韓国のネイバーというポータルサイトに、「知識iN」という質問コーナーがあります。寄せられた質問に対し、匿名で回答が書き込まれるのですね。信頼性は低いけれど、手軽さが受けて盛んに利用されています。ヤフー知恵袋みたいなものです。
そこに竹島に関する質問がありました。少し古い記事で、2008年7月19日ですから、ちょうど日本の中学校社会科教科書の新学習指導要領解説書に初めて竹島問題が言及されたときのものと思われます。
なかなか面白い内容なので、拙訳でご紹介します。
〈質問〉独島問題を、なぜ国際司法裁判所に委ねないのですか?(→リンク)
こんにちは。日韓問題に関心のある大学生です。
現在、日本による独島挑発が騒がれています。これまで日本政府は一貫して独島を自国領土と主張し、韓国政府はそれに抗議してきました。
一般の日本人が理解できないと言っているのが、独島が完全に韓国の領土だというなら、なぜ国際司法裁判所に委ねないのかということでした。
国際司法裁判所に委ねた場合、「日本の経済力と国際影響力が優越しているため、ロビー活動で負けて、まかり間違えると韓国が負けるかもしれない」とか、「韓国の領土であることが自明なのだから、国際司法裁判所に委ねる必要なんてない」とかいうのがわが国の説明でした。
しかし、冷静に考えると、わが国の領土であることが確実なのであれば、またその証拠が完全に揃っているなら、国際司法裁判所が中立性のないたかり集団じゃない以上、日本のロビー活動が「独島が韓国領土」という判決に影響を及ぼすことはできません。
それに国際司法裁判所は、その判決結果に強制性を持っていません。
また、日本が「独島は自国領土」というたびに、繰り返し日韓の官民の交流行事が中断、韓国内の反日感情とナショナリズムが盛り上がれば、その出血と経済的損失は莫大です。
日本政府が「はい、独島はわが国の領土ではありませんでした。ごめんなさい」と言う可能性は、韓日で戦争をして韓国が勝たない限り、まったくありません。日本政府も甘い相手ではないし、何の根拠もなく言い張っているわけではないからです。
韓国、日本がどちらも絶対に引き下がらないことは自明ですが、ただ無視して聞こえないふりをしていれば、実効的支配をしているからおのずと独島は永遠にわが国領土になるだろう、というのは正直言って大人の対応と思えません。
日の丸や日本の政治家の写真をやぶいたからといって日本政府がひるむわけでもなく、むしろこの問題に無関心だった日本の一般市民の反発を買って、日本政府を利する逆効果をもたらすということ、なぜ対北工作員の方々はわからないのでしょう。
韓国において、独島はただの島ではなく、日本からの独立の象徴となりました。だから日本が独島を自国領と主張することは、韓国を再び植民地化しようとすることだといわれます。
変じゃないですか?
日本がロシアに奪われた北方領土を取り戻そうとすることが、再び露日戦争につながるわけでないように、独島問題を韓国の抗日の歴史と結びつけ、日本を糾弾することが独立闘士になることだという妄想に取りつかれている人々が多いです。
反日は愛国、親日は売国、愛国は無罪、愛国至上主義…。独島が問題になったときの、このようなナショナリズムは、軍部独裁国家と大差ないレベルだと思えます。
私は、こうしたナショナリズムはわが国の将来にとって有害だと思います。
独島問題を国際司法裁判所に委ねて解決すれば、こうした消耗的な紛争をせずにお互い平和を得られるのに、なぜ委ねないのか、よく言われるような表面的な理由ではなく、深い部分の理由が知りたいです。
〈回答〉
日本は、1954年9月から一貫して独島問題を国際司法裁判所に回付することを要求してきました。
その時は、今のように日本の地位が世界的に高いものでもなく(第二次世界大戦が終わって間がなく、日本は戦犯国家でしたから)、餓死者が続出するほどで経済事情もあまりよくありませんでした。
しかし、1952年1月、日本が戦後の混乱のためまともな対処ができない隙をついて、韓国の初代大統領李承晩は一方的に李承晩ラインを宣布し、独島を占拠しました。国際司法裁判所に回付しようという日本の提案は黙殺されました。
実際、その理由は、国際司法裁判所に回付した場合、判決が韓国に有利に出ない可能性のためです。
1899年の大韓地誌(大韓帝国の最初の地理学教科書)、1907年の大韓新地誌など、韓日合邦以前に大韓帝国から出された資料も独島を大韓帝国の領土から除外しており、1947年の常識問答、1948年の朝鮮常識など、光復後の書籍にも我が国の領土が鬱陵島までだという…誤った常識が平然と韓国側の資料にも書かれています。
昔の古地図に独島が韓国の領土と表示されているといいますよね。でも、日本側も独島が日本領であることを証明する古地図をたくさん持っています。(実際には独島が韓国の領土であると証明する強力な証拠の一つ、東国輿地勝覧には、独島の位置と大きさがまったく違って記述されていて、証拠としての価値が落ちるのではないかという個人的な考えも持っています)
FRUS(米国外務省の外交機密文書)、1949年7巻、第6条にはこんなふうに出ています。
