ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[7月27日(金)~29日(日)]

2012-07-31 21:36:48 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 昨晩「ダークナイト ライジング」を見に行ったら、20:40の回なのに100人以上の入り。マイナーな映画専門(?)の私ヌルボとしてはオドロキの数字。しかもその多くは2人連れ。いやー、これがフツーの世界なんだろーなー。
 映画もすごかったなー、はっはっは。「映画生活」のポイントが88点でランキング1位というのもむべなるかな。(←古風な表現か?) しかーし。2008年の個人的ランクで1位にした「ダークナイト」の方が衝撃度は上だったなー。ヒース・レジャーの存在感も印象的でしたが、それ以上に、作品の基底にある価値観の問題。うーむ、うまく表現できない。逆に言えば、今回の作品は視覚的効果がすごくなった分、ストーリー性&人物造形が作り物っぽくなってる感じ。まあ前作が10点だとすると今回は8.5点というとこかな。あ、全然関係ないけど、(観た人はわかる)ある場面で、小野道風と蛙の逸話を思い出してしまったヌルボはヘンな人?
 さて、この週末公開の韓国映画がトガニ 幼き瞳の告発かぞくのくに。どちらも観に行く予定ですが、どちらも観るのが楽しみといった内容ではないんですよねー・・・。

          ★★★ Daumの人気順位(7月31日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①ヤコブへの手紙  9.4(25)
②アイス・エイジ 4:大陸移動説  9.2(76)
③名探偵コナン 11人目のストライカー(日本)  8.9(62)
④Delicacy  8.8(54)
⑤ベスト・エキゾチック・マリーゴールド・ホテル  8.5(154)
⑥ブルーバレンタイン  8.3(66)
⑦怖い話(韓国)  8.3(121)
⑧The Cabin in the Woods  8.3(998)
⑨2度の結婚式と1度の葬式(韓国)  8.3(165)
⑩ダークナイト ライジング  8.2(2062)

 新登場は②と⑦の2作品。
 ②「アイス・エイジ 4:大陸移動説」はアメリカのCGアニメのシリーズ第4作。日本での公開は未定。原題「Ice Age: Continental Drift」が韓国題で「아이스 에이지 4: 대륙 이동설」となるのか。
 ⑦「怖い話」については後述。

【専門家による順位】

①ミッドナイト・イン・パリ  7.8(7)
②少年は残酷な弓を射る  7.7(7)
③嵐が丘  7.7(4)
④よその国で(韓国)7.6(6)
④二つの扉(韓国)  7.6(6)
⑥The Cabin in th e Woods  7.5(6)
⑦ダークナイト ライジング  7.4(7)
⑧ぴちぴち(韓国)  7.0(6)
⑨ジョージ・ハリスン リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド  7.0(2)
⑩毛皮を着たヴィーナス(韓国)  7.0(1)
⑩名探偵コナン 11人目のストライカー(日本)  7.0(1)

 新登場は②と⑧の2作品。
 ②「少年は残酷な弓を射る」は日本では6月30日に公開されています。韓国題は「케빈에 대하여(ケビンについて)」。
 ⑧「ぴちぴち」は韓国アニメですが、原題の「파닥파닥」(パダクパダク)という擬態語をどう訳すか・・・。語感が似ているのは「バタバタ」ですが、魚のはねるようすらしいので「ぴちぴち」としてみました。主人公のサバ(고등어)が網にかかって、入れられた所は刺身水族館(!?)。そのサバが最初の脱出に失敗した後、他の魚に付けられたあだ名が「ぴちぴち」なんですね。で、その水族館の古株、牢名主的存在(?)がヒラメ(넙치)。ヒラメに追随しつつも不満を抱いているのがアナゴ(아나고)、サバとの出会いで海を夢見るようになったのがアイナメ(놀래미)で、強者には弱く弱者には強い日和見主義者のシマダイ(줄돔)。その他タイ(도미)だのスズキ(농어)だのも登場。つまりは人間社会の縮図なんですね。そんな中でどこまでも脱出を追求するサバ!というわけで、サバ版「ショーシャンクの空に」(!)というキャッチコピーもあるようで・・・。(おかげで魚の名前を覚えました(笑)。) 今年の16回ソウル国際漫画アニメフェスティバルで長編審査委員特別賞受賞。13回全州国際映画祭でも注目を集めたそうです。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[7月27日(金)~29日(日)] ★★★

         韓国アクション「泥棒たち」が一気に200万人を超えトップに

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(13)・・泥棒たち(韓国)・・・・・・・・・・・・・・7/25 ・・・・・・・・・・・・・2,004,184・・・・・・・・・2,866,811・・・・・・・・20,737 ・・・・・1,073
2(1)・・ダークナイト ライジング ・・・・・・・・7/19・・・・・・・・・・・・・・・891,008・・・・・・・・・4,256,262 ・・・・・・・・31,480・・・・・・・807
3(35)・・アイス・エイジ 4 大陸移動説・・7/25 ・・・・・・・・・・・・・・359,128 ・・・・・・・・・・470,768 ・・・・・・・・・3,651・・・・・・・501
4(29)・・怖い話(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・7/25・・・・・・・・・・・・・・・・91,890 ・・・・・・・・・・141,071 ・・・・・・・・・1,046・・・・・・・274
5(2)・・ヨンガシ(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・7/05・・・・・・・・・・・・・・・・75,902・・・・・・・・・4,411,349 ・・・・・・・・31,460・・・・・・・261
6(3)・・名探偵コナン・・・・・・・・・・・・・・・・・7/19・・・・・・・・・・・・・・・・72,203 ・・・・・・・・・・329,882 ・・・・・・・・・2,188・・・・・・・211
     11人目のストライカー(日本)
7(30)・・ドラえもん のび太と奇跡の島(日本)・・7/25 ・・・・・・・・・45,187 ・・・・・・・・・・・58,340 ・・・・・・・・・・・376・・・・・・・180
アニマルアドベンチャー
8(4)・・アメイジング・スパイダーマン ・・・6/28 ・・・・・・・・・・・・・・・・9,572・・・・・・・・・4,840,651 ・・・・・・・・41,073・・・・・・・・45
9(8)・・ミッドナイト・イン・パリ ・・・・・・・・・・7/05 ・・・・・・・・・・・・・・・・8,143 ・・・・・・・・・・293,979・・・・・・・・・・2,169・・・・・・・・38
10(新)・・ソテジ8集:398日の記録(韓国)・・7/27 ・・・・・・・・・・・・・・5,326・・・・・・・・・・・・・5,326 ・・・・・・・・・・・・43・・・・・・・・・1
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 1・3・4・7・10位の5作品が新登場です。4位以下の動員数の伸び悩みはテレビの五輪中継の影響?
 1位「泥棒たち」は公開初日の25日に43万6628人の観客動員数を記録。これは「グエムル-漢江の怪物-」の39万5951人を超えて歴代韓国映画の最高値だそうです。公開5日で287万人というのも歴代トップ。しかしここにきて急に失速の「ヨンガシ」の状況を見るに、問題はこれからかな? マカオのカジノに隠されたダイヤモンド「太陽の涙」を盗もうとする5人の泥棒集団を描いた犯罪アクションで、出演陣は最近では「哀しき獣」や「ワンドゥギ」に出てたキム・ユンソク、最近では「ハウスメイド」に出ていたイ・ジョンジェ、最近では「2階の悪党」に出てたキム・ヘス、最近ではドラマ「太陽を抱いた月」に出てたキム・スヒョン、そして最近では結婚式を挙げたチョン・ジヒョンと豪華。
 3位「アイス・エイジ 4 大陸移動説」は上述しました。
 4位「怖い話」は、タイトル通りのホラー。怪しい宅配員の訪問と玄関を開けまいとする兄弟の心理対決、連続殺人犯が乗った飛行機内の事件、血の繋がっていない兄弟の欲と嫉妬、救急車の中でウィルス感染の疑いのある患者との葛藤という、4作品からなるオムニバスです。青少年観覧不可のわりには出足好調、との評もあり。原題は「무서운 이야기」。
 7位「ドラえもん のび太と奇跡の島」は6位「名探偵コナン」等とともに韓国でも定番の人気アニメ。日本では今年3月公開。韓国題は「극장판 도라에몽:진구와 기적의 섬 애니멀 어드벤처」。韓国ではのび太は「ジング」といいます。最近メガネを外した彼のハンサム顔の画像が「ジングの裏切り」というタイトルを付けられて流布している、という情報があったぞ。(→コチラ。)
 10位「ソテジ8集:398日の記録」は、歌手ソテジの8thアルバム「Atomos」制作の全過程と、アルバムの活動を終了するまでの398日間の記録を収めたドキュメンタリー。「サニー 永遠の仲間たち」で注目されたシム・ウンギョンがソテジの大ファンなんだそうで、海外留学生活の休暇期間にナレーションとして参加したとのことです。じきDVDが発売されるようですよ、って映画はDVDのハイライトなのか。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(16)・・少年は残酷な弓を射る・・・・・・・・・7/26 ・・・・・・・・・・・・・・・3,783 ・・・・・・・・・・・・・・5,640 ・・・・・・・・45・・・・・・・・・・17
2(13)・・ぴちぴち(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・7/25・・・・・・・・・・・・・・・・3,694 ・・・・・・・・・・・・・・5,319 ・・・・・・・・36・・・・・・・・・・50
3(1)・・二つの扉(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・6/21 ・・・・・・・・・・・・・・・1,692 ・・・・・・・・・・・・・61,741 ・・・・・・・424・・・・・・・・・・28
4(2)・・嵐が丘・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/28・・・・・・・・・・・・・・・・・・595 ・・・・・・・・・・・・・21,906 ・・・・・・・153・・・・・・・・・・・6
5(5)・・カフェ・ド・フロール・・・・・・・・・・・・・・・7/19 ・・・・・・・・・・・・・・・・・317 ・・・・・・・・・・・・・・2,007・・・・・・・・・13・・・・・・・・・・・5

 1位「少年は残酷な弓を射る」と2位「ぴちぴち」が初登場。どちらも上述しました。
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韓国のTV番組 週間視聴率ベスト20(2012年7月23日~29日)

2012-07-30 21:14:35 | 韓国のTV番組 週間視聴率ベスト20
 2ヵ月に1回の記事です。前回は→コチラ

 データの出所は韓国の視聴率調査機関TNmSのサイトです。

 今回はベスト20のうち9つがロンドン五輪の中継。韓国もテレビ漬けになってる人が多そうですね。・・・って日本ではどうなんだろ? 思い起こすに、東京オリンピックの時には国民こぞって盛り上がっていたなー・・・、なんて何10年昔の話だ!? 2020年のオリンピックについて、3都市の地元市民の支持率はイスタンブール73%、マドリード78%、東京47%。石原都知事は「東京のオリンピックが実現したら都民は来なくてもいい」と語ったそうですが、この数字は良くも悪くも、日本人が時代を先取りしてるってことでしょうかねー。

【7月23日(月)~29日(日)】

①週末連続ドラマ「タナボタのあなた[넝쿨째 굴러온 당신]」(KBS2)  33.3%
 今回も高視聴率を維持して圧倒的1位。

②ロンドン五輪・サッカー男子予選B組「韓国vsメキシコ」[런던올림픽<축구>-대한민국:멕시코](KBS2)  26.0%
 26日B組中最強と目されるメキシコ相手に0-0の引分け。内容的には終始押していたとか。ま、日本も7月21日メキシコに勝ってますが・・・。昨日の第2戦では韓国はスイスを2-1で下し、メキシコとともに1勝1分けとなりました。日本では対スペイン戦の視聴率は関東地区で前半25.9%後半26.0%、瞬間最高は28.7%だったそうです。

③ロンドン五輪・水泳男子400m自由形予選[런던올림픽<수영>400M자유형-예선](MBC)  24.4%
 昨年の水泳世界選手権400m自由形の覇者、韓国期待の朴泰桓(パク・テファン)選手が、予選でまさか失格判定とは! その後の抗議が容れられたものの、決勝ではライバルの孫楊(中国)に敗れ、連覇はならず。韓国民の皆さんも悔しいだろうなー。この種目、昔は山中毅選手が世界記録(4分16秒6)を樹立したなんてこともありましたが(古い!)、今回の優勝タイム(3分40秒14)はそれより36秒も早いんですねー。

④ロンドン五輪・水泳男子200m自由形予選[런던올림픽<수영>200M자유형-예선](MBC)  23.2%
 朴泰桓選手、200m自由形では予選と準決勝は順当に通過したものの、トップではないし、やっぱり孫楊が強そう。他にも強敵は何人も・・・。決勝は日本時間で31日03:43。どうなるかな?

