駒師「日向」のブログ 本店

プレーヤー目線で作る
将棋駒作家のつぶやき

角落ち上手戦記 ~下手三間飛車本定跡編~

2023年03月24日 | 対局日誌
開始日時:2023/03/12
持ち時間:0分+10秒
場所:81Dojo
手合割:角落ち 
下手:某四段
上手:日向

【第1図】までの指し手
△6二銀 ▲7六歩 △4二玉 ▲7八飛 △5四歩 ▲6八銀
△8四歩 ▲4八玉 △8五歩 ▲7七角 △6四歩 ▲3八銀
△6三銀 ▲3九玉 △5二金左 ▲5八金左 △7四歩 ▲2八玉

久しぶりに角落ち上手の将棋を発信したい。
プロはもちろん、アマチュアでもある程度指せる方から見れば、
こんなミスだらけの将棋は何の役にも立たないが、
級位者の方にはお役に立てている様で、
実はアクセス数が多い記事ジャンルの一つである。

局面は下手三間飛車本定跡のオーソドックスな出だし。
対振り飛車の場合、上手の王将は△4二王としておくのが最初のポイント。
ちなみに、下手は四段で同段位かつレートも自分より少し上だ。
自分の感覚では、同段位の相手に角を落としてもらって指すなど全く考えもしないが、
対局中にAIを使用するなど、勝つことに手段を択ばない人が多く、
近年はそういう傾向らしい。
こちらは相手が誰でも指す一手。

【第2図】までの指し手
△7二金 ▲1六歩 △7三金 ▲5六歩 △8四金 ▲6六歩
△7五歩 ▲6七銀 △7六歩 ▲同 銀 △7五歩 ▲6七銀



上手の△7五歩を許したのは、下手の油断だと思う。
若いころ全国大会クラスのアマ強豪の方々に角落ちで1000局以上稽古をつけてもらったが、
彼らは一様に「上手に位を許すのは損」と言っていた。
多分、それは今も変わらないと思う。


【第3図】までの指し手
△9四歩 ▲9六歩 △3二玉 ▲6八角 △7二飛 ▲1五歩
△4二銀 ▲4六角 △7四金 ▲7七桂 △5三銀 ▲6五歩



下手は角を転換して▲6五歩だが、
7~5筋は上手の勢力圏で簡単に突破は許さない。
では、これで上手が有利か?
と問われればそういうことはなく、
角1枚の差がほんの少し減った程度だと思う。
上手は厚みを活かしてディフェンスラインを堅守する方針。

【第4図】までの指し手
△7三桂 ▲6四歩 △同銀左 ▲6五歩 △5三銀 ▲5五歩
△同 歩 ▲同 角 △5四歩 ▲4六角 △4四銀 ▲5七金



右桂馬が使えて、上手としてはまずまず、といった感じ。
▲5五歩からの歩交換に△5四歩とするのは感触が悪く、
平手なら絶対指さないが、そこを耐えて、
無難に納めるのが駒落ち上手を指すコツだと思う。
最初から戦力不足の上手は、序盤でミスったら勝てない。
これは平手にも通じる考え方だと思う。

【第5図】までの指し手
△5五銀 ▲3五角 △6五桂 ▲同 桂 △同 金 ▲6六歩
△6四金 ▲5六金 △4四銀 ▲2六角 △8六歩 ▲同 歩



戦力が少ない方は局地戦にして、
部分的に互角な戦いに持ち込むのがセオリーだ。
余計な争点を作らず、戦いを8~5筋に収めるように指すのが良いと思うが、
下手の指しっぷりからすると、
下手はそのセオリーに気付いている様子はなさそうだ。
上手としてはそこがねらい目か。

