孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

“たわい無い話”に垣間見る中国社会の姿 日中間でさほどの差もないような人々の感じ方も

2018-01-16 22:42:19 | 中国

(髪を霜で覆われながらも1時間かけて徒歩で通学する「霜少年」こと、王福満君【1月12日 AFP】)

【“民度”云々の一部は習慣の違いも
中国の国際社会における影響力の拡大と、それに伴う自己主張を強引に押し通すようなやり方、国内における人権・民主化に対する抑圧姿勢、急速に進行する監視社会、モラル・マナーを欠いた自分本位の行動・・・・・等々、中国に対する厳しい見方は枚挙にいとまなく、これまでも再三取り上げています。

ただ、批判的な見方だけでは一方的に過ぎるでしょうし、日本としても今後ますます重要となる隣国であり、いかにしてうまく付き合っていくかを考える必要がある国です。

今日は、よくある批判的な見方から少し離れて、ここ数日で目にした“あまり毒気のない”たわい無い話題をいくつか。そうした“たわい無い話”の中に、結構、社会の本当の姿が垣間見えることも。

中国ネットユーザーも、いわゆる“民度(あまり好きな言葉ではありませんが)が低い”という批判、特に、日本と比較した差を、強く意識しているようです。

その“民度が低い”と言われる中身のある程度は習慣の違いによるものだ・・・という主張は、もっともな話です。

****日本人は中国人を「民度低い」っていうが、「悪気はないんだ! 習慣が違うんだ」=中国メディア****
海外旅行へ行く人が増えるにつれ、マナー向上が呼びかけられている中国。最近ではだいぶ改善されてきたと言われるが、中国人のマナー違反は多くの場合において「悪気がある」わけではないようだ。

中国メディアの今日頭条は12日、「中国人は日本へ行くと民度が低いと言われる? トイレで使用済みの紙をごみ箱に捨てるのは単なる習慣なんだ」と題して、中国人が民度が低いと見なされる原因について分析する記事を掲載した。

記事はまず、旅行先として日本は何度でも行くに値する国だと称賛。しかし、多くの中国人が日本を訪問するようになってから、日本人からは「中国人はきれい好きではない、不衛生」と言われるようになってしまったことが、中国人にとっては心外だったようだ。

特に、トイレ事情に関しては中国でのマナーを守ったことが逆に「民度が低い」と言われることになってしまったと主張。

中国では使用済みのトイレットペーパーはゴミ箱に捨てるのがマナーとなっている。しかし、日本ではトイレに流すのが普通であり、設置されているゴミ箱は使用済みのトイレットペーパーを捨てるためのものではないので小さく、中国人が使用済みの紙をゴミ箱に捨てようとすると入りきらずにあふれるうえ、においのもとになってしまうという問題がある。

中国人観光客の増加を受けて、今では日本のトイレには中国語で「使用済みの紙は流してください」と書いてあるのを目にすることがあるが、それでも中国人からすると「詰まりはしないか」と心配になってしまうという。

最近ではかなり改善されてきたが、中国では紙を流すと詰まりやすく、業者を呼んだ経験のある人は特に慎重になるようだ。記事は、日本のトイレットペーパーは水溶性で流しても大丈夫なのだと安心させた。

それで記事は、日本と中国の習慣の違いが、「中国人は民度が低い」とみなされる原因だったとしているが、これは確かに一理あるだろう。異国へ行くからには、その土地の習慣やマナーを理解したうえでないとトラブルのもとになる。訪日中国人は増え続けており、ぜひ日本の習慣を周知してもらいたいものである。【1月15日 Searchina】
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習近平国家主席が熱心なトイレ革命、それをはき違えて“超豪華多機能トイレ”をつくる地方政府も・・・といった話は、今日はパスします。

