元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ライフ・オブ・デビッド・ゲイル」

2007-05-16 06:42:22 | 映画の感想(ら行)

 (原題:THE LIFE OF DAVID GALE)2003年作品。暴行殺人罪で死刑を宣告された死刑廃止論者の大学教授ゲイルと、彼の冤罪を証明しようとする女性新聞記者を描くミステリーだが、よくある“最後には被告が救われてめでたしめでたし”の筋書きには持っていかず、プロットを一捻りも二捻りもしているところが評論家からの好感度が高い理由である。しかし、私は全く感心しない。

 監督はアラン・パーカー。「ミシシッピー・バーニング」や「エンゼル・ハート」などを観れば分かるが、この英国人監督がアメリカで撮る映画は(「フェーム」を除いて)すべて“アメリカを小馬鹿にしたような作品”である。この映画でも結局言いたいのは“死刑制度が残るアメリカ(特に南部)ってロクなもんじゃない”ということ、および“そこで死刑制度反対の市民運動をしている連中(アメリカ人)はもっとロクなもんじゃない”ということなのだ。

 デビッド・ゲイル役のケヴィン・スペイシーはとても“20代でハーバード大の教授になった秀才”には見えないが、その“本質”が明らかになるラストのドンデン返しにしても、たとえて言うなら“こんな奴が一流大学の教員やってるアメリカって国はロクなもんじゃない”という作者の悪意ばかりが前面に出て愉快になれない。事件解決のために活躍する女性記者にイギリス女優(ケイト・ウィンスレット)を持ってくるあたりも実にいやらしい。

 娯楽ミステリー編である作品の形態以上に、作り手のひねくれた見方の方が目立ってしまうようでは映画としては失敗。監督の人選を誤ったと言うべきだろう。

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