【第6図】までの指し手
△8二飛 ▲8八飛 △5五歩 ▲6五金 △7六歩 ▲同 銀
△5六歩 ▲5八歩 △5五桂



通常は、駒がぶつかれば力の差が出て、
ハンディキャップを解消できることが多い。
しかし、今回の相手はレートが自分より上なので、そうはならない。
指し手が見えず、中盤の折衝で損した関係で、
多分、第6図は上手不利な局面だろう。
それを自覚し、ぼんやりした△5五桂で下手に手を渡す。
相手を惑わす可能性がある実戦的な勝負手で、
後々、下手の焦りを誘うのが目的。
ただし、失敗したら差はもっと広がる可能性もある。
そもそも最善手ではないので、この類の手は棋書には書いていない。

【第7図】までの指し手
▲8五歩 △7五歩 ▲同 銀 △同 金 ▲同 金 △6七桂成 ▲7四歩



この辺りの折衝は私には難しく、とにかく差が広がらない様にするだけで精一杯で、
いわゆるキャンセル待ちの様相を呈してきた。
ただし、キャンセル待ちは重要かつ実戦的な技術の一つ。

【第8図】までの指し手
△5四銀 ▲7三歩成 △8一飛 ▲6四金 △4五銀右 ▲6三と
△5一金 ▲5三と  △5七歩成 ▲同 歩 △5二歩



局面は下手優勢だが、上手が逆転に成功するには、下手に間違ってもらうしかない。
間違いやすい局面をいかに作るか?が上手のテーマとなる。
すんなり土俵を割らない様に、歩を成り捨てて△5二歩。
スペースを埋めつつ、相手の攻め駒を責める。

【第9図】までの指し手
▲5四と △同 銀 ▲同 金 △7一飛



将棋は基本的には攻めている方が有利だが、
そうならない局面も実は多い。
この場面、下手は効率の悪い手を指すと、
簡単に攻めが切れてしまうリスクがある。
上手は、善悪よりも下手のその心理を突く指し手を優先して選択する。
△7一飛は遊び駒の活用と言えばそれまでだが、
下手が焦ってくれないと悪手を指してくれないので、
冷静に見れば間に合ってないが、少しでも焦らせるのが目的だ。

【第10図】までの指し手
▲4四角 △7九飛成 ▲3五桂 △3四銀 ▲4三桂成
△同 銀 ▲2二金 △同 玉 ▲4三金 △4二金打 ▲3四銀 △3一桂



下手は▲4四角で決まったと思っていただろう。
一見、取る一手のようだが、実はここが技をかけるチャンス。
利いているかどうかわからないが、
△7九飛成で意図的に相手の読みを外し、しつこく相手の悪手を誘う。

【第11図】までの指し手
▲4二金 △同 金 ▲5一銀 △4一金打 ▲4二銀成
△同 金 ▲5一銀 △4一銀 ▲4二銀成 △同 銀
▲4一金 △5三銀打



形勢が悪い方は勢力差の少ない局地戦に誘い、
ひたすらに相手のミスを誘い続ける。
不利な局面にはそもそも最善手は存在しないので、
心理的に最も効果がありそうな手を探す。
駒落ち上手は、そういう手を見つける良い訓練になる。

【第12図】までの指し手
▲同角成 △同 銀 ▲4二金打 △同 銀 ▲同 金
△3二金 ▲4一金打 △4二金 ▲同 金 △3二金
▲4一金打 △6四角



形勢は良く分からないが、局地戦に持ち込む事はできた。
上手は攻めきられたら負け、下手も攻めが切れたら負け、
と互いに恐い局面になった。
下手に正確に指された時は仕方ない、
しかし、間違ったら許さない。
こういう局面に持ち込むのも大事な技術の一つ。
△6四角は感覚が指させた手だが、
大駒を受けに使うなら、やはり遠くから利かすのが好手になりやすい。

