元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「陽はまた昇る」

2012-05-15 06:34:01 | 映画の感想(は行)
 2002年作品。NHKの「プロジェクトX」でも取り上げられたVHSビデオ誕生秘話の映画化。誰にでもわかるサクセス・ストーリーを追っているので、映画は確かに面白い。

 演出が多少平板で、映像的ケレンや卓越したドラマ運びは皆無でも、題材自体に普遍的な面白さと力強さが備わっていれば観客を納得させることが十分可能なのである。

 主演の西田敏行はどうしても「釣りバカ日誌」のハマちゃんを思い起こさせ、あまり実直な会社員には見えないのはマイナスだが(笑)、渡辺謙や仲代達矢ら脇のキャストがめっぽういい。

 それにしても、落ちこぼれ達が一致団結して道を開くというサラリーマンものの王道路線が現実社会では成り立たなくなりつつあることは悲しい。「自己責任」という名目で弱者を容赦なく切り捨てて行く「構造改革路線」万能の御時世を経て、今や家電業界そのものが斜陽になった昨今では、この映画に出てくる男たちも居場所がなくなるであろう。

 さらに言えば、VHSを生み出した日本ビクターという会社はすでに存在しないのだ(2011年にケンウッドに吸収合併された)。ビクターというブランド名こそ残っているものの、かつて意欲的なAV機器を次々とリリースしていた頃の面影は無い。実に寂しいことである。

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