⑤ギャグコンサート[개그콘서트](KBS2)  23.2%
 視聴率は上がったが順位は2つダウン。オリンピックじゃしょうがないかも。

⑥日日連続劇「星も月も取ってあげる[별도달도따줄게]」(KBS1)  23.0%
 コチラも視聴率アップで順位は2位からダウン。

⑦KBSニュース9(KBS1)  19.4%

⑧ロンドン五輪・水泳・柔道[런던올림픽<수영 유도>](MBC)  16.8%
 男子66キロ級。海老沼匡と韓国のチョ・ジュンホの準々決勝は延長戦でも勝負はつかず、3審判の旗判定に。青旗3本が上がってチョ・ジュンホが勝ったと思ったら、会場から大きなブーイング(日本の応援客?) 日本のコーチ陣が激しく抗議すると、審判委員長はビデオ画面を見て審判を集めて協議。そして元の場所に戻った審判3人は今度は皆白旗を上げた、というわけで海老沼が勝者に。
たとえば→コチラでその一戦を見ることができますが、これは判断がむずかしいなー。まあどちらに旗が上がっても、負けた側は釈然としないだろうなー。

⑨水木ドラマ「カクシタル[각시탈]」](KBS2)  16.7%
 2ヵ月前の記事で少し紹介したように、5月30日にスタートした往年の人気漫画(「食客」の漫画家ホ・ヨンマンの1974年の作品)が原作。チュウォン主演
「각시」は花嫁、「탈」は仮面。日帝時代が背景となると、歴史の見方が案の定問題になるようですね。<「カクシタル」ヒーロー遊びが人気!>なんてニュースは微笑ましい(?)ですが・・・。豊川善曄なんて人物は、私ヌルボ初めて聞きましたね。1930年代、興亜研究所の教育者だったという彼は「日本の首都を東京から京城に移そう」と主張した、とか。日本人800万を京城に移住して、朝鮮人800万人は満州に移住させろと・・・。この件の関連記事は→コチラ

⑩KBSニュース広場(KBS1)  16.7%

⑪ヒーリングキャンプ うれしいじゃないか?[힐링캠프 기쁘지아니한가](SBS)  15.7%
 キム・ジェドン等がMCを担当しているトークショー。23日の放送では、大統領選の焦点の人・安哲秀氏が出演してこの番組の最高視聴率を記録。(→関連記事) しかし肝心の出馬については依然として意志を明確に表明してないようですよ。進歩陣営支持者の皆さん、いいかげんジリジリしてきてるんじゃないの?

⑫ハッピー・サンデー[해피선데이](KBS2)  15.7%

⑬ドラマスペシャル「幽霊[유령]」(SBS)  15.5%
 「屋根部屋の皇太子」の後続番組。5月30日スタートの水木ドラマではKBS2「カクシタル」に少し後れをとってしまいました。ソ・ジソプとイ・ヨニ主演で、サイバー捜査隊員たちの哀歓と活躍を描いたドラマ。「DDoS攻撃」が出てくるのか、やっぱり。「男男カップル大きな反響」なんて記事もあったぞ。

⑭「全国歌自慢[전국노래자랑]」(KBS1)  15.5%

⑮ロンドン五輪・射撃男子・10mエアピストル 決勝[런던올림픽<사격>10M권총](KBS2)  15.0%
 日本ではなじみの薄い種目ですが、韓国射撃の看板スター秦鍾午(진종오.チン・ジョンオ)選手が期待に応えて韓国最初の金メダルを獲得しました。

⑯ロンドン五輪・射撃男子・10mエアピストル 金メダル授賞式[런던올림픽<사격>10M권총 금메달시상식](KBS2)  15.0%
 あら、⑮とは別扱いになるの?

⑰朝ドラマ「天使の選択」[천사의선택](MBC)  14.6%
 配偶者に裏切られ傷ついた兄弟姉妹が家族愛で団結し愛と幸せを取り戻す・・・、なんて漠然とした内容紹介だなー。詳しく書いているように見える記事は自動翻訳で意味不明だし・・・。やっぱり、野望とか復讐心を抱いてる人物が登場するわけね。

⑱ロンドン五輪・開会式 2部[런던올림픽 개회식<2&#48512;>](KBS1)  14.3%
 日本での平均視聴率は、関東地区で24.9%だったそうです。瞬間最高視聴率は、聖火が点火された直後の38.4%。この日韓の差はなぜ?

⑲ロンドン五輪・アーチェリー・柔道[런던올림픽<양궁
유도>]
(KBS2)  14.2%
 アーチェリー(洋弓.양궁)も韓国では人気種目。女子団体は7連覇を達成。しかし男子団体は銅メダルで4連覇ならず。

⑳ロンドン五輪・射撃男子・10mエアピストル 決勝[런던올림픽<사격>10M권총](SBS)  14.1%
 KBS2と同時に放映していたのかな?
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斉藤博子「北朝鮮に嫁いで四十年-ある脱北日本人妻の手記」を読む

2012-07-29 23:52:52 | 北朝鮮のもろもろ
          

 ほんのちょっとした偶然が運命を大きく左右する事例は、身近な人たちの間にもいくつもあります。恋愛結婚で互いが知り合ったきっかけを聞くと、たまたまそこに居合わせたという偶然の機縁はめずらしくもなんともないですね。
 しかし、それらの分岐点で別の道を歩んでいたとしても、おおかたは将棋でいうところの「一局の将棋」となるのではないでしょうか。

 しかし、1941年に生まれで、中卒後地元の東洋レーヨンに勤めていた鯖江市の斉藤博子さんの場合は、1958年11月15日同僚の男性に連れられてダンスホールに行ったことが、その後の彼女の運命を大きく決定づけてしまう結果となりました。それがどんなに大きな人生の岐路だったか、その時点でわかるわけはありませんでした。 
 そのダンスホールで、たまたま一男性と知り合います。そして彼がたまたま在日朝鮮人だったことが、より直接的な運命の分岐点でした。彼に気に入られ、斉藤さんは翌59年結婚します。おりしも北朝鮮への帰国事業が始まった年で、婚家も北朝鮮に行くことを決め、斉藤さんも迷いもありましたが、夫は「首に縄をかけてもお前を連れて行く」と言い、自分も生まれて間もない娘と別れることはできない、と考えて北朝鮮に渡ることを決意します。

 斉藤さんの体験記北朝鮮に嫁いで四十年」(草思社.2010)には、以下1961年6月16日一家10人が新潟から乗船して北朝鮮の清津港についてからの斉藤さんの生活が具体的に書かれています。
 おおよそはこれまで読んだ北朝鮮本に書かれている通りですが、その関係の本を読んだことのない人には衝撃的な内容だと思います。
 とくにこれはと思ってメモした部分を列挙します。

 清津入港の瞬間から、帰国者たちはたぶん皆、「騙された」という衝撃に襲われます。「朝鮮の子どもたちは下は裸で、肌は汚れて黒い」し、空腹の自分たちに支給されたものは「ご飯でなく食べられそうもないお菓子」等々。
 一家が中国との国境の町恵山(ヘサン)に着いたのが6月30日。以後の生活はというと、日本とはかけ離れすぎていて、そのひどい状況も実感がわかないほどです。
 食糧は乏しく、電気も水道も満足にこない。娯楽もない。公開処刑を見せられたことも数回。(最初は3人が政治犯で2人が泥棒だった。)
 夫はメガネ工場の社長になったり、実家からの送金もあったりで、100%悲惨だったわけではないにしても・・・。
 実家からの送金(20万円)は朝鮮では1600ウォン相当。450ウォンでサンヨーテレビを買ったら、毎日近所の人が大勢見にきます。(かつて日本にもそういう時代はあったが。) しかし帰る時に、前にある農民大学寄宿舎の大学生が服や靴を盗んで行ったとか・・・。

 90年代に入り、斉藤さんの生活は一段と苦しくなります。
 1993年に実家の父が亡くなって送金は途絶え、翌94年は夫が死亡し配給もなくなります。
 1994年7月8日の金日成死去の時は、「行かないと悪者になる」ということで翌朝早く銅像に拝みに行きますが、そのために遠い山に供える花を探しに行ったりします。(15日間も!)
 90年代半ば以降の<苦難の行軍>の頃の悲惨な状況は、いくつもの本で伝えられていますが、本書でも、街などで目にした行き倒れの人の遺体や、浜辺で多くの餓死者が埋葬されるようすが記されています。

 この本でも、困難な中で生き抜く人たちの姿が描かれています。とくに女性。斉藤さんも、次女や3女とともにアカ(銅線)や煙草の密売をやったりもします。
 この本を読んだ人のブログ記事の多くで取り上げている衝撃的なエピソードを、私ヌルボも紹介します。
 ある日、汽車の中で警察によるヤミ商売の摘発に遭い、斉藤さんは帰国者ということで「もういいです」と言われてことなきを得ますが、赤ちゃんを連れた別の若い女性がいて、車内で何時間も泣かなかったその赤ちゃんは実は死んでいたのです。警官の指示で服を脱がせると、赤ちゃんのおなかに穴が開いていて、そこに銅線が隠されていたとか・・・。

 その時期の、生きていくための知恵と精神力、体力は言葉では表すことができません。
 夜1時間半歩いた所にある田んぼの稲穂を、用意したハサミで切ってリュックに入れ、チョグという鉄製の道具で搗く。その米でのり巻きを作り1本10ウォンで市場で売る、とか、
 そんな米泥棒だけでなくトウモロコシ泥棒もやったり、パンを作って売ったり、海でハマグリを拾ったり、ドングリで酒を造ったり等々。
 なんか、前近代的な社会というか、市場経済の黎明期といった感じです。
 当時、斉藤さんとアパートの同じ階の女性が赤ちゃんを口減らしのため洗面器の水につけて殺してしまったのも目撃します。(斉藤さんは「隠蔽」に力を貸します。「朝鮮ではこんなことが沢山あるらしいが、自分がこんな経験をするとは思ってもいませんでした。」) 江戸時代の「間引き」(何といやな言葉か)を思い起こします。

 北朝鮮の人たちにとって、山はいろいろなものが得られる場所のようです。ジャガイモをふかして売るには薪をたくさん使いますが、市場で薪を買うと儲けにならないので山で薪を集めます。すると山は禿山にならざるを得ず、それで根を掘って燃料にするとか・・・。国境の向こうの中国側の緑の山や青々とした畑はうらやましく眺めるばかりです。
 前近代といえば、次男とともに山に畑を作る話。次男が「いい場所を見つけたよ」ということで、行って2人してしるしをつけるのです。自分の畑にするには「角々の草を刈って」しるしをつけておくと「誰も手をつけられない」というわけです。この国の土地の耕作権等はどうなっているのでしょうか?

 生き抜くための苦労を強いられたのは斉藤さんの2人の息子と4人の娘たちももちろん同様です。上述の次女はヤミ商売の摘発に遭って3年間収容所で服役します。(人間よりいい豚のエサからトウモロコシの粒をくすねた食べたとか。) 三女が栄養失調で死亡したこと、中朝国境を行き来していた長女も捕まって獄中死したことは日本帰国後に知ることになります。

 結局斉藤さんは脱北ブローカーの手引きで北朝鮮から中国に脱出します。彼女としては、国外に出て日本の実家に電話で連絡し、送金してもらうという心づもりだったのです。それが「日本に行ける」と聞いてそのまま2001年日本に戻ることになるのですが、その際ブローカーたちの求めに応じてその仲間の女性を娘と偽って入国させたこと等が後に発覚して2009年に逮捕されます。裁判の判決は懲役1年執行猶予3年。
 しかし、斉藤さんの置かれた状況を考えてみれば、そんな体制の北朝鮮から脱出して日本に戻ろうとすると、たとえば中国内の日本公館がどれだけ力になってくれるというのでしょうか? そんな厳しい状況だからこそ金銭や違法出入国めあてのブローカーがはびこるわけだし・・・。

 以上、1つ1つをとってもふつうの日本人の生活からは想像もつかないような斉藤さんの体験を紹介しました。これでも本書に書かれていることの一部なのです。
 もう1つだけ、私ヌルボが読んでいて心痛んだのが夫による凄まじい嫉妬(猜疑心)と暴力。朝斉藤さんと同じ会社の男性が一緒に行こうと言って来ただけで仲を疑い、ロープで縛って木からつるし、殴りつけて「白状しろ」と迫るとは常軌を逸しています。しかし義父も義母に同様の暴力を振るっていたので遺伝なのかとも思ったりするのです。梁石日が「血と骨」で描いたような暴力的な父親像はかなり一般的なものだったようです。

 帰国事業に際して「何ひとつ不自由なものはない」と喧伝された北朝鮮社会の実態は、まったく逆の「不自由でないものはない」社会でした。
 しかし、この本を読んで驚くのは、斉藤さんの記述に、体制や指導者への、あるいは自身の運命への恨みつらみがほとんど見られないことです。
 いつも目の前の所与の状況の中で、自分ができることをやっていく。そんな順応性が、彼女を生き延びさせたのかも、と思いました。過去の日本での生活や価値観に執着していたら、スパイ容疑等で処刑されたり収容所送りになったかもしれないし、また前近代的な経済社会で、食べ物や小金を得る現実的な才覚がなければ餓死していたでしょうし・・・。
 斉藤さんの帰国後の生活もとても気になります。約200人ほどという日本で暮らす脱北者の人たちに対する継続的な支援体制はどこまで大丈夫なのでしょうか?