【第13図】までの指し手
▲3二金 △同 玉 ▲3一金 △同 玉 ▲4三銀不成
△4二金 ▲3五桂 △4四金 ▲2三桂不成 △4一玉 ▲6二銀



繰り返しになるが、勢力が互角の局地戦に持ち込み、
相手のエラーを誘い続ける、諸先輩方は私にそう教えてくれた。
ようやくその時が訪れる。

【投了図】までの指し手
△4三金上 ▲2二銀 △3二玉 ▲1一銀不成△2三玉 ▲2六香 △2四歩
まで151手で上手日向の勝ち



150手を超える長い戦いに、ようやくピリオドが打たれた。
「将棋は最後に悪い手を指した方が負ける」は大原則で、
前図の▲2三桂不成+▲6二銀は、
上手が配置した△6四角の利きをうっかりした大悪手となった。
アマチュアの将棋はこんな決着のオンパレードだが、
これはこれで勝っても負けても楽しい。
平手全盛の時代だが、駒落ちを指すキッカケになれば幸い。
                                    了
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対局日誌 ~ビッグ4攻略~

2021年01月06日 | 対局日誌
棋戦:将棋倶楽部24
先手:某氏
後手:日向

【第1図までの指し手】
▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △4四歩 ▲4八銀 △4二銀
▲5六歩 △4三銀 ▲5七銀 △5二飛
2021年最初の一局。オールドファンにはお馴染みながら、現代ではほぼ指されなくなったノーマル中飛車。
復活を願って独自研究を続けている。

【第2図までの指し手】
▲6八玉 △5四歩  ▲6六銀 △3二金 ▲7八玉 △9四歩
▲9六歩 △7二銀  ▲7七角 △6四歩 ▲2五歩 △3三角
▲6八角 △6三銀

先手の構えはオーソドックスな対抗系居飛車のスタートから引き角で2筋の交換を目指す形。一歩手持ちにしっつ、飛車の利きが敵陣に直通して悪い訳がない。

【第3図までの指し手】
▲2四歩 △同 歩 ▲同 角 △同 角 ▲同 飛 △2三歩
▲2八飛 △7四歩 ▲8六歩 △7二金 ▲8八玉 △7三桂
▲7八銀 △6五歩 ▲7七銀引 △4二玉

松田九段、大内九段が多用したツノ銀中飛車エトワールの陣、玉の定位置は△7二だが、現代流は△4二・5二・6二のいずれか。
優れた金銀の連結に囲まれた中住まいは、現代将棋最強の布陣か?

【第4図までの指し手】
▲1六歩 △5一飛 ▲1五歩 △8四歩 ▲5九金右 △8一飛 ▲8七銀 △5七角

先手は固める方針でまずは銀冠を志向するが、駒が偏るので隙が生まれる。その瞬間を逃さず△5七角と打ち込む。

【第5図までの指し手】
▲6八金右 △2四角成 ▲7八金上 △5二玉 ▲9八香 △4二馬
▲9九玉 △3三桂 ▲8八金 △2一飛 ▲7八金右

後手△2四角成で△3九角成は以下、▲2六飛、△4八馬▲5八金寄△3八馬▲5九金寄と指されてどうか。
途中△8五歩~△9三角成を狙う手順もあるが、△8五歩の瞬間に▲5七角と合わせられると、苦労する割に効果が出ない。
従って、小さな葛篭(つづら)を選んで△2四角成とするのが上策と判断。第5図の後手は金銀4枚+馬、これ以上の厚さは望めない不敗の陣形が完成した。
ただし、先手も居飛車穴熊の理想形「ビッグ4」、果たしてどちらの陣形が優っているのか。