中国にだって法規制はちゃんとあります
****「隣はまずい」「そっちこそまずい」横断幕で批判し合うレストラン****
12日、三秦都市報は、中国陝西省西安市のレストランが張り出した「笑える」横断幕が当局の指示により撤去されたと報じた。ユニークかつスマートな宣伝手法だが、地元政府はそうは考えなかったようだ。

2018年1月12日、三秦都市報は、中国陝西省西安市のレストランが張り出した「笑える」横断幕が当局の指示により撤去されたと報じた。

西安市に出現した「笑える」横断幕が中国のネットで大きな話題となった。三軒のレストランが並んでいるのだが、一番右には「(左の)二軒はまずい」、真ん中には「あいつら二軒はまずい」、左には「(右の)二軒はまずい」との横断幕が貼られている。思わず笑ってしまう光景だけに写真を撮ってSNSに公開する人が続出。けんかし合う三軒は明らかに客が増えたという。

一軒の店主である王(ワン)さんは、自虐ギャグでの宣伝で、本当にケンカしていたわけではないと明かしている。

ユニークかつスマートな宣伝手法だが、地元政府はそうは考えなかったようだ。
管轄部局は11日、3店舗の店主を呼び出して事情聴取し、「他の生産経営者の商品やサービスを誹謗(ひぼう)してはならない」とする広告法13条に違反しているとして、横断幕を撤去するよう指示した。【1月14日 Record china】
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この話で「そうなんだ・・・」と思ったのは、“ユニークかつスマートな宣伝手法”の件ではなく、“「他の生産経営者の商品やサービスを誹謗(ひぼう)してはならない」とする広告法13条に違反している”というくだり。

中国でも“何をやってもいい”という話ではなく、広告に関しても日本同様のルールが決められている・・・というとことが意外な感も。

もちろん、法律・ルールはあっても、それを守らないのが中国社会の・・・という話になるわけですが、そこは今日はパスします。

中国の法律・ルールに関して、個人的にもろ手を挙げて賛成したいのが、下記の広東省広州市の“空港でのぼったくりを禁止する規定”

****日本の空港で驚かされるのは、レストランの値段が市街地と同じことだ=中国メディア****
広東省広州市では先日、広州空港で提供する飲食品の価格について市の中心エリアで販売されている価格を上回ってはならないという規定が発表された。「食べ物がぼったくり価格」という中国の空港のイメージはまだまだ健在のようである。

中国メディア・今日頭条は12日、「日本の空港にあるレストランは、値段が街と変わらないうえおいしい」とする記事を掲載した。

記事は「中国では、旅客は可能な限り空港や駅で食事を取らないようにする。それは、空港や駅のレストランが大しておいしくもないのに高級ホテル並みの価格設定であることを全国民が知っているからだ」としたうえで、「日本に個人旅行に行く人は大いに安心してもらっていい。日本の空港では安くておいしいグルメを楽しむことができる」とした。(後略)【1月15日 Searchina】
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昨年12月にカンボジアを旅行した際に、乗り継ぎで広州白雲国際空港を利用して、空港内レストランの“ぼったくり価格”に憤慨したばかりですので、広州市の規制に「そうだ!そうだ!」という思いです。

今はどうか知りませんが、数年前までの上海の浦東空港では安いカップ麺なども売っていましたが、広州ではそういったものもなく、仕方なく高くてまずい料理を注文。しかもメニューを指さして注文したのですが、メニュー表の一つ上の料理と間違えられて、頼んだものと違うものが出てくる・・・と、さんざんでした。

ついでに、中国の空港での高い両替手数料も何とかしてほしいものです。

中国における“食の安全性”については、日本人がとやかく言う以前に、中国人自身が非常な不満を抱えており、その“危険な食品”の象徴的なものが粉ミルク。以前から重大な生命・健康にかかわる事件を引き起こしています。