 斉藤さんのような帰国日本人妻の証言が貴重なことはいうまでもありません。日本人だけでなく、韓国の人たちや国際社会にとっても。(毎度思うことですが、慰安婦問題のせめて半分でも関心を持ってほしいものです。) 民間団体だけでなく、国やマスメディアももっと目を向けるべきだと思います。

※YouTubeで、斉藤さんご自身の証言がupされていました。(→コチラ。3回に分けられています。)
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明治末の朝鮮語学習書「韓語通」をめくってみる

2012-07-25 23:31:15 | 韓国語あれこれ
 本ブログ2009年8月30日の記事で書きましたが、8月29日は韓国の「国恥日」。1910年「韓国併合に関する条約」の実施日です。
 先日たまたまネットサーフィンでゆきあたった近藤典彦さんの「石川啄木韓国併合批判の歌 六首」という記事によれば、「この詔書は30日に各新聞が報道するのであるが、啄木は(月曜日が非番でない限り)29日のうちに30日の新聞を読み、併合の詔書をも読んでしまったはず」で、「同じ29日の夜啄木は「時代閉塞の現状」を書き始めたと推定される」とのことです。
 そして9月9日夜、「大日本帝国の全版図」と「新版図朝鮮」の2枚の地図の載った8月30日の東京朝日新聞を取り出すか思い浮かべるかして、あの有名な「地図の上朝鮮国に黒々と墨をぬりつつ秋風を聞く」等の歌を作った、と近藤さんは推察しています。

 この記事には、上記2枚の地図の載った新聞記事の画像の他、同じ紙面の朝鮮関連の広告の画像も付いています。
 そのうちの1つが下の画像。

   
    【韓国併合を伝えた1910年8月30日「東京朝日新聞」掲載の広告。宣伝文にも注目。】

 「日韓合邦」に好機到来とばかりに、朝鮮という「閉ざされたる宝庫」を開ける鍵が「即ち韓語大成及び韓語通の二書」で、「此二書だにあらば八道山河到る處は横行して富を攫むを得べき也」となんと実にあからさまに宣伝しています。

 横浜市立図書館で蔵書検索したところ、「韓語通」の方がありました。「前間恭作著作集」(全2巻.1974年)の上巻に収められたものです。(下の画像)

     

 中を見ると、品詞ごとに大別した上で諸用法を多数の例を示して詳述していて、なかなかレベルの高い語学書です。

    
      【「韓語通」の本文の冒頭部分。】

 そして約360ページ中の最後の26ページ分が会話例になっています。

 最近、本ブログ7月13日の記事で朝鮮総督府発行の「朝鮮旅行案内」中の朝鮮語会話は「上から目線」ではないか、と書いたところ、askさんから「大人の間で軽微な敬意を表す「ハオ体」ではないか?」とのご指摘がありました。
 それで日本語と韓国語を照らし合わせながら見ていくと、なるほど「オレ キダリョッソ」とか「タ テヨッソ」の末尾は「소」だし、訳文も「久しく待ちました」、「出来ました」とていねいな形になっています。

   
      【ハングルの表記法も今とはかなり違います。】

 ・・・ということで、先の記事で「上から目線」と書いたのは私ヌルボの早とちりだったですね。

 実は、本ブログ2009年10月4日の記事でも、1930年発行の奥山仙三「朝鮮語大成」について、会話文例が植民地統治の役人用テキストらしい上から目線であると書きました。コチラの場合は再度見たところ、やっぱり訂正の必要なし、と判断しました。

 「韓語通」は、「朝鮮旅行案内」同様googleブックでも見ることができます。(→コチラ。)
 また、国立国会図書館のサイトの「近代デジタルライブラリー」中にもあります。(→コチラ。)

 <かじりたてのハングル>の中の掲示板(→コチラ)に、国立国会図書館のサイトの「近代デジタルライブラリー」で公開されている明治・大正期の韓国・朝鮮関連の書籍がリストアップされていました。全部で47点、かな?
 「日清・日露戦争で朝鮮に駐留していた軍人向けと思われるカタカナ会話本もいくつかあったのですが、韓語学習書の欄には含めていません」とのこと。それもちょっと見てみたいなー、なんて言ってたら、時間がいくらあっても足りないぞ。韓国語の基本能力も、脳自体のスペックも足りないか、あーあ。
 近代デジタルライブラリーは→コチラ
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[7月20日(金)~22(日)]

2012-07-24 23:58:05 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 「サニー 永遠の仲間たち」が首都圏では新宿武蔵野館1館ながら、ず~っと上映中。観て感動した人たちによるクチコミで、小規模とはいえ客足が絶えないという状況なんでしょうね。最初からもっと大々的に宣伝して、多くの映画館で公開すればよかったのにねー。8月25日からは、私ヌルボ行きつけのシネマ・ジャック&ベティでも上映します。シネマ・ジャック&ベティでは同日梁英姫(ヤン・ヨンヒ)監督「かぞくのくに」も始まります。これも期待大! 「ハロー!? ゴースト」や「プンサンケ(豊山犬)」も今後上映予定だし、韓国映画以外にもヌルボ好みの映画がどっさり。ホントにたよりになる映画館です。

 さて、韓国映画情報を探っていたら、「隣人(이웃사람)」というホラー映画が8月23日公開とのこと。これってもしかして、と思ったら案の定人気ウェブ漫画家カンプルの原作なんですね。6月18日の<Kスタイル>の記事(日本語)には7月公開とありますが、遅くなったのかな? ホラーなのに8月下旬公開とはねー。「冬の小鳥」「アジョシ」のキム・セロンも出演。また誘拐されちゃうのか・・・。
 この原作と映画についての韓国ブログ記事に関係画像いろいろ。
 そこに、下の画像とともに記されているのが映画化されたカンプル作品の数々。「アパートメント(아파트)」「ばか(바보)」「純情漫画(순정만화)」「痛み(통증)」「あなたを愛しています(그대를 사랑합니다)」の5作品ですが、実はヒットしたと言えるのは昨年(2011年)公開の「あなたを愛しています」のみ。彼の作品に共通する緻密な構成の群像劇が、映画ではうまく描ききれないのでは、というのが私ヌルボの見方です。「あなたを愛しています」はそれから外れる純愛物なのが良かったのでしょう、たぶん。(ぜひ日本公開してほしい! 「老年者の」純愛物、という点に先入観を持たないで。)
 私ヌルボは「痛み」以外は全部読みましたが、「隣人」も緻密度はそんなに高くはなかったという印象があります。が、衝撃度・感動度は今ひとつだったような・・・。もちろん原作は、の話ですが。

      
   【上から「純情漫画」、「アパート」、「ばか」「タイミング」、「26年」、「隣人」「あなたを愛しています」。】

 カンプルの代表作をミックスした上の画像の中で、「26年」については、今年1月8日の本ブログ記事で書いたように、2008年映画化が企図されながらも挫折した後、今年に入り「再び製作の見通し」が伝えられました。今回も必ずしも資金面で困難な状況はあるようですが、6月末の「スポーツ朝鮮」の記事(韓国語)等によると、製作側は公式サイトを通じてまた資金集めに乗り出し、「7月から本格的な撮影を開始する予定」とのことです。漫画としてはドラマティックで読み応え十分の作品でしたが、微妙な内容でもあるので、もし映画が完成したら話題をよぶのではないでしょうか?

          ★★★ Daumの人気順位(7月24日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①ヤコブへの手紙  9.5(23)
②語る建築家(韓国)  9.4(53)
③Delicacy  8.7(46)
④石打ち刑  8.7(40)
⑤名探偵コナン 11人目のストライカー(日本)  8.6(33)
⑥ベスト・エキゾチック・マリーゴールド・ホテル  8.5(150)
⑦ダークナイト ライジング  8.3(1467)
⑧ブルーバレンタイン  8.3(65)
⑨2度の結婚式と1度の葬式(韓国)  8.3(163)
⑩The Cabin in the Woods  8.3(993)

 新登場は⑤と⑦の2作品が。
 ⑤「名探偵コナン 11人目のストライカー」は日本では今年4月に公開。韓国題は「명탐정 코난:11번째 스트라이커」。
 ⑦「ダークナイト ライジング」は日本公開は7月28日。韓国題は「다크 나이트 라이즈(ダークナイト ライジュ)」です。ちなみに原題は「The Dark Knight Rises」。ビミョーに違う。私ヌルボ、先週「TORNAMENT」という実にマイナーな映画を観に行った時、開映前のしょーもないハリウッド大作の予告編オンパレードの中で、この予告編だけは印象に残りました。といっても8割方は音楽(ハンス・ジマー)の魅力ですけど。

【専門家による順位】

①The Future  8.0(1)
②ミッドナイト・イン・パリ  7.8(7)
③嵐が丘  7.7(4)
④よその国で(韓国)7.6(6)
④二つの扉(韓国)  7.6(6)
⑥The Cabin in th e Woods  7.5(6)
⑦石打ち刑  7.0(3)
⑧ジョージ・ハリスン リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド  7.0(2)
⑨毛皮を着たヴィーナス(韓国)  7.0(1)
⑩ブルーバレンタイン  6.7(4)

 新登場は⑧だけ。日本では昨年(2011年)11月に公開されました。韓国題は「조지 해리슨」。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[7月20日(金)~22日(日)] ★★★

         「ダークナイト ライジング」が他を圧倒

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・ダークナイト ライジング ・・・・・・・7/19・・・・・・・・・・・・・1,992,225・・・・・・・・・2,434,056 ・・・・・・・・17,989 ・・・・・1,210
2(1)・・ヨンガシ(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・7/05・・・・・・・・・・・・・・・495,164・・・・・・・・・4,172,928 ・・・・・・・・29,811・・・・・・・534
3(新)・・名探偵コナン・・・・・・・・・・・・・・・・7/19・・・・・・・・・・・・・・・190,414 ・・・・・・・・・・204,497 ・・・・・・・・・1,324・・・・・・・350
     11人目のストライカー(日本)
4(2)・・アメイジング・スパイダーマン ・・・6/28 ・・・・・・・・・・・・・・189,844・・・・・・・・・4,779,704 ・・・・・・・・40,625・・・・・・・357
5(37)・・500万ドルの男(韓国)・・・・・・・・・7/19 ・・・・・・・・・・・・・・・63,945 ・・・・・・・・・・・79,795 ・・・・・・・・・・・569・・・・・・・328
6(3)・・二つの月(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・7/12 ・・・・・・・・・・・・・・・59,429・・・・・・・・・・・398,617・・・・・・・・・・2,762・・・・・・・238
7(5)・・ももへの手紙(日本) ・・・・・・・・・・・7/05 ・・・・・・・・・・・・・・・30,825 ・・・・・・・・・・294,196 ・・・・・・・・・1,949・・・・・・・109
8(7)・・ミッドナイト・イン・パリ・・・・・・・・・・7/05 ・・・・・・・・・・・・・・・25,590・・・・・・・・・・・268,138・・・・・・・・・・1,980・・・・・・・・92
9(8)・・マダガスカル3・・・・・・・・・・・・・・・・6/06 ・・・・・・・・・・・・・・・11,434 ・・・・・・・・・1,621,890 ・・・・・・・・12,479 ・・・・・・・52
10(4)・・私は公務員だ(韓国) ・・・・・・・・・7/12 ・・・・・・・・・・・・・・・・7,429 ・・・・・・・・・・・214,083 ・・・・・・・・・1,512・・・・・・・・95
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 1・3・5位の3作品が新登場です。「ヨンガシ」は2位に落ちましたが、もう400万人突破。
 1位「ダークナイト ライジング」は前述のように日本でも28日公開されます。
 3位「名探偵コナン」は、日本映画としてはめずらしく3位に食い込みました。
 5位「500万ドルの男」は韓国のコメディ。大企業のエリート部長(パク・ジニョン)は、常務(チョ・ソンハ)の命令でロビー資金500万ドルを届けに行った際、暴漢の襲撃を受ける。実兄のように思っていた常務が自分を殺して金を引き出そうとしたことを知った彼は、金の入った鞄を持ったまま逃げることになり、偶然出会った不良少女(ミン・ヒョリン)となぜか行動を共にする・・・。原題は「5백만불의 사나이」。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・二つの扉(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・6/21 ・・・・・・・・・・・・・・・4,449 ・・・・・・・・・・・・・55,799 ・・・・・・・383・・・・・・・・・・36
2(2)・・嵐が丘・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/28・・・・・・・・・・・・・・・・1,341 ・・・・・・・・・・・・・20,231 ・・・・・・・142・・・・・・・・・・13
3(4)・・Delicacy・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/14・・・・・・・・・・・・・・・・・964 ・・・・・・・・・・・・・30,415・・・・・・・・233・・・・・・・・・・・4
4(3)・・2度の結婚式と・・・・・・・・・・・・・・・・・6/21 ・・・・・・・・・・・・・・・・・915 ・・・・・・・・・・・・・48,323 ・・・・・・・361・・・・・・・・・・10
       1度の葬式(韓国)
5(新)・・カフェ・ド・フロール・・・・・・・・・・・・・・7/19・・・・・・・・・・・・・・・・・385 ・・・・・・・・・・・・・・1,318 ・・・・・・・・・・8・・・・・・・・・・・4

 前週のランクとの食い違い、原因究明しなければ・・・。
 今回の初登場は5位「カフェ・ド・フロール」だけ。今年3月沖縄国際映画祭でも上映されたカナダ・フランス合作映画。60年代、ダウン症の子どもを抱えたパリの若い母親。そして現代、恋人と暮らしながらも初恋の女性が脳裏から消えることのないモントリオールの男性DJ。別の時代、遠く離れた場所にいながらも、ミステリアスに結びついた男女の、暗く壮大な愛の物語だそうです。カフェ・ド・フロールはパリの有名なカフェ。サルトルがここの2階を書斎兼応接間にしていたとか。韓国題は「카페 드 플로르」。観た人は一般公開を望んでいるようですが、今のところ未定です。
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横浜のコリアタウンで、メロナ(韓国の人気アイスバー)を買って食べる

2012-07-24 16:57:44 | 韓国料理・食べ物飲み物関係
 6月7日の記事でピングレのバナナミルク(바나나맛우유)を紹介しました。

 同じピングレの人気商品にMELONA(메로나.メロナ)」というアイスバーがあります。

 2010年9月の「中央日報」の「外国人の味覚を魅了した「メロナ」 輸出急増」という記事によると、「世界30ヵ国に輸出」されていて、「外国人が好むメロン味で、各国で人気」なのだそうです。
 またコリア・ブランド・ネットの「ピングレの「メロナ」、夢を抱いて世界市場へ挑戦」という記事によると、1992年韓国で発売されたメロナは「その年の10大ヒット商品に選定される程、高い人気を集め」、最近では「ニューヨークのマンハッタンに上陸してニューヨーカーの味覚を刺激」し、「ブラジルでは食生活に大きな変化をもたらした日本の寿司に続き、メロナがブラジルのデザート・嗜好食品文化に新鮮な風を吹き込んでいる」とか、あるいは「香港、台湾、シンガポールでは、輸出開始7ヶ月目にして輸入アイスクリーム部門の1位を記録」とか、いろいろ記されています。

