元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」

2020-06-27 06:43:11 | 映画の感想(さ行)
 (原題:LITTLE WOMEN)以前にも書いたことがあるが、私はエマ・ワトソンが好きではない。ルックスが好みではないのを別にしても(笑)、彼女は表情に乏しく、身体のキレも良くない。欧米の映画で演技に難のある俳優がスクリーンの真ん中に居座ることはめったにないが、ワトソンはそのレア・ケースに該当すると思う。しかしながら、本作では彼女が一番可愛く見えてしまうのだ。もっともそれは彼女が魅力的になったのではなく、周りが酷すぎるからなのである(爆)。

 ルイーザ・メイ・オルコットの有名な原作は若い頃に読んだはずだが、内容はすでに忘却の彼方である。ウィノナ・ライダー主演の94年版も観ているが、これまた中身は覚えていない。要するに、このネタ自体が私には合わないのだろう。



 それは差し置いて、このランダムかつ乱雑に積み上げられた時制はカンベンしてほしい。話の流れが判然としないばかりか、そもそも話自体に興味の持てるモチーフが見当たらない。原作及び過去の映画化作品の好きな観客にとっては全然気にならないのかもしれないが、少しでもストーリーに起伏や意外性を期待する向きには、ほとんど縁の無いシャシンと言って良い。

 さて、エマ・ワトソンはマーチ家の長女メグを演じているが、実質的な主人公の次女ジョゼフィーン(通称ジョー)に扮しているのがシアーシャ・ローナン。これまた御面相が私の好みとは最も遠い位置にある女優で、あの粘着質なセリフ回しと勿体ぶった表情および身のこなしには今回も辟易した。妹2人を演じるフローレンス・ピューとエリザ・スカンレンに至っては、語る価値も無いほど外見の訴求力が低い。これではエマ・ワトソンが無駄に目立ってしまうのも、仕方がない。

 ティモシー・シャラメやメリル・ストリープ、ローラ・ダーン、クリス・クーパーといった普段は出てくるだけで絵になる俳優陣も、この映画においては何とも精彩に欠ける。グレタ・ガーウィグの演出は、大して面白くもないであろう原作を何とか盛り上げようという意図すら感じられず、平板に流れるのみだ。前作「レディ・バード」(2017年)と比べても、質的に落ちる。

 とはいえ、オスカーを獲得したジャクリーヌ・デュランによる衣装デザインは素晴らしい。上手く再現された19世紀アメリカの風俗・文化をバックに、実に良く映えている。ヨリック・ルソーによる撮影、アレクサンドル・デスプラの音楽、いずれも申し分ない。
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