【第6図までの指し手】
△2四歩 ▲2六歩 △8一飛 ▲5七角 △2三金 ▲6六歩 △6二金
▲6八角 △2一飛 ▲6五歩 △同 桂 ▲6六銀 △6四歩

不敗ではあるが、必勝ではないところが将棋の難しいところ。ここからは自身の構想力が試される局面。

【第7図までの指し手】
▲1八香 △5三馬 ▲5五歩 △同 歩 ▲同 銀 △5四歩
▲6六銀 △4五歩 ▲1七香 △4二玉 ▲7五歩 △4四馬 ▲6七歩

馬を軸にして戦線を押し上げるのが私の方針、ラグビーの「モール」に似ている。ポイントは駒と駒の横の連携を強固に保つこと。

【第8図までの指し手】
△3五歩 ▲7四歩 △同 銀 ▲7五歩 △6三銀
▲4六歩 △同 歩 ▲同 角 △4五歩 ▲6八角 △3四金

働きの悪い金将を前線に繰り出し活用を図る。先手が反撃をしてくるとすれば現状は3筋からであり、それを事前に封じる。飛車の可動域が広がり、利きが通ったのも大きい。
【第9図までの指し手】
▲7九角 △3二玉 ▲6八角 △5五歩 ▲5八飛 △5一飛
▲2八飛 △5六歩 ▲5八歩 △5四銀左 ▲7九角 △4六歩

本当は△6二の金を玉の近くに寄せたいが、もう十分形なので進軍開始。4筋と5筋の歩が一歩一歩前進、それを金銀馬飛桂が支えている。
この様な展開を故米長永世棋聖が名著「米長の将棋」の中で、「雪崩(なだれ)攻め」と命名されていたが、プロ間ではほぼ実現しないので、その名称はメジャーにはならなかった。
さて、△4六歩はタダだが、▲同角なら△5七歩成▲同歩△4五歩で角を逮捕する手がある。

【第10図までの指し手】
▲同 角 △5七歩成 ▲6五銀 △同 銀 ▲5七角 △8五歩
▲同 歩 △7六銀打 ▲6八角 △8七銀成 ▲同金右 △7六銀打

先手は▲6五銀で角の逮捕は逃れたが、後手の銀が5段目に進出し、飛車の利きが敵陣にまで直通した。しかも、と金の処置で後手を引かされている。
後手は△8五歩で本丸攻略へ、▲6六銀が居る間は分かりにくかったが、穴熊攻略の主役は△4四の馬である。
この地点に角(馬)を安定的に配置出来れば、ビッグ4も怖くない。

【第11図までの指し手】
▲7八銀 △9五歩 ▲同 歩 △8七銀成 ▲同 銀 △7六金
▲7八銀打 △8六歩 ▲同 銀 △9五香 ▲同 香 △8七歩

△6五の銀が更に進出するので、先手は△7六の銀を取るとことが出来ない。それを見越して▲7八銀と受けさせてから悠々と△9五歩、歩の補充を図る手筋。
第11図を冷静に見て頂きたい、先手は飛車落ちである。

【投了図までの指し手】
▲7七銀引 △8八歩成 ▲同 銀 △8七金打 ▲7七香 △7八金
まで138手で後手の勝ち

どうやっても負けるはずがない、って思うと将棋は危ない。色々な勝ち方はあるものの、一番着実に銀将をタダ取りして、相手に投了を促す。

第9図を再掲しよう。

駒の利き色分けしてみた。駒の利きが無いか、或は双方の利き数が同じか所は白色とした。
水色は先手の勢力、マスの数は28、黄色は後手の勢力、マスは40あり間もなく先手陣に届こうとしている。
駒の損得は全くないものの、後手が盤面を制圧しているのがお分かり頂けるだろう。
将棋は最終的に相手の玉を詰ますゲームだが、ビッグ4の様に堅い王様と競り合ったら勝てない。
この将棋は先手のミスもあり出来過ぎだが、構想の立て方や考え方などは、級位者の方には参考になったのではないだろうか。
             (了)
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左右玉 対局日誌 ~その1~

2020年10月03日 | 対局日誌
コロナの影響は私の棋力にまで及んでいます。

ん?責任転嫁?

そうとも言えますね。

でも、やはりアナログ世代としては、

リアル対局が無いと感が鈍るんですよ。

ようやくそれが戻ったかな、

と思える対局があったので、

一応記録しました。

⇒駒師日向の対局場

コロナ禍に何をしてたかって?