[リアンクール岩の再考を勧める。この島に対する日本の領土主張は古く、正当だと思われる。安全保障のため、この土地に気象及びレーダー局を想定するかもしれない]
ここでリアンクール岩とは独島を指します。
FRUS、1951年6巻、1202秘密文書には、こんな文章も出てきます。
[この、通常無人島である岩島は、我々の情報によれば朝鮮の一部として取り扱われたことがなく、1905年頃から日本の島根県隠岐支庁の管轄下にある。この島は、かつて朝鮮によって領土主張があったとは思えない]
その他、いろいろな歴史的事実なども、韓国側の立場から解釈しようとすれば明らかに韓国側に有利に解釈できますが、日本側の立場から解釈しようとすれば、まるで違う結論を導くこともできます。たとえば安龍福に関する双方の主張がそうです、隠州視聴合記、三国通覧図説、内務省の通知など…。わが国が独島はわれわれのものだと主張する根拠が、解釈次第という意味です。
テレビやインターネット、新聞などで扱われている独島に関する内容は、すべて韓国側の目から、韓国側の立場を代弁しているものです。そこから見れば独島は100%韓国の領土であり、日本はとんでもない主張をしているのに違いありません。
しかし、国際司法裁判所で双方の主張とその根拠を検討し結論を下すとすれば……。国際司法裁判所が公正に判決を下すにしても……、結果は、必ずわれわれに有利なものが出てくると確信することはできません。
だから国際司法裁判所に行くことはできません。
理由がどうであれ、わが国は独島を守らなければならず、独島を失うことは、私たちの大きな資源にして底力であるものを失ってしまうという意味にもなりえます。外交的犠牲を甘受してでも、独島は守る価値があり、必ず守らなければならいというのは、韓国民の誰もが知っている事実です。
もっと詳しく具体的に回答することもできますが、今これを書いているのが自宅ではないので…、時間もなく、集めた資料を参照することもできず、回答はこの程度にしたく思います。
要約すれば、
「独島問題は、もしわが国の主張が正しいなら、なぜ国際司法裁判所で争わないのか」
という素朴な疑問に対し、
「国際司法裁判所で争うと、韓国が負けちゃうかもしれないので出せないんだ」
という、これまた実に正直な回答です。
これに対する質問者の返信は、
「ああ! こんなに完璧な答えは初めて聞きました。ありがとうございました」
このインターネット社会において、論争はすべてネットで公開され、古文書、古地図、あらゆる資料もアップロードされています。
韓国語と日本語は機械翻訳の相性もいいので、双方の言い分をほぼ正確に読み取ることができます。
いくら韓国が、国内向きにもっともらしい理屈をこねても、ネット上ですぐに検証され、根拠のある主張なのかどうかがわかっちゃうのですね。
韓国人の中には、日本のサイトを渉猟し、どうやら日本の言い分のほうが説得力がありそうだ、とうすうす気がついている人が増えているんじゃないでしょうか。
最新の画像[もっと見る]
- なぜ人を殺してはいけないのか④ 3日前
- なぜ大谷の50-50がすごいのか 5日前
- なぜ人を殺してはいけないのか③ 7日前
- なぜ人を殺してはいけないのか② 1週間前
- 韓国便り~韓国アガシとのマンナム 2週間前
- 韓国便り~三角地 2週間前
- 韓国便り~三角地 2週間前
- 韓国便り~三角地 2週間前
- 韓国便り~食事 2週間前
- 韓国便り~食事 2週間前
朝鮮半万年の歴史が神話にすぎないと認めただけでも驚きですが、日韓国境の近代史においても、これまでの出張を修正し始めたようにも思えます。
これだけ独島問題が注目されると李承晩ラインは国際法的にも不法で、歴史的にも韓国固有の領土とはいえないことを理解する韓国人も増えてきているとは思えます。
あとはそれを言っちゃ売国奴という空気がいつまで続くかですかね。
http://japanese.joins.com/article/720/159720.html?servcode=400§code=400
李承晩ラインは、韓国では「平和線」と読んでいますね。不法な平和線とは、ちょっとぎこちない…
韓国のマスコミは日本で言う週刊誌レベルですね。日本のマスコミも欧米の高級紙レベルのものは見あたりませんけどね。
若者恐るべしと申します。将来の世代の智恵に期待しましょう。
ただ事実関係を指摘すると、韓国が応訴しなくても「仮保全措置」を申し立てることもできましたが日本はしていません。その理由は、私の推測では、単なる政治的主張にすぎないから本気ではないのだろうと考えています。
日米安全保障条約に基づく米軍への出動要請もありますが、その前に安全保障理事会の開催要求や、先に挙げたICJへの仮保全措置申立も手だての一つでしょう。
私の記憶が確かなら、韓国は1990年まで国連加入していませんし、ICJにも加入していませんので、非加盟国に対する措置としては先ず以て安全保障理事会なり国連総会の決議成りを求めるのが先決ですね。
戦争に比べりゃちっぽけな問題ですから。