元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

大雑把に選んでしまった2021年映画ベストテン。

2021-12-31 06:15:58 | 映画周辺のネタ
 年末恒例の(別に恒例でもないのだが ^^;)が、本年度(2021年)の個人的な映画ベストテンを発表したいと思う。

日本映画の部

第一位 すばらしき世界
第二位 街の上で
第三位 猿楽町で会いましょう
第四位 モルエラニの霧の中
第五位 子供はわかってあげない
第六位 ひらいて
第七位 彼女の好きなものは
第八位 まともじゃないのは君も一緒
第九位 すくってごらん
第十位 ザ・ファブル 殺さない殺し屋



外国映画の部

第一位 ノマドランド
第二位 ファーザー
第三位 少年の君
第四位 チャンシルさんには福が多いね
第五位 ミッション・マンガル 崖っぷちの火星打ち上げ計画
第六位 KCIA 南山の部長たち
第七位 ディア・エヴァン・ハンセン
第八位 MINAMATA ミナマタ
第九位 最後の決闘裁判
第十位 ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから



 前年に引き続き、2021年もコロナ禍が映画界を直撃。映画館の閉鎖こそなかったが、ハリウッド製の大作の公開延期が相次いだ。次々とウイルスの変異株が現れていることから、コロナ禍の前の状況に戻るには長い時間がかかりそうだ。ただし、ベストテンを選べるだけの本数を上映してくれたのはありがたい。

 日本映画において印象的だったのは、我々が直面する社会問題を捉えようという作品が目立ったことだ。しかし、一位の「すばらしき世界」を除いて、それらは高評価を得られていない。なぜなら、映画として練られていないからだ。どんなに高尚な意図を持っていても、ウェルメイドに徹していなければ観客を振り向かせることは出来ない。

 外国映画の一位「ノマドランド」は、その主題や手法はアメリカ映画としては画期的なものだった。同作のC・ジャオ監督はマーベルの大作も担当しており、外部から異質な才能を呼び込むハリウッドの方法論を再確認した。ただし、同監督の出身国である中国当局の頑迷なスタンスは、世界情勢の暗い一面を垣間見せる。

 また、韓国映画は総体的に日本映画を圧倒しつつある。気が付いてみれば、国民一人当たりのGDPは韓国にも遅れを取り、我が国の衰退は避けられない状況だ。しかし、そのことに無自覚な国民は圧倒的多数を占める。たぶん、日本は落ちるところまで落ちないと、事の重大さを理解しないのだと思う。

 なお、以下の通り各賞も選んでみた。まずは邦画の部。

監督:西川美和(すばらしき世界)
脚本:今泉力哉、大橋裕之(街の上で)
主演男優:役所広司(すばらしき世界)
主演女優:石川瑠華(猿楽町で会いましょう)
助演男優:鈴木亮平(孤狼の血 LEVEL2)
助演女優:中田青渚(街の上で)
音楽:鈴木大輔(すくってごらん)
撮影:新宮英生、与那覇政之(モルエラニの霧の中)
新人:神尾楓珠(彼女が好きなものは)、首藤凜監督(ひらいて)

 次は洋画の部。

監督:クロエ・ジャオ(ノマドランド)
脚本:フローリアン・ゼレール、クリストファー・ハンプトン(ファーザー)
主演男優:アンソニー・ホプキンス(ファーザー)
主演女優:フランシス・マクドーマンド(ノマドランド)
助演男優:メラーブ・ニニッゼ(クーリエ:最高機密の運び屋)
助演女優:美波(MINAMATA ミナマタ)
音楽:ベンジ・パセク、ジャスティン・ポール(ディア・エヴァン・ハンセン)
撮影:ジョシュア・ジェームズ・リチャーズ(ノマドランド)
新人:イー・ヤンチェンシー(少年の君)、ジョディ・カマー(最後の決闘裁判)、キム・チョヒ監督(チャンシルさんには福が多いね)

 毎度のことながら、ワーストテンも選んでみた(笑)。

邦画ワースト

1.ドライブ・マイ・カー
映画として何も描けていない。加えて3時間という気の遠くなりそうな長さ。観たことを心底後悔した。
2.パンケーキを毒見する
稚拙な語り口で時事問題を扱わないでほしいものだ。もっとマジメにやれ。
3.あのこは貴族
4.BLUE/ブルー
5.空白
6.茜色に焼かれる
7.明日の食卓
8.ホムンクルス
9.先生、私の隣に座っていただけませんか?
10.いとみち

洋画ワースト

1.プロミシング・ヤング・ウーマン
物語の前提は無理筋で、ストーリー運びは絵空事。話にならない。キャストも最悪。
2.007/ノー・タイム・トゥ・ダイ
これは断じて“007”ではない! 所帯じみたボンドなど願い下げだ。
3.ミナリ
4.17歳の瞳に映る世界
5.わたしの叔父さん
6.どん底作家の人生に幸あれ!
7.パワー・オブ・ザ・ドッグ
8.サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ
9.イン・ザ・ハイツ
10.沈黙のレジスタンス ユダヤ孤児を救った芸術家

 ローカルな話題としては、アジアフォーカス・福岡国際映画祭が終了したことが実に残念だった。2020年に30回目を迎えたが、2021年3月をもって実行委員会が解散し、事実上終焉を迎えた。とはいえ、今までの上映作品はフィルムアーカイブとして福岡市総合図書館に保管されており、この資産を活用する施策も考えられるだろう。今後に注目していきたい。

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