孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

中国からの来日観光客が年間500万人 民意を左右する大きなファクターに

2016-01-19 23:28:57 | 中国

(地方にも。中国人観光客で混雑する静岡空港 松岡大地撮影 【2015年10月22日 毎日】)

中国世論の日本へのイメージは?】
米調査機関ピュー・リサーチ・センターが昨年9月、アジアを中心に実施した世論調査「アジア太平洋諸国の国民は、互いの国とその首脳をどのように見ているか」と題したレポートによれば、アジア各国の日本への好感度が非常に高かったのはいいとして、中国の日本に対する好感度は12%、日本の中国に対する好感度は9%と、底冷えの相互不信状態が依然として続いています。

ただその割には、【Searchina】では中国における日本に対する好意的な記事を毎日のように目にします。単に編集方針として、そういう日本人が喜びそうな記事を集めている・・・というだけの話なのでしょうか?

ここ数日でも、以下のようなものが。

****中国で日本の「女子高生1人のための駅」が評判に 「東方の美徳が今も光り輝く国だ!」など絶賛相次ぐ****
中国メディアがこのところ、JR北海道の旧白滝駅の話題を取り上げている。女子高校生1人が通学に必要としたためJRは駅の廃止を見合わせてきた。記事は日本での報道を引用し、鉄道関係者と高校生の心のふれあいも紹介した。多くの読者が「東方の美徳が今も光り輝く国だ!」などと絶賛した。

旧白滝駅があるのはJR北海道の石北本線で、朝と夕方に往復の列車がそれぞれ1本だけ、停車する。

中国メディアの捜狐は、日本の報道を引用して同話題を紹介した。駅を利用すると言っても、容易ではない。朝は遅れられない。万一、遅れれば父か母に車で送ってもらわねばならない。学校に遅刻するのは必至だ。部活がある場合、帰りは駅に駆けつける。乗り遅れまいと懸命に駆ける。駅にもう、列車が来ている。そんな彼女の姿を見て、車掌が微笑む。

利用者が極端に少ないため、JRは駅の廃止を考えた。しかし地元から、通学利用者が1人いるのだから、卒業まで駅の廃止を見合わせてほしいとの声が上がった。JRは応じることにした。そして彼女がこの3月に卒業して、実家を離れて進学することが決まったため、旧白滝駅を廃止することにしたという。

彼女の誕生日にはJR関係者が花束を贈った。「あなたは間もなく、白滝の地を離れますね。あなたを愛した故郷のことを覚えていてください」との文が添えられていた。

捜狐が上記記事を掲載したのは日本時間12日午後2時過ぎで、日本時間の同日午後6時までに3700以上のコメントが寄せられた。

「いいね」が最も多いのは、「古い東方の伝統的な美徳が、今も日本では光り輝いている」などと主張した。同コメントは、中国では先祖が残した美しいものが、急速な「功」と目先の「利」を求める者のために失われたと主張した。

別のコメントは日本社会が高校生を大切に扱っていることをに注目し、「日本は教育を重視する。わが国もじっくりと考え、反省するに値することだ」と主張した。やはり多くの「いいね」を集めている。

反日的な書き込みもあるが、「いいね」を多く集めているわけではない。「私は日本を恨んでいる。われわれをいじめたことがあるからだ。ただし私は日本を敬服している。なぜなら彼らは本当に偉大な民族だからだ」と、複雑な心情を吐露するようなコメントもある。【1月14日 Searchina】
******************

****日本人の生活の質は高すぎる! 日本と中国の違いは一体何だ****
中国メディアの今日頭条はこのほど、「中国の生活の質が日本と大きな差があるのはなぜか?」と題した記事を掲載し、日本と中国の「生活の質」の違いについて分析した。

記事はまず、「生活の質」という言葉の定義として、自らの生活に対して「満足と幸福感が伴うかどうか」であるとし、そのほかにも社会の発展や文化の質とも相関性があると説明。こうした観点から見た場合、日本人の生活の質は高く、国際連合開発計画(UNDP)による人間開発指数においても、日本は常に上位であると紹介した。

では、日本人の生活の質が高いのはなぜだろうか?記事は複数の理由を挙げている。1つ目は「豊かでもエコを忘れないこと」だ。裕福でも倹約し、資源を大切にしているのは、大自然に感謝していることの表れと称賛している。

一方の中国は浪費と贅沢こそ生活の質を向上させる手段と勘違いしている人も多いと指摘し、それは本当の意味での生活の質の向上につながるものではないと論じた。

さらに日本では公共サービスを受けるにあたって保証金などを心配する必要がなく、「あくまでも人間本位のサービスが提供されている」と称賛した。

中国では図書館で本を借りるという公共サービスを受けるにあたって、保証金を先に支払うケースもあると紹介。盗難や借りたまま自分のものにしてしまう人がそれだけ多いということだろうが、返却期日が過ぎると罰金が加算されることもあるほか、図書館内に設置されているコピー機は通常よりも高額に設定されていると伝えた。

