本)
8(新)・・鉄くずの騎士 ラスティの物語2・・6/13・・・・・・・・5,582 ・・・・・・・・・12,396・・・・・・・・・・・95・・・・・・・・・226
9(6)・・デッドプール2・・・・・・・・・・・・・・・5/16 ・・・・・・・・・・・5,576・・・・・・・3,777,732 ・・・・・・・34,125・・・・・・・・・・63
10(59)・・顔たち、ところどころ・・・・・・・6/14 ・・・・・・・・・・・4,338 ・・・・・・・・・・5,966・・・・・・・・・・・50・・・・・・・・・・53
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回の新登場は1・3・8・10位の4作品です。
 1位「探偵:リターンズ」は、2015年の「探偵:ザ・ビギニング」で歴代級未解決事件(?)を解決した推理コンビ、漫画喫茶マスターのカン・デマン(クォン・サンウ)と広域捜査隊出身の刑事ノ・テス(ソン・ドンイル)がいよいよ探偵事務所を開業し、元サイバー捜査隊のエース、キリギリス(イ・グァンス)まで迎え入れて探偵としての第一歩を踏み出します。しかし、夢と現実は大違い。待っていても事件はなく、生活費が心配で、警察署を訪ねてこっそり営業を操業開始します。そして、いよいよ待った末にやって来た最初の依頼人。成功報酬はなんと5万ウォン! 自信満々で事件を引き受けた3人ですが、疑わしい証拠が続くうち、混乱に陥り始めます・・・。原題は「탐정: 리턴즈」です。
 3位「オーシャンズ8」はアメリカのクライムアクションで、「オーシャンと十一人の仲間」(1960)のリメイクの「オーシャンズ11」(2011)の、後続作品の1つ。オリジナルは刑期を終えた切れ者の窃盗犯ダニー・オーシャンが犯罪のプロ10人を集めて・・・という話だったのが、本作では元恋人の裏切りで5年間刑務所で暮らしていたダニーの妹デビー・オーシャン(サンドラ・ブロック)が、仮釈放されるとすぐ頼もしい仲間のルー(ケイト・ブランシェット)と一緒に総勢8人の仲間で新しい作戦を計画する、というもの。この8人、皆女性です! (いやー、犯罪組織の分野でも女性の進出が著しいってことか。) 韓国題「오션스8」。日本公開は8月10日です。
 8位「鉄くずの騎士 ラスティの物語2」はドイツのアニメ。すべてが鉄くずでできた魔法の王国スクラップランドの城で、ドラゴンのコールや少女ボーと暮らす鉄くずの騎士ラスティは、臆病なお調子者ですが、明るくて温かい心の持ち主。2012年の前作に続く本作は、ぜいたくしか知らないマグネシア姫のためにスクラップランドがピンチに陥るところから物語がはじまります。しかも、とんでもないことに、すべてが騎士団のせいになって、騎士団は存廃の危機に。苦境に陥ったラスティですが、ある日偶然に地下室で子供の幽霊に会い、貴重な情報を得ることに・・・。韓国題は「토니스토리2:고철왕국의 친구들」。韓国では前作も劇場公開されましたが、日本ではDVDだけだったので、今回も?
 10位「顔たち、ところどころ」は、「5時から7時までのクレオ」(1961)や「幸福」(1965)等で知られる先駆的な女性監督アニエス・ヴァルダ(90歳)と、54歳年下のストリートアーティストJR(ジェイアール)がフランスの田舎を旅しながら、村の人たちと接しながら、作品を一緒に作り残していくというロード・ムービースタイルのドキュメンタリー。カンヌ映画祭で最優秀ドキュメンタリーに贈られるルイユ・ドールに輝いた作品です。韓国題は「바르다가 사랑한 얼굴들」。日本公開は9月ですが、おりしも明日から横浜みなとみらいで開かれる<フランス映画祭 2018>(6/21~24)(→コチラ参照)の中で上映されます。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・劇場版ポケットモンスター・・・・・・6/06・・・・・・・・・・17,870・・・・・・・・・・・173,455 ・・・・・・・・・1,312・・・・・・・・・326
       ダイヤモンド&パール ディアルガVSパルキアVSダークライ(日本)
2(新)・・Ryuichi Sakamoto: CODA(日本)・・6/14・・・・・・・・・・・3,261・・・・・・・・・・・・・5,469・・・・・・・・・・・・49・・・・・・・・・・47
3(4)・・ボムシェル:ヘディ・ラマー・ストーリー・・6/07・・・1,816・・・・・・・・・・・・・6,626・・・・・・・・・・・・53・・・・・・・・・・34
4(新)・・ザ・ペンション(韓国) ・・・・・・・・・・6/21・・・・・・・・・・・1,131・・・・・・・・・・・・・1,131・・・・・・・・・・・・11・・・・・・・・・・・6
5(30)・・オーケストラ・クラス・・・・・・・・・・6/14・・・・・・・・・・・1,006・・・・・・・・・・・・・1,604・・・・・・・・・・・・13・・・・・・・・・・39

 2・4・5位の3作品が新登場です。
 2位「Ryuichi Sakamoto: CODA」は、坂本龍一の楽曲制作現場や多様な活動等を撮りつつ、彼の音楽の原点を探ったドキュメンタリー。日本では昨年11月に公開されました。韓国題は「류이치 사카모토: 코다」です。
 4位「ザ・ペンション」は、韓国のドラマ。誰にでも特別な記憶と物語がある空間、ベッド。あるペンションを訪れた主人公たちが、さまざまな事情の見知らぬ人物と会い、そこのベッドで経験される4つの物語をオムニバス形式で描いた作品。原題は「더 펜션」です。
 5位「オーケストラ・クラス」は、フランスのドラマ。日々の生活の中で腕が鈍り、演奏の楽しさを失ったバイオリニストのシモン(カド・メラッド)はステージを離れて、パリ19区にある小さな小学校で音楽教育プログラムの講師として子供たちを教えることになります。ところが、わずか30秒でさえも集中できない子供たちを前に自信喪失。コントロール不能とあきらめかけていたそんなある日、こっそり授業を覗き見ていた生徒アーノルド(アルフレッド・ルネリー)と出会ったシモンは、彼に卓越した才能を認め、これまで感じられなかった新たな希望を見出します。そして、無茶苦茶だった子供たちも音楽を通じて変わり始めます・・・。韓国題は「라 멜로디」。日本公開は8月18日です。
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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [6月8日(金)~6月10日(日)]

2018-06-13 15:53:29 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸やっぱりウェス・アンダーソン監督に期待を裏切られることはありませんでした。9日に観た「犬ヶ島」のことです。まだ上半期も終わってませんが、今年のベスト5に入るかも。同じ日本趣味のストップモーションアニメの佳作「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」よりもさらに手間暇かけて作った感じで、物語も深みがあります。しかし一番の魅力はアートっぽい映像それ自体。あの北斎の「神奈川沖浪裏」のパロディ画で船を漕いでいるのが犬たちだったり等、細部が楽しい。何回も観ればその都度新しい発見がありそうです。
 ※韓国公開は6月21日。メイン予告編は→コチラ。日本版を観てない人も見てみてください。

▸例の是枝裕和監督のパルムドール受賞作品「万引き家族」を観てきました。いろいろ考えさせられる映画です。これを観て「反日だ!」と言う人が10人中、いや100人中何人いるでしょうか? それどころか観ないで言っちゃうとは、唖然。それも自分の名前を出してウェブ上で堂々と公表する人なんぞは、自分の恥ずかしさに気づいていないという点で二重に恥ずかしいです。あの「セクハラ罪という罪はない」という発言(&閣議決定!)と同じ。他にもあったような・・・。当人は「日本」を擁護しているつもりで、実は「日本」の評判を下げちゃってます。あーあ。
 6月8日のニュースによると、林芳正文部科学相が是枝監督を文科省に招いて祝意を伝える考えを示したところ、是枝監督が自身のホームページに自身のホームページに「公権力とは潔く距離を保つ」と記して辞退を表明したとのことです。この件については、映画評論家・真魚八重子氏の<『万引き家族』是枝裕和監督の「祝意辞退」と「助成金」の関係>と題した記事(→コチラ)が詳しく、内容的にも共感を覚えました。