ずっと中原対米長の将棋を並べていました。

今見ても新鮮な両者の棋譜、お勧めです。

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香落ち上手戦記 下手△3四銀拒否型 ~その2~

2020年01月23日 | 対局日誌
現在のA級で純粋な振飛車党は久保九段ただひとり。
かつて振り穴王子と呼ばれた広瀬前竜王は、完全に居飛車へ転向済。
そういう現状が「不利飛車」なんてダジャレを生むのだろう。

振り飛車を指して感じる事は、その感覚の難しさ。
多少駒損でも自玉が堅ければいいが、
相手玉の方が堅いケースは手損が響いて正直骨が折れる。
少なくとも自玉の堅さを保つために
穴熊を基本として指してみる。

【第2図までの指し手】

△9一玉 ▲7六歩 △8二銀 ▲9六歩 △7四歩 ▲9五歩
△6四歩 ▲7七角 △4二金 ▲8八銀 △5三金 ▲5九角
△1四歩 ▲8六歩 △6三金 ▲7七桂 △7二飛 ▲8七銀



下手は銀冠+引き角の構え。序盤に中央の位取りを許した関係で、▲4七銀型となったのを活かす構想だろう。
しかし、これでは1筋の弱点を突く展開にはなりにくく、上手作戦勝ちの様相。
穴熊は駒が偏り過ぎていて、正直落ち着かないが、
それをなんとかするのが上手の腕の見せ所。
駒を右辺(下手から見ると左辺)へ移動させながら捌く方針。
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香落ち上手戦記 下手△3四銀拒否型 ~その1~

2020年01月17日 | 対局日誌
最近のタイトル戦はほぼ相居飛車。
角交換のバランス型を好む一人としては、
甚だ良い傾向ながら、
同じような将棋ばかりが続くと飽きるのも事実。

密かに振り飛車への転向を図るべく、
香落ち上手で捌きの感覚を養う今日このごろ。

手合割:香落ち 
下手:某二段
上手:日向

【第1図までの指し手】
△3四歩 ▲2六歩 △4二銀 ▲4八銀 △4四歩 ▲3六歩
△5四歩 ▲2五歩 △3三角 ▲1六歩 △5二飛 ▲5八金右
△6二玉 ▲4六歩 △5五歩 ▲4七銀 △4三銀 ▲6八玉
△7二玉 ▲7八玉 △8二玉 ▲6六歩 △9二香 ▲6七金

上手の戦法は振り飛車穴熊、これは下手早めの▲3六歩に呼応したもの。
△3四銀型振り飛車を拒まれたら別の作戦を選択せざるを得ない。
普段飛車はほぼ振らないし、穴熊もしないので、こういう戦型はとても新鮮。
捌きを勉強させて頂くつもりで丁寧に読みを入れて指すことを心がける。
つづく

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対上手戦記1 ~その6~

2019年09月01日 | 対局日誌
●第11図までの指し手
▲6五銀
△同 歩
▲8二金
△7三玉

先手は▲6五の桂馬を外さないと飛車が使えず、また7七からの脱出路が確保できない。
双方の王将が顔を突き合わせそうな場面だが、下手が狙っている筋がある。

●投了図までの指し手
▲5六馬
△同 と
▲6四金
△同 玉
▲6五飛
△7三玉
▲6二飛成
△同 玉
▲4二龍
△5二銀
▲5三金
まで先手の勝ち。

本譜の手順が以前から狙っていた詰み筋である。金を捨てて、飛車を捨ててと派手な手が多いが、詰め将棋好きな方には見えやすい手順かと思う。
なお、△5二銀では△5二飛とした方が手順は長いが即詰みである。
途中怪しいところが多々あったが、双方アマチュア、秒読みなのでご勘弁願う。