 ・・・ということで、私ヌルボもその名は知っていたのですが、日本では一般の店では売っていなくて、なぜだか今まで韓国でも食べたことはありませんでした。

 ところが、先日たまたま横浜のコリアタウンで見つけ、さっそく買って食べてみました。

    
    【これはバナナ味。他にマンゴー、メロン、イチゴがあります。】

         
          【メロナ以外の商品もきっちり見てくるべきだったなー。】

 で、味はというと、ネットリして甘い・・・といってもそんな極端なものでもなく、フツーの範囲内、といった感じでしょうか。

 個人的にコンビニ(低価格)アイスの歴史をふり返ってみるに、インスタントラーメン史におけるカップヌードルや中華三昧のような、あるいはせんべい史におけるぬれせんべいのような画期的な商品というと、雪見だいふく(1981年発売)とか同じロッテの爽バニラ(1999年発売か・・・)あたりでしょうか。チョコモナカジャンボはどうかな?
 ・・・と、ここらへんと比べてしまうと、日本のアイス好きにとってメロナは衝撃度には欠けるのではないかなー? (ということが言いたかった。)
 しかし、職安通りの韓国広場で買って食べて「ピングレ社の「メロナ」旨すぎ」という感動のブログ記事を書いている人もいるし、ヌルボも一応美味しい部類には入れているので、またこんど行ったら他の種類を食べてみようとは思っています。

 ところで、上記の横浜のコリアタウンとは、伊勢佐木町から脇に入った福富町辺りの韓国ショップや食堂が店をつらねている一帯。以前から小さな店は散在していましたが、この10年ほどの間(?)に新しい店も増え、ハングルの看板が目につくようになってきました。→コチラを参照されたし。

     
【メロナを買った7(セブン)(左)と、その筋向かいで同じく食品やDVD等を販売しているLee mart。TV番組のDVDは1枚200円。】

     
       【平日の午後3時頃のようす。今年2月8日撮影。】

  
        【夜の横浜コリアタウン。今年2月8日午後6時30分頃。】
コメント (2)
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[韓国の食べ物]うーん、この「トンパン」、食欲をそそられる!? ②トンチミは人気キャラ・タルギの仲間

2012-07-19 17:16:48 | 韓国料理・食べ物飲み物関係
 先の記事の最後で少しふれましたが、トンパン(うんこパン)と一緒にタルギパン(いちごパン)が売られているのは、うんこキャラのトンチミ(うんこ君)がいちごキャラのタルギちゃんの仲間だからなんですね。

       
   【タルギちゃん。「딸기(タルギ)の英語表記はttalgiなのに、なぜか「DALKI」となっています。】

 韓国サイトの中で、「韓国を代表する地元キャラクターの強さ-タルギ」という記事がありました。それによると、次のような韓国の4大国産キャラクターがあるそうです。
     
①プッカ(뿌까)・・・・・・・・・1997年7月7日生まれ。巨龍飯店の一人娘。売上規模3600億ウォン。170余ヵ国に輸出。150余ヵ国でTV放映。キャラクター商品2000余種。
②ポロロ(뽀로로)・・・・・・・2003年11月27日生まれ。好奇心旺盛なペンギン。売上規模4000余億ウォン。世界90余ヵ国に輸出。日・仏等17か国でTV放映。キャラクター商品2000余種。
③マシマロ(마시마로)・・・・2001年2月13日生まれ。猟奇ウサギ。17カ国に輸出。売上規模4000億ウォン。
④ドゥリー(둘리)・・・・・・・1983年4月22日生まれ。白亜紀末期の恐竜。住民登録番号830422-100000。富川市名誉市民。売上規模15余億ウォン。

 ・・・なるほど。私ヌルボ、③と④は漫画で知っていたなー。
 韓国のキャラクター事情については、ここでは深入りしません。

 で、この記事によれば、タルギは「キャラクターを通じた文化マーケティングにおいては国内最高との評価を得ている」ということだそうです。
 つまり、元は漫画・アニメ等ではなくて、(株)サムジが当初からトータルアクセサリーブランドとして送り出したもので、タルギの肩書きは「어린농부(オリン ノンブ.幼い農夫)」。
 だから仲間も下の絵のように農産物たちなんですね。そして有機農法だから、肥料としてうんこ君もその中に入ってるというわけでしょう。
     
   【左からタルギ(いちご)、バナナ、トルパム(石栗)、スバク(西瓜)、レモン、そしてトンチミ(うんこ君)。】

 近年、(たぶん日本の70年代以降の世相のように)環境保護、ウェルビーイング(웰빙)といった健康的でナチュラルで、軽やかなものが求められる風潮ににマッチして、このタルギというキャラクターの人気も高まってきたということのようです。
※タルギの公式サイト英語版(→コチラ)の絵に、そんな雰囲気がよく表れています。(韓国版は→コチラ。)
 (株)サムジでは、子どもたちを対象に田畑芸術学校というのもやっているんですね。(→コチラ.日本語自動翻訳)
※参考:チョン・ホギュン(株)サムジ代表のインタビュー記事(韓国語)→コチラ
 あら、映画「無防備都市」や「仁寺洞スキャンダル」の制作にもかかわっているのか。(←サムジ・アイビジョン映像事業団)

 その間、坡州(パジュ)のヘイリ芸術村の中にはタルギのテーマパークができ、また蚕室オリンピック公園や永登浦タイムスクエア等には딸기가 좋아(タルギガチョア.タルギが好き)というキッズカフェが設けられています。

※<コネスト>内の永登浦タイムスクエアのタルギがチョア関係の記事は→コチラコチラ
※タルギがチョアの公式サイトは→コチラ(韓国語)
※ヘイリ芸術村に行った人のブログ記事→コチラコチラ

       
       【ヘイリ芸術村のタルギテーマパーク(左)と、COEXモール内のタルギSHOP】
  
              
 【永登浦タイムスクエア・タルギがチョアにあるトンチミ(左)と、仁寺洞のサムジキル内のトンパン店。日本人としては抵抗感が・・・。】

 タルギちゃんやその仲間のキャラクター商品もいろいろ。
 さるネット通販のサイトにも次のようなものがありました。
          
     【携帯ストラップ、タルギスタンプ、タルギバッグ。ほかにもいろいろあります。】

 たまたまおみやげ(?)のトンパンの袋をいただいたおかげで、私ヌルボ、今まであまりよく知らなかった韓国産のキャラクターについての知識をそれなりに仕入れることができました。
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[7月13日(金)~15日)]

2012-07-17 23:07:50 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 <シネマコリア>のメルマが届きました。しかし、まだ観ていない映画について、詳しすぎる記事を読むのもどうかと思うので、「トガニ 幼き瞳の告発」のFilm & Book Reviewは斜め読み、どころか直角読み・・・という言葉はないですね。しかし韓国映画ファンにはオススメのメルマガなので、未登録の方はぜひ、上記リンク先の一番上から。

 7月7日「あれが港の灯だ」以来全然映画を観ていません。といっても10日間か。昨日(16日)はせっかく渋谷方面に行ったのに・・・って、代々木公園の例の反原発集会。呼びかけ人の最年少が坂本龍一(60)なの!? 最年長の瀬戸内寂聴さん(90)が「いくらこういうふうに集まっても私は懐疑的なんですが・・・」と語っていたのがなぜか記憶に残っています。私ヌルボと同郷(徳島)の乱打夢さんのtwitterに「【代々木反原発10万人デモ】瀬戸内寂聴90歳の講演。相変わらず素晴らしい。仙谷と同じ地元とは思えない」とありました。しかし大川隆法、柴門ふみ、坂東英二、大杉漣等々徳島出身者をみるに、よーするに「雑多」ということでしょう。

 映画の話に戻って、ヌルボの今年上半期の映画ベスト5。確実に入るのは「ニーチェの馬」「ヒューゴの不思議な発明」。娯楽作ではインド映画の魅力満載の「ロボット 完全版」。多くの人に観てほしいのは「誰も知らない基地のこと」。韓国映画では、韓国映画ファンとしては恥ずかしながら初めて観た「春夏秋冬そして春」。新作では、オーソドックスなところではやっぱり「サニー 永遠の仲間たち」でしょうね。個人的には、以前読んだ原作本のイメージを損なわなかった「ワンドゥギ」「僕のヤクザな恋人」も好感を持ちました。
 あっ、「ワンドゥギ」を観ていない方、今キネマ大森で上映中ですよ!(20日まで)(→「オススメ韓国映画「ワンドゥギ」鑑賞の手引き」※ネタバレなし) キネマ大森では「ロボット 完全版」や「青い塩」もやってます。マイナーだけどヌルボ好みのラインナップ。それから「短い記憶」(原題:「ヘファ、ドン」)も上映予定(いつからかな?)。これもオススメ!
 あれ、ベスト5になってないなー・・・。

         ★★★ Daumの人気順位(7月17日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①ヤコブへの手紙  9.5(23)
②語る建築家(韓国)  9.5(51)
③オモニ(韓国)  9.4(23)
④Delicacy  8.7(45)
⑤石打ち刑  8.7(39)
⑥マダガスカル 3  8.5(284)
⑦ベスト・エキゾチック・マリーゴールド・ホテル  8.5(135)
⑧リミットレス  8.3(228)
⑨ブルーバレンタイン  8.3(64)
⑩The Cabin in the Woods  8.3(985)

 ⑦⑧⑨の3作品が新登場。
 ⑦「ベスト・エキゾチック・マリーゴールド・ホテル」は、「チューリップ熱」の作家デボラ・モガーの原作本の映画化。会社を辞めたり、夫に先立たれたりした年配のイギリス人男女7人が、各々たまたま広告で見た新装開店したインドのホテルに人生の活路を見出し、そのホテルに行くのですが、着いてからが思わぬ展開になって、というコメディ。登場人物たちが深刻な問題を抱えていても、映画そのものはとても軽やかだそうです。年を取ってからの異文化の中での生活の問題というのもあるようで、ちょっと観てもいいかな、とおもいます。韓国題は「베스트 엑조틱 메리골드 호텔」とそのまんま。日本公開は未定。
 ⑧「リミットレス」は日本では昨年10月公開されました。韓国題は「리미트리스」。
 ⑨「ブルーバレンタイン」も昨年4月日本公開。評価はけっこう高かったようですが、ヌルボの好みに合っていなかったためか視野に入らず未見。韓国題は「블루 발렌타인」です。

【専門家による順位】

①The Future  8.0(1)
②ミッドナイト・イン・パリ  7.8(7)
③アベンジャーズ  7.7(7)
④嵐が丘  7.7(4)
⑤よその国で(韓国)7.6(6)
⑤二つの扉(韓国)  7.6(6)
⑦The Cabin in th e Woods  7.4(5)
⑧石打ち刑  7.0(3)
⑨毛皮を着たヴィーナス(韓国)  7.0(1)
⑩ブルーバレンタイン  6.7(4)

 新登場は⑨と⑩の2作品。
 ⑨「毛皮を着たヴィーナス」といえば、マゾヒズムの元祖マゾッホの代表作ではないですか。それが韓国映画に? あらすじを見るとですねー、映画監督ミンスは偶然出会った女性の肉感的な魅力にはまり、彼女の家でシナリオ作りをしながら一緒に暮らすことになる。豪勢な彼女の家には、気になる存在の小人の執事もいる。正体不明の彼女の謎は深まる一方、魅力にとりつかれたミンスは彼女の命ずるがまま、虐待や暴力にも幸せを・・・、っていよいよマゾヒズムにはまってくわけか~。「隔離された城で繰り広げられる彼らの奇妙な愛と死、憎悪と殺人、欲望と罰はさらに衝撃的な結末に向かっていく・・・」なんて、月並みで心休まる(?)惹句だなー。原題は「모피를 입은 비너스」です。
 ⑩は前述の通り。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[7月13日(金)~15日(日)] ★★★

         「ヨンガシ」が公開11日目で300万人突破!

