aquamarine lab

アートネタなど日々のあれこれ

坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア

2024-05-01 23:28:53 | 美術
NTTインターコミュニケーション・センターで「坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア」を見てきました(展示は既に終了しています)。

開館以前から教授と関わりの深かったICCでのトリビュート展です。この展覧会はライゾマティクスの真鍋大度氏を共同キュレーターとして迎え、未来に向けた坂本龍一像を提示するとしていました。展示は坂本龍一+真鍋大度「センシング・ストリームズ2023-不可視,不可聴」から始まります。これは通常は知覚できない電磁波を映像したという作品。ストレンジループ・スタジオの「レゾナント・エコーズ」は教授の“Before long”をヴィジュアライズしています。この曲、好きだったんだよなぁ…。真鍋大度+ライゾマティクス+カイル・マクドナルド「Generative MV」は,観客の入力したテキストに応じて背景が変化するミュージック・ヴィデオで、AIが背景のエフェクトを生成している…ようなのですが、“Perspective”を奏でる教授の映像を見ていると何だか泣けそうになってきました…なんて美しいピアノなんだろうと。毛利悠子「そよぎまたはエコー」は「札幌国際芸術祭 2017」で発表された作品を再構成したものです。グランドピアノが教授がこの作品のために提供した曲を自動演奏しています。まるで教授がそこにいるみたいに…。教授とアルヴァ・ノトのライブの映像も。ダムタイプと教授による「Playback2022」はアナログ・レコードを使ったサウンド・インスタレーション作品で、教授のディレクションによる世界各地のフィールド・レコーディング音源で構成されています。各地の音に関するコメントが面白くて、ついつい見入ってしまいました。高谷史郎「Piano20110311」は東日本大震災の津波で被災した宮城県名取市の高校のピアノを撮影した作品。修復不能となったこのピアノを教授は「自然によって調律されたピアノ」ととらえていました。李禹煥「遥かなるサウンド」は教授の「12」のジャケットに描かれていた作品。「祈り」は教授の快癒を祈って描かれたものですが、見ているとこちらまでエネルギーをもらえそうです。そして、各界の人々による教授へのメッセージが…ローリー・アンダーソンのコメントが素敵だったなぁ…。

そんなわけで、教授をしみじみと偲んでまいりました。会場には思いのほか若い方たちがたくさん来ていたのも嬉しかったです。教授が遺したものが伝わっていくといいなぁ…。教授が亡くなってはや一年経ちますが、教授が遺したものの気配がそこかしこに漂っているようです…音の消え際がひときわ美しかった教授のピアノのように…。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 瞳をとじて/遺言 奇妙な戦争 | トップ | WAR AND PEACE »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

美術」カテゴリの最新記事