海に吹く風

海の大好きな私
ここで皆さんとお話しましょう

日々思うこと、短歌についても書いていきます

ミモザの島 連作

2022-03-29 19:30:57 | 短歌
  
  胎児期の花芽は枝にねむりゐる春を待つ樹は風に吹かれて 
  灰色の分厚きコート脱ぎ捨てつ春の陽が声をかけてくるる日
  洋風の家にはミモザが似合ふらしここもあそこも銀葉が揺る
  公園の芝生を進む乳母車かたはらの児はほろほろ歩く
  海よりの風かと思ふ公園にミモザの枝のざはめきたてば  
  ミモザの黄見れば浮き立つわが心大久野島へタイムスリップ
  思ひ出は突然沸ひてしまふらし古びし蓋を押し上ぐるまで
  春の日にはじけてゐたり丘の上に二十歳のわたしとみんなの笑顔
  多島海ゆ吹き来る風に揺れやまぬ丘のミモザは黄の臨月
  新大阪駅の階段駆け上る海からの風に誘はれて さあ
  ただ島の姿見たさにはるばると忠海に来つ日帰りの旅
  忠盛の領地でありしゆかりゆゑ忠海とふ町の名前は
  大久野島はひやうたん島に似てゐたり瀬戸内海にぽつかり浮かぶ
  毒ガスの島と言はれし時ありき今はウサギのゐる休暇村
  絶対の機密であるから毒ガスの島はかつては地図より消され
  「毒ガスで・・」老人はひそと語りたり海辺を走る呉線の中
  ゆつくりと閉じる瞼に海の青ふたたびの島も思ひ出となり    
  ねえミモザおまえは知つてゐるだらう人には見せぬ私の気持ち
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ミモザの島

2022-03-28 09:24:01 | 短歌

多島海ゆ吹き来る風に揺れやまぬ丘のミモザは黄の臨月
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よもぎ

2022-03-26 07:59:51 | 短歌

ぜんざいに浮かぶ小餅のあさみどりほのかに香る春のよもぎは
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春キャベツ

2022-03-23 11:02:34 | 短歌

キッチンの春の光が入りこむ半切りキャベツの迷路の中に
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昔話

2022-03-20 08:18:33 | 短歌

雪女、鶴の恩返し、男らは話の中でいつも裏切る
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薄氷

2022-03-17 12:12:07 | 短歌

ヒドリガモ消えたる池の薄氷をハクセキレイが一羽歩みつ

池が凍ってその上をハクセキレイが歩いていた。
とても珍しい光景だったのにその時はカメラを持っていまず残念だった。t
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淡雪

2022-03-14 11:13:39 | 短歌

踏むことをためらふほどの淡雪が今年はじめて我が庭に積む
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雪原

2022-03-11 11:59:39 | 短歌

野生の血よみがへるらし雪原に背を摺りよせて喜ぶ犬は
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新雪

2022-03-08 11:52:20 | 短歌

新雪に踏み入る恐れにも似たる純潔といふ言葉は遠し
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『阿寒に果つ』3

2022-03-05 11:48:47 | 短歌

男らの家の窓辺に薔薇を置き冬の阿寒に果てし人あり

小説でこのくだりを読んだ時は現実の出来事ではなく演出上のフィクションだと思った。
しかしモデルの女性について調べてみるとこれは本当のことだっだ。
だたバラではなく赤いカーネーションである。
小説ではどちらだったか?
渡辺淳一も初めは薔薇と言い、のちになってカーネーションだったと言い直している。

現実でもこういうことをして阿寒湖に向かった彼女は自己愛の強い人だと思う。
また想念を実行してしまう人だとも思う。
彼女のパトロンだった男性が「失恋した」と百貨店の屋上から飛び降り自殺した。
彼女はお弔いだと称して赤いカーネーションをいくつも屋上から投げた。
彼女にとって赤いカーネーションはどういう意味を持つのか?
死の象徴か、私をいつまでも覚えていてねというサインか?

真っ白な雪の上に真っ赤な花・・私が一番好きなシーンではあるけれど。
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