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・ヨンガシ(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・7/05・・・・・・・・・・・・・1,151,298・・・・・・・・・3,229,586 ・・・・・・・・23,158・・・・・・・734
2(2)・・アメイジング・スパイダーマン ・・・6/28 ・・・・・・・・・・・・・・681,316・・・・・・・・・4,397,885 ・・・・・・・・37,687・・・・・・・652
3(30)・・二つの月(韓国)・・・・・・・・・・・・・・7/12 ・・・・・・・・・・・・・・205,753 ・・・・・・・・・・239,401 ・・・・・・・・・1,678・・・・・・・347
4(新)・・私は公務員だ(韓国) ・・・・・・・・・7/12 ・・・・・・・・・・・・・・128,081 ・・・・・・・・・・157,440 ・・・・・・・・・1,129・・・・・・・278
5(3)・・ももへの手紙(日本) ・・・・・・・・・・・7/05 ・・・・・・・・・・・・・・109,123 ・・・・・・・・・・248,042 ・・・・・・・・・1,647・・・・・・・246
6(16)・・リミットレス・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/12 ・・・・・・・・・・・・・・・61,072・・・・・・・・・・・・76,706 ・・・・・・・・・・・557・・・・・・・159
7(6)・・ミッドナイト・イン・パリ・・・・・・・・・・7/05 ・・・・・・・・・・・・・・・60,241・・・・・・・・・・・197,117・・・・・・・・・・1,466・・・・・・・146
8(4)・・マダガスカル3・・・・・・・・・・・・・・・・6/06 ・・・・・・・・・・・・・・・54,241 ・・・・・・・・・1,606,671 ・・・・・・・・12,373・・・・・・・163
9(41)・・ベスト・エキゾチック ・・・・・・・・・・7/12・・・・・・・・・・・・・・・・23,060・・・・・・・・・・・・31,743 ・・・・・・・・・・・230・・・・・・・149
       ・マリーゴールド・ホテル
10(新)・・ストリートダンス 2・・・・・・・・・・・7/12・・・・・・・・・・・・・・・・20,978・・・・・・・・・・・・26,282 ・・・・・・・・・・・190・・・・・・・133
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 1位「「ヨンガシ」の勢いはハンパない、・・・なんて言葉いつ頃から誰が言い始めたのか? え、お笑いの?
 今回の新登場は3・4・6・9・10。半分が入れ替わりました。
 3位「二つの月」は韓国製ホラー。森の中の一軒屋で、記憶を失ったまま目が覚めた3人の男女。ミステリーを書く女性作家、男子大学生、そして女子高生。奇怪な現象が起きるその家の秘密、そして各々が隠している真実は何か・・・。主演女優パク・ハンビョルは歌手のSE7ENの恋人、なんて情報は、ふうん、と言うしかないです。原題は「두 개의 달」。
 4位「私は公務員だ」は韓国のコメディ。常に平静を保つことを旨としていた麻浦区庁環境課生活公害チームの公務員氏の前に、ある日弘大(ホンデ)の問題児のインディーズバンドが現れて・・・って、それが人生最大の危機になっていくの? 現代は「나는 공무원이다」。
 6位「リミットレス」は上述の通り日本では公開済み。
 9位「ベスト・エキゾチック・マリーゴールド・ホテル」は上述しました。
 10位「ストリートダンス 2」は、日本では今年1月公開された「ストリートダンス TOP OF UK」の第2作。今回も世界的なストリートダンス選手権をめざす。韓国題の「스트리트 댄스 2:라틴배틀」の副題「ラテン・バトル」が示すように、今回はラテンとヒップホップスの融合がミソ。日本公開は未定。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・二つの扉(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・6/21 ・・・・・・・・・・・・・・・5,376 ・・・・・・・・・・・・・42,909 ・・・・・・・300・・・・・・・・・・39
2(2)・・2度の結婚式と・・・・・・・・・・・・・・・・・6/21・・・・・・・・・・・・・・・・1,689 ・・・・・・・・・・・・・46,654 ・・・・・・・349・・・・・・・・・・19
       1度の葬式(韓国)
3(3)・・Delicacy・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/14 ・・・・・・・・・・・・・・・1,182 ・・・・・・・・・・・・・28,425・・・・・・・・217・・・・・・・・・・・5
4(新)・・道 白磁の人(日本) ・・・・・・・・・・・・6/21 ・・・・・・・・・・・・・・・・・420 ・・・・・・・・・・・・・・2,067・・・・・・・・・13・・・・・・・・・・19
5(新)・・セックスと嘘と・・・・・・・・・・・・・・・・・7/12 ・・・・・・・・・・・・・・・・・333 ・・・・・・・・・・・・・・・・436・・・・・・・・・・・2・・・・・・・・・・・9
       ビデオテープ

 うーむ、また先週のランクと食い違ってるなー・・・。初登場は4・5位の2作品。
 4位「道 白磁の人」、DAUM映画のネチズンの評点はまだ6人ですが平均9.3と高く、movieId=66023&t__nil_NetizenPoint=tabName
コメントも「感動の涙」等と好評。2人の専門家の評点平均は4.5ですが・・・。そうか、抱川の国立樹木園には浅川巧が植えた林があるんですね。(関係記事→コチラ) 韓国題は「백자의 사람:조선의 흙이 되다(白磁の人:朝鮮の土となる)」です。
 5位「セックスと嘘とビデオテープ」は89年カンヌ映画祭グランプリ作品で、同年日本でも公開。しかしヌルボは観てないんだよねー。韓国題は「섹스, 거짓말 그리고 비디오 테이프」。
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[韓国の食べ物]うーん、この「トンパン」、食欲をそそられる!? ①「ttong」への偏愛

2012-07-17 15:08:28 | 韓国料理・食べ物飲み物関係
 2ヵ月ばかり前のことですが、サークル仲間のS氏からソウル家族旅行のおみやげをいただきました。パンの袋です。といっても中身は空っぽ。
 しかし、袋だけでも(きっと喜ぶだろう、と踏んだのでしょう。私ヌルボの関心の向け方をきっちり読まれてました。

 その紙袋というのが下の写真。

          
   【この絵は世界共通なんですかねー? 英語サイトで画像検索しましたが今ひとつわからず。】

 その名も똥빵(トンパン)」。絵を見ればわかるように、日本語にすると「うんこパン」です。
 う~ん、このようなものを食べるのかー。

 S氏の話によれば、形状はとぐろを巻いてはいなくて、平べったくて鯛焼きのようなものだったとのこと。

 韓国サイトを探索すると、すぐ見つかりました。

      
       【もし日本でこういうのを発売したらどうでしょうねー?】

 以前から私ヌルボ、韓国語で「똥」がつく言葉をよく見聞きするなあと思ってきました。
 「똥개(トンケ)」=野良犬、映画「息もできない」の原題「똥파리(トンパリ)」=糞バエ、「개똥벌레(ケトンポルレ)」=ホタル(犬糞虫)、「별똥별(ピョルトンビョル)」=流れ星、「개똥지빠귀(ケトンチパグィ)」=ツグミ、「개똥조개(ケトンチョゲ)」=バカガイ等々。「朝鮮語辞典」には、「개똥번역(ケトンポニョク)」=犬糞翻訳というのもありました。誤訳だらけの翻訳のことだそうです。
※ネイティブ韓国人の先生が最近韓国に帰った時に、犬に噛まれた娘さんを診てもらったお医者さんは野良犬のことを「유기개(ユギゲ)」と言ってたそうですが・・・。え、有機犬?と思ったら遺棄犬ね。

 「똥」がつく言葉の中で、日本人には抵抗がありそうなのが「똥머리(トンモリ)」。電子辞書には載ってませんが、髪型のおだんごのこと。うーむ、「うんこヘア」なんてね(笑)。「만두머리(マンドゥモリ)」=ギョウザヘア、「상투머리(サントゥモリ)」=ちょんまげヘア、「당고머리(ダンゴモリ)」=おだんごヘア等のよび方もあるそうですが、google検索のヒット件数はギョウザ222万件、ちょんまげ86万件、おだんご19万件に対してうんこヘアは658万件と他を圧倒してます。

 ことわざでは「똥 묻은 개가 겨 묻은 개 나무란다.(糞まみれの犬がぬかまみれの犬を笑う。)」=目糞鼻糞を笑う、「똥 친 막대기(糞を突っついた棒)」=取り柄のない人、価値のない者。その他いっぱい。あらら、→コチラのブログでは똥で始まることわざをなんと41も並べてますよ。

 私ヌルボも感じていたことですが、どうも韓国の人たちは「똥」に対する偏愛(?)のようなものがあるみたいですね。先生も話していましたが、「汚い」というよりも「かわいい」というイメージが強いようで、おばあさんたちが孫を「똥강아지(トンカンアジ.糞子犬)」と読んだりもするとか。
※この「똥강아지」は、子ども衣料品店の名前にもなっています。→コチラ参照。
 また今年3月、光州に低所得者層の子どものための「トンカンアジおもちゃ図書館」が設けられました。これを伝えた「中央日報」の記事(→コチラ)にも、おばあさんたちが孫を「トンカンアジ」とよぶように、子どもに対する無限の愛を表現したのが図書館名の意味であると記されています。

 絵本の世界からも韓国の「똥」への愛着がうかがわれる、かな?
 日本でも翻訳されて(たぶん)好評なのがこいぬのうんち(강아지똥)」。ヌルボの敬愛する故・権正生(クォン・ジョンセン)の作です。(絵はチョン・スンガク。) 
 アマゾンの読者レビューでは、多くの高評価レビュー中に交じって、「子供に読ませたくない」と強い拒否感が込められた★1つのものもありましたが・・・。

 この分野(?)の日本の絵本では、五味太郎の「みんなうんち」がステディセラー。「누구나 눈다(だれもがうんこをする)」の題で1992年から刊行され、今に至っています。

     
   【「こいぬのうんち」の日本版(左)と、五味太郎「みんなうんち」の韓国版。】

 <楽天ブックス>のサイト中に「うんち、おしっこの絵本特集」という記事があって、そこに上記の2作も紹介されています。

 しかし、やっぱり韓国ではこの分野の本は昔話から現代に絵本に至るまで質・量ともに充実しているようで、教保文庫のサイトで「똥」で検索すると、国内図書(翻訳書を含む)でなんと368点がヒット。いろんな本が出ていることがわかります。

 「똥」の幼児語が「응가(ウンガ)」。日本語と同じく擬音語でしょう、たぶん。
 数ある韓国のうんこ本の中で、この語を題名に用いたチェ・ミノ응가하자 끙끙(ウンガハジャ クンクン.うんこをしよう うんうん)」(2004)はとくに評価が高いようです。私ヌルボ、最近川崎市立図書館で現物を読みましたが、先の2作と比べると絵が少し過激に思われたので、画像は表紙だけにしておきます。

       
  【五味太郎「みんなうんち」同様いろんな動物が登場。日本語翻訳本が出ていない理由はわかるような気がします。】

 その「少し」過激な画像を見てみたい方は→コチラ

 この教保文庫のサイトの読者レビューには「うんこ本の古典」とか「気持ちのいいうんこ遊び」等の★5つのついた賛辞が並んでいます。う~ん・・・。

 ここで記事冒頭に戻ってトンパンを売ってる屋台を見ると、一緒に「タルギパン(いちごパン)」というのも売っています。「なんでうんこパンといちごパンなんだ?」と見ると、うんこキャラの「トンチミ」は屋台に描かれている人物群の1人で、むしろいちご(タルギ)キャラの女の子がメインなんですね。
 ・・・ということで、続きはそのタルギに注目。
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朝鮮総督府発行「朝鮮旅行案内」中の朝鮮語会話は、「上から目線」

2012-07-13 23:28:26 | 韓国・朝鮮に関係のある本
 一応1つ前の記事の続きです。

 横浜市立図書館の蔵書に戦前の朝鮮旅行案内記があることを知り、借りて目を通してみました。1934年9月、朝鮮総督府鉄道局発行です。
  
        
         【年季が入っていて傷みが激しく、館内閲覧限定もやむをえません。】

 内容は、と見ると、携帯の便をはかってか小さい判型ながら、一般記事の他にも地図・写真・挿絵・カコミ記事等々盛りだくさん。

       
       【このページは、釜山の名所の説明に「ゴム沓(くつ)」の囲み記事。地図が付いています。】

 私ヌルボが興味をもった点は、朝鮮の風俗や文化を紹介した小さなカコミ記事が随所に入っていること。上の写真にもゴム沓(コムシン)の説明がありますが、別の2例を下に掲げます。

     
 
 この記事によると、すでにこの頃から明太子については「頗る内地人の嗜好に適する」と記されてるのですね。「少なくとも左党と、朝鮮に於ける生活に経験を持って居る内地人には・・・」と但し書きつきですが・・・。学童の弁当箱に「必ずと云ふ程」に一塊というのは本当なのかなー?

     

 今は頭上に物を載せて運ぶ女性を見る機会は激減しました。しかしないわけではありません。下の写真は昨年(2011年)9月光州市内で撮ったものです。

         

 頭の上にバッグを載っけて信号待ちをしていた女性(左)、横断歩道を渡ってそのまま歩いて行きました。(右)

 さて、「朝鮮旅行案内記」でもう1つ興味をもったのが、簡単な朝鮮語の文と単語を紹介したページ。今の韓国旅行ガイドブックにもふつうありますね。
 しかし、下を見てください。

   

 「ありがたう」とあります。「ございます」がついてないですね。で、朝鮮語も「コーマプソ」。「コマプスムニダ」じゃないです。そして「行け」が「カ」。「ありません(オプソヨ)」ではなく「ない(オプソ)」。パンマル(ぞんざい語)になってます
 なんなんだ、この「上から目線」は? つまりは、当時の日本人が朝鮮に行った時には、「そういう言葉」を使っていたということなんですねー。会話の例文からして対等な関係が前提となっていなかった。そしてそのことにこうした本を作った人も、これを利用した人も何とも疑問を感じなかった、ということでしょうか・・・。
 その次のページの一部を続けて見てるとさらに問題が・・・。

     

 今韓国語を学習中の皆さんは上のカタカナを見て、元の韓国語がわかるでしょうか?
 チョンガ(총각)は「男児」じゃなくて男の独身者でしょう。「女児」の「キチベエ」はなんで吉兵衛?じゃなくて「계집애(ケーチベ)」ですね。「女児」より少し上じゃないですか? 「芸妓」すなわち「妓生(기생)」は、キーセンではなくキーサンというのが一般的だったのかな? 他の本等でも見ましたが・・・。
 しばし考えたのが「女」の「エベンネエ」。「男」の「사내(サネ)」はすぐわかるのですが・・・。結局思いついたのが「예쁜애(이쁜애)」でした。「イェップネ」。しかし、「女」じゃなくて「かわいい娘(こ)」という感じなだけどなー。どうもこういう言葉の関係づけもちょっと引っかかるなー。
 そして何よりも「カルボ(갈보)」なんて単語、今の韓国語旅行会話の本にはもちろん載ってるわけないですね。こういう単語が載っていること自体、当時朝鮮旅行に出かけた日本人(男性)のお里が知れるというものです。あーあ。
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京王百貨店大古書市 韓国関係本の品定め

2012-07-12 23:56:23 | 韓国・朝鮮に関係のある本
        

 7月26~31日に開かれる京王百貨店の古書市の目録が送られてきました。

 古書市については、2009年12月17日の記事にも書いた通り、「世の中にはいろんな本があるものだなあとつくづく思います」というのが毎度の感想。
 「こんな重箱の隅の隅をほじくったような本を一体誰が読むのだろう?」とか「なんでこんな値段がついているのだろう?」等々、思いをめぐらしつつ目を通すだけで楽しめます。

 今回は「敦煌圣 妙法蓮華経巻第三 19紙」というのが630万円(!)で最高額。うーむ、何ともコメントのしようがない・・・。

 さて、朝鮮・韓国関係に絞ってピックアップしてみると、今回目録に記載されているのが約60点。多いといえば多いでしょうが、目録に載ってる本(一部ポスターやマッチのラベル、人形等も含む)が全部で3436点もあるから2%にもならないのですがね。
 その中で、とくに私ヌルボが注目したものをいくつか挙げてみましょう。

 まず、1ページに、「渥美清サイン色紙・寅さんポスター絵はがき集」と「アストロボーイ カウントダウン クロックミレニアム」に挟まって写真が載っているのが大正写真工芸所「平壌妓生学校絵葉書14枚袋付」(31,500円)
 
       
     【どんな経路をたどった絵葉書なんでしょうね? また写された妓生たちの人生は・・・?】

 1枚あたり2,250円か・・・。戦前のややレアな資料で、興味を持ちそうな人もたぶん多くはなさそう、と考えると、妥当な値段かなー・・・。
 妓生の絵葉書といえば、川村湊先生の名著「妓生 「もの言う花」の文化誌」にもたくさん載っていたような・・・、と思い出して、横浜市立図書館の蔵書で確認してみるとたしかにありましたねー。川村先生、このテの絵葉書を約200枚収集した(!)そうですよ。ということは、全部で40~50万円くらい(?)を研究費で(?)買い集めた、ってことですか!?