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対上手戦記1 ~その5~

2019年08月30日 | 対局日誌

●第9図までの指し手
△4六金
▲7八馬
△5七と
▲7二桂成
△同 銀
▲9二歩
△同 香
▲9三歩
△同 香
▲9四歩
△同 香
▲9三歩

美濃囲いの弱点は端、右側から攻めたら負ける。序盤につき捨てた▲9五歩がここに来て活きてきた。香車を吊り上げその裏側に手裏剣を差し込む。


●第10図までの指し手
△6五桂
▲9一銀
△8三玉
▲3三飛成
△4三歩
▲6五玉
△6四歩
▲7六玉
△6五桂
▲6六銀
△5六金

上手は脱出口を開ける△6五桂、振り飛車では頻出の手筋である。
随分前から双方1手30秒の秒読みに突入しており、これに対する応手がよく分からない。差が縮まる。
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対上手戦記1 ~その4~

2019年08月28日 | 対局日誌

●第7図までの指し手
▲5六馬
△5八歩成
▲同 玉
△3八銀
▲6九飛
△4七銀不成
▲同 玉
△3六歩
▲同 玉
△2六金
▲4六玉
△3六歩

上手は歩を使って右桂の参戦を試みる。しかし、金と歩の持ち駒だけで下手の玉を捕まえることは出来ない。通常は厳しいことが多い△3八銀も手順に飛車が使え、ありがたい。
非勢を悟った上手は、とにかく切れない様にボチボチ攻めに切り替えた。玉形が大差なので間に合ってしまう可能性がある。
こういうところが五段のしぶとさ、今まで何度もやられているので、気を引き締めなおした。

●第8図までの指し手
▲3四金
△同 飛
▲同 歩
△3七歩成
▲3一飛
△3六金
▲5七玉
△4七と
▲6六玉
△6二金引
▲6四桂

▲3四金に上手は飛車で差し違え、下手が狙う入玉を防ぐ。
相変わらずのボチボチ攻めだが、それが故に切れる事はなく、勝つには攻め合いしか残されていない。▲6四桂で攻めのターンに入ったが、もう少し受けた(かわした)方が良かったか。。。
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対上手戦記1 ~その3~

2019年08月26日 | 対局日誌
●第5図までの指し手
△4三角
▲4四歩
△6一角
▲4五銀
△3五歩
▲3二馬
△4四銀
▲同 銀
△同 飛
▲4五銀
△2四飛
▲3五歩
△5六歩

少し良くなると油断するのが欠点、感覚指しで読みが入っていない。上手の△3三銀を捌かせてしまった。実戦では後悔しても始まらないので、気を取り直して手厚く指すことを心がける。
相手の攻め駒を、前からは金銀で、後ろからは馬で圧迫するのが先手の狙いである。
△5六歩は嫌な感じの歩だが、私にはチャンスボールに見えた。

●第6図までの指し手
▲6七金
△7八銀
▲5六金左
△6七銀成
▲7六馬
△3三桂
▲6七馬
△4五桂
▲同 金
△6五歩
▲同 歩
△5七歩

指がしなる▲6七金!上手が何もしなくてもそう指したいところなのに、1歩のオマケつきである。
△7八銀に更に▲5六金、△6七銀成に▲7六馬と気持ち良い手順が続き温泉気分、またしても悪い癖が首をもたげる。△3三桂に対する▲6七馬小ミス、かろうじて優勢は維持出来ている。
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対上手戦記1 ~その2~

2019年08月24日 | 対局日誌
●第3図までの指し手
△9四歩
▲9六歩
△8四歩
▲4八玉
△5四歩
▲2九飛
△5五歩
▲6七銀
△5四角
▲2六飛
△2二飛
▲5六歩
△同 歩
▲同 銀
△2四歩
▲同 歩
△2五歩
▲2九飛
△2四飛
▲5五歩
△3二角
▲9五歩

街の将棋道場や地方の将棋大会に必ず居るのが「筋違い角使い」のオジサン、私も昔は随分と苦しめられた。
しかし、プロ棋戦での筋違い角戦法の勝率は3割台であり、専門家の中では既に結論が出ている形である。相手は上手だがそんな戦法に負ける訳にはいかない。
▲9五歩で上手を揺さぶる。