そこで、海外から輸入で取り寄せるとか、旅行時に買って帰る等の対応をとっている中国人も多数います。

そんな悪名高い粉ミルクに関しても、規制が強化されたようです。

****中国 粉ミルク成分配合登録制で大半のブランド消える*****
今年1月1日から「史上最も厳しい」と言われる粉ミルクの成分配合登録制が本格的に実施されている。

これまで、国内外132社の989種類の成分配合が登録されている。申請中の企業に対しても、2018年上半期には結果が通知されるとみられる。

登録制の実施により、粉ミルク市場にはさらに700億元(約1兆2070億円)の市場空間が広がるが、そのほとんどが大企業の有名ブランドに集中し、現在市場に出ているブランドの半数は消滅すると予想される。
 
成分配合登録制により、粉ミルクは国産・外国産に関係なく中国国内で消費される商品は登録を取得しなければならず、商品に登録番号を明記しなければならないと定められている。
 
登録制の導入は、成分配合の氾濫が原因だった。しかし、成分配合が登録されたからといって食品の安全が保証されたことにはならない。実際に、成分配合登録後に、中国国家食品薬品監督管理総局から生産管理上の問題を指摘された企業もある。(中略)

乳業専門家の宋亮(Song Liang)氏は、「登録制によって国内のブランドが大幅に減少しているが、個人輸入を取り締まらない限り、国内ブランドが海外で生産し中国市場に戻るという図式になりかねない。個人輸入による市場競争が激化し、今後3年で国内の中小企業は壊滅状態になるかもしれない」と懸念している。【1月16日 東方新報】
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いくら“金儲け”のためとは言え、生命・健康にかかわるような粗悪品を製造したり、異物を混入させたりする感覚が日本人的には理解しがたいところですが、そのあたりの話は今日はパスします。
(一言だけ言えば、単に社会モラルの問題というより、日本ではそうした行為が発覚すれば将来的に取り返しのつかない信用ダメージを受けますが、中国社会にあっては必ずしもそうではないようなところが問題でしょう)

日中両国民とも、感じるところには大差はないのかも
最近、中国ネットで話題になったのが、氷点下の中、頬を真っ赤にして、髪を霜で覆われながらも1時間かけて徒歩で通学する「霜少年」ですが、少年の父親は支援の申し出に対し、「労せずして利益を得ることを覚えないでほしい」と断ったとか。

見上げた教育方針でしょうか、それとも“メンツ”でしょうか。

****霜少年の父「労せずして利益を得てはならない****
髪の毛が霜に覆われ真っ白になった写真が話題になり、有名になってしまった「霜少年」こと王福満(Wang Fuman)君は8歳。

中国・雲南省昭通市魯甸県の小学校に、片道1時間の道のりを徒歩で通っている。写真が撮られた日も、王君は期末テストを受けるために急いで歩いて登校した。

服は自分で手洗いするのだが、水が冷たく、3枚ある厚手の服は汚れて洗っていなかったため、この日は薄手の服を2枚羽織って、家を出たのだという。
 
この写真をきっかけに、王君のように両親が都市に出稼ぎに行き、きょうだいや祖父母と共に村に残される「留守児童」が注目を集めている。魯甸県は会議を開き、高山地区の学校に暖房設備を配備するよう義務付けることを決定した。
 
王君の両親は出稼ぎ中のため、祖母と姉と暮らしているが、祖母は別の親戚を訪ねるなど家を空けることが多く、普段は姉と2人きりなのだという。家事はすべて自分たちでこなし、宿題の少ない方が食事の支度をするなど、支え合って暮らしている。
 
通学路は舗装されておらず、冬になると凍って滑りやすくなる。王君は、「学校が好き。特に数学が面白い」と話す。冬休みには、父親が働く昆明市に遊びに行きたいという。将来は、北京の大学に進学するのが目標だ。
 
王君の父、王剛奎さんは、昆明市で出稼ぎをして1年中家を空けている。毎日砂を運び、1か月の賃金は約3000元(約5万1638円)。

息子の写真がインターネットで有名になり、たくさんの人が援助を申し出たが、「息子には、労せずして利益を得ることを覚えないでほしい。一生懸命勉強して、自分の力で未来を切り開いてほしい」との思いから断った。
 
