(フライト遅延などに怒り暴力行為をはたらく「空怒族」用護身術を習う女性スタッフ ・・・・だそうです。【http://www.toychan.net/archives/2013/08/01_0515.php】)
【北京空港 乗継で右往左往】
先ほどミャンマーから帰国しました。ヤンゴンのホテルを出てからヤンゴン→北京、北京→関西、伊丹→鹿児島の3フライトを含めて約24時間かかりました。最近は歳のせいか、ちょっとしんどくなりました。
今回は中国国際航空(Air China)を使用しての北京経由でしたが、北京空港での対応の悪さが改めて印象に残りました。
格安航空券の検索サイトで安い順番に並べると、中国系の航空会社が目立ちます。
そのため、これまでも中国系はよく使っていますし、おそらく今後も利用するのでしょう。
ただ、中国系の航空会社を利用する場合、機内食がまずいとかいったどうでもいい話は別にしても、それなりのリスクも計算に入れておく必要があります。
今回、ヤンゴンから北京に到着したのが早朝の6時。
まず、地上スタッフが準備できていないということで、着陸はしたものの機内待機。
その後、乗継便のチェックインが必要になるのですが、これが問題。
乗継カンターには係員が1名しかおらず、「航空会社の人間がいないので、11番へ行ってくれ」とのことで相手にしてくれません。
自分は自分の仕事をするだけで、それ以外にはついては乗客が困っていようが関係ない・・・ととれるような対応でした。
私が理解できないなら語学力の問題ですが、他の欧米系乗客もみな怪訝な様子で、「向こう?あっちへ行けばいいの?」と、よくわからない様子。
仕方なく、乗客の流れで乗継ゲートに向かうと、「向こうでボーディングパスを発行してもらって来い」と追い返されます。
ようやくチェックインをしてくれるらしいカウンターがわかり、皆が向かったのですが、ここも係員は1名だけ。乗継乗客(ほとんどは外国人)の長い列ができます。
こんな調子でチェックインにどれだけ時間がかかるのだろうか?とも心配になったのですが、今回はまだ2時間以上余裕があったので、パニックにならずにすみました。これがもっと切迫していたら、泣きそうになります。
7時頃でしょうか、ようやく別の係員3名ほどがやってきて、ようやくスムーズに流れるようになりました。
早朝の北京空港での乗継で大渋滞した経験は以前にもあります。
そのときは疲れた乗客はカウンター前のフロアに座り込み、難民状態でしたが、係員は仲間同士で楽しくおしゃべりに精を出し、時間を気にして焦りまくる乗客のことなど眼中にない様子でした。
あれから10年ほどでしょうか、年月が経ちましたが、サービス優先の発想は未だに育っていないようです。
【“いつもの”フライト遅延】
そんな乗継の問題もあって、ようやく乗継便に搭乗できたのですが、今度は飛行機が滑走路に止まったまま動きません。
「離着陸の飛行機が大変混雑しており、管制塔からの許可が出ない」とのことです。
ヤンゴンからの深夜便で殆ど寝ていないので、機内でうとうとしていましたが、目が覚めてもまだ北京空港で1mも動いていません。
北京、上海の空港の遅延は有名な話です。
これまでもしばしば経験していますが、今回は結局1時間10分遅れの離陸になりました。あやうく大阪での乗り継ぎが出来なくなるところでした。(“回復運行”で、関西空港到着時の遅れは40分ほどに短縮していたせいで、なんとか間に合いました)
やや古い記事では、下記のように北京・上海は世界の空港定刻運航ランキングでワースト1,2位を独占していました。
****世界の空港の定刻運航率、ワースト1、2位を北京と上海が独占―米情報会社****
2013年7月11日、米フライト情報サイト・FlightStatsの最新データによると、世界35カ所の国際空港で最も定刻運航率が低いのは18.30%の北京首都国際空港で、次いで28.72%の上海浦東国際空港だった。シンガポール華字メディア・星島環球網が伝えた。
今年1〜6月の「世界の空港定刻運航ランキング」では、中国の同2空港が常に40%以下を記録し、最下位クラスに居座る結果となった。世界35空港の6月の平均定刻運航率は69.26%で、北京首都国際空港や上海浦東国際空港との差は歴然。FlightStatsの「定刻」とは、実際の離陸時間と時刻表に記されている離陸時間の差が15分以内のことを指す。