●第4図までの指し手
△同 歩
▲8六銀
△8三銀
▲4五歩
△7二金
▲4四歩
△同 銀
▲4二角
△3三銀
▲3一角成

私流だが対筋違い角戦法の考え方を披露してみたい。
①△3二角が狙っている自陣の左辺に玉を近づけない。
②相手に陣形を伸ばさせ、角の打ち込みの隙を生じさせる。
③相手の角を攻めることで、角を手放したデメリットを拡大させる。
この方針に従った指し方が対振り飛車の右玉である。指す人が少ない分、慣れている方が勝ちやすいのは常識だが、専門家には通用しないので使用方法を誤らないで頂きたい。
先手だけ馬が出来て好調。
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対上手戦記1 ~その1~

2019年08月22日 | 対局日誌
先手: 日向
後手: 某五段

●第1図までの指し手
▲7六歩
△3四歩
▲2二角成
△同 銀
▲6八銀
△6五角(冒頭図)
▲4八銀
△7六角
▲7八金
△4四歩
▲7七銀
△3二角
▲4六歩
△4二飛
▲4七銀
△5二金左
▲5六銀
△3三銀

こんな場末のブログのアマチュアの将棋なんか誰も見ていないと思っていたが、意外と反応があり驚く。ただし、下手をイジメているだけだと悪友からの一言に反応し、上手に勝つ将棋も掲載するはめに。
相手は五段、将棋倶楽部24でも五段なので本物。
私の▲2二角成を挑戦的と捉えたのか、返す刀で筋違いの△6五角!早くも手将棋になった。
筋違い角戦法は居飛車、振飛車両方あるが、アマチュアの場合圧倒的に振飛車、しかも四間飛車が多い。
角交換の将棋を常とする私としては、第1図はいつもの見慣れた光景と言える。

●第2図までの指し手
▲5八金
△6二玉
▲2六歩
△7二玉
▲3六歩
△8二玉
▲4七金
△7二銀
▲2五歩
△6四歩
▲1六歩
△7四歩
▲1五歩
△6三金
▲6六歩
△7三桂
▲3七桂

少々手数を長く掲載したが、本局は150手を超える将棋ゆえご勘弁願う。
▲4七金+▲3七桂が私流の作戦。善悪は微妙だと思うが、事の他勝率が良い「ドル箱」戦法。変態将棋ゆえに真似はお控え願う。
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角落ち上手戦記 下手矢倉定跡~その6~

2019年08月17日 | 対局日誌
●第11図までの指し手
△6五金
▲同 金
△7六銀
▲5五桂
△8六飛
▲7九玉
△6五銀
▲4三桂成
△同 玉
▲5四歩

取られそうな金で相手の金を引っ張りあげる。その裏から銀を差し込み、下手の玉頭を抑える。善悪は分からないが、勝つとすればこういう展開しかないだろうと踏み込んだ。
下手も望んでいた上手の玉を左側から攻める展開となり、5五に桂を勇躍させ詰めろをかけた。
一直線の攻め合いでは下手勝ちなので、上手はどこかで手を戻す必要がある。
7六に銀が居る間なら△8六飛に合い駒が出来ないので、ここで飛車を走り、下手玉を下段に落としてから、金を入手しつつ自玉の詰めろを消す。
下手は▲5四歩で再び上手玉に詰めろをかける。

●投了図までの指し手
△6七桂
▲6八玉
△8八飛成
▲7八銀
△7七金
▲5八玉
△7八龍
まで157手で上手の勝ち

余しに行っても上手勝ちだと思うが、詰みがあるときは詰ませる。そういう姿勢が上達を促すと思う。下手からもらった桂馬を6七に置き一気に収束。下手の飛車と角の利きがあるので、少し詰み筋が見えにくかもしれない。
下手にも勝てる局面があり形勢は2転3転していたと思う、いい勝負だった。
手合い割が適正だと棋力に差があっても勝負形になり、上手下手双方が将棋の醍醐味を味わえる。
対戦相手に感謝。。