 上掲の2009年12月の記事中にも書いた金奉鉉「朝鮮民謡史」(国書刊行会)、今回も同じ8000円という値で出ています。
 ここでヌルボの頭にパッとひらめいた考え。もしかして、この本も横浜市立図書館にあるやもしれん、ということです。
 今多くの図書館の蔵書が個人のパソコンからでも検索できるようになっています。もちろん横浜市立図書館も、→コチラでバッチリ。(いながらにして貸出期限の延長もでき、とても便利!)
 ということで「朝鮮民謡史」と入力したら、ありました!さっそく借り出して見てみたら、古代から現代に至るまでの多様な民謡・俗謡等について詳述した部厚い労作。「1200円だったら見ないで買うんだけど・・・」などと先の記事で書いてしまいましたが、この本を1200円なら買うなどというのは失礼の極みでした。著者は1919年済州島生まれで、長く大阪在住という方のようです。

 この目録中の本で、横浜市立図書館の蔵書というものは他にもいくつもありました。
 たとえば小倉進平博士著作集」(全4冊.1974年.27,000円)。買うつもりはなくても、1度どんなものか拝んで(!)みたいと思ったら、図書館にあるではないですか!
 ・・・というわけで、ドキドキワクワク、はしませんでしたが借り出して目を通してみてまず思ったことは、「書いた小倉先生もエライが、こういう本を読む学徒(←古語か?)もエライ!」ということです。

      
  【上が「小倉進平博士著作集 第一巻」。「限定300部」だそうです。ネット古書店でいくつか見てみたところ、このお値段(2万7千円)、はっきり言ってお買い得だと思います。右は吏読について記した部分。(下も目録にある本です。)】

 図書館にない本の中で興味をもったのが朝鮮殖産銀行終戦時の記録」(1977年.非売品)。今少しわけあって終戦直後の引揚げのこと等を探っているもので・・・。「殖産終焉回顧30年。終戦前後の朝鮮総督府と同行。・・・76名の証言」ねー。お値段は10,500円。うーむ、高からず安からず、いいところを突いてくるなー。

 最初の方で、この古書市の目録に朝鮮・韓国関係書が約60点ある、と書きました。
 実はその半数強が愛知県江南市の扶桑文庫という古書店の出品なんですね。またその中で多いのが、戦前朝鮮総督府が発行した朝鮮旅行案内朝鮮の風習、あるいはそれに類する本です。
 これらの本は、古書展目録ではちょくちょく見ます。値段はおよそ2,500円くらいから、高くても1万円くらいでしょうか。しかし、ヌルボは未購入で、じっくり読む機会はありませんでした。
 ところが、検索してみると、これも横浜市立図書館にありました。古い本なので館内閲覧のみはやむをえないところ。しかしラッキーとばかりに借りて目を通すと、やっぱりいろいろおもしろいなー、ということで、これについては近いうちに別記事にします。
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[7月6日(金)~8日)]

2012-07-10 23:44:05 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 昨日(7月9日)山田五十鈴さんが亡くなりました。
 私ヌルボが彼女を知った時にはすでに大ベテラン女優になっていたので、若い女優にしか関心を向けなかった少年ヌルボが彼女の真価を「発見」したのは、ずっと後になって「祇園の姉妹(きょうだい)」を観てからでした。現代風の初々しい芸妓おもちゃを演じた彼女は当時19歳。今こんな風格のある20歳前の女優がいるでしょうか? そして21歳の時に長谷川一夫と共演した「鶴八鶴次郎」は泣けましたねー、うるうる。以来ヌルボは人から「好きな女優は?」と問われたら、まず「山田五十鈴」と答えていました。それから久我美子(「大つごもり」←「にごりえ」の中の)、左幸子(「にっぽん昆虫記」)・・・、と続けると必ず「古い!」と言われるので田中裕子(「天城越え」)、大竹しのぶ(「事件」)を挙げるのですが、まだ古いって?
 男優の方のベスト5に必ず入れるのが木村功。先週の記事で書いた通り7日(土)に東京国立近代美術館フィルムセンターに行って今井正監督のあれが港の灯だを観てきました。1961年の作品で、ヌルボも幼少のみぎりラジオニュースで聞いては切歯扼腕していた李承晩ラインの設定により、銃撃を受け殺されたり漁船を拿捕されたり、韓国に抑留されたりで生活を脅かされていた長崎の漁民たちの状況がよくわかります。
 木村功は最後の方でチラッと出てきただけですけどね。李ラインについては、いずれ少し詳しく調べてみたいと思います。(いつになるか・・・。) この映画については、<yohnishi’s blog>に詳述されています。(詳しすぎるので、これから観ようという方は要注意ですが。)
 フィルムセンターでは、この映画の前に、これも朝鮮関連の作品の「愛の誓ひ」を上映していたんですね。後で気がつきホゾを噛みました(←こういう表現も古い?)。いつまでたってもドジなワタシね~♪。

         ★★★ Daumの人気順位(7月10日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①おばあさんは1年生(韓国)  9.7(44)
②ヤコブへの手紙  9.5(23)
③語る建築家(韓国)  9.5(46)
④アンニョン、ハセヨ!(韓国)  9.5(46)
⑤オモニ(韓国)  9.4(22)
⑥スーパースター(韓国)  8.9(21)
⑦Delicacy  8.7(43)
⑧石打ち刑  8.7(38)
⑨マダガスカル 3  8.5(281)
⑩The Cabin in the Woods  8.4(953)

 今回は新登場はありません。
 ⑥「スーパースター」は6月12日の記事の「多様性映画」の興行成績で紹介済みです。

【専門家による順位】

①The Future  8.0(1)
②ミッドナイト・イン・パリ  7.8(7)
③アベンジャーズ  7.7(7)
④嵐が丘  7.7(4)
⑤よその国で(韓国)7.6(6)
⑤二つの扉(韓国)  7.6(6)
⑦The Cabin in th e Woods  7.4(5)
⑧プロメテウス  7.2(9)
⑨神々と男たち  7.0(4)
⑩石打ち刑  7.0(3)

 新登場は②「ミッドナイト・イン・パリ」だけ。日本でも5月26日に公開。韓国題は「미드나잇 인 파리」です。
 ⑨「神々と男たち(신과 인간)」は1月24日の記事で紹介しましたが、日本では2011年3月に公開されました。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[7月6日(金)~8日(日)] ★★★

         「ヨンガシ」が韓国映画中今年最高の出足で1位

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(20)・・ヨンガシ(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・7/05 ・・・・・・・・・・・・1,131,404・・・・・・・・・1,326,592 ・・・・・・・・・9,582 ・・・・・・・756
2(1)・・アメイジング・スパイダーマン ・・・6/28 ・・・・・・・・・・・・1,060,797・・・・・・・・・3,364,476 ・・・・・・・・29,326・・・・・・・896
3(24)・・ももへの手紙(日本)・・・・・・・・・・7/05 ・・・・・・・・・・・・・・103,042 ・・・・・・・・・・115,201 ・・・・・・・・・・・766・・・・・・・252
4(3)・・マダガスカル3・・・・・・・・・・・・・・・・6/06 ・・・・・・・・・・・・・・・83,139・・・・・・・・・1,545,307 ・・・・・・・・11,953 ・・・・・・・247
5(新)・・The Raven[大鴉] ・・・・・・・・・・・・6/21 ・・・・・・・・・・・・・・・66,237・・・・・・・・・・・・87,763 ・・・・・・・・・・・653・・・・・・・264
6(18)・・ミッドナイト・イン・パリ・・・・・・・・・7/05 ・・・・・・・・・・・・・・・61,953・・・・・・・・・・・・80,609 ・・・・・・・・・・・604・・・・・・・187
7(4)・・私の妻のすべて(韓国)・・・・・・・・・5/17 ・・・・・・・・・・・・・・・56,170・・・・・・・・・4,516,310 ・・・・・・・・33,659・・・・・・・184
8(2)・・後宮:帝王の妾(韓国)・・・・・・・・・・6/06 ・・・・・・・・・・・・・・・44,349・・・・・・・・・2,569,389・・・・・・・・・18,867・・・・・・・252
9(新)・・エージェント・マロリー ・・・・・・・・7/05・・・・・・・・・・・・・・・・26,785・・・・・・・・・・・・34,203 ・・・・・・・・・・・244・・・・・・・199
10(5)・・The Cabin in the Woods ・・・・・6/28 ・・・・・・・・・・・・・・・20,854・・・・・・・・・・・211,955・・・・・・・・・・1,591・・・・・・・184
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 「ミスGO」「ごますりの王」「チャ刑事」といった韓国映画がごそっと圏外に落ちて、1・3・5・6・9位と半数が新登場。
 1位「ヨンガシ」、韓国製のパニック映画、というのを数ヵ月前だかに最初に見た時、ヨンガリのような大怪獣かなと思いましたが、寄生虫の集団感染の恐怖なんだそうです。原題の「연가시」とはハリガネムシのことだそうです。「ヨンガリ(용가리)」の意味する竜怪獣とは発音も意味も違いますね。感染すると、すごくのどが渇いて、最終的に水に飛び込まざるを得なくしてしまう・・・って、そんなに怖いのかなー? ハリガネムシとは、あのカマキリに寄生してるヤツね。おぞまし~。そういえば、吉村萬壱の芥川賞作「ハリガネムシ」もなんか気持ち悪かったかも・・・。昨日の「エンタメコリア」の記事によると公開4日で100万人突破とか。公開初日は約19万人。2009年の「TSUNAMI-ツナミ」の約17万人、2010年の「アジョシ」の約13万人を上回る出足で、久しぶりに1000万人級メガヒットとなるか?
 3位「ももへの手紙」、ヌルボは観てもいいかな、と思っただけで未見。<映画生活>の評点平均は73点で、それなりに、といったところでしたが、韓国のネチズンの平均評点は8.1と高めで、「日本特有の感性美、繊細さがよくうかがわれる」とか「妖怪がかわいい!」等々のコメントがありました。韓国題は「모모와 다락방의 수상한 요괴들(ももと屋根裏部屋の妖怪たち)」。
 5位「The Raven[大鴉]」は、アメリカ・ハンガリー・スペインの合作で、エドガー・アラン・ポーの作品をタイトルにしたスリラー。主人公もポーなんですね。時代は1849年。彼が自身の小説を模倣する殺人犯を捕まえるため、刑事とともにその謎に迫る・・・。少し興味を覚えたヌルボではありますが、さるブログに「ポーのファンは後悔するかも」と書かれてるんだよねー。日本では今秋公開の予定だそうです。韓国題は「더 레이븐」
 6位「ミッドナイト・イン・パリ」は前述のように日本ではすでに公開されています。
 9位「エージェント・マロリー」は、「オーシャンズ11」等のソダーバーグ監督が、女子格闘技界で人気と実力を誇るジーナ・カラーノを主演に迎えて描くスパイアクション。スパイ業界にその名を轟かせるエージェント(カラーノ)は何者かに殺人の濡れ衣を着せられ、国際的な指名手配犯に仕立て上げられてしまう。疑惑を晴らすため孤軍奮闘する彼女は、やがて驚きの真実に直面する・・・。韓国題は「헤이와이어」と原題「HAYWIRE」そのまま。日本公開は9月28日。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・二つの扉(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・6/21 ・・・・・・・・・・・・・・・7,364 ・・・・・・・・・・・・・29,062 ・・・・・・・206・・・・・・・・・・39
2(2)・・Delicacy・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/14 ・・・・・・・・・・・・・・・2,050 ・・・・・・・・・・・・・25,956 ・・・・・・・198・・・・・・・・・・14
3(3)・・よその国で(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・5/31 ・・・・・・・・・・・・・・・・・447 ・・・・・・・・・・・・・30,015 ・・・・・・・233・・・・・・・・・・・4
4(5)・・The Future・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5/17 ・・・・・・・・・・・・・・・・・272 ・・・・・・・・・・・・・10,518・・・・・・・・・85・・・・・・・・・・・2
5(21)・・カラフル(日本)・・・・・・・・・・・・・・・・・6/21 ・・・・・・・・・・・・・・・・・135 ・・・・・・・・・・・・・・5,167・・・・・・・・・34・・・・・・・・・・・1

 初登場はありません。
 日本アニメ「カラフル」が久々に復活。1館で1日1回上映でこの数字、どうでしょうか?
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韓国映画「ムサン日記 白い犬」より = 住民登録番号で脱北者だとわかる!?