実際に中国民用航空局(民航局)のデータでも、国内線の定刻運航率は毎年下降しており、昨年の全国平均定刻運航率は過去5年間で最も低い74.83%だった。
民航局によれば、航空機遅延は悪天候と流れの悪さが原因だという。吉祥航空の王均金(ワン・ジュンジン)会長は「中国の領空は軍が80%を管理しており、民間の航空会社は残りの20%しか使用できない」と嘆く。
だが、中国民航管理幹部学院の鄒建軍(ゾウ・ジエンジュン)副教授は「この統計で使われているデータは完全なものではない」と指摘。「滑走路の順番待ちは大空港ではよくあること。空の使用領域が少ないことが原因ではない。国内の航空機利用率が上昇し、空港建設やフライト増便が間に合わないことにある」と説明している。【2013年7月12日 Record china】
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最近も中国の空港の遅延は相変わらずですが、下記記事では北京空港はワースト5には入っていないようです。
****15年 遅延率上位5位は全て中国****
民用航空データ分析機関のCADASは1月28日、2015年度の世界の定時運航率報告書を発表。世界の空港の平均定時運航率は77.11%だった。また、世界で遅延率が最も高い5空港は全て中国だったほか、遅延率が最も高い航空会社5社のうち2社が中国だった。海南日報が中国旅游新聞網の報道を引用して報じた。
世界で遅延率が最も高い5空港は、杭州蕭山国際空港(47.74%)、南京禄口国際空港(50.12%)、呼和浩特(フフホト)白塔国際空港(52.85%)、上海浦東国際空港(53.39%)、厦門高崎国際空港(54.20%)だった。
遅延率が最も高い航空会社5社は、パキスタン国際航空(59.18%)、エズニス航空(62.52%)、中国聨合航空(65.41%)、フィリピン航空(66.92%)、厦門航空(67.74%)だった。
報告書によると、15年、中国大陸部のフライトの平均定時運行率は前年比1.76%減の64.29%だった。乗客とフライトクルーの離陸待ちの累計時間数は同比20.66%増、機内での平均待ち時間は45分、平均遅延時間は94分だった。
世界で最も定時運航率が高かった5空港は、オーストラリア・ブリスベン空港、日本・大阪伊丹空港、日本・東京羽田空港、日本・札幌新千歳空港、日本・福岡空港だった。また、最も定時運航率が高かった航空会社にも、日本から2社入った。【2016年2月5日 「人民網日本語版」】
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中国と対照的に日本の空港は正確性が際立っています。
北京空港はワースト5からは脱しても、依然としてワースト状態には変わりないようです。
****遅延・欠航雨あられ!中国航空便の定時運行率は世界最悪―中国****
2015年3月21日、RFI中国語版は記事「航空機の遅延・欠航、中国が世界最悪」を掲載した。
航空会社の運航品質などを調査する米フライトスタッツ社によると、世界の主要な61空港のうち、7空港で離陸遅延が目立つという。驚くべきことにこの7空港はすべて中国本土にある。
取りざたされたのは上海虹橋、上海浦東、杭州、深セン、広州、重慶、北京の7空港。上海虹橋の定時離陸率はわずか37.17%。61空港中トップである東京国際空港の89.76%には大きく差を付けられた。
また航空会社別の定時運行率でも中国系は厳しい状況だ。中国当局の統計によると、全体の平均はわずか65%。世界トップのKLMは88.66%で差を付けられている。【2015年3月22日 Record china】
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中国では、このような航空機の遅延に激怒する乗客たちを指す「空怒族」という新語まで登場しているそうです。
そして「空怒族」の暴力行為に備えて、CAは護身術の指導を受けているとも。
中国の空港での遅延の多さは、前出記事もあった「中国の領空は軍が80%を管理しており、民間の航空会社は残りの20%しか使用できない」という問題もあるようですが、基本的には乗客やフライトの増加に対して、施設の拡充が追いついていないことにあると指摘されています。
