ホワイトシネクイントで「過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい 写真家 森山大道」を見てきました。
こちらも公開を知った時から楽しみにしていた映画です。氏の作品はこれまで展覧会で何度も目にしていましたが、映画を見るのは初めて。おまけにシネクイントのお隣の「ほぼ日曜日」では展覧会も開かれるし、期間限定でお得なセット券も販売されるし…行くなら今でしょ!ということで、いそいそと行ってまいりました(以下、ネタバレ気味です)。
さて、映画では冒頭に菅田将暉さんが登場し、森山氏の魅力を熱く語ります。菅田さん主演の「あゝ荒野」の特写が森山氏だったのですが、出会いの時のエピソードがまたいいんですよね…。お二人とも大阪の池田近辺のご出身という縁もあったようです。
映画では森山氏のデビュー作「にっぽん劇場写真貼」新生プロジェクトの模様と、氏へのインタビューとが交互に進んでいきます。森山氏は80を過ぎていますが、いまだ現役、タバコとジーパンが似合う写真家です。スタイリッシュとも無頼ともどこか違う、独特の佇まい…。映画では氏が写真を撮るシーンもありますが、本当にコンパクトカメラ一つで撮影をしているのには驚きました。機材も持たないんですよね…。そして、このパシャリがこういう作品になるのか、というのを目の当たりにさせられます。あのモノクロ写真を映画館の大画面で見るとさらに迫力が…。映画の中で、森山氏はある人の名前を何度も口にします。ライバルでもあり盟友でもあった写真家、中平卓馬氏です。本当に彼のことしか見ていなかった、というほどの存在だったようです。自分はフェリーニが好きで中平氏はゴダールが好きだったも言ってましたね…。写真について語る場面もありました。もうフィルムでは撮らないのか?と質問されて、自分は写真をプラクティカルなものと考えている、と答える場面も。写真をアートとか芸術とか思ってはいないと。バーのようなところで個展を開いた時には、作品を画鋲で留めていましたが、恐縮するスタッフに向かって、写真なんてそんなもんだよ、額に入れてありがたがるようなもんじゃない…とも言っていました。そんな森山氏ですが、深刻なスランプに陥った時期もあったようです。70年代後半、写真が撮れなくなり、撮れないのに写真とは、ということばかり考えていたのだとか。浮上のきっかけになったのは一枚の写真でした。世界最古の写真と言われるその写真を、氏は寝室に飾っているのだそうです。写真は光と影があればいい…そのことに気づいた時、森山氏が撮った写真が私は一番好きでした。モノクロームの芍薬は、原初の花のようにも見えます…。
さて、映画の後はお隣の「ほぼ日曜日」で開催されている展覧会「はじめての森山大道。」へ。森山氏は展覧会の展示構成にはこだわるタイプなのだそうですが、広くはないけれど凝縮された空間になっていました。「三沢の犬」のお出迎えの後、作品、言葉、グッズ…が所狭しと並んでいます。入口にはセルフポートレートが。「自ら路上のセンサーとなって撮影し続ける」のが唯一のカメラワーク、という言葉も添えられていました。「三沢の犬」の解説や、「にっぽん劇場写真貼」の長~いフィルムも。写真集150冊(!)も時系列で展示されています。あの花の写真もありました…。おみやげコーナーも充実。そして、森山氏愛用のカメラも展示されていました。なんと木村拓哉さんがCMに出ていたニコンのデジタルカメラです。なんかこれ欲しくなってきちゃったんですけど…。最後の方にはこんな言葉もありました。「ぼくが撮ったからと言って世の中何一つ解決しないけれど、ぼくは撮らなければ僕自身についてすら見えてこないしね。」
こちらも公開を知った時から楽しみにしていた映画です。氏の作品はこれまで展覧会で何度も目にしていましたが、映画を見るのは初めて。おまけにシネクイントのお隣の「ほぼ日曜日」では展覧会も開かれるし、期間限定でお得なセット券も販売されるし…行くなら今でしょ!ということで、いそいそと行ってまいりました(以下、ネタバレ気味です)。
さて、映画では冒頭に菅田将暉さんが登場し、森山氏の魅力を熱く語ります。菅田さん主演の「あゝ荒野」の特写が森山氏だったのですが、出会いの時のエピソードがまたいいんですよね…。お二人とも大阪の池田近辺のご出身という縁もあったようです。
映画では森山氏のデビュー作「にっぽん劇場写真貼」新生プロジェクトの模様と、氏へのインタビューとが交互に進んでいきます。森山氏は80を過ぎていますが、いまだ現役、タバコとジーパンが似合う写真家です。スタイリッシュとも無頼ともどこか違う、独特の佇まい…。映画では氏が写真を撮るシーンもありますが、本当にコンパクトカメラ一つで撮影をしているのには驚きました。機材も持たないんですよね…。そして、このパシャリがこういう作品になるのか、というのを目の当たりにさせられます。あのモノクロ写真を映画館の大画面で見るとさらに迫力が…。映画の中で、森山氏はある人の名前を何度も口にします。ライバルでもあり盟友でもあった写真家、中平卓馬氏です。本当に彼のことしか見ていなかった、というほどの存在だったようです。自分はフェリーニが好きで中平氏はゴダールが好きだったも言ってましたね…。写真について語る場面もありました。もうフィルムでは撮らないのか?と質問されて、自分は写真をプラクティカルなものと考えている、と答える場面も。写真をアートとか芸術とか思ってはいないと。バーのようなところで個展を開いた時には、作品を画鋲で留めていましたが、恐縮するスタッフに向かって、写真なんてそんなもんだよ、額に入れてありがたがるようなもんじゃない…とも言っていました。そんな森山氏ですが、深刻なスランプに陥った時期もあったようです。70年代後半、写真が撮れなくなり、撮れないのに写真とは、ということばかり考えていたのだとか。浮上のきっかけになったのは一枚の写真でした。世界最古の写真と言われるその写真を、氏は寝室に飾っているのだそうです。写真は光と影があればいい…そのことに気づいた時、森山氏が撮った写真が私は一番好きでした。モノクロームの芍薬は、原初の花のようにも見えます…。
さて、映画の後はお隣の「ほぼ日曜日」で開催されている展覧会「はじめての森山大道。」へ。森山氏は展覧会の展示構成にはこだわるタイプなのだそうですが、広くはないけれど凝縮された空間になっていました。「三沢の犬」のお出迎えの後、作品、言葉、グッズ…が所狭しと並んでいます。入口にはセルフポートレートが。「自ら路上のセンサーとなって撮影し続ける」のが唯一のカメラワーク、という言葉も添えられていました。「三沢の犬」の解説や、「にっぽん劇場写真貼」の長~いフィルムも。写真集150冊(!)も時系列で展示されています。あの花の写真もありました…。おみやげコーナーも充実。そして、森山氏愛用のカメラも展示されていました。なんと木村拓哉さんがCMに出ていたニコンのデジタルカメラです。なんかこれ欲しくなってきちゃったんですけど…。最後の方にはこんな言葉もありました。「ぼくが撮ったからと言って世の中何一つ解決しないけれど、ぼくは撮らなければ僕自身についてすら見えてこないしね。」