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●《浴田由紀子さん…自分たちは暴力ではなく、考えを広めるために、平和的に仲間を増やすべきだった。そうすれば社会は変わるだろう》

2021年04月18日 00時00分33秒 | Weblog

[※ ↑ 映画『狼をさがして (【映画『狼をさがして』公式WP】、http://eaajaf.com/)]


(2021年04月06日[火])
根岸恵子氏による、レイバーネットの記事【自らの国の奢った姿がみえてくる〜ドキュメンタリー映画『狼をさがして』】(http://www.labornetjp.org/news/2021/0403eiga)。

 《『狼をさがして』を観た。この映画は70年代中頃、「連続企業爆破事件」を引き起こした 「東アジア反日武装戦線」の首謀者とそれを取り巻く人々を捉えたドキュメンタリー映画 である。監督のキム・ミレは、「土方(ノガタ)」(2005)や「外泊」(2009)といった韓国の 労働者の現状を描いたことで有名だ。韓国人の監督が日本の「東アジア反日武装戦線」に 関心を持ったのは、どうしてだろうか。キム監督が「東アジア反日武装戦線」を知ったのは、釜ヶ崎の野宿者からだった。野宿者の多くは戦後の高度成長期に日雇い労働者として搾取され、オイルショック以降の景気後退で社会的棄民となった。彼女はその事実から、日本国内で差別される人々に関心を持ち、強制労働で命を奪われた朝鮮人徴用工の虐殺現場を訪ね、そこがかつてアイヌ人々の土地であったことを知った。日本の植民地主義はアジアの人々や被差別者、貧困者を踏みつけて成り立っていることを、キム監督は問題意識として持ち続けた。(根岸恵子)》。

   『●《「冷酷非情の狼」という印象》…でも彼らがなぜ「その闘争」を
     やらなければならないと思ったのか?、には耳を傾ける必要がある

 《「冷酷非情の狼」という印象》…でも彼らがなぜ「その闘争」をやらなければならないと思ったのか?、には耳を傾ける必要がある。
 引用させていただいた記事のこの部分が印象に。《浴田由紀子さん…が裁判の最終陳述で語ったことは、心に沁みた。自分たちは暴力ではなく、考えを広めるために、平和的に仲間を増やすべきだったそうすれば社会は変わるだろうと。》

 《何もしないわれわれが、やったがゆえに死傷者を出してしまった彼らを、裁くことができるのか》(松下竜一さん)。松下竜一さん、本当にすごい人だ。『狼煙を見よ ―――東アジア反日武装戦線狼部隊』を、是非、読んでみてほしい。もう何十年も前、当時の『草の根通信』の読者にしても、そうだった。《…拒絶反応だと断じざるを得ない。/…私は暗然とする。信頼してきた『草の根通信』の読者にしてこうなのかと思う。/一度焼きつけられた「冷酷非情の狼」という印象は消えることなく、大道寺将司という名だけで、もう拒絶反応が起きてしまうことになる。知ろうとする心を閉ざして拒絶する壁をめぐらせてしまうことほど、危険なことはないのだが》。

   『●『佐高信の新・筆頭両断』読了(2/2)
   『●『死刑弁護人 ~生きるという権利~』読了(4/4)
   『●『創 (12月号)』読了 (2/2)
   『●『松下竜一未刊行著作集2/出会いの風』読了(4/9)
   『●『松下竜一未刊行著作集3/草の根のあかり』読了(2/2)
   『●『抵抗人名録 私が選んだ77人』読了(2/2)
   『●『冤罪File(2009年12月号)』読了(1/2)
   『●『日本の公安警察』読了(2/2)
   『●『東京番外地』読了
   『●『松下竜一未刊行著作集5/平和・反原発の方向』読了(後半)
   『●死刑囚・大道寺将司さんのこと
   『●「O・ストーン&P・カズニック 戦争と歴史を語る」
             『週刊金曜日』(9月6日、958号)
   『●《われわれは大きな不正を正すために何をしたというのか。
     何もしないからこそ、彼らのように重大な失敗を招くこともなかった》

 〝殺人〟、人を殺めることは絶対に否定されなければならない…でも彼らがなぜ「その闘争」をやらなければならないと思ったのか?、には耳を傾ける必要がある。

 『松下竜一未刊行著作集5/平和・反原発の方向』から、再々度、引用。
 「…拒絶反応だと断じざるを得ない。/…私は暗然とする。信頼してきた『草の根通信』の読者にしてこうなのかと思う。/一度焼きつけられた「冷酷非情の狼」という印象は消えることなく、大道寺将司という名だけで、もう拒絶反応が起きてしまうことになる。知ろうとする心を閉ざして拒絶する壁をめぐらせてしまうことほど、危険なことはないのだが」。
 「…つい感情を昂ぶらせてしまった。/「あなたは、なんでそんな第三者的な質問をするのか。死傷者を出したことで一番苦しんでいるのは、彼らではないか。われわれは大きな不正を正すために何をしたというのか。何もしないからこそ、彼らのように重大な失敗を招くこともなかった。何もしないわれわれが、やったがゆえに死傷者を出してしまった彼らを、裁くことができるのか」」。
 「そのことで彼らを無差別大量殺人者として糾弾することはたやすい。だが、時代の痛みにも気づかず、あるいは気づいても知らぬふりをしていた者が(行動しなかったがゆえに失敗しもしなかっただけのことで)、行動を起こしたがゆえに大きな失敗をしてしまったものを威丈高(いたけだか)に指弾できるだろうかという思いは、『狼煙を見よ』を書き進むにつれて私の中でつのっていった。なによりも、そのことで一番苦しみ抜いているのは獄中の〝狼〟たちなのだ。/荒井まり子は、企業爆破事件の実行犯ではない。謀議にすら関与してはいない」。

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http://www.labornetjp.org/news/2021/0403eiga

自らの国の奢った姿がみえてくる/ドキュメンタリー映画『狼をさがして』

自らの国の奢った姿がみえてくる〜ドキュメンタリー映画『狼をさがして』
根岸恵子

 『狼をさがして』を観た。この映画は70年代中頃、「連続企業爆破事件」を引き起こした 「東アジア反日武装戦線」の首謀者とそれを取り巻く人々を捉えたドキュメンタリー映画である。監督のキム・ミレは、『土方(ノガタ)』(2005)や『外泊』(2009)といった韓国の労働者の現状を描いたことで有名だ。韓国人の監督が日本の「東アジア反日武装戦線」に関心を持ったのは、どうしてだろうか。

 キム監督が「東アジア反日武装戦線」を知ったのは、釜ヶ崎の野宿者からだった。野宿者の多くは戦後の高度成長期に日雇い労働者として搾取され、オイルショック以降の景気後退で社会的棄民となった。彼女はその事実から、日本国内で差別される人々に関心を持ち、強制労働で命を奪われた朝鮮人徴用工の虐殺現場を訪ね、そこがかつてアイヌの人々の土地であったことを知った。日本の植民地主義はアジアの人々や被差別者、貧困者を踏みつけて成り立っていることを、キム監督は問題意識として持ち続けた。そして金儲けのために人々や他国を蔑ろにし、搾取の元凶である企業に対し爆破事件起こした「東アジア反日武装戦線」に焦点を当て、関係者へのインタビューを行ったのである。

 そこから見えてくるのは、関わった人たちの健全さだ。服役した支援者のある家族は、事件後、娘を通して多くの本当の友人を得たと語っていた。亡くなった父親の遺影には「秩父事件」の碑がある。また出所した浴田由紀子さん(写真右)が裁判の最終陳述で語ったことは、心に沁みた。自分たちは暴力ではなく、考えを広めるために、平和的に仲間を増やすべきだったそうすれば社会は変わるだろうと

 この映画を観て思ったことはいろいろあるが、多くの日本人は自らの国の奢った姿を知らないのではないかということだ。だからこそ日本人には観てほしい映画である。


・上映館 http://www.imageforum.co.jp/theatre/

・また、新宿のIRA (Irregular Rhythm Asylum) では11日まで「東アジア反日武装戦線関連資料展」をやっています。http://ira.tokyo/


Last modified on 2021-04-04 20:37:16
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●《「冷酷非情の狼」という印象》…でも彼らがなぜ「その闘争」をやらなければならないと思ったのか?、には耳を傾ける必要がある

2021年04月02日 00時00分29秒 | Weblog

[※ ↑ 映画『狼をさがして』 (【映画『狼をさがして』公式WP】、http://eaajaf.com/)]


(2021年03月28日[日])
『映画ログプラス』の記事【映画『狼をさがして』】(https://tokushu.eiga-log.com/movie/67016.html)。
太田昌国氏による、webronzaの記事【「東アジア反日武装戦線」の初心と過ち 韓国発の映画『狼をさがして』は何を描いているか/太田昌国】(https://webronza.asahi.com/culture/articles/2021032200001.html)。

 《東アジア反日武装戦線を追ったドキュメンタリー 1974年、日本を揺るがした20代の若者たち 映画『狼をさがして』》《連続企業爆破事件から45年――。なぜ彼らはテロを越したのか? …高度経済成長の只中、日本に影を落とす帝国主義の闇。彼らが抗していたものとは何だったのか? 彼らの言う「反日」とは? 未解決の戦後史がそこに立ち現れる》。
 《韓国発のドキュメンタリー映画『狼をさがして』が間もなく日本で公開される。金美禮(キム・ミレ)監督の2020年の作品で、原題は『東アジア反日武装戦線』という。映画が描くのは、1974年から75年にかけての出来事――「東アジア反日武装戦線」…を名乗る人びとが「連続企業爆破」を行ったこと――とその背景である》。


 【映画『狼をさがして』公式WP】(http://eaajaf.com/):
  《東アジア反日武装戦線――狼、大地の牙、さそり
      1974年、日本を揺るがした20代の若者たち》
  《連続企業爆破事件から45年――
      なぜ彼らはテロを起こしたのか?》


https://youtu.be/ASFN16iphcc


 予告編の中の一節:

-------------------------------
彼らは何を求めたのか。そして何を間違えたのか。
時代は終わっていない。そこにかつて統治された国からの視点が重なる。
事件から半世紀が過ぎかけているからこそ、
僕たちは解釈の多様さを取り戻さなくてはならない。
                     森達也 (映画監督・作家)
-------------------------------


 《何もしないわれわれが、やったがゆえに死傷者を出してしまった彼らを、裁くことができるのか》(松下竜一さん)。松下竜一さん、本当にすごい人だ。『狼煙を見よ ―――東アジア反日武装戦線狼部隊』を、是非、読んでみてほしい。もう何十年も前、当時の『草の根通信』の読者にしても、そうだった。《…拒絶反応だと断じざるを得ない。/…私は暗然とする。信頼してきた『草の根通信』の読者にしてこうなのかと思う。/一度焼きつけられた「冷酷非情の狼」という印象は消えることなく、大道寺将司という名だけで、もう拒絶反応が起きてしまうことになる。知ろうとする心を閉ざして拒絶する壁をめぐらせてしまうことほど、危険なことはないのだが》。