****中国では飛行機での移動はまるで悪夢、定時到着率は世界最低クラス、その特殊な原因とは?―ドイツ紙****
2016年6月20日、中国の空港の定時到着率が世界最低クラスであることが明らかになったが、その原因は極めて特殊だという。中国紙・参考消息(電子版)が伝えた。
独フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング紙によると、ある日の午前10時、中国東方航空は乗客の携帯電話に「深夜、北京から上海に飛行する予定だった便が離陸できず、離陸までまだかなりの時間がかかる見込み」だと知らせた。
原因は「悪天候のため」とされたが、台風が来ているわけでもなく、北京の上空にはわずかに雲があるだけで、時折にわか雨が降る程度だった。
中国で航空機を使った移動は、とにかく時間を浪費するばかりで、「まるで悪夢」だと記事は指摘する。中国民用航空局によると、2015年の平均遅延時間は21分で、14年よりも悪化。公式資料では、全フライトの3分の1が遅延したとされている。中国の高速鉄道はたしかに混雑も騒音もあるが、大都市間の移動では航空機よりも圧倒的に優れている。
各国航空会社の運航などを分析している米国のフライトスタッツ社が世界188カ所の空港における定時到着率を調べたところ、中国の空港は信頼性のランキングで最低クラスとなった。最も悪いのは杭州空港で、上海や北京の定時到着率も軒並み低い。東京の空港は定時到着率がほぼ完璧だという。
中国の空港の定時到着率が低い原因は、乗客やフライトの増加に対して、施設の拡充が追いついていないことにある。現在、急ピッチで新空港の建設や施設の拡大が図られているが、それでも将来的に状況が改善されるかは疑問だと専門家は見ている。
原因は施設の不十分さだけではないからだ。欠航や遅延がたびたび起こる原因には、「民間航空機の飛行できる空域が狭すぎる」という特殊さもあり、空域が狭いことから、空港の離着陸は渋滞が付きものとなっている。【2016年6月22日 Record china】
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フライトの遅れを天候のせいにするのは万国共通です。
ミャンマーでの遅延については、11月21日ブログ“ミャンマーでのフライト遅延事情について考える”http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20161121でも取り上げました。
遅延するのは中国だけではありませんが、少なくとも中国の状況はミャンマーなど途上国と大差ない状態と言えます。利用客が桁違いに多く、ハブ空港の役割が期待されているだけに、影響も深刻です。
ミャンマーの事情でも指摘しましたが、中国で遅延が減少しない根底には、乗客の不便を解消したいという思いが空港・航空会社スタッフに欠如していることもあるのではないでしょうか。
こうした意識改革があって、はじめて中国は「先進国」とみなされ、中国が切望する「大国」としての尊敬も得られることになるのでしょう。
なお、空港での手続きに時間がかかるのは中国だけではなく、アメリカもテロ対策でとんでもなく時間がかかるようです。
中国同様に利用客の増大に対応が追い付かない、また、非効率さでは中国以上のインドの空港も恐ろしく時間がかかりました。
テロ対策で乗客への要求は増加しています。
今回は日本出国時に、預ける荷物にバッテリーやリチウム電池が入っていないことに関する同意書を要求されました。もし入っていると預けた荷物が北京でストップします・・・とも脅かされ、スーツケースに入れていた予備のデジカメもとりだしました。
とにかく選択の余地がないので、同意書の文面も見ずにサインしましたが、どんな文面になっていたのか、よく見ておけばよかったと後悔。
喫煙者としては、フライトごとにライターを没収されるのも困ります。
乗客になんだかんだ要求するのですから、自分たちもちゃんとした仕事をしてもらいたいものです。
なお、中国での乗り継ぎの場合、イミグレを受ける場所(経由地で受けることも)、手荷物の扱い、入国手続きが必要になることもなど、フライトによって様々で、困惑することも多々あります。