▸韓国映画では、6日やっと「犯罪都市」をシネマート新宿で鑑賞。3日遅ければ見逃していたところ。ソウルの中国朝鮮族の集住地域を舞台にした警察vsヤクザのアクションですが、その地域すなわち大林洞(テリムドン)には、→コチラの記事で書いたように、2016年12月に行ってきました。横浜の中華街とは全然フンイキの違う、中国から韓国に来た朝鮮族の人たちの食文化を土台とした中華街です。近年、この作品のように朝鮮族がらみの犯罪映画がいくつか作られていることに対して懸念を抱いている人もいるようで、私ヌルボも気になります。犯罪モノを否定するわけでは全然ありませんが、彼らに光を当てるような作品も期待したいものです。(現在の進歩系政権が無視している脱北者についても同様。)
    
「朝鮮日報」6月8日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。)

뻔해도 보는 로맨틱 코미디
자신감 없던 르네는 어느 날 머리를 다치고 나서 인생이 달라졌음을 느낀다.

 《週末の劇場街》で紹介

  「アイ・フィール・プリティ」



   わかりきっていても観るロマンティック・コメディ


 [写真説明] 自信の持てなかったルネはある日頭を打って人生が変わったように感じる。

 「ボムシェル:ヘディ・ラマー・ストーリー」
   消えた女性を復元する ★★★


 「ジュラシック・ワールド/炎の王国」

   恐竜がこうも退屈とは ★★



 「バグズ・フレンズ」

   7歳未満なら悪くない ★★☆

 上記の作品については以下の記事の中で紹介しています。

         ★★★ NAVERの人気順位(6月12日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
          ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。

①(1) ダンガル きっと、つよくなる  9.63(1,422)
②(-) ボムシェル:ヘディ・ラマー・ストーリー  9.42(24)
③(2) グレイテスト・ショーマン  9.38(12,797)
④(3) バナナソングの奇跡(韓国)  9.37(59)
⑤(-) 映画しまじろう まほうのしまの だいぼうけん(日本)  9.27(78)
⑥(5) KING OF PRISM -PRIDE the HERO-(日本)  9.24(895)
⑦(6) ゴッホ~最期の手紙~  9.20(5,212)
⑧(7) 出迎え:コーヒーショップの狼藉おしゃべり事件(韓国)  9.17(24)
⑨(8) 無門関(韓国)  9.13(93)
⑩(-) アイ・フィール・プリティ  9.10(1,007)

 ②⑤⑩の3作品が今回の新登場です。
 ②「ボムシェル:ヘディ・ラマー・ストーリー」はアメリカのドキュメンタリー。1930~40年代頃、美人女優として知られたウィーン出身の女性ヘディ・ラマー(1914~2000)の波乱万丈の人生をたどった作品です。1933年19歳の時「春の調べ」のヒロインとして映画史上初めて全裸ヌードになりましたが、同年結婚した彼女は、夫によって映画界を半ば強制的に引退させます。しかし37年にヘディはそんな夫とナチスの影響力が強まるオーストリアから逃れるようにロンドンに脱出、翌年にはハリウッドに進出します。その後合計6回も離婚したり、万引きで裁判沙汰になったりと話題の絶えない人生を送りますが、特筆すべきは現在のGPS・Bluetooth・携帯電話・Wi-Fiなどの元となる技術を作り出した発明家ということ。2014年に全米発明家の殿堂入りを果たしたそうです。これだけの人生を送った人のドキュメンタリーとなると、何をあえて削るかの方がむずかしそう。韓国題は「밤쉘」。日本公開は未定のようです。
 ⑤「映画しまじろう まほうのしまの だいぼうけん」については、私ヌルボ、例によってコメントする資格ナシ。すみません。韓国題は「내 친구 호비 극장판 호비와 매직 아일랜드」です。
 ⑩「アイ・フィール・プリティ」については後述します。

     【記者・評論家による順位】

①(1) フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法  8.50(10)
②(2) レディ・バード  7.82(11)
③(3) エセルとアーネスト  7.75(4)
④(4) バーニング(韓国)  7.69(13)
⑤(5) 共同正犯(韓国)  7.67(9)
⑥(6) ゴッホ~最期の手紙~  7.50(8)
⑦(7) 瑞山[ソサン]開拓団(韓国)  7.50(2)
⑧(8) ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー  7.29(7)
⑨(9) 七月と安生  7.17(6)
⑩(10) デトロイト  7.13(8)
⑩(-) 遺伝  7.13(8)

 今回の新登場は⑩「遺伝」だけですが、この作品については後述します。す。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績6月8日(金)~6月10日(日) ★★★

