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opus

2024-05-14 00:05:46 | 映画
Ryuichi Sakamoto | Opusを見てきました。

教授の最初で最後の長編コンサート映画です。1回目はodessaで、2回目はdolby atmosで見ました。Odessaでは重低音の響きが力強く、dolby atmosでは丸く柔らかい音に包みこまれるかのよう…。2回目は教授自身が音響を監修した109プレミアム新宿で見ましたが、極上の音響でした(ちなみに椅子も最高…)。

ピアノを弾く教授の姿をモノクロームの映像でひたすら映し出す、正真正銘のコンサート映画です。この環境で見ることで、教授のピアニストとしての凄さをあらためて実感しました。まるでオケを鳴らすようにピアノを弾く。そして、音が無に帰す瞬間の美しさ…。教授のピアノの音を聴いていると降り注ぐ慈雨に身を浸しているよう…“aqua”では透きとおるような青空が覗き、戦メリでは雪がちらちらと舞いはじめ…。個人の意志や感情の表現というよりは、世界の美しさをピアノで描き出そうとするかのよう…。

1曲だけ、NGテイクを映画にしている曲がありました。ボイシングを試しているうちに収拾つかなくなったという感じでしたが、その試し方が凄い…教授の作曲の過程を垣間見るようでもあり、鳥肌立ちました…。

映像は非常に繊細なモノクローム…そういえば、ピアノってモノクロ―ムの楽器でしたね。時折、教授の微細な表情の変化も映し出します。Tong Pooでは楽しげに、Happy Endでは童心に帰ったように。戦メリの最初は若かりし頃のような表情でしたが、最後の方では何かに別れを告げるかのような顔に…ラストのopusは淡々と…。

見終わった後、しばし放心状態になりました…今さらですが、教授は本当にこの世からいなくなってしまったんだなぁ…と。そして、教授から受けたものの大きさにあらためて思いを馳せました。ありがとう、教授…。
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