   『●『佐高信の新・筆頭両断』読了(2/2)
   『●『死刑弁護人 ~生きるという権利~』読了(4/4)
   『●『創 (12月号)』読了 (2/2)
   『●『松下竜一未刊行著作集2/出会いの風』読了(4/9)
   『●『松下竜一未刊行著作集3/草の根のあかり』読了(2/2)
   『●『抵抗人名録 私が選んだ77人』読了(2/2)
   『●『冤罪File(2009年12月号)』読了(1/2)
   『●『日本の公安警察』読了(2/2)
   『●『東京番外地』読了
   『●『松下竜一未刊行著作集5/平和・反原発の方向』読了(後半)
   『●死刑囚・大道寺将司さんのこと
   『●「O・ストーン&P・カズニック 戦争と歴史を語る」
             『週刊金曜日』(9月6日、958号)
   『●《われわれは大きな不正を正すために何をしたというのか。
     何もしないからこそ、彼らのように重大な失敗を招くこともなかった》

 〝殺人〟、人を殺めることは絶対に否定されなければならない…でも彼らがなぜ「その闘争」をやらなければならないと思ったのか?、には耳を傾ける必要がある。

 『松下竜一未刊行著作集5/平和・反原発の方向』から、再度、引用。
 「…拒絶反応だと断じざるを得ない。/…私は暗然とする。信頼してきた『草の根通信』の読者にしてこうなのかと思う。/一度焼きつけられた「冷酷非情の狼」という印象は消えることなく、大道寺将司という名だけで、もう拒絶反応が起きてしまうことになる。知ろうとする心を閉ざして拒絶する壁をめぐらせてしまうことほど、危険なことはないのだが」。
 「…つい感情を昂ぶらせてしまった。/「あなたは、なんでそんな第三者的な質問をするのか。死傷者を出したことで一番苦しんでいるのは、彼らではないか。われわれは大きな不正を正すために何をしたというのか。何もしないからこそ、彼らのように重大な失敗を招くこともなかった。何もしないわれわれが、やったがゆえに死傷者を出してしまった彼らを、裁くことができるのか」」。
 「そのことで彼らを無差別大量殺人者として糾弾することはたやすい。だが、時代の痛みにも気づかず、あるいは気づいても知らぬふりをしていた者が(行動しなかったがゆえに失敗しもしなかっただけのことで)、行動を起こしたがゆえに大きな失敗をしてしまったものを威丈高(いたけだか)に指弾できるだろうかという思いは、『狼煙を見よ』を書き進むにつれて私の中でつのっていった。なによりも、そのことで一番苦しみ抜いているのは獄中の〝狼〟たちなのだ。/荒井まり子は、企業爆破事件の実行犯ではない。謀議にすら関与してはいない」。

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https://tokushu.eiga-log.com/movie/67016.html

映画ログプラス
映画の魅力、再発見。


映画『狼をさがして』
2021/3/24

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  東アジア反日武装戦線を追ったドキュメンタリー
   1974年、日本を揺るがした20代の若者たち
        映画『狼をさがして』
――――――――――――――――――――――――――――

本作は昨年韓国で上映され、韓国映画評論家協会の独立映画支援賞や釜山映画評論家協会の審査委員特別賞を受賞するなど、韓国国内で高く評価された作品。

連続企業爆破事件から45年――。なぜ彼らはテロを越したのか?

2000年代初頭、釜ヶ崎で日雇い労働者を撮影していた韓国のキム・ミレ監督が、一人の労働者から東アジア反日武装戦線の存在を知り、彼らの思想を辿るドキュメントを撮り始めた。出所したメンバーやその家族、彼らの支援者の証言を追うなかで、彼らの思想の根源が紐解かれていく。高度経済成長の只中、日本に影を落とす帝国主義の闇。彼らが抗していたものとは何だったのか? 彼らの言う「反日」とは? 未解決の戦後史がそこに立ち現れる。


あらすじ・ストーリー

1974年8月30日、東京・丸の内の三菱重工本社ビルで時限爆弾が爆発した。8名の死者と約380名の負傷者が出たこの事件は日本社会を震撼させた。事件から1ヶ月後、犯人から声明文が出される。「東アジア反日武装戦線“狼”」と名乗るその組織は、この爆破を「日帝の侵略企業・植民者に対する攻撃である」と宣言。その後、別働隊「大地の牙」と「さそり」が現れ、翌年5月までの間に旧財閥系企業や大手ゼネコンを標的とした“連続企業爆破事件”が続いた。

1975年5月19日、世間を騒がせた“東アジア反日武装戦線”一斉逮捕のニュースが大々的に報じられた。人々を何よりも驚かせたのは、彼らの素顔が、会社員としてごく普通に市民生活を送る20代半ばの若者たちだったという事実であった。凄惨な爆破事件ばかりが人々の記憶に残る一方で、実際に彼らが何を考え、何を変えようとしたのかは知られていない。


公式HP
eaajaf.com / Twitter


キャスト
太田昌国
大道寺ちはる
池田浩士
荒井まり子
荒井智子
浴田由紀子
内田雅敏
宇賀神寿一
友野重雄
実方藤男
中野英幸
藤田卓也
平野良子ほか


映画『狼をさがして』作品情報
監督・プロデューサー:キム・ミレ
企画:藤井たけし、キム・ミレ
撮影:パク・ホンヨル
編集:イ・ウンス
音楽:パク・ヒョンユ
配給・宣伝:太秦
2020年/DCP/モノクロ・カラー/74分/韓国
©Gaam Pictures


2021年3月27日(金)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

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https://webronza.asahi.com/culture/articles/2021032200001.html

「東アジア反日武装戦線」の初心と過ち
韓国発の映画『狼をさがして』は何を描いているか
太田昌国
 評論家・編集者
2021年03月26日
キム・ミレ|東アジア反日武装戦線|狼をさがして

 韓国発のドキュメンタリー映画『狼をさがして』が間もなく日本で公開される。金美禮(キム・ミレ)監督の2020年の作品で、原題は『東アジア反日武装戦線』という。映画が描くのは、1974年から75年にかけての出来事――「東アジア反日武装戦線」(以後、「反日」と略す)を名乗る人びとが「連続企業爆破」を行ったこと――とその背景である。


■歴史像と世界像が一新されてゆく時代のただ中で

(三菱重工本社ビル前で、散乱した窓ガラスを踏みしめて負傷者を搬送する東京消防庁の消防職員と救急隊員。この爆発で同社の社員や通行人ら8人が死亡、380人が重軽傷を負った=1974年8月30日、東京都千代田区丸の内)

 描かれる時代は、アジア太平洋戦争で日本帝国が敗戦してから30年近く経った時期に当たる。活動を担ったのは、敗戦から3~5年経った頃に生を享けた、当時は20代半ばの若者たちだった。いわゆる「団塊の世代」に属する。その彼ら/かの女らは、敗戦以前に日本がなした植民地支配および侵略戦争の責任を問うた。同時に、戦後過程はすでに30年近い長さに及んでいるにもかかわらず、日本がその過去を清算することもないままに、改めて他民族に対する加害国と化している現実に警告を発した。手段として使ったのは爆弾だった。

 その標的はまず、戦前は絶対無謬の存在として日本帝国を率い、戦後は「平和」の象徴となった昭和天皇に向けられた。だが、「お召列車」の爆破計画が実現できなくなった後は、戦前・戦後を貫いて繁栄する大企業に的を絞った。

 戦後日本を象徴する言葉は、長いこと、「平和と民主主義」だった。それは新憲法を貫く精神でもあると多くの人びとが考えていた。

 天皇の戦争責任が問われることも裁かれることもなく始まった戦後は、「一億総無責任体制」となった。この体制の下では、日清戦争以降、断続的にではあっても半世紀もの間(1894年→1945年)アジア太平洋地域で戦争を続けた近代日本の実像を覆い隠し、この戦争の全体像を、最後のわずか3年半の「日米戦争」に凝縮して象徴させることが可能だった。広島・長崎の「悲劇」を前面に押し出し、米軍占領下の沖縄は辺境ゆえに無視して、日本全体があたかも戦争の「被害国」であるかのようにふるまった「反戦・平和勢力」の大勢も、そのことに疑いを持たなかった

 1960年の安保闘争の時にも、1965年の日韓条約反対闘争の時にも、戦前の日本帝国がなした対外政策と関連づけて現在を分析する言動はほとんど見当たらなかった。すなわち、日本社会は総体として、近代日本が持つ「植民地帝国」としての過去をすっぽり忘れ果てていたと言える。

 1960年代後半、この社会・思想状況はゆっくりとではあっても変化し始める。日本は、高度経済成長の過程で目に見える形での貧困は消え失せ、急速に豊かになった。この経済成長の最初の基盤となったのは、1950~53年の朝鮮戦争による「特需景気」だとする捉え方が常識となりつつあった。


(拡大映画『狼をさがして』は3月27日から全国で順次公開予定 ©Gaam Pictures)


 時代はあたかも米国のベトナム侵略戦争の渦中で、沖縄を軸に多数の米軍基地があり、インドシナ半島に輸送される米軍物資の調達地でもある日本は、再度の「特需景気」に沸いていた。近くに住むアジアの民衆が苦しんでいる戦争によって自分たちの国が総体として豊かになっていく――この際立った対照性が、とりわけ若い人びとの胸に突き刺さるようになった。

 加えて、米国でのベトナム反戦運動は、黒人や先住民族(インディアン)の権利回復の動きと連動していた。植民地主義支配が人類史に残した禍根――それが世界じゅうで噴出する民族問題の原因だとする意識が、高まっていった。

 「東アジア反日武装戦線」に所属した若い人びとは、それまでの歴史像と世界像が一新されゆくこのような時代のただ中にいた。彼ら/かの女らは、日本の近代史と現在が孕む問題群に、「民族・植民地問題」の観点から気づいたという意味では先駆的な人びとだった。


■「重大な過ち」の根拠を探り続けた歩み

 「反日」はこうして獲得した新たな認識を、すぐ実践に移そうとした。当時刊行された「反日」の冊子『腹腹時計』から鮮明に読み取れるのは、次の立場だ。「そこにある悪を撃て! 悪に加担している自らの加害性を撃て! やるかやらないか、それだけが問題だ」。政治性も展望も欠いた、自他に対する倫理的な突き付けが、行動の指針だった。「反日」が行った、1974年8月30日、東京・丸の内の三菱重工ビル爆破は、8名の死者と385名の重軽傷者を生み出す惨事となった。

 「反日」にはひとを殺傷する意図はなかった。事前に電話をかけて、直ちに現場を離れるよう警告した。だがそれは間に合わなかった。しかも、なぜか「反日」は三菱爆破の結果を正当化し、死者は「無関係な一般市民」ではなく「植民地人民の血で肥え太る植民者だ」と断言した声明文を公表した。映画の前半部で、この声明文がナレーションで流れる。