         日本より1ヵ月早く公開の「ジュラシック・ワールド/炎の王国」が1位

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・・上映館数
1(新)・・ジュラシック・ワールド/炎の王国・・6/06・・1,807,538 ・・・・・・3,223,516 ・・・・・・・28,637 ・・・・・・・1,972
2(1)・・督戦[トクジョン](韓国) ・・・・・・・5/22・・・・・・・・・401,314・・・・・・・4,505,110 ・・・・・・・38,686・・・・・・・・・753
3(63)・・遺伝・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/07 ・・・・・・・・・・71,480 ・・・・・・・・・90,525 ・・・・・・・・・806・・・・・・・・・414
4(新)・・アイ・フィール・プリティ・・・・・6/06 ・・・・・・・・・・67,892 ・・・・・・・・106,456 ・・・・・・・・・958・・・・・・・・・213
5(新)・・ポケットモンスター・・・・・・・・・6/06 ・・・・・・・・・・52,620 ・・・・・・・・133,993・・・・・・・・1,014・・・・・・・・・546
       ダイヤモンド&パール ディアルガVSパルキアVSダークライ(日本)
6(2)・・デッドプール2・・・・・・・・・・・・・・・5/16・・・・・・・・・・38,731・・・・・・・3,753,496 ・・・・・・・33,917・・・・・・・・・367
7(新)・・バグズ・フレンズ・・・・・・・・・・・・6/06・・・・・・・・・・11,871 ・・・・・・・・・27,390・・・・・・・・・・218・・・・・・・・・248
8(3)・・アベンジャーズ・・・・・・・・・・・・・・4/25・・・・・・・・・・・9,878・・・・・・11,177,058 ・・・・・・・99,562・・・・・・・・・118
       /インフィニティ・ウォー
9(5)・・ピーターラビット・・・・・・・・・・・・5/16・・・・・・・・・・・6,208 ・・・・・・・・381,571 ・・・・・・・・2,953・・・・・・・・・・74
10(7)・・バーニング(韓国) ・・・・・・・・・・・5/17 ・・・・・・・・・・・5,368 ・・・・・・・・521,672 ・・・・・・・・4,659・・・・・・・・・・82
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回の新登場は1・3・4・5・7位の5作品です。
 1位「ジュラシック・ワールド/炎の王国」は2015年の「ジュラシック・ワールド」に続くアメリカの恐竜SFアドベンチャー。ジュラシック・ワールドがあるイスラ・ヌブラル島に火山大噴火の予兆が・・・! 恐竜たちの生死を自然に委ねるか、命がけで救い出すか? そんな選択を迫られる中、恐竜行動学のエキスパート、オーウェン(クリス・プラット)は元運営責任者の女性クレア(ブライス・ダラス・ハワード)と共に島に向かいますが・・・。韓国題は「쥬라기 월드: 폴른 킹덤」。日本公開は7月13日です。
 3位「遺伝」(仮)はアメリカのホラー。物語はグラハム家の女家長エレンが他界するところから始まります。残された娘・アニー(トニ・コレット)は、その1週間後亡くなった母の幽霊が現れることを感じます。アニーがエレンに似ていると言って接近してきた怪しい隣人ジョアンを通じてエレンの秘密を発見したアニーは、自分が母親と同じ過ちを犯したことを知るとともに、娘のチャーリーにまで続いたグラハム家の呪いの実体が明らかになってきます・・・。この作品がサンダンス映画祭で上映された後、近年最恐のホラーとの見方が広まっているようです。「エクソシスト」に代表される60~70年代のホラーのテイストとかの評もあります。原題は「Hereditary」ですが、韓国題「유전」をそのまま仮題としました。日本公開は年末・・・って確かなの?
 4位「アイ・フィール・プリティ」は、アメリカのコメディ。ファッションセンスはいいし、性格も(たぶん)魅力的なんだけど、ぽっちゃり体型が不満という化粧品会社に勤めるOLルネ(エイミー・シューマー)。あーあ、もっとキレイだったら何でもできるのに、と心を込めて熱心に祈っても1%も変わるわけはありません。そこを一念発起してジムでスピニング(バイクエクササイズ)に熱中するルネでしたが、ある日夢中でペダルを踏むうち、ジムの床に叩きつけられ頭を打ってしまいます。ふと我に返ったルネ、「何か変だゾ!」と鏡を見てみると、アラ、鏡の中の私は・・・。と、ここらへんから楽しくなっちゃう? 韓国題は「아이 필 프리티」。日本公開は未定のようです。
 5位「ポケットモンスター ダイヤモンド&パール ディアルガVSパルキアVSダークライ」は、2007年日本公開ですが、何で今? ポケモンシリーズは韓国でも過去30作品も公開されているのですが、これは抜けてたということかな? 韓国題は「극장판 포켓몬스터DP - 디아루가 VS 펄기아 VS 다크라이」です。
 7位「バグズ・フレンズ」は、英題が「The Ladybug」とあるので、あのフランスのカッコイイおねーさんテントウムシ?と一瞬思いましたが、コチラは中国アニメ。中国題の「金龟子」はGoogle翻訳だとスカラベなんですけど、絵を見るとコチラもテントウムシ。物語の主人公ルピーは実験室のガラス箱に閉じ込められていた子供のてんとう虫ルビー。昆虫の天国と呼ばれる黄金の谷をめざして脱出を決心しますが、車が走る道路もあれば、えっ飛行機搭乗まで? 昆虫仲間の助けを借りて目的地に近づいていきます・・・。 韓国題は「벅스 프렌즈」です。中国アニメの日本公開は、まずなさそうな・・・。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・・上映館数
1(新)・・劇場版ポケットモンスター・・・・・6/06・・・・・・・・・・52,620・・・・・・・・・・・133,993 ・・・・・・・・・1,014・・・・・・・・・546
       ダイヤモンド&パール ディアルガVSパルキアVSダークライ(日本)
2(新)・・エンテベの7日間・・・・・・・・・・・・・・6/07・・・・・・・・・・・2,850・・・・・・・・・・・・・3,942・・・・・・・・・・・・32・・・・・・・・・・99
3(1)・・スタンバイ・ウェンディ・・・・・・・・・5/30・・・・・・・・・・・2,482・・・・・・・・・・・・42,951・・・・・・・・・・・339・・・・・・・・・・65
4(29)・・ボムシェル:ヘディ・ラマー・ストーリー・・6/07・・1,827・・・・・・・・・・・・・3,036・・・・・・・・・・・・24・・・・・・・・・・36
5(44)・・マジックビーン・・・・・・・・・・・・・・・5/03・・・・・・・・・・・1,671 ・・・・・・・・・・・・56,769 ・・・・・・・・・・434・・・・・・・・・・・3

 1・2・4位の3作品が新登場です。なお、5位の「マジックビーン」は5月8日の記事で紹介した中国アニメです。
 1位「劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド&パール ディアルガVSパルキアVSダークライ」と4位「ボムシェル:ヘディ・ラマー・ストーリー」については上述しました。
 2位「エンテベの7日間」(仮)は、1967年実際にあったハイジャック事件を素材にした米英合作のドラマ。その年の6月27日。84人のイスラエル人を含む総勢200人の乗客を乗せたエールフランス機がテルアビブからパリへ向かっていました。ところが、これにはブリジット・クールマン(ロザムンド・パイク)とウィルフリード・ボズ(ダニエル・ブリュール)という2人のドイツ人の左翼過激派メンバーが搭乗していたのです。彼らの目的は、ハイジャック。パレスチナ解放人民戦線と結託し、イスラエルの民間人を人質にとって収監されている仲間の釈放を要求するという計画でした。作戦は実行に移され、機体を制圧した彼らは飛行機をイスラエルと反目しているウガンダの空港へ向かわせました。そこがエンテベ国際空港です。イスラエルのラビン首相(リオル・アシュケナージ)とペレス国防相(エディ・マーサン)は、ウガンダ大統領、つまりあの(!)<人食い大統領>とよばれたアミン(ノンソ・アノージー)との折衝を続けますが、そうしているうちにも、テロリストの要求はエスカレートしていきます。はたして乗客たちは・・・。韓国題は「엔테베 작전」。日本公開は未定のようです。(どうも<ソチラ>方面から製作資金が出てるのでは、と勘繰りたくなります。)
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米朝首脳会談始まる ▸▸ ところで「体制保証」って何なの?

2018-06-12 15:09:30 | 私ヌルボの韓国・朝鮮 雑録雑感
 いよいよ米朝首脳会談です。
 焦点はもちろん「非核化」。アメリカは「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)を追求するとか。ただ、北朝鮮の非核化なのか朝鮮半島の非核化なのか?は不明確。
 それに対して北朝鮮側は「体制保証」を求めているとか。
 今朝の毎日新聞によると、ポンペオ国務長官は昨日(11日)夜の記者会見で金正恩政権に「特別な体制保証」を提供する用意があると表明したとのことです。

 ところで、この「体制保証」とは具体的にどういうことを指すのでしょうか?

 私ヌルボが思ったのは、金正恩の支配体制の維持を求めているのかな?ということ。
 しかし、その政権の存廃や、体制の維持(or転換等)はその国の人たちが決めるのが当然で、他国に求めることではないし、まして北朝鮮の場合金日成以来3代続く独裁政権の下で住民の生存権をはじめとする基本的人権の侵害が続いているのに、その体制の保証をするのは論外じゃないの?という疑問を持ってきました。

 この疑問に対して、初めて目にした記事は、これまでも何度か本ブログで紹介した朝鮮日報の鮮于鉦(ソヌ・ジョン)社会部長「北朝鮮の体制保証と「韓国並みの繁栄」は同時に可能なのか」という5月25日のコラムです。(日本語版→コチラor→コチラ)
 要点を抜粋します。
 北朝鮮政権の支持者たちは、北朝鮮経済の破たん原因を外的要因にすり替える。西側諸国の敵対政策・圧力・封鎖のせいだというのだ。これもやはりうそだ。(中略)
 北朝鮮経済の失敗の原因は内部矛盾にある。北朝鮮内部矛盾の根にも頂点にも「唯一体制」があることはほとんどの学者が認めている。簡単に言えば、唯一体制とは首領(北朝鮮のトップ)1人がすべてを決定し、人民がそれに服従する体制をいう。(中略)唯一体制は共産独裁とは違う。開発独裁とも全く違う。この体制に会った瞬間、収奪と引き換えに得た日本の資産、共産陣営の援助、西側諸国の好意的投資は、砂漠にまかれた水のように蒸発してしまった。それは今後も同じだろう。
 トランプ米大統領は「北朝鮮が核兵器を放棄すれば体制を保証する」と言った。その上、「韓国並みの繁栄」まで約束した。これほどの矛盾はない。体制を保証すればいかなる繁栄も不可能だ。繁栄のためには体制を変えなければならない。究極のことを言えば、体制の変更なしには完全な非核化も達成できない。北朝鮮の体制を支える唯一の力が核だからだ。この回りに回った矛盾を知りながら、口にしない。今の局面が崩れるのではないかとみんな恐れている。