また記事は、日本では「信頼関係のある社会」が構築されていると指摘。例えば、日本のホテルでは宿泊前に保証金を徴収しないが、中国では部屋に入ってまず目に飛び込むのが「罰金一覧表」で、どんなに豪華なホテルでも客を信用していないため「気分が悪くなる」のだという。

そのほか、日本の社会には「譲り合いの精神」があるとし、公共の場で他人に迷惑をかけず、ぶつかったら互いに謝るなど、「相手の立場になって考える」ことができるため、複雑な問題でも簡単になり、調和のとれた社会になっていると論じた。

記事が指摘している点はいずれも日本人からすれば当たり前のことだが、中国人にとっては驚きのようだ。つまり、中国にはいずれも存在しないものと言い換えることもできよう。それはそれで、日本人からすれば驚き以外の何ものでもない。【1月15日 Searchina】
******************

もっとも、中国のネットアンケート「隣国から追い出したい国」では日本が1位だとか。
「やっぱりね・・・」と妙に納得してしまうのですが、「ネット上に漂うイメージと実際の中国世論のイメージとは異なっている可能性がある」とも。

****中国ネット民が選ぶ、「近所から追い出したい国」 日本が1位に****
中国メディア・環球網は13日、このほど中国のネットユーザーを対象に実施した「もし神様なら、中国の隣国にどの国を持ってくるか」というアンケートで、日本が「隣国から追い出したい国」で1位となったと報じた。

記事は、アンケートには20万を超える投票があったと紹介。「追い出したい国」では日本が1位となり、以下フィリピン・ベトナム・北朝鮮・インド・アフガニスタン・インドネシアと続いたとした。一方、「隣国にしたい国」についてはスウェーデンがトップ、2位以下はニュージーランド・ドイツ・モルディブ・シンガポール・ノルウェータイとなったことを伝えた。

また、日本については「出ていってほしい」という意見が多い一方で、「残ってほしい」とするユーザーも少なからず見られたと説明。

相反するような状況が同時に出現したことについて、西南政法大学の専門家が「日本は安定・文化・経済パートナー・美男美女が多い・買い物天国・漢字を使っているといった点から、中国人が隣国に置いておきたい条件を数多く備えている一方で、侵略戦争や釣魚島(尖閣諸島)問題によってネガティブなイメージが強くなっている」と解説したことを紹介した。

「追い出したい国」のラインナップを見てみると、政治的な色彩が濃く出ているのに対し、「隣国にしたい国」については経済や文化的なイメージが先行しているような印象を覚える。日本に対する「二面性」は、中国人の心中の複雑さを示すものと言えそうだ。

ただ、ネット上に漂うイメージと実際の中国世論のイメージとは異なっている可能性がある。続々と日本にやって来る中国人観光客の多さを考えれば、なおのことである。【1月18日 Searchina】
******************

民意に大きく影響する来日観光客増加
上記記事にもあるように、今後の日中間の相互信頼を醸成していくうえで、“続々と日本にやって来る中国人観光客の多さ”というのは非常に重要なポイントになると思われます。

もちろん、旅先で嫌な思いをする、トラブルにあうというのは、日本でもどこでもありますから、来日者全員が日本に好感を抱く訳ではありませんが、百聞は一見に如かずと言うように、実際に見てもらえば多くの「誤解」がとけるという自信もあります。

中国は事実上の共産党一党支配の管理社会ですが、民意を無視できるものでもなく、むしろ現在体制を維持していくうえで民意に非常に神経質になっているとも言えます。

****民意と向き合うために中国が進める SFばりの超監視社会****
日中関係の展望
習近平政権は大国関係を外交方針の主軸におき、日中関係は米中関係の従属変数としてとらえていた。対日方針は歴史認識問題を中心に「怒りの外交」と称される安倍政権に対する敵対心をむき出しにした政治宣伝を行ってきた。

しかし、政治の世界では2014年11月のAPEC以降、国内の政治宣伝的には2015年9月の大閲兵式以降、日本に対する厳しい姿勢も徐々に緩和してきている。

2016年は今のところ日中関係はこれまでの雨模様から次第に晴れ間も見え始めるといったところではないだろうか。2016年は日中関係についても中国国内の民意の動向は要注目だ。

昨年は日本で「爆買い」が流行語に選ばれるほど、来日中国人観光客の増加が大きな社会現象になった。
2014年241万人だった日本を訪れる中国人は、2015年は倍増して500万人を超えた。