 多くの人びとはそこで「引く」だろう。半世紀前の当時もそうだった。それゆえに、彼ら/かの女らは、日本では「テロリスト」や「血も涙もない爆弾魔」の一言で片づけられてきた。

 その責任の一端が、「反日」そのものの言動にあったことは否定し得ないだろう。だが、実はそこにどのような内面の思いが秘められていたのかということは、路傍の小石のように無視されてきた。そんな渦中にあって、獄中の彼ら/彼女らは初心を語ると同時に、自らが犯してしまった重大な過ちの根拠を探り続けた。獄外には、その試行錯誤を〈批判的に〉支え続ける多様な人びとの存在があった。映画『狼をさがして』は、これらの獄中・獄外の人びとの歩みを74分間の時間幅の中に刻みつけている。


(太田さんが登場する映画『狼をさがして』の一場面 ©Gaam Pictures)



■過去を振り返ることをしない社会は、前へ進むことができない

 画面には登場しない「主人公」のひとりは、「反日」狼部隊の大道寺将司である。彼は2017年5月、長らく患っていた多発性骨髄腫で獄死したが、死刑が確定してのち、彼はふとした契機で俳句に親しむようになった。生前4冊の句集にまとめられたその作品は、人間関係も自然とのふれあいも極端に狭められた3畳間ほどの独房にあっても、人間はどれほどの想像力をもって、ひとが生きる広大な世界を、時間的にも空間的にも謳うことができるものかを証していて、胸を打つ。それは、ひとを殺めたという「加害の記憶と悔悟」を謳う句において、とりわけ際立つ。

 映画でも紹介される「危めたる吾が背に掛かる痛みかな」もそうだが、他にも「死者たちに如何にして詫ぶ赤とんぼ」「春雷に死者たちの声重なれり」「死は罪の償ひなるや金亀子」「ゆく秋の死者に請はれぬ許しかな」「いなびかりせんなき悔いのまた溢る」「加害せる吾花冷えのなかにあり」「秋風の立ち悔恨の溢れけり」などの秀句がある。

 「反日」のメンバーの初心と、結果としての重大な過ちを冷静に振り返るこの映画を制作したのは、韓国の映画監督キム・ミレとその協力者たちである。ふとした機会に「反日」の思想と行動を知ったキム・ミレ監督がこの映画を制作したのは、「人間に対する愛情、その人間を信じること」からだったという(「『狼をさがして』――金美禮監督に訊く」、東アジア反日武装戦線に対する死刑・重刑攻撃とたたかう支援連絡会議=編『支援連ニュース』420号、2021年3月6日)。社会的正義のために、加害国=日本に搾取され殺された東アジア民衆の恨みと怒りを胸に行動した結果、数多くの人びとを死傷させてしまった、つまり自らが加害者になったという事実に向き合ってきた「反日」メンバーに対する思いを、かの女はそう語る。

 だが、その裏面には、次の思いもある。彼らは「長い期間にわたって、自らのために犠牲になった人々の死に向き合って生きねばなりませんでした。苦痛だったかもしれませんが、幸いにも『加害事実』に向き合う時間を持つことができたのです。8名の死と負傷者たち。それがこの作品の制作過程の間じゅう私の背にのしかかってきました。しかし、彼らと出会うことができて本当に良かったと思います。この作品は、私に多くのことを質問するようにしてくれたからです。どう生きれば良いのか、今も考えています。」(キム・ミレ「プロダクション・ノ-ト」、『狼をさがして』劇場用パンフレット所収)。

 74~75年当時の「東アジア反日武装戦線」のメンバーからすれば、韓国の人びととの共同作業は「見果てぬ夢」だった。日本の自分たちが戦後の「平和と民主主義」を謳歌している彼方で、韓国および北の共和国の人びとは、日本の植民地支配を一因とする南北分断と内戦、その後の独裁政権の下で呻吟していたからだ。

 そんな時代が40年近く続いた後で、少なくとも韓国では大きな体制変革が起こった。表現と言論の自由を獲得した韓国の新世代のなかから、こんな映画をつくる人びとが現われた。キム・ミレ監督は、この映画が日韓関係の構図の中で見られたり語られたりすることを望まないと語る。過去を振り返ることをしない社会は、前へ進むことができない。日本も韓国も、どの国でも同じことだ、と(前出『支援連ニュース』および2021年3月18日付「東京新聞」)。


■脈打つフェミニズムの視線

 最後に、もうひとつ、肝心なことに触れたい。この映画を際立たせているのは、女性の存在だと思われる。

 刑期を終えたふたりの女性が、生き生きとしたその素顔を見せながら、獄の外から窓辺に寄ってきた猫との交友を楽し気に回想したり、かつて自分たちの闘争に大きく欠けていたものを率直に語ったりする。前者の年老いて元気な母親は、娘が獄に囚われてから、娘と自分たちを気遣う若い友だちがたくさんできたと笑顔で語る。二人は自宅の庭を眺めながら、「アリラン」を歌ったりもする。


(映画『狼をさがして』 ©Gaam Pictures)


 キム・ミレ監督らが撮影する現場に付き添う姿が随所に見える女性も、長年「反日」の救援活動を担ってきた。撮影すべき風景、会うべきひとについて、的確な助言がなされただろう。

 死刑囚の獄中書簡集を読んで、あんな事件を引き起こしたひとが自分と変わらぬ、どこにでもいるふつうの青年だと知って、縁組をして義妹となったひとの語り口もごく自然だ。女たちの運動を経てきたと語るかの女の言葉を聞いていると、獄中の死刑囚である義兄とは、媚びへつらいのない、上下の関係でもない、水平的なものだったろうと想像できる。

 そして、もちろん、韓国人のキム・ミレ監督も女性だ。弱い立場にある労働者の現実を描いてきたかの女は、男性の姿ばかりが目立ち、男性優位の価値観が貫いている韓国労働運動の在り方に疑問を持ち、スーパーで働く非正規の女性労働者が大量解雇に抗議してストライキでたたかう姿を『外泊』(2009年)で描いた。日本でも自主上映されたこの作品に脈打っていたフェミニズムの視線が、『狼をさがして』でも息づいていることを、観る私たちは感じ取るだろう。


(キム・ミレ監督 ©Gaam Pictures)
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●《われわれは大きな不正を正すために何をしたというのか。何もしないからこそ、彼らのように重大な失敗を招くこともなかった》

2019年10月13日 00時00分44秒 | Weblog


レイバーネットの【太田昌国のコラム : 千葉県の被災と、千葉産ユリを詠う一死刑囚の句】(http://www.labornetjp.org/news/2019/1010ota)。

 《1974~75年に、いわゆる連続企業爆破事件を起こした東アジア反日武装戦線“狼”のメンバーで、それゆえ確定死刑囚であった大道寺将司君…は、去る2017年5月24日、多発性骨髄腫のため東京拘置所で亡くなった。享年68。…私が利用していた購買店では、注文を受けてから業者に手配する。お店で現物を見ることはできない。聞くと、千葉から来る花という。だから、千葉県の花農家のユリが全滅したと聞く私の思いは、二重に哀しいのだ。俳人・大道寺君がユリを詠んだ句を句集『棺一基』(太田出版、2012年)…》。

 大道寺将司さんが亡くなっていたこと、初めて知った…。迂闊にも、2年以上も前にお亡くなりになっていた。

   『●『佐高信の新・筆頭両断』読了(2/2)
   『●『死刑弁護人 ~生きるという権利~』読了(4/4)
   『●『創 (12月号)』読了 (2/2)
   『●『松下竜一未刊行著作集2/出会いの風』読了(4/9)
   『●『松下竜一未刊行著作集3/草の根のあかり』読了(2/2)
   『●『抵抗人名録 私が選んだ77人』読了(2/2)
   『●『冤罪File(2009年12月号)』読了(1/2)
   『●『日本の公安警察』読了(2/2)
   『●『東京番外地』読了
   『●『松下竜一未刊行著作集5/平和・反原発の方向』読了(後半)
   『●死刑囚・大道寺将司さんのこと
   『●「O・ストーン&P・カズニック 戦争と歴史を語る」
             『週刊金曜日』(9月6日、958号)

 〝殺人〟は絶対に否定されなければならない…でも彼らがなぜ「その闘争」をやらなければならないと思ったのか、には耳を傾ける必要がある。『狼煙を見よ ―――東アジア反日武装戦線狼部隊』。

 『松下竜一未刊行著作集5/平和・反原発の方向』から、再度、引用。
 「…拒絶反応だと断じざるを得ない。/…私は暗然とする。信頼してきた『草の根通信』の読者にしてこうなのかと思う。/一度焼きつけられた「冷酷非情の狼」という印象は消えることなく、大道寺将司という名だけで、もう拒絶反応が起きてしまうことになる。知ろうとする心を閉ざして拒絶する壁をめぐらせてしまうことほど、危険なことはないのだが」(p.160)。
 「…つい感情を昂ぶらせてしまった。/「あなたは、なんでそんな第三者的な質問をするのか。死傷者を出したことで一番苦しんでいるのは、彼らではないか。われわれは大きな不正を正すために何をしたというのか。何もしないからこそ、彼らのように重大な失敗を招くこともなかった。何もしないわれわれが、やったがゆえに死傷者を出してしまった彼らを、裁くことができるのか」」(p.162)。
 「そのことで彼らを無差別大量殺人者として糾弾することはたやすい。だが、時代の痛みにも気づかず、あるいは気づいても知らぬふりをしていた者が(行動しなかったがゆえに失敗しもしなかっただけのことで)、行動を起こしたがゆえに大きな失敗をしてしまったものを威丈高(いたけだか)に指弾できるだろうかという思いは、『狼煙を見よ』を書き進むにつれて私の中でつのっていった。なによりも、そのことで一番苦しみ抜いているのは獄中の〝狼〟たちなのだ。/荒井まり子は、企業爆破事件の実行犯ではない。謀議にすら関与してはいない」

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http://www.labornetjp.org/news/2019/1010ota

太田昌国のコラム : 千葉県の被災と、千葉産ユリを詠う一死刑囚の句

●第36回 2019年10月10日(毎月10日)
千葉県の被災と、千葉産ユリを詠う一死刑囚の句

 ここ数年か、天気予報のあり方が変わった。暴風雨がもたらす可能性のある被害をかなり大仰な表現で言う。でもこれは、台風の進路が変わったり急速に衰えたりして、被害が少なかった時に事後的に思う感想でしかないのだろう。事実、9月の台風15号接近を伝える予報の中には、「今までに経験したことのない暴風雨」という表現をまともに受け止めなければ、と思わせる切迫感があった。そして、その通りになった、伊豆諸島と千葉県と横浜市の一部では

 政府の初期対応の「欠如」は、この危機感を持たなかったがゆえだろう。首相や官房長官が、いかに弁解に努めようとも、当時の「首相動静」や対応の仕方(=組閣強行)を見れば、一目瞭然なのだ。とんでもなく無責任な内閣の隠しようもない姿が