 後に知ったことですが、この記事より先の5月17日に団藤保晴氏(ネットジャーナリスト、元朝日新聞記者)による「北朝鮮が米に苛立つのは体制保証への無理解か」という記事(→コチラ)があることを知りました。
 南北閣僚級会談を一方的に中止し米朝首脳会談の再考を言い出した北朝鮮。既に始まった軍事演習を理由にしつつも、ポンペオ米国務長官が持ち出した体制保証が求めているモノではないと拒否したのではないでしょうか。金正恩国務委員長ら支配層が求める体制保証は強権的な権力支配構造の維持であり、国民全体を豊かにする普通の国への転換ではないと考えられます。むしろ、国全体が豊かになれば社会が民主化に走って権力は失われます。民主化を阻止するために必要な、中国が「ブラックテクノロジー」でしている国民を監視・管理する技術も資源もありません。

 朝鮮日報では、6月4日 イ・ドンフンデジタル編集局政治部長が「「北朝鮮の体制保障」を心配する文在寅大統領」と題したコラム(→コチラ)で次のように書いています。
 北朝鮮の体制を心配する文大統領に尋ねずにはおれない。一体どこまで保障するつもりなのか。米国の軍事攻撃からの保護? 相互不可侵? こういうものであれば、助けてやれる。韓半島(朝鮮半島)で戦争を防がなければならないという韓国の立場からは、当然のことだ。
 だが、内部の矛盾で自壊を避けられない体制の問題となると、話は別だ。この場合、韓国は金正恩体制の安全を保障できないし、保障してはならない。カダフィの最期を知っている北朝鮮は、「リビア」の話を持ち出すだけで過敏に反応するが、カダフィを殺したのは米国ではなく反乱軍の銃弾だったことを北朝鮮も理解している。「金正恩体制の保障」とは、カダフィのように人民の手で殺されないようにしてくれ、ということなのか。人民の蜂起を米国が防いでやらなければならないのか。
 北朝鮮の政権は、いわゆる「白頭の血統」を中心にした少数の既得権を守るため、類例のない反人権政策を繰り広げ、時代に合わない閉鎖経済を維持した。(中略)こんな北朝鮮の体制の安全を、国際社会が保障してやる方法はない。
 北朝鮮に対する、完全かつ検証可能で不可逆な体制保障? トランプ大統領ではなく、神が来てもそれはできない。すべきでもない。口癖のように民意と人権を語ってきた学生運動関係者が中心の文在寅政権も同様だ。金正恩体制の保障は、米国や韓国ではなく、北朝鮮人民の手にかかっている。


 このような北朝鮮の体制に対する批判的論調は保守紙の筆頭格の朝鮮日報だからこそなので、韓国のメディアあるいは一般の韓国人の全体から見れば少数派でしょう。

 ほぼ同様の趣旨で、私ヌルボが共感しつつ読んだのが知日派ジャーナリスト崔碩栄(チェ・ソギョン)氏の6月6日の記事「北朝鮮の「体制保証」と「人権改善」は両立できない」(→コチラ)です。
 両国が最も重視している問題は「完全な非核化」と「金正恩体制維持」である。(中略)
 もし米国が北朝鮮の段階的非核化を容認し、それに対する見返りとして、北朝鮮の体制を保証して、経済制裁を解除すればどうなるだろうか?
 朝鮮半島から核と戦争の脅威がなくなり、南北が経済・文化交流を通じて繁栄を成し遂げる平和の時代が訪れるだろうか?
 少なくとも、文在寅政権をはじめとする北朝鮮に信頼と支持を送る人々にはそのように見えているようだ。しかし、北朝鮮の非核化と体制維持が実現されることはあっても、その結果として平和の時代が訪れることは不可能である。少なくとも北朝鮮という「国家」においては。なぜなら、北朝鮮の体制維持と北朝鮮の人権の改善は同時達成が不可能だからだ。
 (中略)現在の金正恩体制を維持するためには、人権弾圧は続けるしかない。そうしなければ、体制の維持は不可能だからである。
 徹底的に閉鎖された社会で生きてきた北朝鮮住民に開放と交流という経験は動揺をもたらし、それは自然に統治体制への不満と反発という連鎖を起こすだろう。金正恩にとってこれほどの脅威はない。もし米国が非核化の見返りに、金正恩体制の維持を保証したならば彼は依然として国民に閉じられた世界での生活を強いるに違いない。そうすれば内部の動揺が広がることはない。しかし、北朝鮮内では何一つ変われず地獄のような状況が続くだろう。(中略)
 外部からの軍事的脅威より怖いのが、内部の反発から始まる体制の崩壊である。それは過去のソ連をはじめ東欧の共産国家が外部からの力の圧力ではなく、内部の反発と抵抗から崩壊した歴史がよく証明している。北朝鮮の立場からすれば、非核化より受け入れがたいのが自国内の人権問題への干渉かもしれない。


 ところが、大多数の日本の新聞等は「体制保証」の内容を具体的に説明した記事は探してもなかなか見つかりません。

 そんな中、6月5日付の中日新聞・城内康伸記者の「<激動 米朝首脳会談>(2) 体制保証」という記事(→コチラ)を読みました。そこで「アレレ?」と思ったのは右画像の「北朝鮮が求める体制保証」という表の内容。もっぱらアメリカ相手の軍事関係のことしか記されていません。城内康伸氏は東京新聞ソウル支局長だったこともあり、韓国・朝鮮について詳しい人ですが、決していわゆる<親北>ではありません。ただ、この表については疑問を感じたのでいろいろ他の記事を探ってみたというわけです。
 記事本文には、次のように書かれています。
 専門家は体制保証について「米国が軍事的脅威を解消し、北朝鮮特有の独裁体制を認め、安全を保証することだ」と解説する。
 その具体策として、韓国政府高官は(1)朝鮮戦争の終結を宣言した上で休戦協定を平和協定に転換(2)米朝が相互不可侵を約束-などを挙げる。北朝鮮は最終的には、米国との国交正常化を念頭に置くほか、敵視政策の表れと見なす経済制裁の解除も求める。
 北朝鮮関係筋は「米国では政権交代がある。口先だけでなく、約束を担保する制度的保証が重要だ」との考えを示している。

 ・・・ということで、どうも右の表は何のことはない、「韓国政府高官」の考える体制保証ということのようです。つまり、アメリカの「軍事的脅威」の方が「北朝鮮特有の独裁体制」よりずっと問題があるという認識があるようですね。
 ※朝鮮戦争の終結については、東京新聞の五味洋治編集委員が昨年12月「朝鮮戦争は、なぜ終わらないのか」(創元社)というタイムリーな本を刊行しています。

 最初に記すことだったかもしれませんが、ここで私ヌルボの北朝鮮に対するスタンスを示しておきます。それは「北朝鮮だけではなくどの国についても同様ですが、政府(指導者)とそこの住民を峻別すること」。そしてもちろん、北朝鮮(及び世界各国の)人々の人権を尊重することです。
 そんな観点から、北朝鮮住民の生存権をはじめとする基本的人権を否定し続け、政敵を多数粛清してきた金日成以下3代の独裁政権は到底許すことはできません。よほど思い切った改革に踏み出さないかぎりは滅亡を期待するしかありません。(ただし外国からの軍事攻撃は住民や兵士を犠牲にし、その後の国際情勢も不透明になるのでダメ。) 北朝鮮住民の人権問題を重視する観点からは、北朝鮮だけでなく、中国をはじめ韓国・日本・アメリカ・ロシアも共犯といえるかもしれません。住民の人権よりも東アジアの政治的安定を優先してきたから。
 もしかしたら、今回の米朝会談もそういう形で終わってしまいそうな気がします・・・。

 この記事を書き始めたのが午前10時。ずっと日経の→<米朝首脳会談ライブ>を見ながら書いてきました。
 今はもう14:58。「トランプ大統領と金正恩委員長は署名した合意文書を手にして並びました。ワーキング・ランチを含めて約5時間の歴史的な首脳会談が終わりました。」というところです。
 はたして、会談の中身はどういうことになっているのか?

