駒師「日向」のブログ 本店

プレーヤー目線で作る
将棋駒作家のつぶやき

大内延介名局集

2021年02月24日 | 棋書
我が家に届いた大内延介名局集です。

あれ?



こっちじゃないの?

という方は、最近の棋書事情に明るい方。

オールドファンは、こっちなんです。

筑摩書房・現代将棋名局集、

初版は昭和55年です。

当時で1,800円もした本で、

図書館で何度貸出を受けたか分かりません。

いい時代ですね、絶版している本が簡単に手に入ります。

故・大内九段が穴熊戦法を武器に名人戦で活躍、

名人奪取まであと一歩だった、というのは有名な話ですが、

その当時私はまだ将棋を知らず、

この本を通じてそれを知りました。

棋譜を並べていたのは級位者のころでしたので、

今改めて並べると見えるものが全く違い、

それが何とも楽しいです。

7~8年前だったと思いますが、

ご存命だったころ、宮城で宴席をご一緒させて頂き、

翌朝持参した先生の著書に直筆のサインを頂いたことが良い思い出です。

棋具に対する造詣も深い方でした。。








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空蝉 Round 3 ~その1~

2021年02月22日 | 創作書体
英朋を一気に彫り上げ、

漆の乾燥を待っている間に、

新作の準備に入ります。

次はとあるお客様からオーダーを頂戴しました

空蝉(うつせみ・一字書)です。

以前オークションへ出した拙作をどこかで

ご覧になられたとのことで、

ご用命を頂戴致しました。

本当に有難い事です。

私の駒づくりのコンセプトはただ一つ、

将棋の好きな方が楽しめる駒を作ること。

この空蝉一字書も

「こんな駒あったら対局や棋譜並べが楽しいな」

という視点で創作しています。

普通、駒師は

「タイトル戦で使われるような駒」や

「歴史に残るような駒」づくりを目指すのですが、

そういうものにはまったく興味がないのでご免なさい。

木地は御蔵島黄楊の柾目、少々追い柾も入っていますが、

赤みが強い玄人好みの木地かと思います。

例によって源平に仕上げる予定です。











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英朋 Round 2 ~その9~

2021年02月20日 | 隷書(無剣・六清・三田玉枝・阪田好等)
英朋の龍王と龍馬です。

英朋の中で何が一番好きかと問われれば、

間違いなく龍馬と答えますね。

ここまで絵的な字母は他にないですね。

さらに私が気に入っているのは、

この馬が鳥の様に見えるところです。

「馬と鳥はもともと似た字だからじゃないの?」

と言われればそれまでなんですが、

私はこの書体の主である鰭崎英朋さんが、

それを意識して書かれたと思っているからです。

その理由は雅号英朋の「朋」の字です。

もともと朋は右側に鳥がついた「鵬」で、

これは「おおとり」と読みます。

私は禽将棋駒を作った際にこれに気づきました。

鰭崎英朋さんが自らの雅号に用いるぐらいですから、

鵬に対する何かしらの感情があったのだと思います。

鰭崎英朋さんのご本業は絵師ですので、

彼にしか書けない文字、とも言えそうです。

亡くなられて50年以上経過してもなお、

駒字として愛されるなんて素敵なことですねぇ。。






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英朋 Round 2 ~その8~

2021年02月18日 | 隷書(無剣・六清・三田玉枝・阪田好等)
英朋の王将です。

ようやく表面の彫りが終わりました。

皆さんは「玉捌き(ぎょくさばき)」という言葉を使われますか?