 こんな連中が、もう7年間も私たちの社会を支配していることに気づく機会にしたいものだ。遅きに過ぎるとはいえ。

 10月9日付け東京新聞(写真)の一面に、鋸南町の花農家が受けた台風被害についての記事が載っていた。今回の台風での、千葉県全県でのビニールハウスの被害総額は200億円ということだが、この記事で取材された農家でも、ハウス10棟が倒壊し、出荷まじかだったユリ5万株がなぎ倒され、茎が折れたという。ユリで得られるはずだった1000万円の収入が絶たれたうえに、仕入れ済みの球根代などで1000万円の負債が残ったというから、気の毒この上ない。胸が塞がるようなニュースだが、「ユリ」と聞いて、私にはもうひとつの思いも生まれる。

 1974~75年に、いわゆる連続企業爆破事件を起こした東アジア反日武装戦線“狼”のメンバーで、それゆえ確定死刑囚であった大道寺将司君(写真)は、去る2017年5月24日、多発性骨髄腫のため東京拘置所で亡くなった。享年68。私は「救援」の立場から、最低月1回の面会を続けていた。面会にも文通にも差し入れにもさまざまな制限があるのだが、花の差し入れも例外ではない。タンポポやオオイヌノフグリ、つゆ草のような、野で摘んだ可憐な花を差し入れることはできない。拘置所の中と外にある特定の購買店で売っているものでないと、許可されないのだ。いくつかの花の差し入れを試みてのち、彼はいつもユリを指定するようになった。ほかの花に比べて長持ちすること、開花した花の強烈な匂いに惹かれたのだろう。無色・無臭の場に幽閉されたひとの気持ちとして、それはそうだろう。

 私が利用していた購買店では、注文を受けてから業者に手配する。お店で現物を見ることはできない。聞くと、千葉から来る花という。だから、千葉県の花農家のユリが全滅したと聞く私の思いは、二重に哀しいのだ。俳人・大道寺君がユリを詠んだ句を句集『棺一基』(太田出版、2012年)から拾ってみる。

  鈍色(にぶいろ)の空傾きて百合開く
  ゆくりかに開きそめたる鹿子百合
  百合の香や記憶の襞のそそめけり
  百合の香やかはたれ星の消えしより  *かはたれ星=明けの明星
  手も触れで崩れ落つるや闌(た)けし百合

 百合が花開くこと、強烈な香りを放つこと――をいかに楽しみにしていたかがうかがわれる。だから、盛りを過ぎた花が、手も触れていないのに落花するのが口惜しいのだ。

 大道寺君が好んだユリを栽培していた千葉の花農家の、今回の苦境を知ったら、彼はどんな句を詠んだろう。「3・11」のあとで、彼はこんな句をつくった。

  数知らぬ人呑み込みし春の海
  流されてまた流さるる彼岸かな
  風評といふ差別負ふ胡瓜食ふ
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●歴史学者らの公開質問状に、「侵略の定義は国際的にも定まっていない」というアベ様はどう応えるのか?

2016年12月30日 00時00分32秒 | Weblog


日刊ゲンダイの記事【真珠湾訪問に公開質問状 安倍首相が試される不戦の本気度】(http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/196586)。
東京新聞の記事【日米学者から首相への質問状全文 アジアで慰霊の予定は?】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201612/CK2016122702000131.html)。

 《真珠湾を慰霊するなら、中国や朝鮮半島、アジア諸国の戦争犠牲者も慰霊する必要があるのではないか――とした上で、国会で「侵略の定義は定まっていない」と答弁している安倍首相の歴史認識も…「無定見外交」が招いたツケ》。
 《実際のところ、その日に日本が攻撃した場所は真珠湾だけではありませんでした。その約一時間前には日本陸軍はマレー半島の北東沿岸を攻撃、同日にはアジア太平洋地域の他の幾つかの英米の植民地や基地を攻撃しています。日本は、中国に対する侵略戦争を続行するために不可欠な石油や他の資源を東南アジアに求めてこれらの攻撃を開始したのです》。


   『「沖縄戦20万余の犠牲者、焼き場に立つ長崎の少年」や
              アジアでの慰霊につなげる意思が感じられない
    「《「対馬丸事件」…。沖縄で事件を後世に伝える生存者たちは
     「今も続く沖縄の苦しみは『真珠湾』が原点。首相には、
     そこまで思いを至らせてほしい」と願っている》…でも、残念ながら
     アベ様には、《そこまで思いを至らせ》る、なんて無理というもの…」
    《▼その時代に戻ることはないと信じているが、「嫌中・嫌韓」が
     声高に語られる風潮には危うさを感じる。それを政治家が
     あおっているのだから尋常ではない▼閣僚の靖国参拝に対する
     中韓両国の抗議を安倍晋三首相は
     「わが閣僚はどんな脅かしにも屈しない」と突っぱね、
     「侵略の定義は国際的にも定まっていない」と過去の侵略戦争や
     植民地支配を正当化するような発言を重ねた。経済優先の
     「安全運転」に徹してきた首相の「地金がむき出しになってきた》

 橋下徹元大阪「ト」知事も含めトンデモの「ト」な人たちの脳内妄想…《侵略の定義は国際的にも定まっていない》。歴史修正主義者・アベ様の今後の「慰霊」に期待できる?…訳がないですね。《日本に被害を受けた国々にどのような合図として映るのか、考えてみてください》…すいません、それも無理というものです。

 それにしても、なぜこの時期なのか?、や、「現職首相として初めての訪問…歴史的に大きな意義」「2番目の…」、いや「3番目の…」、どころか「4番目の」といったゴタゴタ?、演出?、噓?、騙し?、も含めて、相変わらずのアベ様。さらに、メシ友の記者が無批判に垂れ流す宣伝…情けない。そして、今後、中国や韓国・北朝鮮といったアジア諸国と一体どうやって付き合っていくつもりなのか、大変に不安。《日米などの歴史学者ら50人以上が公開質問状》にどう答えるつもり?、どのように応えるつもりなのだろう。まさか無視?? いずれにしろ、こんな質問書を送りつけられるなんて、一国の王様として相当に「」。

   『●「外交音痴、政治音痴、もう政治家とは呼べない領域」な
            失言王・萩生田光一氏…成果無しなアベ様外交

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http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/196586

真珠湾訪問に公開質問状 安倍首相が試される不戦の本気度
2016年12月26日

     (何を言うのか(ハワイのアリゾナ記念館)/(C)AP)

 やはり、こういう展開になった。26日、ハワイ・真珠湾訪問に出発する安倍首相に対し、日米などの歴史学者ら50人以上が公開質問状を発表した。真珠湾を慰霊するなら、中国や朝鮮半島、アジア諸国の戦争犠牲者も慰霊する必要があるのではないか――とした上で、国会で「侵略の定義は定まっていない」と答弁している安倍首相の歴史認識も問う内容だ。

 質問状に名を連ねているのは映画監督オリバー・ストーンや、核廃絶に取り組むアメリカン大のカズニック教授、現代史研究で知られる関東学院大の林博史教授ら。安倍政権に対して歴史認識を質す文書が出るのは、昨年5月に欧米や日本の著名な歴史学者ら187人の声明が出て以来、2度目だ。

 何せ、太平洋戦争を「自存自衛のための解放戦争だった」と正当化している保守層を支持基盤に持ち、かつ、東京裁判にも否定的な見方を示している安倍首相が、“象徴的”な場所ともいえる真珠湾を慰霊訪問するのだ。安倍首相が先の大戦に対して日本の首相として本気で哀悼の意を表するというのであれば同じように旧日本軍が中国やアジアで繰り広げた侵略戦争で亡くなった犠牲者を慰霊するのは当然――と考えるのもムリはない。公開質問状は、そんな安倍首相の“本気度”を試していると言ってもいい。

 となれば、ガ然、注目されるのは、現地時間の27日午後(日本時間28日午前)にオバマ大統領と一緒にアリゾナ記念館を訪れる安倍首相の口から、どんな言葉が飛び出すかだ。

   「謝罪すれば、保守層から総スカンを食らうし、上っ面だけの曖昧な
    言葉でお茶を濁せば、イエス・ノーがハッキリしている米国民は
    『わざわざ何を言いに来たのか』と反発する。恐らく最近、
    多用している『未来志向』という言葉を使い、『日米同盟の強化』や
    『不戦の誓い』を表明するつもりだと思います」(外交ジャーナリスト)

 内容次第では、安倍首相がナ~ンも考えていなかったことがバレバレになるのは間違いない。他方、何を言おうが、今後、中国が「真珠湾に行ったのであれば、北京の抗日戦争記念館にも来るべきだ」と、今以上に態度を硬化させるだろう。すべて「無定見外交」が招いたツケだ。

   「全く意味のない、中身のない真珠湾訪問になるでしょう」
    (元外交官の天木直人氏)

 日ロ首脳会談に続く「失敗外交」になりそうだ。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201612/CK2016122702000131.html

日米学者から首相への質問状全文 アジアで慰霊の予定は?
2016年12月27日 朝刊

 日米などの歴史学者らが発表した、真珠湾訪問にあたっての安倍首相への公開質問状は以下の通り。


親愛なる安倍首相、

 安倍首相は先日、一九四一年十二月八日(日本時間)に日本海軍が米国の海軍基地を攻撃した際の「犠牲者を慰霊する」目的で、十二月末にハワイの真珠湾を訪問する計画を発表しました。

 実際のところ、その日に日本が攻撃した場所は真珠湾だけではありませんでした。その約一時間前には日本陸軍はマレー半島の北東沿岸を攻撃、同日にはアジア太平洋地域の他の幾つかの英米の植民地や基地を攻撃しています。日本は、中国に対する侵略戦争を続行するために不可欠な石油や他の資源を東南アジアに求めてこれらの攻撃を開始したのです。

 米日の開戦の場所をあなたが公式に訪問するのが初めてであることからも、私たちは以下の質問をしたく思います。

(一)あなたは、一九九四年末に、日本の侵略戦争を反省する国会決議に対抗する目的で結成された終戦五十周年議員連盟の事務局長代理を務めていました。その結成趣意書には、日本の二百万余の戦没者が「日本の自存自衛とアジアの平和」のために命をささげたとあります。この連盟の一九九五年四月十三日の運動方針では、終戦五十周年を記念する国会決議に謝罪や不戦の誓いを入れることを拒否しています。一九九五年六月八日の声明では、与党の決議案が「侵略的行為」や「植民地支配」を認めていることから賛成できないと表明しています。安倍首相、あなたは今でもこの戦争についてこのような認識をお持ちですか

(二)二〇一三年四月二十三日の国会答弁では、首相として「侵略の定義は学界的にも国際的にも定まっていない」と答弁しています。ということは、あなたは、連合国およびアジア太平洋諸国に対する戦争と、すでに続行していた対中戦争を侵略戦争とは認めないということでしょうか

