杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

セルフレス 覚醒した記憶

2017年03月19日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年9月1日公開 アメリカ 117分

余命半年と宣告された大富豪の建築家ダミアン・ヘイル(ベン・キングズレー)は、父を嫌う一人娘のクレア(ミシェル・ドッカリー)との仲を修復することなく死を迎えることに絶望していた。失意の中にあったダミアンに天才科学者のオルブライト(マシュー・グード)がもちかけたのは、遺伝子操作で作った肉体へダミアンの頭脳を転送することだった。莫大な料金と引き換えに新しい肉体を手に入れたダミアンだったが、その肉体は遺伝子操作で作られたものではなく、妻子ある特殊部隊の軍人マーク(ライアン・レイノルズ)の肉体だった。真実を知ったダミアンとマークの妻マデリン(ナタリー・マルティネス)は、オルブライト率いる秘密組織に命を狙われ・・・。(映画.comより)

 

68歳のダミアンは「NYを創った男」と称えられる建築家で、政界や経済界にも強い影響力がありますが、ガンで余命宣告を受けてしまいます。幼い頃に別れた娘との溝を埋めようと彼女が主催するNPOのオフィスを訪ね資金援助を申し出るものの、何でも小切手で片付けようとする最低な人と拒絶されて失意の彼は、オルブライトから持ちかけられた肉体の“脱皮”の決意をします。オルブライトは“フェニックス”という謎の研究所の責任者で科学者です。遺伝子操作で作り出した肉体に頭脳を転送し、別の人間として生きる計画で、「偉大な知性の喪失は人類の損失だから力を貸したい」という彼の言葉に乗ったのです。

身辺整理をしてニューオーリンズへ飛んだダミアンは、長年のビジネスパートナーで親友のマーティン(ヴィクター・ガーバー)に後を託します。その場で倒れた彼が再び目を覚ますと鏡の中に見知らぬ男が!!頭脳の転送場面はちょっとちゃっちい印象を受けました脳自体を移植するのではなく、要は記憶の上書きじゃないの?

新たな肉体に慣れるためのトレーニングとは別に、拒絶反応を抑制する薬を渡され一日一回一錠の服用を命じられ、約二か月の観察期間を経て新たな人生が始まります。68歳から若い体に再生し、アントン(デレク・ルーク)という男と知り合い“若者の暮らし”を謳歌していたある日、薬を飲み忘れてリアルな幻覚に襲われたダミアンはオルブライトに疑問をぶつけますが、返ってきたのはハワイで気分転換でもしたらと渡された航空チケット。

元々頭脳明晰なダミアンですから、幻覚で見た景色を検索し、それがセントルイスに実在していることを知って行き先を変更するのね。 そこでマデリンと出会い、今の体が彼女の夫のものだったことを知るのです

今の「生」が他者の犠牲の上に成り立っていることを知り愕然とするダミアン。マデリンには丁度ダミアンがクレアを置いて家を出た時と同じ年頃の娘アナ(ジェイニー=リン・キンケン)がいました。秘密を知ったダミアンを連れ戻そうと暗殺者アントンがやってきますが、事故に見せかけてマデリンたちを消すと告げられ、彼女たちを守るために反撃に出るのです。元が特殊部隊の屈強な兵士だったわけですから、戦闘能力は折り紙付き、しかもダミアンの知性も加わっているので、オルブライトの差し向ける暗殺者に負ける筈がない・・・という設定なんですね

逃避行の中でのアナとの触れ合いは、彼に実の娘とできなかった父と娘のひと時の幸福を与えます。

マデリンに真実を告げ、二人を安全な場所に逃がすと約束したダミアンは、マーティンを頼るのですが、ここで新たな事実が!!マーティンの亡くなった筈の息子トニーの正体も・・・という展開が待っていました。

連れ去られてマデリン母娘を助けようと、薬を抜いて幻覚から研究所の所在を突き止めたダミアン=マークは乗り込んでいきます。(この研究所の作りもなんか安っぽいのが惜しい。製作費不足かしらん?)アントンが何度も脱皮しているというのもちょっと笑えるぞ。そんなに人材不足なのか?

金属があると転送の邪魔になるという伏線が生きる展開で、無事母娘を助け出し、研究所を破壊したダミアン。マーティンから薬の製造方法も教えて貰った彼が取る行動は、新たな人生を歩むか、体をその本来の持ち主に返すかのどちらかなのは明らかです。

やっぱり、脳の転送とは記憶の上書きであって、薬は体の持ち主の記憶を抑えるためのものだったというわけですね。ダミアンは遅まきながらも与えられた命の延長期間を使ってクレアに自分の想いを伝え、きっと満足して消えていったんだろうな


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