捌きは一般的には駒の交換をする時に使いますが、

王将を何かの駒と交換したら負けですので、

この場合の意味は「王将を巧みに扱った」の意味になります。

「手綱(たづな)さばき」とかと語用は同じかと。

私が将棋を指すとき常に意識しているのがこの玉捌きです。

はい、もちろん、勝敗とは全く関係なく、

そういう局面を探しています。

巧みに捌いたつもりが、、、即捕縛みたいなこともありますが、

快心の玉裁きができた時はそれだけで満足しちゃいます。

あっ、でも未来ある良い子たちは、決してマネしないで下さいね。





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英朋 Round 2 ~その7~

2021年02月16日 | 隷書(無剣・六清・三田玉枝・阪田好等)
英朋の飛車と角行です。

バランス型の将棋を指していますと、

確実に飛車交換の機会が減ります。

守護神ですから捌いたら即死です、当たり前ですけど。

従って攻めの主役は角行になりがち。

馬を作って相手の飛車をいじめたり、

自陣に戻して厚みでじわじわと押したりします。

大駒なのに、飛車角乱舞なんて言葉とは無縁の将棋で、

時々申し訳ない気持ちになりますなぁ。

と言いながら、飛車を1マス動かすだけ、

みたいな手が好きです。




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英朋 Round 2 ~その6~

2021年02月14日 | 隷書(無剣・六清・三田玉枝・阪田好等)
英朋の金将です。

王の守りは金銀3枚、

少し前まで金将は王将のそばに

2枚とも配置するのが基本でしたが、

最近は全然違いますね。

特に飛車に近いほうの金将は、

飛車の弱点を補うように配置することが多くなりました。

▲2九飛+▲4八金がその典型ですね。

金将は斜め下が弱く、飛車は斜め上が弱い、

それを相互に補う互恵の関係がいいみたいです。






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英朋 Round 2 ~その5~

2021年02月12日 | 隷書(無剣・六清・三田玉枝・阪田好等)
英朋の銀将です。

成りか?成らずか?

悩ましいことが多いです。

将棋を始めて10年くらいまで誤解していたのが、

この銀将の成りです。

私に将棋を教えてくれた人が、

「一度成る権利を得た銀将は、その後好きなタイミングで成ることを1回のみ選べる」

って教えてくれたので、ずっとそう誤解していました。

具体的に符号で言いますと、

「4三の銀将を▲5四銀不成とし、次に▲6五銀成ってできる。」

って誤解です。

幸いにもそういう局面が現れなかったので、

反則負けになることはありませんでしたが、

成る権利を既得権みたいに教えるとこういう誤解が生まれますね。

▲5八銀成!

なんてしなくて良かった。。

でも、あいつはまだ誤解したままかも知れんなぁ。
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英朋 Round 2 ~その4~

2021年02月09日 | 隷書(無剣・六清・三田玉枝・阪田好等)
英朋の桂馬です。

前回香車の価値が高く評価されることが増えた、

という話をしました。

駒の価値が局面によって変わるってことなんですが、

意味は分かっても私レベルの棋力では、

それを対局で認識し、勝利に結びつけることはできません。

分かると出来るは大違いですね。

羽生先生が若かりしころ、

何かのインタビューに対し、

「桂馬の使い方というか、桂馬が使える局面なんかをずっと考えています。」

という旨のお話をされていたのを思い出しました。

多分それは

「桂馬の価値が高くなる局面」にはいくつかのパターンがあり、

駒台に桂馬があったり、

今後桂馬の入手が見込まれる場合に、

そのパターンに持ち込むことをされていたんでしょうね。




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英朋 Round 2 ~その3~

2021年02月06日 | 隷書(無剣・六清・三田玉枝・阪田好等)
英朋の香車です。

最新の将棋理論によりますと、

香車の価値が見直されているそうです。

遠くから「利き」を通せる駒は、

飛車角とこの香車しかないんですね。

香車を最下段に設置した場合、

駒の利きの数は玉と同じ8マスもあります。

対抗形の時は相手の竜王にタダで拾われて、

横からの攻めが主なので活躍の場が少なく、

なんとなく日陰の存在でしたが、

相居飛車全盛になり、

俄然その活躍度が高まっているとのことです。

















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