(三)あなたは、真珠湾攻撃で亡くなった約二千四百人の米国人の「慰霊」のために訪問するということです。それなら、中国や、朝鮮半島、他のアジア太平洋諸国、他の連合国における数千万にも上る戦争被害者の「慰霊」にも行く予定はありますか

 首相としてあなたは、憲法九条を再解釈あるいは改定して自衛隊に海外のどこでも戦争ができるようにすることを推進してきました。これがアジア太平洋戦争において日本に被害を受けた国々にどのような合図として映るのか、考えてみてください。
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●「O・ストーン&P・カズニック 戦争と歴史を語る」 『週刊金曜日』(9月6日、958号)

2013年09月10日 00時00分55秒 | Weblog


週刊金曜日』(2013年9月6日、958号)について、最近のつぶやきから、AS@ActSludge。

 今週のブログ主のお薦めは、明石昇二郎さん【汚染水漏れ東電の責任を問う 公害罪容疑で告発】と横田一さん【放射能汚染水漏れ対策より五輪招致を優先? 後手の対応で、リスク管理能力の欠如を国際社会に印象付けた安倍政権】。

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■『週刊金曜日』(2013年9月6日、958号) / 「オリバー・ストーン&ピーター・カズニック 戦争と歴史を語る」「社会保障は自己責任論 特集超高齢化社会の恐怖」。雨の中到着。桐島瞬氏【東京オリンピックの候補会場で測定 放射線量の高い競技場が複数】。原発回帰(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/331069cb868332f14faa2fcd56f3f917

■『週刊金曜日』(2013年9月6日、958号) / 片岡伸行氏【全国の税理士一三八人がアピール 消費税増税は中止を!】。斎藤貴男さん『消費税のカラクリ』(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/d435ba4950c1d381994c047fc001d0d9)を読めば読むほど消費税増税なんて絶対にダメ!

■『週刊金曜日』(2013年9月6日、958号) / 渡辺仁氏【東京高裁「」値下げ禁止圧力は違法 セブン-イレブンに賠償命令】、「原告オーナー四人に損害賠償金「一一四〇万円」を支払うよう命ずる判決」。古川琢也さんら『セブン-イレブンの正体』(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/7e309ae417490bc5365050e446161ce6

■『週刊金曜日』(2013年9月6日、958号) / 明石昇二郎さん【汚染水漏れ東電の責任を問う 公害罪容疑で告発】。「汚染水モニタリングを怠ったばかりか、参院選が終わるまで、海洋への流出を隠ぺい」も(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/de8a67c4ba9616f27397e4de52a2a5b8

■『週刊金曜日』(2013年9月6日、958号) / 片岡伸行さん【黒塗りの手紙とファシズムの今 辺見庸さんが講演】、「確定死刑囚の大道寺将司さんから届いた手紙に「初めて黒い塗りつぶしがあった」ことを明かし」た。大道寺さん(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/35b4a5e3100d5fe0b0005ac7fcbf5f59

■『週刊金曜日』(2013年9月6日、958号) / 横田一さん【放射能汚染水漏れ対策より五輪招致を優先? 後手の対応で、リスク管理能力の欠如を国際社会に印象付けた安倍政権】、「東電が工事費を出し渋り」「国会審議を先送り」。要は「ケチ」った訳だ(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/e149f5cdde7b7362657ff5f22eb98e29

■『週刊金曜日』(2013年9月6日、958号) / 【大藤理子の政治時評耐用年数5年のその場しのぎ 5年後のことは不明。つまり日本社会自体が「フランジ型」】。ネズミ・タコ・イタチ(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/2a91ca570da7cc1fe3d1de9bcc6997c5)につづいて、米メディアから「モグラ」叩きとも

■『週刊金曜日』(2013年9月6日、958号) / 浅野健一さん【「逮捕時の実名」問う初の裁判 冤罪・名古屋「契約偽造」】、「・・氏によると、県警中署の・・警部補は「お前の悪行情報を得るために新聞発表したんだ。悪事の報告が毎日寄せられているぞ」と取調室で恫喝し、再逮捕を匂わせたという」

■『週刊金曜日』(2013年9月6日、958号) / 岩本太郎氏【ネットで本音漏らし 「しばき隊」の戦術で原発推進デモが失敗】、「本欄で事前告知を「してあげた」・・「原発推進デモ」だが、実質的にこれは壮絶な失敗に終わった・・個人攻撃が本音なのを主催者側がネット上で漏らして・・批判が続出」
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●書籍紹介『20人の識者がみた 「小沢事件」 の真実 捜査権力とメディアの共犯関係を問う』

2013年08月30日 00時00分51秒 | Weblog


長々と全文引用させてもらっており、すいません。原文は、NPJ(http://www.news-pj.net/index.html)に出ていた記事【「小沢事件」 の真実権力の暴走とメディアの加担による民主主義の破壊】(http://www.news-pj.net/npj/kimura/20130814-ozawajiken.html)ですので、是非そちらをご覧ください。

 このような本が出版されていること、全く気づきませんでした。最近は、書店に足を運べる機会が激減し、読書量もそれに引きづられ激減してしまいました。
 何度も書いてきましたが、ブログ主は小沢一郎氏が好きではありません。でも、それとこの「小沢問題」は別です。おそらく、もはや小沢氏の復権は無いでしょう。とはいっても、ブログ主は自民党の復権は無いと思っていましたので、小沢氏の復権の可能性についても大した根拠があるわけではありませんし、確度も高くはないでしょう。

   『●小沢裁判控訴審: すべての証拠採用が却下され、即日結審
   『●小沢裁判、控訴棄却
   『●小沢裁判、控訴棄却のまともな記事が少なすぎる
   『●小沢氏元秘書裁判の暗黒
   『●政治的なトドメかな・・・・・・マスコミや裁判所によるこんなことが許されていいの?
   『●期ズレと証拠捏造、どちらが重要な犯罪なのか?

 この「小沢問題」で気に入らないのは、結局のところたかが「期ズレ」で、あれだけのバカ騒ぎをしたマスコミや自民党・民主党の議員、検察や(イカサマ)検察審査会メンバー・・・・・・が、小沢氏を政治的に〝抹殺〟しておきながら、「知らんぷり」を決め込んでいることです。その〝抹殺〟に、あるいは、その〝抹殺〟により生じた政治的な結果に、意識的かあるいは無意識にかは知りませんが、彼らは無自覚であることです。彼らは、小沢氏の政治生命を抹殺するという一点のみに浮かれて、バカ騒ぎを行いました。その無茶苦茶ぶりに、小沢一郎氏嫌いのブログ主も無性に腹が立つ訳です。
 下記の記事で紹介されている本書にはその辺の全てのことがおそらく網羅されていると思うのですが、本書をマスコミが取り上げてくれることはおそらくないでしょうから、ますます絶望的な気分になります。

   『●魚住昭さんが記者生命をかけて断言 ~小沢一郎氏関連裁判~
   『●小沢裁判、終わりの始まり?
   『●小沢裁判、検察の問題であると同時に、癒着したマスコミの問題

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http://www.news-pj.net/npj/kimura/20130814-ozawajiken.html

2013.8.14
「時代の奔流を見据えて──危機の時代の平和学」
木村 朗 (きむら あきら、鹿児島大学教員、平和学専攻)

NPJ特別寄稿
「小沢事件」 の真実 権力の暴走とメディアの加担による民主主義の破壊

  この8月に鳥越俊太郎氏と私との共編著 20人の識者がみた 「小沢事件」 の真実 捜査権力とメディアの共犯関係を問う が、日本文芸社から出版されることとなりました。本書の目的は、この日本中を4年近くずっと揺るがせた、いや今もゆるがせ続けている小沢問題(「小沢事件」)の本質と全体像を現時点であらためて多様な角度から考察することにあります。本書を一読していただければ、いまの日本の司法・政治がどれほど深刻な危機に陥っているか、あるいは日本はすでに法治国家・民主国家ではなく暗黒社会・全体主義国家(ファシズム)に移行しつつあるのではないかという問題提起の意味が分かっていただけると思います。

  執筆陣は、共編者である鳥越俊太郎氏をはじめ、三井環仙波敏郎、鈴木宗男、佐藤栄佐久石川知裕植草一秀郷原信郎、川内博史、有田芳生、小川敏夫、八木啓代、青木理、高野 猛、二木啓孝山口一臣神保哲生浅野健一、マーティン・ファクラー各氏などこの問題に精通した蒼々たる方々に加わっていただいています。

  本書には小沢一郎衆議院議員(生活の党代表)から貴重な序言を寄せていただいています。また、孫崎 享先生(元外務省国際情報局長)からも 「政治的謀略としての小沢問題をここまで多角的に検証した本は初めてだ」という力のこもった帯の言葉をいただきました。

  本書が、小沢問題(「小沢事件」)の解明にどこまで成功しているか、そしていままさに危機に瀕している民主主義の再生に寄与できるかどうかは、読者の皆さんにお任せするしかありません。しかし、前回のNPJ特別寄稿 「日本は真の独立国家なのか 『終わらない〈占領〉』 を問う」 でご紹介させていただいた孫崎享氏と私の共同編著 『終わらない〈占領〉: 対米自立と日米安保見直しを提言する!』(法律文化社 書評はこちら )と同じく、現在の政治状況に一席を投じるだけでなく、日本の戦後史にとっての貴重な歴史的文書・資料としての価値をもっていると確信しています。

  この8月に来日されたアメリカのオリバー・ストーン監督がピーター・カズニック先生(アメリカン大学)と共同で作られた 「もうひとつのアメリカ史」は、アメリカ現代史の暗部を明らかにした作品(映画と本)であり、アメリカしに限らず、世界の現代史に対する大きな貢献だと思います。またそれは、日本の戦後史の<影の部分>に挑戦した孫崎享氏の 『戦後史の正体』(創元社)と 『アメリカに潰された政治家たち』(小学館)、あるいは鳩山由紀夫氏、孫崎 享氏、植草一秀氏の3者による共著 『「対米従属」という宿痾(しゅくあ)』(飛鳥新社)とともに、これまでタブー視されてきたテーマ・問題を解明しようとしている点で共通点があり、大きな歴史的意義があると思います。日米両国において期せずして同じ時期にこのようなこれまで語られなかった(教えられなかった)歴史の真実が明らかにされようとしていることは決して偶然ではないと思います。

  いまの日本内外の状況は、1930年代の戦争とファシズムの時代状況にかなり近づきつつあるといっても過言ではありません。こうした閉塞状況を克服・打破していくためにも、わたしたち一人ひとりが思考停止状態から脱してまずは知ることからはじめる必要があるのではないでしょうか。


☆鳥越俊太郎・木村 朗共編 『20人の識者がみた「小沢事件」 の真実 捜査権力とメディアの共犯関係を問う』(日本文芸社)の目次・構成目次は以下の通り。

序言 小沢一郎
序章 鳥越俊太郎

第1章 被害者たちが証言する 「国策捜査」 の実態
  三井環 検察がつぶれる 「最大の弱み」 を告発
  仙波敏郎 「暴力組織」 に成り下がった検察、「既得権益」 にしがみつくメディア
  鈴木宗男 権力とメディアの暴走を許さない
  佐藤栄佐久 原子力帝国・全体主義国家に変貌する日本
  石川知裕 日本の民主主義のため最後まで闘う
  植草一秀 小沢裁判事件の評価と主権者がとるべき行動

