千年桜

千年の桜は今も夢を見る若葉を樹々と競ひしころの

チューリップ

割り算の答へのやうに春の陽にほどかれて伸ぶチューリップの葉は

鯛の子

春の海泳いだはずの鯛の子を歯でかみつぶし舌で転がす

嘴太

不穏なる声の弾丸落としつつ嘴太の群れ西へと向かふ

手術４

久しぶりのジムの仲間に滝のごと夫の手術の経過を話す

ミモザ 3

他の角度からの写真が撮れた

手術３

窓のある控えの部屋に救はれる手術が終はるまでの四時間

今まで何回も親や義理の親の手術に立ち会ってきた。
家族の控室は窓がなかった。
っ閉ざされた空間でじっと手術の終わるのを待つのはたまらない。
今回は窓のある部屋で随分救われた。
外を見ていると山が見え、鳩が時々飛んでいるのが見えた。
それだけで気がまぎれた。

思い出のミモザ２

多島海ゆ吹き来る風に揺れやまぬ丘のミモザは黄の臨月

思い出のミモザ

胎児期の花芽は枝にねむりゐる春を待つ樹は風に吹かれて

ミモザ

人知れず咲いているミモザ。
自然のままに枝を伸ばしている。
この季節になるといつもミモザに会いにいく。
大久野島の丘の上に咲いていたミモザと同じミモザを。