弁理士の日々

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GSOMIA 輸出規制 徴用工問題

2019-11-24 10:18:42 | 知的財産権
米圧力で方針転換 日韓、失効直前の折衝―GSOMIA
時事ドットコムニュース 2019年11月22日
『失効期限直前の「ぎりぎりの調整」(韓国政府関係者)の末、GSOMIAの事実上の延長を決定。大統領府関係者は「輸出規制問題解決に向けた協議が進行している間は暫定的にGSOMIA終了を中断するという意味だ」と、いつでも協定を破棄できると強調したが、日本から輸出管理強化の撤回を引き出せなかった苦しい立場をうかがわせた。
◇「元に戻っただけ」
 「日本政府はほとんど譲っていない。米国から迫られ、韓国が折れたのが実態だ」。韓国政府の発表を受け、日本政府高官の一人は勝ち誇ったように語った。
 日本政府はこの間、輸出規制の緩和に応じる姿勢を見せなかった。輸出規制を「元徴用工問題を動かすてこ」(国家安全保障局関係者)とみていたからだ。日本政府にとって元徴用工問題は日韓関係を根本から覆しかねない問題で、「GSOMIA失効もやむを得ない」(同)と判断していた。』

『日本政府はこの間、輸出規制の緩和に応じる姿勢を見せなかった。輸出規制を「元徴用工問題を動かすてこ」(国家安全保障局関係者)』はいけません。輸出規制と徴用工問題は全く別、というのが基本スタンスのはずです。そうでないと、仮にWTO提訴が再開された場合、日本が敗訴する懸念さえあります。

また、『日本政府高官の一人は勝ち誇ったように語った。』も調子に乗りすぎです。こんな発言で韓国国民の気持ちを逆なでして良いことはないでしょう。

私は、このブログの「韓国をホワイト国に戻す基準 2019-09-08」で以下のようにコメントしました。
『私は、世界の中で日本の主張に納得してもらうためには、
「徴用工問題、輸出規制、GSOMIA撤退問題は、それぞれ全く別」
との基本スタンスに立ち、実際に全く別に対応すべきと考えます。
日本が主導権を握っているのは輸出規制のみです。
輸出規制において、日本政府は、「韓国がグループA(ホワイト国)からグループBに変更になった理由は具体的には○○である。韓国の輸出管理体制が□□になったら、グループAに戻すことにやぶさかではない」と明示すべきと考えます。
そして、実際に韓国の輸出管理体制が□□になったことが確認できたら、たとえ徴用工問題が未解決で、GSOMIA脱退が撤回されていなくても、韓国をグループAに戻してしまうのです。
このようなスマートな対応がとれるか否か、興味深いところです。』

今回の両国の発表を聞くと、今回に至るまで、輸出規制に関する両国間の話し合いは全く持たれていなかったのですね。それがとても不思議です。韓国側には今まで、「韓国がどのようにしたら、日本は輸出規制を元に戻すのか」といったスタンスは全くなく、「直ちに輸出規制を元に戻せ」としか主張してこなかったということですね。
今回、話し合いのテーブルが3年ぶりに再開するということです。
日本側の輸出規制担当当局は、上記「韓国がグループA(ホワイト国)からグループBに変更になった理由は具体的には○○である。韓国の輸出管理体制が□□になったら、グループAに戻すことにやぶさかではない」を明示し、事態を進展させるべきでしょう。「説明はするが、輸出規制を元に戻す気はない」のような態度を取るべきではありません。

ps 11/24 23:30
以下のようなニュースが流れました。
【釜山共同】
『韓国大統領府の鄭義溶国家安保室長は24日、南部・釜山で記者会見し、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)維持を巡る合意内容について、日本側が意図的に歪曲して発表したとして遺憾の意を表明した。日本側に外交ルートで抗議し、謝罪を受けたと説明した。合意自体は守る姿勢を示した。
鄭氏は、日本の経済産業省が22日、韓国が輸出管理の問題点を改善する意欲を示したと説明した点を挙げ「完全に事実と異なる」と指摘。実際には韓国の輸出管理制度の運用を確認し、日本の輸出規制強化の撤回を協議するとの線で合意していたと主張した。』
これが本当だとすると、韓国と日本の間には決定的な理解の乖離があるようですね。今後どう進展するのか、想像できません。
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