第2章 民主主義の危機、「検察」の暴走を検証する
  郷原信郎 陸山会事件における検察とメディアの暴走
  川内博史 法務・検察官僚に組織としての正義派あるか?
  有田芳生 政治的冤罪事件「小沢ケース」の奇々怪々
  小川敏夫 検察の暴走と「指揮権発動」の真相
  八木啓代 検察の暴走・司法の崩壊に、市民に何ができるか
  青木 理 暴走検察の背後にある刑事司法の巨大な歪み

第3章 なぜ、大メディアは「検察」の暴走に加担したのか
  高野 孟 革命的改革を阻止した官僚と、それに手を貸したマスコミ
  二木啓孝 「アンチ小沢という空気」の正体
  山口一臣 「週刊朝日」と大手メディアの違いはどこから生じたのか
  神保哲生 民主統制なき刑事司法に、メディアが最後の砦になれないことの悲劇
  浅野健一 小沢事件をメディアはどう報じてきたか
  マーティン・ファクラー 官僚機構の一部と化したメディアの罪

終章
  木村 朗 検察の暴走とメディアの加担―小沢問題の意味を問う

小沢関連問題の参考文献



     序 言         小沢 一郎

  昨年(2012年)11月12日に東京高裁・控訴審で無罪判決が出され、その後に検察官役の三人の指定弁護士が上告を断念した結果、陸山会事件に関する私の無罪判決が確定しました。私にとっては、この三年七か月余りに及ぶ、検察の捜査と裁判の日々は本当に忍耐の毎日であり、大変厳しい試練の月日でした。国民の皆さんの支援や励ましがなければ、到底この重圧に耐えることはできなかったと思います。これまで私を信じ、励ましてくれた多くの国民の皆さんに、この場をお借りして心から感謝したいと思います。
  しかし、陸山会事件での私の元秘書3人(石川知裕氏、大久保隆規氏、池田光智氏)に対する不当な有罪判決が今年に入って出されました。また、検察審査会への捜査報告書を捏造した検事が不起訴処分となっています。私や秘書たちに対するいわれなき誹謗中傷や理不尽な人物攻撃などもいまもかたちをかえて続いています。その意味で、この陸山会事件はまだ終わったなどとは到底いえるような状態ではありません。

  本書には、いわゆる 「小沢問題(捜査・事件・裁判)」 ともいわれる私・小沢一郎と私の3人の秘書に向けられた 「政治とカネ」 をめぐる問題の背景・経緯と本質・核心がそれぞれの論者によって詳細かつ明確に分析・叙述されています。多くの論者は、小沢問題は単なる刑事(えん罪)事件ではなく、その背景には何らかの政治的意思を持ったある特定の個人・集団が検察と司法を暴走させ、それにメディアが加担した結果として作られたものであると結論付けておられます。
  こうした見方にはじめて接せられる多くの読者の方は、きっと驚かれるかもしれません。ただ、本書を一読していただけるならば、これまで取り沙汰された私に対する疑惑のほとんどが何ら根拠のないものか、まったくの誤解に基づくものであることに同意していただけるのはないかと思います。

  私自身も今回の一連の事件や裁判の本質や背景については思うところはございますが、ここではそれは申し上げません。何らかの特定の思惑を持って行動した人たちや、不公正な言動をした人たちに対しては、いずれ国民が判断を下すものと考えています。そういうことで、国民の裁き、天の裁きにお任せしたいと思います。この検察審査会を通じて強制起訴にいたった経過も、すでに国民の皆さんがよくよく自分の目で見て、耳で聞いて分かっていることと存じます。

  ここで申し上げたいことは、いまの日本は独立した主権国家でも、真の民主主義国家でもないということです。特に、捜査当局による公権力の濫用とメディアの加担という状況は、日本の民主主義と法治主義にとって最大の脅威となっていると言わねばなりません。私が本当に心配しているのは、日本の民主主義そのものの危機であります。まさにいつか来た道と同じ状況にさしかかっています。いままさに滅亡への道を歩んでしまっている現状をただこのまま黙って見過ごすことはできません。これはいま現在、すべての日本人が本当に真剣に考えなければならないことです。
  私は本当の議会制民主主義を定着させることにこれまで自分の政治生命をかけてきました。日本を真の意味での独立国家にすることも私の長年の夢です。他国の意向を忖度するだけの主体性なき外交・政治や思考停止状態のメディアと国民も変わらなくてはなりません。
  私にはまだまだやらなければいけないことがたくさん残っています。微力ではありますが、これから日本に民主主義と自主独立を実現するために全力投球で頑張ることを国民の皆さまにお約束します。

  最後に、本書を世に出すことに尽力されたすべての関係者の皆さま方に深く感謝いたします。本書がより多くの人々に読まれて、こうした日本が直面する深刻な現状と課題について共通の問題意識を一人でも多くの国民がもつようになることを心から願っています。



     まえがき       共同編者 鳥越 俊太郎、 木村 朗

  今年(2013年)3月7日夜、東京・池袋にある豊島公会堂において 「小沢一郎議員を支援する会(日本に真の民主主義を実現する会、代表世話人 伊東章弁護士)」が主催する 「小沢一郎議員の無罪判決確定報告と石川知裕、大久保隆規、池田光智元秘書の無罪を勝ちとる国民大集会」 が開催されました。この国民大集会は、昨年11月12日の東京高裁での小沢一郎氏への陸山会事件での無罪判決とその確定(検察官役の指定弁護士による上告断念)を受けて開かれる予定でしたが、急激に変動する政局の中での突然の解散・総選挙によって延期されていたものでした。

  満場の参加者から大きな拍手を受けながら登壇した小沢一郎氏は、「日本の民主主義を守るために私を本当に熱い思いで支援し、激励してくださった皆さんのおかげで、小沢一郎を抹殺しようとした法務・検察官僚の思惑を打破することができました。私がこの会に出席させていただいたのは今日が初めてです。本当に皆さんが日本の将来を心配し、今日も会場いっぱいの皆さんが来てくださいました。私自身は終わったが、秘書裁判がまだ続いております。これからも皆様のお力添えをいただきたい」と述べて深々と頭を下げました。

  この間に小沢一郎氏とその秘書たちの身に起こった出来事は、いったい何であったのでしょうか。またそれは、日本の政治と社会のあり方にどのような影響を与えたのでしょうか。

  本書の目的は、この日本中を4年近くずっと揺るがせた、いや今もゆるがせ続けている 「小沢問題」 の本質と全体像を現時点であらためて多様な角度から考察することにあります。

  小沢問題(あるいは小沢事件・捜査・裁判)ともいわれる、小沢一郎氏をめぐる 「政治とカネの問題」 は、西松建設事件(2009年3月3日の小沢一郎議員公設第一秘書の大久保隆規氏逮捕)にはじまり、陸山会事件(2010年1月15日の石川知裕議員、大久保隆規氏、池田智光氏ら3人の秘書逮捕)へと続き、小沢裁判(2010年9月14日の東京第五検察審査会での2度目の 「起訴相当」 議決による強制起訴)へと展開しました。

  結局、西松建設事件は裁判途中の不可解な 「訴因変更」 によって事実上立ち消えとなり、陸山会事件では、小沢一郎氏の無罪判決は2012年11月19日に確定したものの、検察審査会をめぐる捜査報告書の捏造をはじめとする様々な謎はいまだに解明されずに残されたままです。また、3人の秘書裁判では2013年3月13日に控訴審でも再び有罪判決が出されて、石川知裕氏(5月21日に議員辞職願を衆議院が許可)が単独で上告しており、まだ最終的な決着はついていません。

  カレル・ヴァン・ウォルフレン氏(オランダ人研究者・ジャーナリストで、日本の政治・官僚制度の専門家)は、「小沢氏という政治家への “人物破壊” の一連の動きには、ある密約が存在している事実が見えてくる」とし、その 「密約を取り交わしたのは日本とアメリカであり、その恩恵を受けるのは両国の政治エリートたちである」、「省庁の高級官僚と、ビジネス界やメディア界の幹部からなる日本の政治エリートは、決して純粋な意味での日本の独立を求めようとはしない。それどころか、彼らは、アメリカ政府が日本の超法規的で非公式な権力システムの存続を支援してくれる見返りに、日本を引き続きアメリカに隷属させようとしているのである」と小沢問題の核心をずばり突いています(ウォルフレン著 『人物破壊 誰が小沢一郎を殺すのか?』 角川書店、を参照)。

  また、元参議院議員で小沢氏の盟友でもある平野貞夫氏は、その著書 『小沢一郎 完全無罪-「特高検察」 が犯した7つの大罪』(講談社)の中で、「小泉政権は、経済の構造改革をする一方で、日本の社会に格差と停滞をもたらしたと厳しい批判がある。それもさることながら、公訴権による国策捜査により、国家統治の基本を狂わせたと私は論じたい」、「“検察の裏金” を封印するため、取材当日に三井環元大阪高検をでっち上げ逮捕し、マスコミを操って極悪検事の虚像を作り上げ、三井氏を無実の罪に落としいれた。本来、正義をなすべき司法が、世間の批判を怖れ、時の権力者 “自民党” の番犬となった。三井環氏のいうところの “けもの道” に落ちた訳だ」 など、当事者しか知り得ない内情を率直に語っています。検察の裏金問題を実名で告発しようとした三井環氏を “口封じ” 逮捕したことが、その後の村上正邦氏、鈴木宗男氏(・佐藤優氏)、村岡兼造氏、緒方重威氏、佐藤栄作久氏、村木厚子(・石井 一)氏、小沢一郎氏(あるいは植草一秀氏や堀江貴文氏)などへの “国策捜査” につながる検察の暴走のきっかけとなったという重要な指摘です。小沢氏の政治資金団体の元資金管理責任者であっただけに、その言葉には非常に説得力があります。

  とりわけ注目されるのは、平野氏がその著書の文庫版 「まえがき」 で次のように述べていることです。

≪「小沢問題」 を通じて私に見えてきたものとは、いま日本に 「新しいファシズム」 が展開しはじめたということである。「ファシズム」 の教科書的定義は、「資本主義が危機的状況になると、権力が暴力装置を活用して議会制民主主義による政治の機能を失わせ、独裁的政治を展開する」ということだ。(中略)21世紀ではファシズムの定義も再考が必要である。繰り返しになるが、「小沢問題」 での大手マスコミの報道は、検察の根拠なきリークだけでなく、捏造された「事実」 が次から次へと報道され、その異常さは 「社会心理的な暴力」 といえるものだった。≫

