村松尚登氏については、1年前に日本少年サッカーの現実で紹介しました。バルセロナのバルサスクールで子供達にサッカーを教えており、サイト日本はバルサを超えられるを運営されています。
その村松氏の下記の著書を読んでみました。
プロローグから
「スペインには毎年のようにはるばる日本から小中高生のサッカーチームが遠征にやってきます。サッカー留学のために個人でスペインにやってくる日本人青少年も居ます。」
「こういった多くの若い日本人選手たちが、スペインでその力量をスペイン人たちの前で披露するわけですが、日本人選手のプレーに対するスペイン人の“第一印象”は概して良く、彼らは口を揃えて『日本人のテクニックやスピードは素晴らしい!』と驚嘆します。
しかし、残念ながらその好印象が長く続くことは稀で、彼らのプレーを数十分間見続けた後の日本人選手に対する“第二印象”は、『日本人はテクニックやスピードは素晴らしいがサッカーは下手』というものに変化していってしまいます。」
《スペインサッカーは痛い》
スペインに渡ったばかりの頃、スペイン9部リーグに属するチームに所属し、練習を始めました。練習といえども彼らは、激しくフィジカルコンタクトしてきます。スペインではテクニックよりも「戦えるかどうか」が最も重要視されています。
《「サッカー=長期リーグ戦」という公式》
スペインでサッカーをプレーするあらゆる人たちが、各チーム20名ぐらいのチームに属し、すべてのチームは16チームからなるリーグに属し、1年間に合計30試合を戦います。毎週末に試合が行われます。
大人も子供も、上手くても下手でも、自分にあったチームに加入します。万年補欠はほとんど存在せず、毎週末の試合に出場することができます。
こうしてあらゆる階層のサッカープレーヤーが、毎週末の試合を通じてうまくなっていくのです。
《選手は育てるものではない。見つけてくるもの》
最近私はNHK番組で、長友選手に密着した番組を見ました。中学時代、長友選手は自分の実力よりも低いチームに所属し、増長していました。その長友選手を目覚めさせ、導いた先生がいたそうです。
スペインではそんなことは起こりません。どの選手も自分の実力に見合ったチームに所属しますから、増長することなく、毎週末の試合で技術を磨いていくのです。そうして結果を残した選手が、より高いレベルに上がっていきます。
《サッカーはサッカーをすることで上手くなる》
スペインで日常的に目にする練習メニューや指導スタイルに、日本と比較して真新しいものはほとんどない、という実情のようです。
結局、「○○は上手いけどサッカーは下手」という日本人のサッカーレベルを向上するためのヒントは、ここに集約されました。「サッカーはサッカーをすることで上手くなる」
サッカープレーヤーのすべてが、自分のレベルにあったチームで補欠でなく毎週末の試合に参加し、年間30試合を戦うことによって、サッカーが上手くなっていくということです。
このようなスタイルでサッカーを追求する結果として、日本人に足りないといわれる“賢さ”も備わっていくように思われます。
《戦術的ピリオダイゼーション理論》
日本サッカーを向上させるヒントを探し、村松さんは11年もの長い間バルセロナで仕事をしてきました。しかしその答えが「サッカーはサッカーをすることで上手くなる」では寂しすぎます。
そんなとき、村松さんが出合ったのが「戦術的ピリオダイゼーション理論」でした。
この理論の内容については、私もよくわからなかったので、興味のある方は本を読んでください。
「サッカーは“カオス”であり、かつ“フラクタル”である。」という“サッカーの本質”だけ、紹介しておきます。
セルジオ越後氏が「日本サッカーと「世界基準」 (祥伝社新書 (046))」で主張している内容について、こちらでも紹介してきました(1、2)。村松さんの上記の考え方は、このセルジオ氏の考え方と極めて良く一致しています。
紹介記事でも話題にしたように、日本の登録選手数89万人が、松村さんが唱えるように1チーム20人のチームに所属するとすると、チーム数は4.5万チーム(=89万/20)となります。これらのチームのすべてが、16チーム一組でリーグ戦を組み、毎週末にホーム&アウェイで試合を行うというわけです。1グラウンドで1日に4試合できるとして、グラウンド数は全国に合計6千ほど必要となります。
また、チーム数に見合った指導者の確保が問題です。
スペインでは、今のシステムで長い間に育った多くの大人がいます。また、村松さんによるとスペインの勤労者は5時に終業し、その後に地域でサッカーを指導することが可能だとのことです。
このような、グラウンドインフラ、指導者インフラが、日本には欠けていると言わざるを得ないでしょう。
ところで、日本にも、スペインと同じようにインフラが潤沢な地域があるかもしれません。
静岡です。
静岡は昔からサッカーが盛んだと聞きます。各地域に多くのサッカーグラウンドを抱え、サッカーセンスに優れた大人も多く在住している可能性があります。そのお陰だと思うのですが、やはり静岡はサッカープレーヤーの供給源になっています。フランスワールドカップの時、日本代表選手のうちの半分の出身地が静岡県だったのにはびっくりしました。
静岡における状況をサーチすれば、村松さんが提唱するスタイルが日本でどのように機能し得るのか、検証できるように思われます。
その村松氏の下記の著書を読んでみました。
テクニックはあるが、サッカーが下手な日本人 日本はどうして世界で勝てないのか?村松 尚登ランダムハウス講談社このアイテムの詳細を見る |