2012-07-10 19:32:12 | 韓国の時事関係(政治・経済・社会等)
 韓国映画ムサン日記 白い犬の中で「脱北者の住民番号は125で始まる」というセリフがありました。
 私ヌルボ、このことは知りませんでした。しかし、「国があえて差別につながるような住民登録番号を脱北者に与えるか?」という疑問が残りました。
 ところが、たまたま以前コピーしておいた「新東亜」2011年9月号の「脱南する脱北者たち」と題した記事を読んでいて、その答が偶然わかりました。

 記事中に、次のように記されています。
.
 住民登録番号はハナ院(定着支援センター)がある京畿道安城(アンソン)を基準に与えられるため「125」「225」である。
 ・・・ということだったのですね。

 ウィキの「住民登録番号」の項目には、住民登録番号の13個の数字の意味が説明されています。

 それによると、13の数字は次のようにハイフンにより前6つと後7つに分けられ、表記されます。

 yymmdd-snnnnmc

 ハイフンの前の6つは生年月日です。つまり、1987年1月19日生まれなら870119のように、年(yy)・月(mm)・日(dd)が2つずつの数字で示されます。
 ハイフンの後のsの意味は、次のように何年代生まれの男性or女性か、また国内生まれor外国生まれかを示しています。
  [国内生まれ]
   ・1800年代生まれ 男=9  女=0
   ・1900年代生まれ 男=1  女=2
   ・2000年代生まれ 男=3  女=4
  [外国生まれ]
   ・1900年代生まれ 男=5  女=6
   ・2000年代生まれ 男=7  女=8

 次のnnnnは出生地コード。邑・面・洞ごとに固有番号がわりあてられています。
 続くmは一貫番号。その日に提出された出生届のうち何番目であったかを表します。
 最後のcチェックディジットです。

 ・・・ということは、ハイフンのすぐ後の数字が男性の場合は「125」、女性の場合は「225」の3つの数字になっている、ということですね。

 しかし、そうすると脱北者だけではなく、一般の安城市民の住民登録番号にも「125」や「225」という数字が入ることになります。
 それによる混乱や不都合があるのではないか、という疑問は当然起こります。

 そこで韓国サイトをいくつか見てみたら、やっぱりありました。それもかなり大きな問題として。

 コチラの記事(2010年7月)によると、夫婦で夏休みに海南島に旅行しようと旅行代理店に団体ビザを取得するため問い合わせたら、「安城にお住まいでしょ? ビザは難しいですね」との答えが返ってきたとのこと。住民登録番号のせいで中国で脱北者と誤認され、入国•在留過程で不利益を被る事例が続出している、とあります。

※この記事には「1999年安城市内にハナ院ができてから2007年6月まで、ハナ院を修了した脱北者たちに安城市の住民たちの地域コード252が一括して与えられた」、とあります。つまりハイフン以下が男性なら「1252」、女性なら「2252」となるということ。

 また<ノ・テウン記者の足の向くまま>中の2010年7月の記事「住民登録番号‘252’の受難」には、中国の都市で食堂を営んでいる女性は、現地の高校に在学中の娘がビザの期間延長を現地旅行会社に依頼したが、住民登録番号のため許可されず、現地の韓国領事館は「仕方ない」という言葉を繰り返すばかりだった、という事例を紹介しています。
 この記事によると、「住民番号252の問題」は、2007年4月20日、聯合ニュースが「安城出身の住民の脱北者扱い 中国訪問不便」というタイトルで本格的に報道してから注目されるようになったそうです。また同月23日には「韓•中国際フェリーの乗客の中国入国拒否続出」という見出しでも取り上げられたとか。
 このような報道を受けてか、この問題は2007年6月21日から一部が是正されました。
 政府は、脱北者たちがハナ院で定着教育を受けた後、一括して252を付与していた住民登録番号を、新たに割り当てられた居住地を基準に付与することにしたのです。

 しかし、このノ・テウン記者のブログは「これは問題の根本的な解決策ではない」と述べています。
 「住民登録番号252で実際の不利益を受ける者は、脱北者より安城市民が深刻だから」というのがその理由です。
 2007年6月の変更以前に国内に入ってきた脱北者は1万人には達していません。一方252の住民登録番号が付いている国民は、数十万人です。(安城市の人口は17万人。)
 住民登録番号による不利益を被っている脱北者も考慮しなければならないが、より優先すべきは数十万人の不利益の解決である、というのがノ・テウン記者の主張です。
 その後2009年1月21日、統一部は、脱北者のうち、ハナ院の所在地に基づいて住民番号を与えられた人は1回に限り訂正申請をすることができるようになると発表しました。
 2008年5月の「中央日報」の記事によると、その時点で、韓国に住んでいる1万3000人の脱北者のうち7000人が252という番号を持っているとありましたが、その人たちも申請をすれば変更ができることにしたというわけです。
 しかし、それでも252の番号を持っている一般安城市民等の多くの人にはなんら解決になっていない、とノ・テウン記者は批判を続けます。

 するとその翌月(2010年8月)の「中央日報」に「安城 "住民番号252の受難"の解決される」という記事がありました。
 北京で開かれる韓日中領事局長会議に際して、韓国の外交通商部当局者は「中国側との事前協議で(安城市民を)差別しないという約束をとりつけた。これで解決したといってよい」と語ったとのことです。

 しかしこの記事には、「それまで安城市民は中国に入国する際、原籍が安城市であるとの証明書を必ず携帯しなければならず、証明書がない場合は団体ビザの発給も拒否されてきた」とも書かれています。また安城市は「善良な安城市民が善意の被害を被っている」と関係省庁に公文書を送って解決を促したとあります。
 このあたりの文面に、私ヌルボとしてはどうも引っかかるものがあるのですが・・・。脱北者はその証明書をもらえないのですね? 彼らも「善意の被害者」なのですが・・・。そして中国当局が韓国から来た脱北者を厄介者扱いするのも問題だし、それが犯罪の臭いも漂う脱北ブローカーとの関わりもそれなりにあるにしろ、元はといえば中国が脱北者を犯罪者扱いしていることがより根本的な問題でしょう。それをちゃんと批判してほしいものです。もっと根本的な問題は、そんな大量の脱北者を生み出している北朝鮮の体制の問題であることはいうまでもありませんが・・・。

 なお、住民登録番号制度自体についても、いろんな問題が起き、批判もあるようです。
 <OhmyNews!>中の記事「住民登録番号13文字の '恐ろしい真実'」に、いろいろ興味深いことが記されています。
 1968年住民登録番号が始まった時には数字は12桁で、誕生日は書かれていなかった、とか当時の朴正煕大統領の番号は'110101-100001 "だったとか・・・。
 また1975年から13桁に変わって、前の6桁を生年月日としたのは、「軍事独裁政府が国民を容易に監視し、制御するためだった」とか・・・。
 そして「住民登録制廃止が正解だ」と結論づけています。最近政府が代案として提示しているアイピン(I-PIN)も、「基本的に住民登録番号と関連づけられているので解決策にはならない」と批判しています。
 これはこれで大きな問題ですね。 

 冒頭に戻って、「新東亜」2011年9月号の記事の趣旨はというと、タイトルの示す通り「脱南する脱北者たち」でした。
 韓国に必死の思いで、いや、「思い」どころか文字通り命がけの脱出行を経て韓国入りを果たした脱北者たちの相当数がその後韓国を離れてイギリス等に「脱南」している、という実態を伝える記事です。その内容については、(毎度のことながら)いずれ別記事で紹介したいと思います。
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信川虐殺事件の真実に迫る = 黄晳暎(ファン・ソギョン)の小説「客人(ソンニム)」

2012-07-08 21:31:28 | 韓国の小説・詩・エッセイ
        

 黄晳暎(ファン・ソギョン)の小説客人(ソンニム)を一気に読了しました。

 この小説で描かれた信川(シンチョン)虐殺事件については、すでに6月18日のピカソの「朝鮮の虐殺」に関する記事で取り上げたので、その分衝撃度は減殺されたとはいえ、十分読み応えのある作品でした。

 以下、私ヌルボなりの感想をまとめてみました。

①多角的視点から真実に迫る。

 この小説は、現北朝鮮領内の黄海南道・信川で朝鮮戦争中の1950年10~12月繰り広げられた信川虐殺事件がどのようなものであったかを、主にニューヨーク在住の柳尭燮(ユ・ヨセフ)牧師の視点から描いています。彼は実在の人物で、作者・黄晳暎も直接話を聞いています。

 現在、北朝鮮では信川博物館の展示や、体験者の証言を通じてその虐殺は「米帝による残虐な所業」としていますが、史実はそうではありません。
 虐殺の主な加害者となったのは、終戦直後から人民委員会・共産党側に抑圧されてきたキリスト教勢力。
 小説では、柳尭燮牧師が北朝鮮を訪れる3日前に病死した、やはりアメリカで長く牧師を続けてきた年の離れた兄の柳尭翰(ユ・ヨハン)長老もその中心人物でした。
 事件当時、柳尭燮牧師は14歳(数え年)。彼自身は虐殺に手を染めてはいませんが、さまざまな惨劇を目撃している上、何よりも虐殺の張本人の弟です。
 そんな彼が、40年ぶりに信川を訪れ、事件後も現地に住む親族にも会って話もし、信川博物館等も見学する・・・。
 この小説が事件の深みに迫る力を持っているのは、被害者の側からの一方的な描写ではなく、このように加害者寄りの視点を軸に書いていること。
 また、「夢」とか「亡霊」が次々に出てきて、殺された者たちや加害者ヨハンも各々の体験や思いを語ります。
 巻末の「作者のことば」で、黄晳暎自身が紹介しているこの作品の創作ノートから抜粋します。
 
 「主観と客観は別々のものとして分離されるのではなく、多くの語り手にしてもそれぞれ特定の人物に縛られることなく、また一人称ないし三人称の立場に固定されずに、その時々に登場する異なった人物の視点に基づいて発言させることにより、より真実に近い物語を描くことができるのではあるまいか。一人の人物と彼が関わった事件についても、別々の立場にあった人たちが見せる多様性を同時に提示する手法を通じて、より多彩な絵を描くことが可能になるのではないのか。」

 なるほど、まさにこの意図のままに書かれていることがよくわかり、またそれが功を奏していると思います。
 また、同じクリスチャンの中でも、共産勢力を「サタン」とみなしてためらいなく殺してしまう者もいれば、人民委員会の方針となんとか折り合いをつけていこうという者もいます。40年経った今も、北朝鮮内で自分自身の信仰のようなものを維持している人もいます。
 共産勢力の側には、たとえば火田民出身で布団の中で寝たこともなく、村の子どもたちもパンマル(ため口)を使っていたような作男が登場します。解放前から夜学で文字を教えつつ「無産者の世の中」「人間の平等」「資本家と地主」等々も教えていた村のインテリ先生から彼も解放後ハングルを教わり、やがて里の党委員長になって言葉遣いも人間も変わりますが、彼も結局・・・。

②「北」のキリスト教勢力の歴史的背景が(少し)わかる。

 現北朝鮮領内の黄海側に位置する黄海道とその北の平安道は通称西北(ソブク)」と呼ばれています。
 私ヌルボがこの言葉を知ったのは金石範の大作「火山島」からです。済州島の四・三事件で、残酷な住民虐殺を行った中心勢力が西北青年団でした。その時は、ただ理解不能なヤクザ集団といった印象でした。
 しかし「客人」及びその訳者(鄭敬謨)あとがきによると、次のような歴史的背景があるそうです。

・1880年代、朝鮮で最初にキリスト教(プロテスタント=改新教)の教会が建てられ、布教が進められた地が黄海道である。 
・西北のクリスチャンたちは、勤勉と質素という「プロテスタンティズムの倫理」によって、小地主に成長していった。彼らは当然親米的であり、植民地時代には強い反日感情を持ち、強制的な神社参拝を拒否したりした。
・解放後の社会主義体制で小地主的クリスチャンたちは土地を失うことになり、社会主義勢力と激烈な対立関係に入る。


 ・・・ということで、ヌルボ、ここに至って四・三事件の背景(の一端)を知ることとなりました。(「火山島」にも何か書いてあったのかなあ?)
 また、解放後の「北」の代表的政治指導者で「朝鮮のガンジー」といわれたキリスト者・曺晩植(チョ・マンシク)の出自等についても知ることができました。

※鄭敬謨氏は、かつての「親米反日」から解放後「親米反共」へと変異を起こした越南クリスチャンたちが「アメリカの強力な支援を得て経済的にも政治的にも隠然たる勢力と化し、世界最大のプロテスタントの教会を建立したり、反共色濃厚な大学を建設したりするのは当然の成り行きであっただろう」と記しているのは興味深い。今につながっている、ということか。(※「世界最大のプロテスタントの教会」とは、信徒数78万人の汝矣島(ヨイド)純福音教会のこと。李明博大統領が長老として所属しているソマン教会も大きな教会。)

③北朝鮮の社会を、冷静に観察・描写している。

 実は、黄晳暎自身も戸籍上の原籍は「信川郡温泉面温井里一〇三番地」なんですね。小説では「寒井里」となっていますが、まさに虐殺事件の現地。しかし彼自身の生地ではなく、彼の父親が少年期を過ごした所とか。
 とはいえ、黄晳暎は1989年韓国政府の許可なく「北側の人に案内されて」訪北し、信川を訪れたのも、彼自身の縁故の地だったからです。その時、記念館に案内されながらも、「別の真相」があるのでは、という疑いを持ち続け、後日アメリカで柳ヨセフをはじめ事件を知る人から話を聞いたとのことです。

 ヌルボは、政府の許可なく北朝鮮に行ったというからには、彼も文益煥牧師や林秀卿のように(?)北朝鮮に幻想を抱いていた人かな、と以前思っていたのですが、この作品ではきっちり見たままを的確に書いています。常に監視を怠らない案内員のこと、バスの窓越しに見える「稚拙な文字で書かれた煽動スローガン」の数々。案内されたサーカスは「さまざまな芸を披露してくれたが何の感興も起こらなかった」等々。

 また、信川博物館の目撃者の感想については、次のように記されています。
 「ヨセフは当時その惨劇の場に居合わせたのだから、彼らの証言が決してウソではないのを知っていた。にもかかわらず彼らの訴えがあらかじめ企画されたものだということも感じていた。悪夢は事実だけれども、夢から覚めたあとその生々しさを失った言葉は、またどれほど軽いものか。・・・彼らが描写する虐殺行為の主語は全て「米帝」に置き替えられていたが、しかし当時信川郡に米軍が駐屯していたという事実はない。・・・」
 これらは、作家自身の感想なのでしょう。

④史実の捏造や、我田引水的解釈はよくない!