髪の毛が霜で真っ白になった息子の写真を見た時、剛奎さんは心が痛くなり、その日のうちに家に帰ったという。子どもたちと一緒にいてやりたいが、家を建てたばかりで借金もあり、出稼ぎなしでは生活が成り立たない。
 
王君が通う小学校は全校生徒167人で、そのほとんどが「留守児童」だ。学校に宿舎がないため、最も家が遠い児童は片道2時間の道のりを通学している。
 
王君の写真が話題になり、学校には10万元(約172万1279円)の寄付が集まった。また、厚手の洋服144着と、暖房設備を寄付した会社もあった。
 
昭通市政府の公式サイトによると、同市の貧困家庭の小中学生は13万8700人で、そのうち学校に通っている子どもは半数以下で46.79%という。【1月15日 東方新報】
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両親が都市に出稼ぎに行き、兄弟や祖父母と共に村に残される「留守児童」の問題は、都市・農村格差という中国社会が抱える重大問題の縮図ですが、その話も今日はパスします。

この「霜少年」には日本のネットユーザーも反応していますが、その反応に対し、中国ネットユーザーから好意的反応もあるとか。

****中国の貧しい少年に対する日本人の反応が「意外だった」、「日本にも善良な人が多い」=中国メディア****
(中略)中国メディアの今日頭条は14日、王くんの頭髪を撮影した写真が日本で大きな注目を集めたことを紹介しつつ、日本のネット上における反応を伝え、「日本も善良な人が多いことがわかる」と伝えている。

記事は、王くんの写真に対して「貧富の差」を批判したり、王くんの境遇に「同情」したりするコメントが寄せられるのは想定できたことだと伝える一方、日本のネット上ではそれだけでなく、王くんを称賛する声も多く見られたと紹介し、日本人のこうした反応は「意外だった」と主張した。

続けて、「意外だった」という反応として「中国の子どもたちはこんな境遇でも努力している。えらすぎる」、「氷点下の寒さのなか、1時間も歩いて学校に通うなんてすごい。夢に向かって勉強を頑張って欲しい」という日本人ネットユーザーたちの声を紹介。

さらに、こうしたコメントは「ごく一部」のものではなく、日本のネット上の反応の大半がこのような善意に満ちた声だったと伝え、多くの中国人は歴史問題などから「日本人は野蛮で極悪」と勘違いしがちだが、「日本も善良な人が多いことがわかるはずだ」と伝えている。【1月16日 Searchina】
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「日本も善良な人が多い」とわかってもらえれば何よりです。
難しい日中関係の在り様も、こうした小さな思いの積み重ねでやがては・・・と期待したいところです。

日本にしても、中国にしても、人々の感じるところは大体同じようなものなのでしょう。

****人民日報が日本のCMを「心温まる」と紹介、中国ネットも称賛****
2018年1月13日、人民日報の微博アカウントがネコと自動車をテーマにした日本の心温まる広告動画を紹介したところ、多くネットユーザーが関心を示している。

人民日報が紹介した動画は、日産自動車が作った「のるまえに#猫バンバン」の広告だ。

動画は「かわいくて、たまにドジな猫たちはあったかいところが大好き。寒い冬はクルマにもぐり込んでしまうことも」としたうえで、ボンネットの中やタイヤの上で暖を取るネコたちの様子を紹介。「だから乗る前にボンネットをバンバン」とし、ボンネットをたたくことでネコたちを外に出してやるよう提唱している。

中国のネットユーザーからは「あなたの小さな行動が一つの命を救う」「善良を望む人は、他人からも優しく接してもらえる」「こんな寒い冬の日でも、世界を温かくしてくれる人がいるのだ」「これは必要だ。ネコにとっても安全だし、車の部品も壊れるかもしれないし」「この広告は本当にホッコリする」といった称賛が寄せられた。(後略)【1月16日 Record china】
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