プロローグから
「スペインには毎年のようにはるばる日本から小中高生のサッカーチームが遠征にやってきます。サッカー留学のために個人でスペインにやってくる日本人青少年も居ます。」
「こういった多くの若い日本人選手たちが、スペインでその力量をスペイン人たちの前で披露するわけですが、日本人選手のプレーに対するスペイン人の“第一印象”は概して良く、彼らは口を揃えて『日本人のテクニックやスピードは素晴らしい!』と驚嘆します。
しかし、残念ながらその好印象が長く続くことは稀で、彼らのプレーを数十分間見続けた後の日本人選手に対する“第二印象”は、『日本人はテクニックやスピードは素晴らしいがサッカーは下手』というものに変化していってしまいます。」
《スペインサッカーは痛い》
スペインに渡ったばかりの頃、スペイン9部リーグに属するチームに所属し、練習を始めました。練習といえども彼らは、激しくフィジカルコンタクトしてきます。スペインではテクニックよりも「戦えるかどうか」が最も重要視されています。
《「サッカー=長期リーグ戦」という公式》
スペインでサッカーをプレーするあらゆる人たちが、各チーム20名ぐらいのチームに属し、すべてのチームは16チームからなるリーグに属し、1年間に合計30試合を戦います。毎週末に試合が行われます。
大人も子供も、上手くても下手でも、自分にあったチームに加入します。万年補欠はほとんど存在せず、毎週末の試合に出場することができます。
こうしてあらゆる階層のサッカープレーヤーが、毎週末の試合を通じてうまくなっていくのです。
《選手は育てるものではない。見つけてくるもの》
最近私はNHK番組で、長友選手に密着した番組を見ました。中学時代、長友選手は自分の実力よりも低いチームに所属し、増長していました。その長友選手を目覚めさせ、導いた先生がいたそうです。
スペインではそんなことは起こりません。どの選手も自分の実力に見合ったチームに所属しますから、増長することなく、毎週末の試合で技術を磨いていくのです。そうして結果を残した選手が、より高いレベルに上がっていきます。
《サッカーはサッカーをすることで上手くなる》
スペインで日常的に目にする練習メニューや指導スタイルに、日本と比較して真新しいものはほとんどない、という実情のようです。
結局、「○○は上手いけどサッカーは下手」という日本人のサッカーレベルを向上するためのヒントは、ここに集約されました。「サッカーはサッカーをすることで上手くなる」
サッカープレーヤーのすべてが、自分のレベルにあったチームで補欠でなく毎週末の試合に参加し、年間30試合を戦うことによって、サッカーが上手くなっていくということです。
このようなスタイルでサッカーを追求する結果として、日本人に足りないといわれる“賢さ”も備わっていくように思われます。
《戦術的ピリオダイゼーション理論》
日本サッカーを向上させるヒントを探し、村松さんは11年もの長い間バルセロナで仕事をしてきました。しかしその答えが「サッカーはサッカーをすることで上手くなる」では寂しすぎます。
そんなとき、村松さんが出合ったのが「戦術的ピリオダイゼーション理論」でした。
この理論の内容については、私もよくわからなかったので、興味のある方は本を読んでください。
「サッカーは“カオス”であり、かつ“フラクタル”である。」という“サッカーの本質”だけ、紹介しておきます。
セルジオ越後氏が「日本サッカーと「世界基準」 (祥伝社新書 (046))」で主張している内容について、こちらでも紹介してきました(1、2)。村松さんの上記の考え方は、このセルジオ氏の考え方と極めて良く一致しています。
紹介記事でも話題にしたように、日本の登録選手数89万人が、松村さんが唱えるように1チーム20人のチームに所属するとすると、チーム数は4.5万チーム(=89万/20)となります。これらのチームのすべてが、16チーム一組でリーグ戦を組み、毎週末にホーム&アウェイで試合を行うというわけです。1グラウンドで1日に4試合できるとして、グラウンド数は全国に合計6千ほど必要となります。
また、チーム数に見合った指導者の確保が問題です。
スペインでは、今のシステムで長い間に育った多くの大人がいます。また、村松さんによるとスペインの勤労者は5時に終業し、その後に地域でサッカーを指導することが可能だとのことです。
このような、グラウンドインフラ、指導者インフラが、日本には欠けていると言わざるを得ないでしょう。
ところで、日本にも、スペインと同じようにインフラが潤沢な地域があるかもしれません。
静岡です。
静岡は昔からサッカーが盛んだと聞きます。各地域に多くのサッカーグラウンドを抱え、サッカーセンスに優れた大人も多く在住している可能性があります。そのお陰だと思うのですが、やはり静岡はサッカープレーヤーの供給源になっています。フランスワールドカップの時、日本代表選手のうちの半分の出身地が静岡県だったのにはびっくりしました。
静岡における状況をサーチすれば、村松さんが提唱するスタイルが日本でどのように機能し得るのか、検証できるように思われます。
「サッカーが下手」と言っているのは村松さんではなくスペイン人ですから、これはしょうがないですね。
(タイトルの苗字が間違っていました。直しておきます。)
また日本の子供たちが悪いのでもなく、結局はインフラの違いということになります。
しかしこの点は、一朝一夕で変化するものではなく、結局は長い歴史を経過した上で、実現するものなら実現する、というたぐいでしょう。
日本人が好むスポーツはサッカーだけではありませんし。