元・副会長のCinema Days

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「パスト ライブス 再会」

2024-05-03 06:08:05 | 映画の感想(は行)
 (原題:PAST LIVES)この文章を書いている時点で本作を劇場で鑑賞してから約1週間しか経っていないのだが、困ったことに印象が薄い。ストーリーラインも、紹介サイトを参照しないとハッキリと思い出せないほどだ。それだけ個人的にはアピール度の低いシャシンであり、正直言うと通常なら観る気さえ起きない題材の映画だった。しかしながら第96回米アカデミー賞では作品賞と脚本賞にノミネートされており、第73回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門の出品作でもあるので、一応はチェックしておこうと思った次第。

 韓国のソウルに暮らしていた12歳の少女ノラと少年ヘソンは、互いを憎からず思っていたが、ノラの一家が海外移住してしまい離れ離れになる。12年後、ニューヨーク在住のノラはソウルで暮らすヘソンとオンラインで再会を果たすが、結局は2人は実際会うことは無かった。そしてまた12年後、36歳になったノラは作家のアーサーと結婚していた。彼女を忘れられないヘソンは、それを承知でノラに会うためにニューヨークを訪れる。アメリカ=韓国合作のラブストーリーだ。



 とにかく、話が面白くない。24年もの間ノラを思い続けていたヘソンだが、こちらから有用なアプローチもしていないのに相手が振り向いてくれるはずもない。ノラもいいトシなのだから結婚している可能性にヘソンも思い至りそうなものだが、劇中ではその心境は具体的に語られない。だいたい、時間の流れが主人公たちが大人になってから描出されていないのだ。36歳という年齢相応の外見や佇まいが、ほとんど24歳の時点と変わらないのは失当だろう。

 2人はやっとニューヨークで再会するのだが、その際にノラの旦那のアーサーがずっと冷や飯を食わされていたのは呆れた。ならばノラとヘソンはどういう話をしていたのかというと、前世がどうのとか、まるで共感できないネタに終始しているのだから処置無しだ。

 そして本作の最大の敗因は、キャストに魅力が欠けていることだ。ノラに扮するグレタ・リーとヘソン役のユ・テオは、全然スクリーン映えしない。もちろん韓流ドラマ並の場違いな美男美女を持ってくる必要は無いと思うが、これでは普通のアンチャンとネエチャンの恋バナでしかなく、観ていて萎えた。アーサー役のジョン・マガロの方がまだマシだ。まあ、前世とか東洋的な因縁話がアカデミー協会では評価を得たのかもしれないが、こちらとしてはどうでもいいネタだ。やっぱり観なくてもいい映画だった。

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