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角落ち上手戦記 下手矢倉定跡~その5~

2019年08月15日 | 対局日誌
●第9図までの指し手
△5六金
▲3九角
△5四歩
▲7七銀
△5五歩
▲7九桂
△6六歩
▲5九桂
△9五歩
▲5七歩
△6七歩成
▲同桂右
△9六歩
▲9八歩
△6七金
▲同 桂
△5四金右

筋は悪いが△5六金で下手の角の動きを抑える。下手からは▲2四歩△同歩▲1六桂が早いが、果たして下手は気付いているだろうか。
余計な事を考えていたら指し手を誤った。下手のなりふり構わないベタ受けに遭い、折角入手した金将を奪い返されてしまった。
今まで積み上げたものが一瞬の油断で水泡に帰す、これが将棋の怖いところ。水を飲んで気を静めた。

●第10図までの指し手
▲8六歩
△6四歩
▲7四金
△8一飛
▲6四歩
△同 銀
▲同 金
△同 金
▲6五歩
△5四金寄
▲5六歩
△8四桂
▲6六金
△7六歩
▲同 銀
△同 桂
▲同 金
△5六歩
▲4六桂

下手は受けに自信がある様で、上手の攻めを余しにきている。原因は私の攻めが上手くないためだ。
そう思うと上手のボチボチ攻めを必要以上に付合い、局面をリードできるチャンスを下手は逃していると私は思う。
下手はこのタイミングと見て▲4六桂、分かりやすい攻め筋に入った様に見えるが、、、
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角落ち上手戦記 下手矢倉定跡~その4~

2019年08月13日 | 対局日誌
●第7図までの指し手
▲1五歩
△同 歩
▲1四歩
△8六歩
▲同 歩
△8五歩
▲同 歩
△8一飛
▲1五香
△1二歩
▲7五歩

手を渡された時に、それを手渡しで返せたら初段の域は越えているだろう。
下手は上手陣の端を詰めポイントを上げたが、その間に上手は駒の効率を上げる。この交換、どちらが得しただろうか?

●第8図までの指し手
△8五飛
▲8六歩
△同 飛
▲8七歩
△8三飛
▲7六金
△7七歩
▲同 桂
△同桂成
▲同金上
△8四桂
▲6五歩
△7六桂
▲同 金
△6三金
▲5七角

右辺(上手左辺)からこれ以上の攻撃が見込めない下手は、戦場を自玉の近隣に移した。大局観としては正しくなかろうが、形勢を悲観しての勝負手に見える。
第8図の局面は、
①駒の損得 上手「右桂(4点)+歩3枚(3点)で合計7点」と下手「金(8点、守備の要)」で、上手+1点
②手番は上手
③玉は上手の方が少し堅い
④駒の効率は互角
ということで、上手が当初のハンディキャップを少し挽回した程度、形勢は互角の範疇だろう。
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角落ち上手戦記 下手矢倉定跡~その3~

2019年08月11日 | 対局日誌
●第5図までの指し手
▲5八飛
△3一銀
▲6五歩
△5七歩
▲2八飛
△6五金
▲6六歩
△6四金
▲2五銀
△2二銀
▲3六銀

6筋でもう一歩を手持ちにして金を中央に寄せるのが上手の狙い。5筋の歩を突き捨てることで、局面を少し複雑にしている。下手は一歩得を維持しようと角と飛車を前線に繰り出すが、これが上手の誘いと気づいているだろうか。


●第6図までの指し手
△6五歩
▲同 歩
△同 桂
▲6六銀
△1四歩
▲1六歩
△9二香
▲8八玉
△4二玉
▲3七桂
△3二玉


大駒は接近戦に弱く、頭の丸い角は特にその傾向が強い。5筋で下手の角が対峙しているのは上手の金将、機動力の差が出ている。△5七歩と△6五桂のコンビネーションで下手の角は遠くへ逃げられない。
上手はいつでも△7七歩と叩ける状況を作ったが、当初のハンディキャップは全く挽回できていないため、攻めずに下手に手を渡した。
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