これまで中国政府のプロパガンダによって「日本は軍国主義だ」、「日本人は冷酷で残虐だ」という極度に歪められたイメージを持っていた多くの中国人が、「日本は清潔で快適だ」、「日本人は上品でやさしい」という真逆のイメージを持つようになっている。

日本についてのプラスの噂がSNSの口コミで拡散し、すでに庶民のレベルまで「日本はいい国だ」という評判が広まっている。

来日観光客の増加によって中国ではすでに国内の隅々までに、現実の日本は中国政府が宣伝するような国とは違うという理解が広がっている。

中国政府にとって日本に対してネガティブな宣伝戦略をとることは却って民意の不信を生じさせることになる。中国政府にとって対日外交で歴史カードを使い続けたり、日本の軍事的脅威を事実以上に誇張して伝えることはもはや得策ではない。

日中関係についても2016年は中国の民意が要注目のファクターになっていくだろう。【1月18日 WEDGE】
*****************

“日本についてのプラスの噂がSNSの口コミで拡散し、すでに庶民のレベルまで「日本はいい国だ」という評判が広まっている。”・・・・と言い切れる状態かどうかは定かではありませんが、年間500万人を超えるような訪日観光客が続けば、日本に対するイメージは大きく変化していくことが期待されます。

ところで、訪日観光客が増加しているのは中国だけではなく、昨年は45年ぶりに、訪日外国人が出国日本人を上回ったそうです。なお、45年前の1970年は大阪万博の年です。

****来日外国人が激増、中国人は倍増で世界第1位に  香港人は4.7人に1人、台湾人は6.4人に1人が日本旅行=2015年****
日本政府観光局は19日、2015年における訪日外国人客についての統計を発表した。来日外国人客は前年比47.1%増の1973万7000人で、1970年以来45年ぶりに、訪日外国人が出国日本人を上回った。中国人は前年比107.3%増の499万3800人で、韓国人を除いて最も多くなった。

訪日外国人は通年で47.1%増の1973万7000人で、4.1%減で1621万2100人だった出国日本人を上回った。訪日外国人の増加率の47.1%は政府観光局が1964年に統計を取り始めて以来の最高値だった。

中国人来日客は前年比107.3%増の499万3800人で、45.3%増で400万2100人だった韓国を抜いて、初めて世界の国と地域で最も多くなった。

第3位は台湾人で29.2%増の367万7110人、第4位は香港人で64.6%増の152万4300人、第5位はタイ人で21.2%増の79万6700人だった。

人口当たりで日本旅行が最も盛んだったのは香港人で、約4.7人に1人が日本旅行をした。台湾人は約6.4人に1人、韓国人は12.9人に1人、タイ人は84.1人に1人、中国人は271.7人に1人だった。

2015年は慰安婦問題などで年末に至るまで日韓関係は厳しい状態が続き、韓国国内では日本批判の報道や行動も多かったが、韓国人の間で日本旅行人気は相当に高く、絶対数でも1位は中国に譲ったものの前年比で5割近い伸びで400万人の大台を超えた。【1月19日 Searchina】
******************

香港の4..7人に一人が、台湾の6.4人に一人が昨年来日した・・・信じられないような数字です。何かの間違いではないかと電卓を叩いたのですが、間違いではないようです。

もちろん、一人でビジネスのために十数回来日するようなケースも含んでの数字でしょうが、こうした状態が数年続けば国民の半数が日本に行った経験があるといったことにもなりそうです。

その点では、中国は271.7人に一人ということで、「まだまだ」の状況です。

日本の長期的国家戦略を考える上で、来日者を増やし、理解者を増やしていくことは極めて重要なことではないでしょうか。

なお、日本人の出国者数が減少していることは、「引きこもり」のような懸念を感じます。

蛇足ながら、外国人が個人で日本を観光する際の不便さについて。

アジア各国を個人で旅行する場合、ちょっとした観光地には必ず旅行社があって、種々の現地ツアー参加や車のチャーターが容易で、ある程度の費用で行きたいところに行くことが可能です。

日本では、数少ない観光バスの他はタクシーに限定されますが、タクシーを使って1日観光すると費用が大変なことになります。

今後観光客が増加していけば、外国人観光客を対象としたビジネスの余地もあるのでしょうが、おそらく法規制で難しい面もあるのでは。

「おもてなし」の心も結構ですが、そうした「移動しにくさ・観光しにくさ」の改善もなんとかならないものでしょうか。

それと、よく言われているように、無料WiFiが使いやすくなればいいのですが。
日本の事情やセキュリティーの話などもあって、必ずしも「日本が遅れている」という訳でもないのでしょうが、旅行者にはやはり不便です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする