aquamarine lab

アートネタなど日々のあれこれ

愛の悪魔

2020-05-31 23:15:10 | 映画
「愛の悪魔~フランシス・ベイコンの歪んだ肖像~」を見ました。

といってもリアル映画館でではありません・・・アップリンクのオンライン映画館「アップリンク・クラウド」です。アップリンクの映画60本以上が3か月見放題で2980円!つまるところ1本あたり50円弱。この状況でこの太っ腹、アップリンクさん、ありがとうございます。けっこう見逃していた映画があったので、3か月かけてぽちぽち見ていこうっと・・・。

ということで、今回は「愛の悪魔」を見ました。フランシス・ベイコン(画家)の映画、しかも音楽が教授、ということであれば、見ないわけにはいかないはずだったのですが、なぜかタイミングを逃してしまい・・・その後、長い歳月が過ぎておりました。愛の悪魔って、ドロッドロのメロドラマみたいなタイトルですが・・・いやもう、ドロッドロ以上でした。あまりに凄いので半ば創作なのかと思いきや、調べてみるとほぼほぼ実話だったんですね。まさに映画みたいな出会いも結末も本当のことだったのか。フランシス・ベイコンのプライベートについてはあまりよく知らなかったのですが、まさかこんなことになっていたとは・・・。

映画はフランシス・ベイコンとモデルで愛人だったジョージ・ダイアーの愛と末路を描いたものです。ジョージ・ダイアーを演じたダニエル・クレイグの刹那的な美しさ、フランシス・ベイコンのモノローグの詩的な美しさ、教授の音楽の鋭角的な美しさ・・・この三つが拮抗して独特の緊張感をもたらしています。映画としては好き嫌いの分かれる作品かと思いますが、ベーコンの芸術の特異さの理由を知る手掛かりにはなるかもしれません。観終わってから、冒頭をもう一度見てみると鳥肌が立つような・・・こういうことができるのもオンラインならではですね。

そしてこの作品、教授の音楽もなにげにきてます・・・白玉の和音一発鳴っただけで、あ、教授だ、と分かるような音なのですが、映像に寄り添うとか、あえて我が道を行くとかそういう次元を超え、映像と音楽が化学反応を起こして別の何かが生まれるような感覚です。こんなことをやれるのはやはり教授くらいではなかろうか・・・教授はもともとベーコン好きなので、どこか相通じる感覚があったのかもしれませんね。

そんなわけで、長年の心残りをようやく解消することができました。アップリンクも6月から再開されるようです。また、映画館で映画を見て、タベラでご飯でも食べたいな・・・。
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12人の優しい日本人

2020-05-28 21:29:21 | 舞台
「12人の優しい日本人」を見ました。

といっても、もちろんリアルではありません。「12人の優しい日本人を読む会」がyou tubeで配信しているオンライン版です。ありがたいことに、無料で見ることができます(5月末まで)。Zoomを使っているのですが、リアル舞台に匹敵しそうなクオリティで、あらためてプロの役者さんの凄さを思い知らされました。オンラインだと台詞を言っていない時の芝居もよく見えます。首から上だけの芝居にもかかわらず迫真の演技。声の説得力、リモートとは思えないような絶妙な間。終わった時には思わずお家で拍手していました・・・。

この劇は初演から30年経っていますが、今見ても名作です。綺麗に12分割された画面を見ていると、こういう事態になることを予期していたのではないかとすら思えてきます。三谷さん、おそるべし。そして、今見ても古さを感じさせません。いや、時代を感じさせる小ネタは満載なのですが・・・和久井映見、竹脇無我、貴花田、木ノ実ナナ、そして、ジョイナー・・・(笑)。それでも今にも通じる、というか今だからこそ響いてくる内容なのかもしれません。日本人にありがちな「空気を読む」ことの恐ろしさ、一つの断面だけを見て全体を判断してしまうことの怖さ、話し合いを続けることの大切さ・・・。この劇はハッピーエンドで終わりますが、現実はそうなるとは限りません。世の中が混迷の度を増している今日この頃、この劇が教えてくれたことをあらためて肝に銘じておこうと思いました。

ところで、オンライン版では三谷さんが不思議な登場の仕方をしています。役者さんにはあれだけ「しっかりやってよ」とか言っていたにもかかわらず・・・カーネル・サンダースおじさんかと思ってしまいましたよ(笑)。また、三谷さんの舞台を見て腹を抱えて笑える日が来ますように・・・。
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アートの本質

2020-05-24 20:31:07 | 美術
ワタリウム美術館の映像アーカイヴ「アートの本質」の「創造と芸術」を見ました。

開館30周年を迎えるワタリウム美術館が過去のイベント映像の有料配信を始めました。コロナ禍で美術館が苦境に陥っているようなので、少しでもお役に立てば、と購入してみました。イベント記録映像が5本で2000円、つまるところ1本400円。それでこの内容なら充分お釣りがきます!単なる寄付でもよいのですが、こういう形だと双方向な感じがしますよね。貴重な記録が陽の目を見ることにもなりますし・・・。

さて、vol.1「アートの本質」の5本は①ダライ・ラマ、②谷川俊太郎+佐藤学、③藤森照信+藤本壮介、④アレン・ギンズバーグ+観世栄夫、⑤多木浩二というラインナップです。ど~れ~に~し~よ~~かな、と迷った挙句、まずは①ダライ・ラマからいってみることにしました。この混迷の世の中、ダライ・ラマのありがた~いお話を聞けば心が晴れるかも・・・。

この映像は1995年に開催された「こころ・医・チベット」展の時の映像です。私もこの展覧会は行きました。ワタリウムに突如出現したみごとな砂曼荼羅のことは今でも覚えています。この砂曼荼羅の制作風景とダライ・ラマのレクチャーが交互に進みます。ダライ・ラマ14世のお言葉は四半世紀経った今から見ても示唆に富んだものでした。というか、今だからこそ響いてくる言葉の数々が。社会全体の幸せを考えること、建設的な批判が大事であること・・・。なぜ働くのか?をあらためて振り返らせてくれる言葉もありました。一方で、聴衆から「アートの役割とは?」と聞かれて「分からん」と率直に答えてしまう男前な一面も(笑)。しかし、その後に続くコメントはさすがダライ・ラマでした・・・。

そしてあの砂曼荼羅についても、私は完成形しか見ていませんでしたが、若手のお坊さんが四人がかりでカリカリやっていたものだったのですね。一人ではなく複数で作ることに意味があるのだそうです。最後に砂曼荼羅が壊されるシーンを見ていると何だか胸が痛くなるようでしたが、人間、つまり有形のものはいつか消滅するということの象意でもあったようです。

購入した動画は30日視聴が可能なので、残り4本もぼちぽち見ていこうかなと思います。そうそう、アーカイヴの開設記念ということで、坂本龍一+カールステン・ニコライ+浅田彰のナムジュン・パイク追悼ライブの映像が無料で見られます(8月31日まで)。これ、行けなくて涙目になったやつだわ・・・太っ腹なワタリウムさん、ありがとうございます・・・。
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めぐり

2020-05-18 23:55:39 | 舞台
山海塾「海の賑わい 陸の静寂―めぐり」を見ました。

・・・と言ってももちろんリアルではありません。公演は中止になってしまったのですが、その代わりにyou tubeで期間限定の無料配信をしています(20日24時まで)。コロナの件がなかったら見に行っていたであろう舞台だったので残念でしたが、こうして公開してくださったのでありがたく拝見させて頂きました。太っ腹な山海塾さん、ありがとうございます・・・。映像の質も高くて、臨場感があります。そしてまた、生の舞台とはまた違った発見がありました。踊り手の顔の表情、手の表現までばっちり見えます!とりわけ驚いたのは指先の表現の豊かさ。私が山海塾を初めて見てから四半世紀の時が過ぎているのですが、一度も舞台近くの席で見たことがなかったので、このことに初めて気づきました・・・。それに衣装やアクセサリーもよく見えました。衣装も実はこんなに凝っていたのですね。綺麗な刺繍や色鮮やかな裏地もよく見えました。

「めぐり」は海をイメージさせる舞台です。背景には古代生物のウミユリをデフォルメしたという壁があり、踊り手は海の生物のようにも見えます。無限の海。生の躍動と静寂。時折おとずれる神々しい瞬間には踊り手が仏の似姿のようにも見えました・・・。

素晴らしい舞台を生で見られなかったのは返す返すも残念でしたが、考えてみれば、生の舞台を直接見ることができるのは、実はかなり限られた層だったのかもしれませんね。都市圏に住んでいないとなかなか機会がないし、都市圏在住だとしても、それなりに時間的余裕などがないと厳しい。私のように家に小さい子でもいれば嫌でも外出のハードルはあがります。公演中止は本当に残念でしたが、これをきっかけにいろいろな人に舞台が届くといいな、と願わずにはいられません・・・。
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acoustic soul2

2020-05-09 13:28:38 | 音楽
スガシカオ「acoustic soul2」を聴きました。

acoustic soulってどこかで聴いたようなタイトルだなぁ・・・と思ったら、だいぶ前にインディア・アリーの同名のアルバムがありましたね。なつかしや。4曲入りのミニアルバムですが、オフィシャルグッズのサイトから購入できます。そういえば、このアルバムが発売された頃にちょっと不思議なことがありました。なんと私の夢にスガさんが登場・・・何か言いたげな様子だったので、もしやスガさんの身に何かよくないことでも!?と、慌ててHPを見たら、このアルバムが発売になってました。こんなところにまでプロモーションに来てくださるなんて、お疲れさまでございます・・・。

1曲目は「発芽」。J-waveっぽいイントロで始まるアーバンソウル風の曲。キンモクセイの甘い香りと恋が生まれる瞬間と。「1+1」は現代のブルースか。「ヤグルトさんの唄」ではついに真打登場。ヤグルトさんとはスガさんのお母様のことです。以前、ラジオでもお母様のことはちょいちょいお話されてました。いかにもマイペースな肝っ玉母さんというイメージの方ですが、息子がこんな曲を作ってくれたら嬉しいでしょうね。「ぼくの街に遊びにきてよ」はCMソングになってましたね。どこかなつかしい響き・・・。

スガさんといえば、医療を支えている人に向けた「あなたへ」という曲をYou tubeで発表しています。ミスチルの桜井さんやポルノグラフィティのアキヒトさんも参加されてます。スガさんらしい歌詞ですが、本当にあったことなのでしょうか。この曲が医療従事者の方々に届くといいな・・・。

そして先日、スガさんが出演するということでひさびさにMステを見ました。スガさんはProgressを熱唱・・・ゴスペラーズの替え歌も面白かったし、RADWIMPSの新曲の歌詞も身につまされました。あのMステにはいろいろ考えさせられるところがありましたね。自宅から動画を送るミュージシャン、リモートでの合唱、social distanceを保ってのバンド演奏。アフターコロナの時代にはこれがスタンダードになるのかな・・・。音楽そのものが必要とされることは変わらないだろうけど、音楽ビジネスのあり方は相当変わるのかもしれませんね。よりindividualでspiritualなものが必要とされるようになるのでしょうか・・・。
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