 この記事、こんな会談当日ではなく、もっと前に書くべきだったですね。
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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [6月1日(金)~6月3日(日)]

2018-06-06 01:31:53 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
<カンヌ受賞の是枝裕和監督を祝福しない安倍首相を、フランスの保守系有力紙が痛烈に批判>という記事(→コチラ)を興味深く読みました。文化や言論を規制・統制するのは論外ですが、自分の眼鏡にかなった人や作品しか称えないのも問題です。

▸先週は韓国のドキュメンタリー「共犯者たち」を試写会で観ました。これはまさにその<論外>を扱ったものです。李明博・朴槿恵政権時代のメディア統制(とくにTV局)がひどかったことはそれなりに知ってはいましたが、ここまで露骨で大規模なものとは思いませんでした。一方、大勢の人たちがクビを切られる等の弾圧に遭いながらも、抵抗を続けたことも、2008年以来の映像や証言をまとめたこの作品でよくわかりました。東京では6月9日(土)19:00~、なかのZERO小ホールで上映会があり(→詳細)10日(日)13:00~、立教大学(池袋)で上映&シンポジウムがあります。(→詳細)
 この韓国ドキュメンタリーが日本にも無縁でないことは、シンポジウムの表題(下画像)からもうかがわれます。近年のNHK関係の人事や番組等に対しての政権側の<いろいろ>が思い出されます。


▸5月29日(火)韓国文化院で観た「漂流島」(1960)は、作品自体よりも、当時の都市景観だけでなく、女性の地位等々に対するものの考え方といった時代像がうかがわれます。具体的な内容は→コチラ参照。また韓国語・英語の字幕しかありませんが→YouTubeで視聴できます。
    
「朝鮮日報」6月1日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。)

자폐 소녀의 꿈 향한 힘겨운 여정
자폐증을 앓는 소녀 웬디는 영화사 시나리오 공모전 원고를 내려고 홀로 로스앤젤레스로 떠난다.

 《週末の劇場街》で紹介

  「500ページの夢の束」

   自閉症の少女の夢に向かう厳しい旅


 [写真説明] 自閉症を患っている少女ウェンディは映画社のシナリオ公募の原稿を出そうと1人でLAに旅立つ。

 「セラヴィ!」
   完璧でなくても大丈夫 ★★★


 「ホーム」

   子供の眼差しだけで涙 ★★★☆



 「ミセス・ハイド」

   E.ユペールの奮闘記 ★★☆

 「ミセス・ハイド」(仮)はフランスのドラマ。ミセス・ジキル(イザベル・ユペール)は学生には透明人間扱いされ、同僚には無視されるという影の薄い女性。しかし雷が鳴った夜から変わり始めます。彼女の中に眠っていた何かがうごめき、ミセス・ジキルは同時にミセス・ハイドになります・・・。日本公開は未定。他の作品については以下の記事の中で紹介しています。

         ★★★ NAVERの人気順位(6月5日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
          ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。

①(1) ダンガル きっと、つよくなる  9.63(1,380)
②(2) グレイテスト・ショーマン  9.38(12,760)
③(-) バナナソングの奇跡(韓国)  9.36(58)
④(3) 新世紀、パリ・オペラ座  9.32(19)
⑤(4) KING OF PRISM -PRIDE the HERO-(日本)  9.25(893)
⑥(5) ゴッホ~最期の手紙~  9.20(5,208)
⑦(-) 出迎え:コーヒーショップの狼藉おしゃべり事件(韓国)  9.32(19)
⑧(8) 無門関(韓国)  9.09(89)
⑨(7) ピーターラビット  9.04(1,305)
⑩(-) 劇場版FAIRY TAIL -DRAGON CRY-(日本)  9.04(23)

 ⑦⑩の2作品が今回の新登場です。
 ⑦「出迎え:コーヒーショップの狼藉おしゃべり事件」は韓国のコメディ&ドラマ。幼い頃から苦楽を共にしてきた7人の友人たち。時が流れて今は彼らもスーツが似合う30代の大人になり、増えていく小ジワのように責任もまた大きくなりました。愉快な一方で、ほろ苦い男たちのマジメなおしゃべりが繰り広げられます。原題は「마중: 커피숍 난동 수다 사건」です。
 ⑩「劇場版FAIRY TAIL -DRAGON CRY-」は日本のアニメなんですが、元は「少年マガジン」の連載漫画。いやあ、私ヌルボ、最後に「少年マガジン」を読んだのは何年前か? (現在少年漫画は大人たちにどれほど読まれているのですかねー?) というわけで、例によって語る資格ナシ。韓国題は「극장판 페어리 테일: 드래곤 크라이」です。

     【記者・評論家による順位】

①(1) フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法  8.50(10)
②(5) レディ・バード  7.82(11)
③(7) エセルとアーネスト  7.75(4)
④(8) バーニング(韓国)  7.69(13)
⑤(9) 共同正犯(韓国)  7.67(9)
⑥(10) ゴッホ~最期の手紙~  7.50(8)
⑦(-) 瑞山[ソサン]開拓団(韓国)  7.50(2)
⑧(-) ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー  7.29(7)
⑨(-) 七月と安生  7.17(6)
⑩(-) デトロイト  7.13(8)

 今回の新登場は⑩「デトロイト」だけですが、この作品は日本では今年1月公開されています。韓国題は「디트로이트」です。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績6月1日(金)~6月3日(日) ★★★

