元・副会長のCinema Days

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「レディ・バニッシュ 暗号を歌う女」

2024-02-02 06:05:02 | 映画の感想(ら行)
 (原題:The Lady Vanishes )79年作品。アルフレッド・ヒッチコック監督のイギリス時代の代表作「バルカン超特急」(1938年)の再映画化で、脚本はエセル・リナ・ホワイトの原作小説からジョージ・アクセルロッドが書いている。といっても、この映画を観た時点では私は元ネタをチェックしていなかったし、オリジナルに比べてこの作品の細部がどうだとかなんてことは思い当たらなかったので、ここではその時点での感想を書いていておく。結論から先に言ってしまえば、ヒッチコック映画のリメイクか何か知らないが、要するに何の変哲も無いただのサスペンス映画だ。

 1939年、南ドイツのバイエルンの田舎町。いつもは平和なこの地域も戦争の影が忍び寄り、ホテルや列車は軍の徴用になっていた。そんな中、ロンドン行き最終列車に乗り込んでいく旅行者の中に、身なりの良い若い女アマンダがいた。彼女はアメリカの富豪の娘で、二日酔いに悩まされながらも何とかコンパートメントに座り込んだが、そこにミス・フロイという陽気なイギリス人の中年女性が入ってきてアマンダと仲良くなる。



 やがて居眠りをしてしまった彼女が目を覚ますと、ミス・フロイの姿が無い。同じコンパートメントにいたキスリング男爵夫人に聞いても、そんな女性は最初からいないと言う。食堂車をはじめ他の車両にもミス・フロイはおらず、先日ホテルで知り合ったライフ誌の記者ロバートに相談するも、相手にされない。だが、そんなアマンダを亡き者にしようとする陰謀が背後で進行していた。

 設定だけ聞けば面白そうで、事実、部分的にはヒッチコック先生からのいただきだと思われる興味深いところもある。たとえば、消えた女の名前が窓に残っていた、というところとか。また証拠品のティーバッグの袋を捨てたつもりが、それが列車の窓にひっついて、それを主人公が目撃するところとか。だが、アンソニー・ペイジなる監督の腕が凡庸で、少しもスリリングではない。

 そもそも、この邦題そのものがネタバレだ。配給会社は一体何を考えていたのだろうか。ヒロイン役のシビル・シェパードはまあ良いとして、主人公のエリオット・グールドがどうも軽い感じでビシッとしない。アンジェラ・ランズベリーやハーバート・ロム、アーサー・ロウなど脇のキャストも印象に残らず。何でもビデオソフト発売時のタイトルは「新・バルカン超特急 暗号を歌う女」というものだったらしく、ストーリーが同じなのに何で「新」なのか、これも判然としない。

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