 あ、これは黄晳暎氏に対する非難ではなくて、事実をわかっていながら米軍による虐殺であると宣伝している北朝鮮のことです。
 作中で、惨劇の目撃者という信川博物館の館長が「自分たちどうしのあの殺し合い!」と言っています。この叙述が根拠のあるものだとすると、そのレベルでは知られている事実ということでしょう。しかし、同民族間の和解と民衆に対する反米プロパガンダの一挙両得をねらうにしても、史実の捏造はダメだよー。

※去る6月9日の「朝鮮中央通信」は、朝鮮少年団創立66周年慶祝行事に参加した信川郡シヌン中学校の女生徒の代表の言葉を載せています。
 「私は祖国解放戦争(朝鮮戦争)の時期、私の故郷で働いた米帝殺人鬼の蛮行について多く聴きながら育った、ところが今またそれを見るとなると、米帝侵略者に必ず復讐するという誓いがいっそう固まります。」
 ・・・これじゃあ悲劇はいつまでも続きますよ。

 「客人(ソンニム)」というタイトルは、かつて西から渡ってきた天然痘(「西病」)を、朝鮮民衆は一刻も早く帰ってもらうべき「客人」と呼んだように、解放後大きな傷あとを残したキリスト教徒・マルクス主義もいわば西から入った「客人」だという意味が込められているのですが、作者のことばには「しかしここに至り改めて痛感するのは、真に怖るべき「客人媽媽(ソンニムマーマ)」は依然としてアメリカ帝国ということだ」と書かれています。
 前述のように、北朝鮮に対しても否定的な記述が多いにもかかわらず、朝鮮総聯の機関紙「朝鮮新報」が2004年5月のこの本を好意的に紹介しているのは、まさに作者のその言葉にとびついたということでしょうか。しかし、意識的か否かわかりませんが、我田引水的な読み方の上、「今も世界を支配する「米=客人」の横暴。そのグロテスクで醜悪な本質を撃つ衝撃的な作品」と締めくくるとは、いやあ、さすがに「朝鮮新報」! 口あんぐり。

⑤殺し殺された亡霊同士の確執は解消するのか?

 最後に、やや食い足りない思いが残った点を書きます。キリスト教とマルクス主義のそれぞれの理念が真向から対立する中でむごたらしく殺し合った者たちは、亡霊同士となってもそう簡単に和解に至るものではないでしょう。自らのことを語るだけでなく、互いをもっと厳しく批判し合うのではないでしょうか? 同様の感想はアマゾンの読者レビューで「あるばむ」さんが書いているし、教保文庫のレビューにもありました。
 ドストエフスキーがすごいのは、そこを徹底的に掘り下げているからだと思います。
 (ドストエフスキーを基準にしたら、ほとんどが食い足りなくなっちゃいますが・・・。)
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林秀卿(イム・スギョン)、「従北」、「セッカル(色)論」等々・・・ (下)

2012-07-06 17:46:47 | 韓国の時事関係(政治・経済・社会等)
 1つ前の記事の続きです。
 1989年韓国の全大協の代表として北朝鮮を訪れ、<統一の花>と称された林秀卿(イム・スギョン)現民主統合党議員をめぐる最近の話題です。

※全大協(全国大学生代表者協議会)は、日本でいえば全学連。・・・といっても、全学連も知らない世代が増えているからなー。全大協の後身が韓総連(韓国大学総学生会連合.1993年~)。その韓総連は、現在大法院で国家保安法上の「利敵団体」と判断され、ウェブサイトも閉鎖されている状態が続いています。(関連記事→コチラ(韓国語))

○6月6日 
・この日は顕忠日、つまり国のために命を捧げた人々を追悼する日でした。記念式典で李明博大統領は、「自由民主主義を否定するいかなる勢力も、韓国国民は決して容認しない」と強調しました。
 この「自由民主主義を否定するいかなる勢力」とは、端的には「従北勢力」を指したものです。最初、総選挙で最左派の統合進歩党から出て当選した李錫基(イ・ソッキ)・金在妍(キム・ジェヨン)両議員が、党内予備選挙の際に不正なネット投票を行ったという問題をめぐって党内は大紛糾。その中で、彼らが北朝鮮ベッタリの党内主流派だったことから、党のワクを越えて従北が大きな論点となり、連日この言葉がマスコミを賑わせました。そして6月初頭からのこの林秀卿議員の暴言問題も、その<従北>論議のかっこうの新ネタとして取り上げられたというわけです。
 <従北>という言葉はごく最近の新語というわけではありませんが、この2ヵ月ほど、実に頻繁に政界(及びメディア)を飛び交った言葉になりました。
※本ブログ昨年8月の記事に、<従北林秀卿議員から「変節者」と決めつけられた「開かれた北韓放送」の河泰慶代表の公開書簡中に「民労党のような従北派は、日帝強占期の親日派よりむごい運命に遭う可能性がある」という一節があります。

・この6日の「朝鮮日報」の記事によると、脱北者同志会や北朝鮮民主化委員会等15の脱北者団体脱北者団体は5日の記者会見で「暴言吐いた林秀卿議員、北に帰れ」と訴えたとのことです。

○6月7日
・北朝鮮は、公式サイト「わが民族同士(ウリミンショクキリ)」で「脱北者を変節者というのは正しい」と「援護射撃」をしたことが「デイリーNK」で報じられました。(「援護射撃」になるのかな? 逆じゃないの?)

○6月8日
・「朝鮮日報」は「民主統合党内から慎重な行動求める声」という記事で、林秀卿議員に対する非難が高まる中、同じ民主統合党内でも「われわれも慎重に発言し行動する必要がある。感情に流されて相手(セヌリ党)の調子に巻き込まれてはならない」と自制の声が上がっていることを伝えています。同党の代表者選挙立候補者キム・ハンギル議員の他、朴智元院内代表も同様の発言をしたそうです。ところが、同党の盧武鉉前大統領に近いグループのイ・ヘチャン議員は逆に「新マッカーシズムに対しては全力で戦う」と強気の対抗策を述べたことが→コチラのニュースに載っています。また同党の崔宰誠(チェ・ジェソン)議員も「ゴミ情報を量産する一部の貴族脱北者のために、一般脱北者らもイメージにダメージを受けている」と林秀卿議員を擁護したとあります。彼はペク・ヨセフさん対しても「工作的臭いが漂う」とまで語っています。

○6月9日
・「産経新聞」で黒田勝弘記者が「「従北主義」に振り回される韓国」という記事で韓国の状況を(彼らしく)紹介しています。

○6月11日
・セヌリ党や右派言論からの「従北」攻勢に強気な反論で臨む上述のイ・ヘチャン氏が、キム・ハンギル氏を逆転して民主統合党新代表に当選。「極悪非道な李明博政権に審判」という見出しで「朝鮮日報」が報じています。

 このイ・ヘチャン氏による強気の反論あたりからよく新聞の見出しにも出るようになった言葉が「セッカル論(색깔론)」>。「セッカル(색깔)」とは「色」のことです。しかし、「従北」は漢字を見れば意味がわかるのに対して、「色論」と訳してみても何のことかわからないですね。
 一言で言えばレッテル貼り(ラベリング)のことです。昔(1950年頃)マッカーシー旋風が吹き荒れた頃、日本でもレッドパージ(赤狩り)が繰り広げられました。戦前にもありましたが、「アカ」というレッテルを貼られたら問答無用で排除されてしまうこと。
 韓国でも「パルゲンイ(빵갱이.アカ)」という言葉がかつてよく使われていたことは、韓国の小説や映画等に接していればよくわかります。そしてこの「セッカル論」という言葉自体も以前からある言葉です。
 今、「従北」という言葉で人を攻撃するのも「アカ」攻撃と同様で、無条件で人を否定・排除する危険な論難ではないか、というのが上記のイ・ヘチャン氏の反論の骨子です。
 たまたま検索にかかった2011年10月のある韓国のブログ記事を見ると、「「アカ」とか「従北」とかの烙印を押すようなセッカル論は力を失ってきたが、「親日」、「反民族」、「売国」のような民族を基盤としたセッカル論はいまだ強い力を振るっており、また左派・右派を問わず用いられている」とありました。
 しかし、この2~3ヵ月の間に「従北」という言葉が重要な政治的タームとして再び復活してきた、というわけですね。
 民主統合党内にも、上述のように「従北」と誤解されないよう気をつけようという慎重派と、「従北」攻撃はセッカル論だ!と反論に打って出る強硬派がいるように、セヌリ党内にも、この際「従北」を手がかりに進歩陣営に対して積極攻勢をかけようという人たちだけではなく、6月11日の「京郷新聞」の記事によれば、セヌリ党内にも「セッカル論による過度な理念攻勢は、かえって逆風をよぶ」と慎重さを求める声もあるようです。(左派的な論調の「京郷新聞」ならではの、遠回し的な援護射撃?)

 6月半ば以降、ようやく林秀卿議員に対する非難の波は沈静化したようです。
 しかし<従北>関連のさまざまなニュースは依然として続いています。

 6月11日にサッカー北朝鮮代表の鄭大世選手が11日、SBS放送のトーク番組に出演して北朝鮮チームの内部事情等を話した(→関連記事)ことについても、「北朝鮮の対南工作員の鄭大世選手をSBSが出演させたのは「従北」行為だ」という批判記事さえ出てきました。
 7月に入ってからは、3日「李石基議員、韓中FTA反対集会から締め出される」とか、「違法訪朝した韓国人、板門店から帰還・・・北、体勢宣伝に活用か」あたりが関連ニュース。

 その間発行された月刊誌「新東亜」7月号は「大韓民国 主思派を語る」というタイムリーな記事を掲載しました。
 主思派(チュサパ.主体思想派)は80年代民主化闘争の担い手となった金日成思想派。その主だった活動家たちのその後を追っています。副題は「転向した金永煥(キム・ヨンファン)氏も主体思想は捨てられない」。金永煥氏は90年代に北の実態を知って「転向」、北朝鮮人権運動家として活動を続ける中、今年3月末中国当局に拘束され、今に及んでいるという人物です。
 日本の60年代後半の大学闘争の担い手だった世代がその後さまざまな道をたどったように、韓国の80年代の闘士のその後の人生もいろいろです。(ここでも、私ヌルボの持論の「日韓を分ける24年差の歴史」があてはまるかな?)
 その中に河泰慶・金永煥等々のような「転向」者も多数いる一方で、林秀卿氏は明らかに「全然変わっていない」代表的人物といってよさそうですね。

 今の彼女を見て、私ヌルボの頭に何となく思い浮かんだ人物が中浦ジュリアンです。
 天正遣欧少年使節としてローマにまで行った4人の少年の1人で、1585年ローマ教皇・グレゴリウス13世と謁見した時、彼だけは高熱のため公式の謁見式には行けませんでしたが、便宜を図ってもらって後日1人だけで教皇との面会を果たしました。
 1590年帰国した後の使節たちの人生は各人各様でしたが、いちばんドラマチックだったのが中浦ジュリアンです。キリシタン弾圧の時代になってからも20年以上地下で布教活動を続けた彼は、ついに1632年捕縛され、翌年穴吊りの刑に処せられました。遠藤周作の「沈黙」の主人公フェレイラ神父は同じ時に棄教しましたが、彼は「私はローマを見た中浦ジュリアンだ」と叫びながら死んでいったそうです。
 おそらく、当時の日本人の中でも、いや全世界のキリスト教徒の中でもほとんどありえないような17歳(←たぶん)の時の栄光の経験が、その後の人生と、その最期を決定づけたといえるのではないでしょうか。

 ・・・ヌルボが、中浦ジュリアンを連想した大きな理由は、下の写真参照。(韓国ブログより)

     
    【林秀卿は金日成を「アボジ(お父さん)」と呼んだそうな・・・。】

 この金日成との熱い抱擁が、もしかして彼女の「転向」を阻止する大きな力になったのではないかなー?

[7月8日の付記]
 今日の<NORTH KOREA TODAY>の記事によると、林秀卿氏が北朝鮮の大学生集会に出席した時「韓国では乞食でもこんな服は着ない」と話したり、金日成に会った時には「統一しようとするなら、南の大統領とまず会わなければならない」と話して、金日成をたじたじとさせたそうで、そんな林秀卿の予期せぬ質問が北朝鮮人をたびたび当惑させ、またそれが林氏に対して北朝鮮人たちが妙な尊敬心を抱かせた、ということなのだそうです。
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