         韓国の犯罪アクション「督戦[トクジョン]」が2週連続1位

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・督戦[トクジョン](韓国) ・・・・・・・5/22・・・・・・・・・981,401・・・・・・・3,531,134 ・・・・・・・30,279 ・・・・・・・1,531
2(2)・・デッドプール2・・・・・・・・・・・・・・・5/16・・・・・・・・・230,611・・・・・・・3,616,999 ・・・・・・・32,726・・・・・・・・・769
3(3)・・アベンジャーズ・・・・・・・・・・・・・・4/25・・・・・・・・・・71,690・・・・・・11,136,266 ・・・・・・・99,201・・・・・・・・・451
       /インフィニティ・ウォー
4(5)・・トゥルース・オア・デア・・・・・・・・5/22・・・・・・・・・・58,495 ・・・・・・・・288,676 ・・・・・・・・2,463・・・・・・・・・341
5(6)・・ピーターラビット・・・・・・・・・・・・5/16・・・・・・・・・・46,044 ・・・・・・・・364,487 ・・・・・・・・2,821・・・・・・・・・428
6(4)・・ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー・・5/24・・36,938 ・・・・・202,800 ・・・・・・・・1,869・・・・・・・・・383
7(7)・・バーニング(韓国) ・・・・・・・・・・・・5/17 ・・・・・・・・・・19,829 ・・・・・・・・503,948 ・・・・・・・・4,503 ・・・・・・・・280
8(34)・・デジャブ(韓国) ・・・・・・・・・・・・・5/30 ・・・・・・・・・・18,889 ・・・・・・・・・41,906 ・・・・・・・・・313・・・・・・・・・477
9(51)・・500ページの夢の束・・・・・・・・・・5/30 ・・・・・・・・・・18,462 ・・・・・・・・・30,268 ・・・・・・・・・238・・・・・・・・・346
10(23)・・ちびっ子英雄 ボビー・・・・・・5/30 ・・・・・・・・・・11,773 ・・・・・・・・・15,097 ・・・・・・・・・118・・・・・・・・・317
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 韓国映画の2週連続1位は3月の昆池岩[コンジアム]以来です。
 今回の新登場は8・9・10位の3作品です。
 8位「デジャブ]」は韓国のスリラー。婚約者のウジン(イ・ギュハン)と乗っていた車で人を殺してしまったジミン(ナム・ギュリ)は、その日の夜から死んだ女性が現れる幻覚を見るようになります。耐えられなくなったジミンは警察に行きますが、自分の記憶にある交通事故は実際には起きていなかったことを知ります。消えないままの疑問の中で、彼女の日常的な恐怖は募っていきます。傍観する婚約者ウジン、そして事件後自分の周りを監視するチャ刑事(イ・チョニ)のために、ジミンはさらに最悪の状況に陥っていきます・・・。原題は「데자뷰」です。
 9位「500ページの夢の束」は、アメリカのドラマ。サンフランシスコに住むウェンディ(ダコタ・ファニング)は427ページのシナリオを覚える能力があり、曜日ごとに着る服をコーディネートするファッションリーダー( ?)というユニークな少女。また「スター・トレック」が大好きで、その知識なら誰にも負けないことを自負しています。しかし、自閉症を抱える彼女は、ある理由で唯一の肉親である姉と離れて暮らしていました。ある日、ウェンディは「スター・トレック」脚本コンテストが開催されるといううれしい情報に接します。彼女はがんばって脚本作品を書き上げましたが、もう郵送では締切に間に合わいません。そこでコンテストの開かれるハリウッドまで、愛犬ピートとともに数百㎞の旅に出ることを決意します。書き上げた500ページもの脚本と、<ある願い>を胸に抱えて・・・。韓国題は「스탠바이, 웬디」。日本公開は9月7日です。
 10位「ちびっ子英雄 ボビー」等ではアメリカアニメになってますが、原題は「刺猬小子之天生我刺」という2016年の中国のアニメ。主人公はくだもの山に住んでいる勇敢で自信家のハリネズミ、ボビー。彼は山頂で行われる一番美味しい果実の王を獲得するために アナグマのスカとの対決を繰り広げて、グレーが住む鉄道橋に落ちます。友だちになったボビーとグレーは、動物商人に捕まったりしますが、結局脱出に成功し、ハリネズミ村に逃げます。ところがその後村に悪いヤツがやってきて、・・・と先の読めない物語が・・・って、え、ここからが本番だって? 韓国題は「꼬마영웅 바비」です。日本での公開はなさそう、かな?

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・・上映館数
1(28)・・スタンバイ・ウェンディ・・・・・・・・5/30・・・・・・・・・・18,462・・・・・・・・・・・・30,268・・・・・・・・・・・238・・・・・・・・・346
2(8)・・ちびっ子英雄ボビー・・・・・・・・・・・・5/30・・・・・・・・・・11,773・・・・・・・・・・・・15,097・・・・・・・・・・・118・・・・・・・・・317
3(1)・・私を月に連れてって・・・・・・・・・・・・5/16・・・・・・・・・・・7,140・・・・・・・・・・・106,529・・・・・・・・・・・830・・・・・・・・・・94
4(新)・・セラヴィ!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5/30・・・・・・・・・・・6,512・・・・・・・・・・・・13,838・・・・・・・・・・・109・・・・・・・・・144
5(61)・・ホーム(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・5/30・・・・・・・・・・・2,945・・・・・・・・・・・・・5,300・・・・・・・・・・・・39・・・・・・・・・123

 3位以外の4作品が新登場です。
 1位「スタンバイ・ウェンディ」と2位「ちびっ子英雄ボビー」については上述しました。
 4位「セラヴィ!」は、日本公開のフランス語映画で歴代興行収入No1のヒットを記録した「最強のふたり」の監督による新作コメディです。ウェディングプランナー歴30年のマックス(ジャン=ピエール・バクリ)は、あるカップルの依頼で17世紀の城を会場にした豪華な結婚式の準備を進めていました。ところがその日に限ってウェイターやオーケストラなどのスタッフが勝手な行動に走り、ミスを連発。厳しいクライアントの容共事項は増える一方。完璧なはずだったマックスのプランは崩壊していきます。はたして結婚式は無事に終わるかどうか・・・。韓国題は「세라비, 이것이 인생!」。日本公開は7月6日です。
 5位「ホーム」は韓国の家族ドラマ。14歳の少年ジュノ(イ・ヒョジェ)のところに、ある日突然空から家族たちが降ってきました! 弟のソンホ(イム・テプン)、ソンホのお父さんウォンジェ(ホ・ジュンソク)、ウォンジェの娘ジヨン(キム・ハナ)まで。新しい家族ができたジュノは毎日幸せいっぱい。息子のようにジュノの面倒を見てくれるウォンジェと、実の弟・妹のようについてきてくれるソンホとジヨン。「僕たち、ずっと一緒にいられればいいのに・・・」とジュノは願いますが・・・。少年の幸せづくりを通して家族と幸せの意味を考えさせられ、またそこに現代社会を反映させているという点で、「万引き家族」等とも共通する問題意識があるようです 原題は「홈」です。
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最近の縁日に、韓国フードがいろいろ浸透している! チャプチェとかトッポキとか・・・

2018-06-05 14:01:34 | 韓国・朝鮮と日本の間のいろいろ
 縁日が大好きという人、子供や若者でなくてもたくさんいますね。私ヌルボの場合、もちろん嫌いじゃないけど、とくに好きというほどでもなく、「○○が食べたい!」という屋台の定番の食べ物もないということもあって、2、3年に1度行く程度ですかねー。
 ところが、たまたま昨年9月、相鉄線平沼橋駅近くにある水天宮平沼神社の縁日に行き、そして一昨日(6月3日)横浜西口から徒歩約15分の浅間神社の例大祭の縁日に行って、認識を新たにしました。
 つまり、屋台で売っているモノを見ると、お好み焼きや焼きそば等々、昔からの定番のものもあれば、初めて見たというものもけっこうあるのですね。また定番の1つのたこ焼きにしても、タコがずいぶん大きくなってるようだし、・・・って6個で500円だからなー。私ヌルボ、連れが買ったのを100円出して1個分けてもらっただけです、トホホ。
 で、その昔はなかったゾというモノの中に、韓国の食べ物がいくつかあることに気づきました。もしかしたら、「今頃気がついたか!」と笑われるかもしれませんが。年配者の場合、孫を連れて縁日に行くという人以外は世の中の変化には鈍感になりがちなもので・・・。(お察し下さい。けほけほ。)
 では、まず昨年9月5日水天宮で撮った画像から。

    


 いや、屋台の写真じゃないし、韓国関係でもないんですけどね。水天宮平沼神社の例大祭では、境内にある神楽殿で神楽が催されるのです。私ヌルボ、それは知っていましたが、日時までは未確認のまま行ったら、たまたまその始まる少し前。ラッキーなことに、「天孫降臨」と題した演目でしたが、通して観ることができました。サルタヒコやアメノウズメが登場します。(深入りはしません。) 神楽殿では、直前までフラダンスもやってたようです。(→コチラ参照。)
     

 はい、これがチャプチェの屋台。2枚とも同じ店です。ちゃんとハングルで「잡채」と書かれてます。漢字で書くと「雑菜」というのはどれくらい知られているのかな? この画像、肝心のチャプチェが写ってないのが残念。いや、それ以前に買って食べて、話をしてみるべきでしたね。ま、それは次の機会に。

 先を急ぎます。浅間神社の例大祭です。

     

 たくさんの車が行き来する浅間下交差点を神輿が進みます。
 その浅間下から西方向へ、松原商店街入口辺りまで約800mに400軒もの屋台が立ち並んでいます。

    