  まさに 「小沢問題」 の本質は、権力(特に検察と司法)の暴走とメディアの加担による 「ある種の政治的謀略」、「静かな政治的クーデター」 であり、その背後に「新しいファシズム」 が胎動し始めているということではないでしょうか。

  今の日本における最大の問題は、権力犯罪の発生、すなわち公権力が恣意的に濫用されたときにそれを裁くシステムが存在していないこと、そして権力の暴走を監視・批判するはずのメディアがその役割を放棄していま起きている出来事の本質・真相を伝えないことです。そして、いまの日本は、本当に民主主義国家なのか、また真の独立国家といえるのかがまさに問われているのです。

  本書には、「冤罪」 「国策捜査」 の当事者自身からの証言だけでなく、司法とメディアに精通した選りすぐりの論者による数多くのすぐれた深い分析・洞察が収められています。まさに本書自体がそのまま貴重な歴史的文書・資料となっていると言っても過言ではありません。本書を一読すれば、多くの読者は、テレビや新聞を通じて報じられてきたものとはまったく別の見方があることを知って、それまでの自分の考えを見直すきっかけになるかもしれません。もちろん、本書の最終的評価は読者の手の中に委ねられていることは言うまでもありませんが…。

  いずれにしても、一人でも多くの市民がメディアの発する情報を主体的かつ批判的に読み解く能力(「メディア・リテラシー」)を身につけることで現在の思考停止状態から脱して、いまの日本が陥っている(議会制)民主主義の危機と検察ファシズムの到来から目を背けずに直視するようになることを切に願っています。

  最後に、本書を発行するにあたって、いまだに事件の渦中にありながら貴重な歴史的証言となる序言をお寄せいただいた小沢一郎衆議院議員(生活の党代表)にも心から御礼を申し上げます。

2013年6月30日 参議院選挙を目前に控えて


『検察の暴走とメディアの加担―小沢問題とは何か―』
木村 朗(鹿児島大学教員、平和学専攻)

1. 小沢一郎問題とは何か-小沢問題をめぐって二つに割れ続ける世論
  ①西松建設事件、②陸山会事件(水谷建設)、③小沢裁判(検察審査会による強制起訴)
A 金権政治家の不正献金疑惑追及→「政治とカネをめぐる問題」 (「違法な犯罪行為」)
  ※ 「検察の正義」(東京地検特捜部=「史上最強の捜査機関」)を前提とした 「小沢VS検察」 という問題
B “えん罪(でっち上げ)” “報道被害”→「国策捜査」 による不当な逮捕・捜査・裁判
  ※ 「検察ファッショ」 と 「メディア・ファシズム」 が結合した 「静かな政治クーデター」:
  「民主党VS全官僚機構」 あるいは 「鳩山連立政権VS官僚機構・自民党・マスコミ(・米国)」 という権力闘争・政治闘争
  ※ 「国策捜査」 か? (森法務大臣の指揮権発動、漆間巌官房副長官のオフレコ発言、石川知裕議員を取り調べた検事の脅し的文句、検察審査会への捜査報告書の捏造)
  検察の暴走とメディアの加担=権力とメディアが一体化した情報操作・世論誘導
  → 検察権力と司法記者メディアの癒着構造(民主主義の危機=ファシズムの到来)

<関連事件・裁判>
A 三井環事件(検察の裏金問題の告発)→「獣(けもの)道」(官邸の犬となった検察)
  ※ 検察が犯した三つの犯罪
B 佐藤栄佐久前福島県知事の 「汚職」 事件→国策(原発)反対の首長を特捜が政治弾圧
  ※ 佐久間達哉現東京地検特捜部長、大鶴基成東京地検次席検事、前田主任検事らが関与!
C 郵政不正事件(村木厚子氏、石井一民主党副代表、前田主任検事によるFD改ざん事件)
  ※ 鳩山由紀夫氏の政治献金(「故人献金」 の謎)事件の影響
  ※ 鈴木宗男(・佐藤優)事件との関連(ロッキード事件やリクルート事件、日歯連事件、朝鮮総連ビル詐欺事件、ライブドア事件、防衛省汚職事件なども)

2. 政権交代とは何であったのか-日本で最初の本格的な政権交代(一種の 「市民革命」)
<挫折した脱官僚政治と対米自立>
A 脱官僚政治(官僚主導から政治主導へ)…事務次官会議の廃止、特別会計の見直し、「歳入庁」 構想、天下りの廃止、機密費の廃止、日米密約の調査・公表
B 対米自立…「より対等な日米関係」の構築、海上自衛隊の撤退、年次改革要望書の廃止、日米地位協定・思いやり予算見直しの失敗、普天間問題での「国外移転、せめて県外移転」の模索と挫折

<幻となった検察改革とメディア改革>
  ※ 検察権力と記者クラブ・メディアの共犯関係(検察とマスコミのリーク情報を通じたもたれ合いの関係):「検察官僚と司法記者クラブが横暴を奮う恐怖国家」(上杉隆)、「検察庁という組織の、骨の髄まで腐った不誠実さと恐ろしさ」(鳥越俊太郎)、「検察リークを受けて報道がつくられているというより、むしろメディア自らが進んで検察の提灯持ちに走っている」(青木理)、「特捜検察の捜査能力の劣化とモラルハザード」(魚住昭)、「検察権力の恣意的乱用とそれに追随するマスコミの権力監視機能の放棄、そして、「検察の正義」を微塵も疑わずにマスコミ報道を鵜呑みにして翻弄される我々一般国民の思考停止こそが目下の最大問題、すなわち日本の民主主義の危機をもたらす根源的問題である」(木村朗)
  ※ 「彼らは政治家の汚職を摘発し正義を貫く事が正しいと思い込んでいるが、実際は民主党政権による司法制度改革で検察の権益が縮小することを恐れているはずだ」(堀江貴文)
A 検察(司法)改革…検察・警察・裁判所を含む司法制度改革! 「検察の犯罪を糺す機関は存在しない」という点が最大の問題:起訴独占主義と起訴便宜(裁量)主義の弊害
  ① 取り調べの可視化法案、② 民間陣からの検事総長の登用(検事総長人事を国会承認案件に)、③ 裏金の解消、④ 裁判員制度の見直し、 ⑤ 死刑制度の見直し、⑥ 証拠の全面開示のための法改正の断行
B メディア改革…真の意味でのメディアの再生を! (神保哲生氏の指摘)
  ① 「記者会見のオープン化」(政府の記者会見をすべてのメディアに開放し、既存のマスメディアの記者クラブ権益を剥奪する。)
  ② 「クロスオーナーシップの規制・禁止」(クロスメディア:新聞社とテレビ局の系列化のあり方を見直す。)
  ③ 日本版FCC(米連邦通信委員会のように行政から独立した通信・放送委員会)を設立し、放送免許の付与権限を総務省から切り離す。
  ④ NHKの放送波の削減を検討する
  ⑤ 新聞再販制度・押し紙制度の見直し・廃止
  ⑥ 電波オ-クション制度の導入・・・等々

3. 日本は民主主義国家・独立国家なのか-「米国の影と圧力」 について
  ※ 「この政治家は二つの注目すべき持論を隠し持っている。一つは米国との距離を測り直すこと、他のひとつは象徴天皇制を隠れみのにした官僚支配への問題意識だ」(斎藤学)
  ※ 孫崎享さんの日本の 「特捜検察」 と米国との特殊な関係という重要な問題提起:
    「(小沢捜査の-木村)スタートは、外為法か何かで外国から出発していますよね」 「検察の動きを見ていると、アメリカの意思が分かる」
  ※ 「日本国内の、国民に選ばれた正当な政治権力に対しても特捜部は歯向かう。その背後には、そもそも出発点からアメリカの存在があった。ということは、東京地検が日本が対米隷属から離れて、独立独歩の道を歩もうとする政治家をねらい打ちにしてきたのは、ある意味で当たり前なんですね」(岩上安身)

A 官僚独裁国家:カレル・ヴァン・ウオルフレン氏の指摘
  「いま日本はきわめて重要な時期にある。真の民主主義をこの国で実現できるかどうかは、これからの数年にかかっている。 …国際社会で、真に独立した国家たらんとする民主党の理念を打ち砕こうとするのは、国内勢力ばかりではない。アメリカ政府もまたしかりである。 …民主党政権発足後の日本で起こりつつある変化には、実は大半の日本人が考えている以上に大きな意味がある、と筆者は感じている。 …あらゆる国々は表向きの、理論的なシステムとは別個に、現実の中で機能する実質的な権力システムというべきものを有している。 …日本のシステム内部には、普通は許容されても、過剰となるや、たちまち作用する免疫システムが備わっており、この免疫システムの一角を担うのが、メディアと二人三脚で動く日本の検察である。…検察とメディアにとって、改革を志す政治家たちは格好の標的である。 彼らは険しく目を光らせながら、問題になりそうなごく些細な犯罪行為を探し、場合によっては架空の事件を作り出す。 …日本の検察が、法に違反したとして小沢を執拗に追及する一方、アメリカは2006年に自民党に承諾させたことを実行せよと迫り続けている。 …いま我々が日本で目撃しつつあり、今後も続くであろうこととは、まさに権力闘争である。これは真の改革を望む政治家たちと、旧態依然とした体制こそ神聖なものであると信じるキャリア官僚たちとの戦いである。 …日本の新政権が牽制しようとしている非公式の政治システムには、さまざまな脅しの機能が埋め込まれている。何か事が起きれば、ほぼ自動的に作動するその機能とは超法規的権力の行使である。このような歴史的な経緯があったからこそ、有権者によって選ばれた政治家たちは簡単に脅しに屈してきた。」
  ※ メディアの劣化と言論統制の拡大
B 米国の 「属国」 から 「属領」 へ…終わらない 「占領」(間接統治)から 「再占領」(直接統治)へ、「トモダチ作戦」と日本の 「アメリカ化」(日本本土の 「沖縄化」)