 最初に目に入ったのが「チーズハットグ(치즈핫도그)」の店。(上画像) 「ハットグ(핫도그)」というのは「ホットドッグ」のことですが、韓国では、日本でふつうアメリカンドッグと言っている、串に刺して油で揚げたものも含めて「ハットグ」と呼んでいます。韓国人はトロ~ッと糸を引くチーズが好きで、この屋台の看板にも「のび~る」とあるように、それがウリなんでしょうね。また韓国ではオムレツ等々にはケチャップをジグザグに何往復も塗るのがふつうのようで、ハットグの場合はさらにカラシも同様に塗りたくるため、(私ヌルボの目には)下品の三重奏となるわけです。下品でも美味しいものは好んで食べますが、このチーズドッグは食欲がわかず写真撮影だけでスルー。

    

 「のび~る」でもう1つあったのが上左の「のび~るアイス」。その向こうの屋台の「ドネルケバブ」と同様、こちらはトルコです。国際色が色濃くなっていることが如実にうかがわれます。これからは東南アジア系が増えそう?となんななく思いました。一方、中国系がほとんどない(?)のはなぜ?
 上右は韓国人が大好きなトッポキ(떡볶이)。直訳すると「餅炒め」なんですけどね。それにしても、なんであんなに好きなんでしょうねー?(チャジャンミョンも・・・。) って、味の好みにリクツはないのはわかってるんだけど。

    

 そもそも、この記事を書くことになった直接的な契機はコレ!です。実は私ヌルボ、初めて見ました。ウェブ検索してて、たまたま行き当たったのが→コチラのブログ記事。2017年の初詣の縁日の屋台で「韓国旅行中にたくさん見かけるやーつ」を発見したということで、この「電球ソーダ(전구소다)」を写真入りで紹介してました。
 上右の画像は別の所のものですが、なるほど「韓国からやってきた!」とかかれています。浅間神社の屋台はどうだったか、ちゃんと見てなかったです。
 その後の調べでは、どうも2016年4月の→コチラの記事(韓国語)が最初ではないかと思いますが、その後あっという間に日本にまで広まったのですね。冒頭で「今頃気がついたか!」と思われるかも、と書いたのは具体的にはこれのことです。
 電球(&ストローも)が光るのがミソだし、カラフルで「インスタ映えする」というのも流行の大きな理由になったとのこと。
 →コチラの記事で紹介されている原宿電気商会という電球ソーダ専門店が神宮前にオープンしたのが2017年5月とか。けっこうお客さんが並んでるみたいです。それにしても、ホントにそれぞれの業界の皆さんの反応は早いです。(若者向け飲食店業界、縁日屋台業界・・・。)
 その原宿電気商会のドリンクメニューは、必ずしも炭酸入りでもないようですが、10数種類あって色とりどり。ただ、韓国にはある五味子茶(オミジャチャ)ソーダはないようです。

    

 上左は韓国の電球ソーダ。今やコンビニでも売っているとか。(上右)

 そして、浅間神社の屋台で電球ソーダと一緒に売られていたのが下左の、これまたユニークな容器に入ったジュースです。

    

 これも韓国由来です。右は仁川の屋台です。日本では「点滴ジュース」といいますが、韓国では「링거음료(リンガウムニョ)」すなわち「リンゲル飲料」です。
 ところが、最近(5月26日)のニュース(→コチラ.韓国語)によると、<블러드 쪽쪽>(ブラッド・チュクチュク)という商品名の点滴ジュースから規定をはるかに超えた細菌が検出されたことと、医療機器法違反のため回収措置がとられるとか。
 いやあ、この形態はたしかにちょっとヤバい感じはします。日本では大丈夫?

 話を元に戻して、韓国由来の縁日屋台フードですが、お祭り屋台の人気メニューをなんと200も50音順にリストアップした→コチラの記事を参照したら、上記以外にもチヂミと(ヌルボの好きな)ホットクが入ってました。この2つはナットクです。まだ食べたことがないという人にはぜひオススメしたいと思います。
 トッポキ(トッポッキ)、ハットグ、ホットク等々、韓国語になじみのない皆さんにはけっこう紛らわしいですね。

 ずいぶん長くなってしまいました。(いつものことですが。) また9月には水天宮平沼神社例大祭、11月には金刀比羅大鷲神社の酉の市に行って新情報を拾ってきます。
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朝鮮民主主義人民共和国と大韓民国の呼称 ③韓国では、「北韓」の語が定着するまで何と言っていた?

2018-06-02 10:22:47 | 韓国・朝鮮関係の知識教養(歴史・地理・社会等)
 → 朝鮮民主主義人民共和国と大韓民国の呼称 ①「北朝鮮」と「韓国」以外にあるの?
 → 朝鮮民主主義人民共和国と大韓民国の呼称 ②ホントに厄介な「北」の呼び方

 韓国では北朝鮮のことを「북한(プッカン.北韓)」といいます。韓国語学習者の間では常識だとや思いますが、一般的にはどうでしょうか?
 Google翻訳の[日本語→韓国語]でも、「北朝鮮」と入力すると「북한」と変換され、逆に[韓国語→日本語]だと「북한」は「北朝鮮」に自動翻訳されます。(場合によっては誤解・誤読を生む。)
 しかし、だからといって韓国内で「朝鮮という言葉が禁じられているわけではありません。ただ、この言葉はふつう過去の朝鮮王朝を指します。また朝鮮日報、ウェスティン朝鮮ホテル、朝鮮大学校(光州にある)等の固有名詞にも用いられています。ただ、日本人が韓国人のことを「チョーセン人」と言うのは禁物。差別語ととられるし、実際差別意識が込められている場合が多いのではないでしょうか?

 さて、この北韓という言葉ですが、ふつうに使われるようになったのは、1972年の7∙4南北共同声明が契機でした。南北関係がたまたま少しよくなった時です。では、それ以前は何と呼んでいたかというと「북괴(プッケ.北傀)」でした。つまり北の傀儡(かいらい)国家という意味の侮蔑語です。「傀儡」は、本来は「操り人形」のことですが、「人の手先となって思いのままに使われる者」という2番目の意味の方がよく使われていますね。(「くぐつ」という読み方もあります。) 具体的には「ソ連の操り人形」という意味です。逆に北朝鮮の方も韓国を「アメリカ帝国主義の傀儡」と言ってました。

 共同声明が採択された次の日、文化公報部は「従来「北傀」と呼んでいたのを「北朝鮮」と呼称し、金日成に対する中傷・誹謗を見合わせること」を指示しました。これにより、すべてのメディアと政府の公式広報から「北傀」は消え、「北韓」に替わりました。
 ところがほどなく会話の時間が終わり、対決が再開されると、「北傀」が戻ってきました。

 1980年代の全斗煥、盧泰愚政権当時は、70年代にマスコミで使われ始めた「북한 공산집단(北韓共産集団)」という表現が広く使われたりもしました。
 あの尹東柱と少年時代同窓だった文益煥(ムン・イックァン)牧師(1918~94)は1989年3月訪北して金日成主席と会った人ですが、同年正月「たわごとではないたわごと」という詩で「私は彼らを傀儡とは呼ばない」と叫びましたが、87年6月の民主化宣言後も依然としてそう呼ぶ人は少なくなかったのですね。
 画期となったのは1991年9月、南北の国連同時加盟でした。その後間もない12月13日、南北朝鮮は公式合意書で正式国号(大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国)を使用することを取り決めました。(「南北間の和解と不可侵および交流協力に関する合意書」)
 以後、メディアや政府の公式広報物から「北傀」の語は消えましたが、まだ軍の文書には残っていました。この言葉を放棄すれば「将兵の士気が落ちる」という主張が強かったからです。その軍でも消えたのは、2000年6月の南北首脳会談以降のことでした。「傀儡」という言葉も同月末になくなり、国防部の記事からも2001年8月完全に消えました。
 (※ここまでの記事は→コチラを参考にしました。)

 ・・・以上のような経緯でようやく現在に至ったわけですが、今でもブログ記事等で「北傀」の語はしばしば見受けられます。あるいは、ニュース記事に対する読者のカキコミ。とくに代表的な保守紙・朝鮮日報の北朝鮮関係ニュースの読者評<100字評>欄を見るとごくふつうに目に入ってきます。(下画像)

 [訳] 北傀の手法は、これまで数十年、対南詐欺劇をまことしやかにやってのけても、平然としている。だからこれに一喜一憂してはならない。(以下略)

 このように、保守派の一部で「北傀」の使用者が残る一方で、近年、主に進歩陣営の側から「北韓」という呼称に対する異論も登場してきました。
 それについては次回で。
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朝鮮民主主義人民共和国と大韓民国の呼称 ②ホントに厄介な「北」の呼び方

2018-06-01 23:48:15 | 韓国・朝鮮関係の知識教養(歴史・地理・社会等)
 → 朝鮮民主主義人民共和国と大韓民国の呼称 ①「北朝鮮」と「韓国」以外にあるの?

 以前は、各テレビ局がニュース等で「北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国」と長ったらしい言い方をしていましたが、長い間よく続けていたものです。新聞の場合は「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)」という表記でした。→ウィキペディアによると、このような呼称は1972年札幌オリンピックの頃から今世紀の初め頃始まり、小泉首相訪朝後、北朝鮮の拉致問題や、核施設凍結解除・IAEA査察官の追放(翌年脱退)等の問題が沸騰していた2002~3年頃まで続いたとのことです。ということは、約30年間
 
 右の画像は、表記の変更についての2002年12月28日の朝日新聞の社告です。
 なお、この直後の、灘本昌久京都産業大学助教授(当時)による関連記事(→コチラ)は、この呼称問題について詳しく記しつつ、自身の見解を提示しています。
 これらの記事から、各紙が北朝鮮の呼称を簡略化した時期を順に並べると・・・。
 ・産経新聞・・・1996年から「北朝鮮」のみ。
 ・読売新聞・・・1999年から「北朝鮮」のみ。
 ・毎日新聞・・・2002年11月から、正式国名は全ページで1ヵ所。
 ・朝日新聞・・・2002年12月から、一部の記事をのぞいて「北朝鮮」に。
 ・日本経済新聞・・・2003年1月から、原則として「北朝鮮」に一本化。
 ・東京新聞・・・2003年1月から、正式国名は全ページで1ヵ所。
  ※フジテレビ・・・以前から「北朝鮮」のみ。

 ・・・と、ほぼ各紙の政治的立ち位置(北朝鮮に対する批判の強度の差)がこんなところにも表れていますね。

 では、朝鮮総聯の機関紙「朝鮮新報」と、民団の機関紙「民団新聞」の日本語版ではどうなっているかというと、それぞれ北朝鮮と韓国での呼び方の通り。
 つまり、「朝鮮新報」(→公式サイト)では、北朝鮮は「朝鮮」、韓国は「南朝鮮」「祖国」という言葉も多く見受けられます。
 ただ、4月27日の南北首脳会談は「北南首脳会談」ですが、朝鮮民主主義人民共和国の金正恩国務委員長と大韓民国の文在寅大統領は・・・」ときっちり書いています。(ほー、大韓民国と書いたか!)
 「民団新聞」(→公式サイト)は、韓国がそのまま「韓国」で、北朝鮮は「北韓」と、本国と同じ表記。
 また、統一志向の在日韓国人による新聞「統一日報」の→公式サイトをのぞいてみると、南北首脳会談についても「「板門店宣言」は自由民主国家の自殺」といったオオッと驚くような見出しの記事(→コチラ)が目を引きます。北朝鮮に批判的な論調を特色にしている新聞(統一教会とは無関係)で、「民団新聞」と同じく「韓国」「北韓」の語を用いています。

 ところで、上記の灘本昌久さんは記事の中で「記事の簡略化という点では、なぜ「朝鮮」では ないのかという疑問には答えられない。」として「北朝鮮」よりも「朝鮮」がよいとしているようですが、「朝鮮」だと南北全部を指すようにもとられそうだし、韓国での一般的な理解のように、過去の朝鮮王朝を指すと受け取られることも考えられます。「朝鮮の社会体制は、生まれながらの身分による差別が人生をほとんど決定づける」と書いたら、どちらのことなのかよくわかりません。またNHKの語学講座も「朝鮮語講座」とすべきだったとの主張ですが、先の平昌冬季五輪の南北合同チーム内でもなかなか言葉が通じにくかったと伝えられたように、南北間の言葉にはかなりの隔たりが生じています。そんな中、NHKでは当然日本人に身近な韓国語で講座をやっているわけで、それに「朝鮮語講座」というタイトルをつけるのは不自然だし、また多くの誤解を招き混乱の元になりそうです。ということで、この件についてヌルボはとりあえずは現状の「ハングル講座」でOK。(ただし<ハングル>は文字のことなのに、「ハングルで話す」という間違いに気づかない人を多数生んでいますが・・・。)もちろん半島の情勢が今後大きく変われば国や人や地理関係の呼称も変わる可能性はありますけどね。

 北朝鮮に対する呼称がもう1つあるのを思い出しました。今も使われています。(一部の人たちですが。) と、これだけでわかる人がどれくらいいるでしょうか?
 ヒント。私ヌルボが1991年団体で北朝鮮に行った時、現地で北朝鮮の人たちに対して国名をどう言えばいいか?という点について、案内員氏(だったかな?)が教えてくれました。
 「○○○と言って下さい。」
 漢字3文字です。正解はやコチラ → 共和国

 これは固有名詞じゃなく普通名詞でしょ! ・・・と誰しも思うでしょうが、今も依然として使われているのですね。(「え、うそっ。みんな「王朝」って言ってるのに・・・。」という人もいるかも。)
 下の画像は「世界」の2018年1月号の、まさのあつこ「「北朝鮮」と呼ばれる国交のない国・訪問記」より。
 まさのあつこさん、必ずしも北朝鮮ベッタリということでもありませんが、現地で「共和国」と言っても、日本に戻ってもずっと「共和国」を用い続けるというのはどうなんでしょうか? コンゴ共和国とか南アフリカ共和国と誤解する人がいるかもしれないし・・・。 
 あ、そういえば立憲民主党の初鹿明博議員は→ウィキペディアによれば次のように述べているそうです。
 「日本が朝鮮民主主義人民共和国から尊重してもらいたいなら、同じように相手の国を尊重しなくてはならないとして『北朝鮮』という呼称を使わない。『朝鮮』もしくは『共和国』と呼ぶように心がけている。これは、朝鮮の国民も自国に誇りを持っており、その誇りを傷つける行為を不用意にするべきではないと考えるからだ。」
 私ヌルボ、これは傾聴に値する主張だと思います。が、上述のように「朝鮮」でも「共和国」でも誤解がありそうだし、「北朝鮮」といっても相手を侮蔑することにならないのはかつての東ドイツ・西ドイツと同じと考えるからです。それだけではなく、今の北朝鮮という国に対する認識の相違もありそうです。初鹿議員は、自国民の基本的人権などに一顧だにしない北朝鮮の独裁政権との相互の「尊重」を国際政治上の<方便>として考えているのならまだわかりますが・・・。
      

 ホントはこの記事の一番の目的は、「韓国内での北朝鮮に対する呼び方でその人の政治的な立ち位置がわかる」ということだったのです。で、今回までの記事は(例によって)タラタラと長~い前書きのようなものです。
 というわけで、続きは<韓国・北朝鮮は、それぞれ相手国と自国のことをどう呼ぶか?>について書きます。

 → 朝鮮民主主義人民共和国と大韓民国の呼称 ③韓国では、「北韓」の語が定着するまで何と言っていた?
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