4. 検察審査査会の闇と最高裁事務局のスキャンダル
  ※ 検察審査会は、裁判員制度の先駆的形態:市民から無作為に選ばれた11人の審査員が、検察の起訴・不起訴の処理に対して不服の申し立てがあった場合にこれを審査して、(1) 不起訴相当 (2) 不起訴不当 (3)起訴相当のいずれかの判断を下す。司法制度改革の一環として、裁判員制度導入にともなう法改正で2009年5月からは、審査会が同じ件で2度「起訴相当」 と決議すると、検察ではなく裁判所が指定した指定弁護士により強制的に容疑者が起訴されることになった。小沢裁判ではこの制度改正が完全に悪用された!
  ※ 「新政権は検察審査会法を再改正すべきかどうかを検討課題とすべきだろう」(高野猛)
  ※ 当初から批判が多い情報開示の少なさや〝密室性〟黒く塗りつぶされた公開文書。容疑者がまったく意見を言えないことも大きな問題。
  ① 小沢一郎民主党元代表を 「起訴相当」 と議決した審査員十一人の平均年齢が不自然な形で一転二転したこと(小沢元代表審査員 生年月も黒塗り)は不可解
  ② 検察審査会の不正、検察の虚偽報告書に対する裁判所の判断に納得出来ない。
  ※ 強制起訴制度で初の判決公判も 「検証へ情報開示を」、指定弁護士による控訴は不当!?
  ③ 森ゆう子議員が明らかにしたくじ引きソフトの不正
  ④ 小川敏夫法務大臣による指揮権発動の封じ込め
  ※ 「健全な法治国家のために声を上げる市民の会」 が、最高検察庁に新たな告発状を提出した。被告発人である佐久間達哉(法務総合研究所国連研修協力部部長)、木村匡良(東京地方検察庁公判部副部長検事)、大鶴基成(元最高検察庁公判部部長検事)、斉藤隆博(東京地方検察庁特捜部副部長検事)、吉田正喜(元東京地方検察庁特捜部副部長検事)、検察審査会の第五検察審査会の事務局長、担当課長らを証人申請が採用されるかが焦点。
  ※ 最高裁事務局のスキャンダル:最高裁判所発注のコンピューターシステム関連の一般競争入札で 「一社応札」が続出し、 100%を含む高い落札率が大半を占めていた疑惑!
    改めるチャンスが何度もありながら、一向に変わらなかった最高裁の手法。

5. 現在の閉塞状況を打開するためには何が必要か
  【検察とマスコミが一体化した情報操作による小沢氏の狙い撃ちと民主党叩きの世論誘導が米国の圧力をうける形で行われた可能性、すなわち検察権力のリーク情報を無批判的にマスコミが裏づけを取らないまま小沢氏を犯罪人扱いするような過剰な印象操作・偏向報道を一方的に垂れ流し、その結果、検察の正義を疑わない一般国民がそれを鵜呑みにして小沢批判を強めて民主党離れを加速させるというある意味で分かりやすい構図】
  ※ 旧勢力(小泉流に言えば 「守旧派」 「抵抗勢力」)による既存秩序の維持と既得権益の保持を目的とした改革潰しの動き!
  ※ マスコミが検察の監視役ではなく、「検察の正義」(あるいは 「正義の検察」)という前提を無批判に受け入れて、検察の「最大の味方」 となってその露払いや煽り役を果たしてしまうことが最大の問題である!
  ※ 「小沢不起訴になってから検察の危機が言われていますが、それ以上に、今回はマスコミの危機を露呈させたと言えますね」(魚住昭)
A 検察による恣意的な強制捜査と違法な取調べによる直接的な人権侵害
B 検察のリーク情報に依存したマスコミの過剰な偏向報道と、その影響をまともに受けた世間の人々のバッシングという深刻な報道被害
  ① 市民の覚醒と官邸デモ-政府不信とメディア不信の高まり
  ② ソーシャル・メディアとメディア・リテラシー
  【海外メディアの 「報道の5原則」】 原則1 「推定無罪の原則」(最初から有罪であるよう印象づける報道はしないこと)、原則2 「公正な報道」(検察の発表だけをたれ流すのでなく巻き込まれた人や弁護人の考えを平等に報道すること)、原則3「人権を配慮した報道」(他の先進国並みに捜査権の乱用を防ぐため、検察・警察の逮捕権、家宅捜索権の行使には、正当な理由があるかを取材、報道すること)、原則4 「真実の報道」(自主取材は自主取材として、検察・警察の情報は、あくまでも検察・警察の情報である旨を明記すること)、原則5「客観報道」(問題の歴史的経緯・背景、問題の全体構図、相関関係、別の視点などをきちんと報道すること)

【小沢問題関連重要文献】
・小沢一郎を支援する会 (編集) 『私たちはなぜ小沢一郎を支援するのか』 (諏訪書房) [新書] ノラ・コミュニケーションズ (2011/5/15)
・森 ゆうこ 『検察の罠』 日本文芸社 (2012/5/26)
・平野 貞夫 『小沢一郎 完全無罪 -「特高検察」が犯した7つの大罪』 (講談社プラスアルファ文庫 ( 2011/7/21)
・郷原 信郎 『検察崩壊 失われた正義』 毎日新聞社 (2012/9/1)
・カレル・ヴァン・ウォルフレン 『人物破壊 誰が小沢一郎を殺すのか?』 角川文庫(2012/3/24)
・マーティン・ファクラー 『「本当のこと」を伝えない日本の新聞 』 双葉新書 (2012/7/4)
・山崎行太郎 『それでも私は小沢一郎を断固支持する』 総和社 (2012/6/23)
・三井 環 『ある検事の告発』 (双葉新書) (2010/12/22)
・村木厚子編 『あきらめない 働くあなたに贈る真実のメッセージ』 日経BP社 (2011/11/28)
・石川知裕 『悪党―小沢一郎に仕えて』 朝日新聞出版 (2011/7/7)
・鈴木 宗男 『汚名-検察に人生を奪われた男の告白 』
・佐藤 栄佐久 『知事抹殺 つくられた福島県汚職事件』 平凡社 (2009/9/10)
・大坪 弘道 『勾留百二十日  特捜部長はなぜ逮捕されたか』 文藝春秋 (2011/12/16)
青木理 『国策捜査―暴走する特捜検察と餌食にされた人たち』 金曜日 (2008/05)
・副島隆彦、植草一秀、 高橋博彦 『国家は 「有罪(えんざい)」をこうして創る』 祥伝社 (2012/6/30)
・粟野仁雄 『検察に、殺される』 (ベスト新書) ベストセラーズ (2010/11/16)
・岐 武彦、山崎行太郎氏 『最高裁の罠』 (志ケイアンドケイプレス 、2012/12)
・佐藤 優/魚住 昭 『誰が日本を支配するのか!?検察と正義の巻』 マガジンハウス (2010/8/12)
・石川 知裕/佐藤 優 『小沢一郎はなぜ裁かれたか―日本を蝕む司法と政治の暴走』 徳間書店 (2012/3/26)
・今西憲之/週刊朝日取材班 『私は無実です 検察と闘った厚労省官僚村木厚子の445日』 (著) 朝日新聞出版 (2010/9/7)
・孫崎 享 (著) 『戦後史の正体』 創元社; 初版 (2012/7/24)
・孫崎 享 (著) 『アメリカに潰された政治家たち』小学館 (2012/9/24)
・孫崎 享 (著) 『日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土』 (ちくま新書)
・孫崎 享 (著) 『日米同盟の正体~迷走する安全保障』 (講談社現代新書)
・郷原 信郎(著) 『検察の正義 』 (ちくま新書) ( 2009/9)
・郷原 信郎(著) 『特捜神話の終焉』 飛鳥新社(2010/7/22)
・『郷原 信郎(著)検察が危ない』 (ベスト新書) ( 2010/4/9)
・三井 環 (著) 『検察の大罪 裏金隠しが生んだ政権との黒い癒着』講談社 (2010/7/29)
・三井 環 (著) 『「権力」 に操られる検察 』(双葉新書) 双葉社 (2010/7/21)
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●情報は統制される: 知らなかったでは済まされない、騙されたでは済まされない

2013年08月17日 00時00分35秒 | Weblog


gendai.netの記事【内閣法制局長人事はナチスの手口】(http://gendai.net/articles/view/syakai/143807)。東京新聞の記事【米「投下に正当性」は「うそ」 O・ストーン監督が来訪】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013080602000105.html)とコラム【筆洗】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013080602000160.html)。

   『●麻生太郎氏「だれも気づかないでかわった。あの手口に学んだらどうかね」
   『●「不安と闘いながら世界に理念を示し続けたこの国に生まれたことを僕は何よりも誇りに思う」
   『●壊憲派に、フリーハンドを渡してはならない

 「「憲法改正はナチスに学べ」という麻生の妄言は“大バカ大臣の失言”で片付けてはダメだ。なぜなら、安倍政権はとっくに「ナチスの手口」を学んでいる。それが如実に表れたのが「憲法の番人」、内閣法制局のムチャクチャな人事だ」。
 情報統制。知らなかったでは済まされないし、騙されたでは済まされない。「すべての元凶とみるのが日本への原爆投下。戦争を早く終わらせ、多大な犠牲を防ぐのに必要だったという米国の正当化理論に対し、ストーン氏は「私も長年、投下は正しかったと信じていたが、それは神話、うそだと分かった。今も子どもたちはうそを教えられている」と指摘」。「連合国軍総司令部(GHQ)の情報統制がある。人々と街を焼き尽くした原爆は、戦争を早期終結させた「平和の閃光」とされた」。「権力者が情報を統制し、報道に関わる者が力に巻き取られれば、どんな大惨劇でも真相は隠されて、あたかもそれが「祝うべきこと」のようにすら伝えられる」。

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http://gendai.net/articles/view/syakai/143807

内閣法制局長人事はナチスの手口
2013年8月3日 掲載

この政権はとっくに学んでいる

 「憲法改正はナチスに学べ」という麻生の妄言は“大バカ大臣の失言”で片付けてはダメだ。なぜなら、安倍政権はとっくに「ナチスの手口」を学んでいる。それが如実に表れたのが「憲法の番人」、内閣法制局のムチャクチャな人事だ。

 安倍は内閣法制局の山本庸幸長官(63)を退任させ、後任に小松一郎・駐仏大使(62)を充てる方針を固めた。8日にも閣議決定されるが、憲法解釈を堅持する立場の内閣法制局は、改憲派の安倍にすれば「目の上のたんこぶ」。そのトップ交代は安倍の独断専行、ゴリ押しで決まった。

   「小松氏は一橋大を中退して、1972年に外務省に入省した変わりダネ。
    条約課長や国際法局長を歴任し、国際法に精通しています。
    国際法局長時代には、第1次安倍内閣が設置した集団的自衛権を
    めぐる有識者懇談会に事務方として参加。解釈見直しを提言した
    懇談会の報告書の取りまとめにも深く関わりました」(外務省関係者)

 報告書は「公海上での米軍艦船の防護」や「米国を狙った弾道ミサイルの迎撃」などに、自衛隊の武力行使を認める内容で、「バリバリの日米同盟重視派」(同)という小松氏の思想がにじみ出ていた。こんな人物を「憲法の番人」に抜擢する安倍の狙いは一つ。従来の〈憲法9条で許される自衛権行使は、わが国を防衛するための必要最小限度の範囲にとどまるべき〉とする政府解釈をかなぐり捨て、持論である集団的自衛権の行使容認に突っ走るハラだ。


護憲派パージし改憲派押し込む恐怖政治

   「外務省出身者の長官も初めてなら、法制局未経験者の起用も初めて。
    長官になるには、憲法解釈を内閣に答申する法制局第1部の部長を経て、
    法制次長を歩むという過去60年に及ぶ慣行があります。職務の専門性や、
    行政、法律、憲法解釈の継続性を考えれば妥当なルールですが、
    安倍首相はなりふり構わずあくまで自分と同じ考えの長官起用に
    こだわったのです」(霞が関事情通)

 今回の人事について安倍サイドは、解釈変更に断固反対の公明党に一切、連絡を入れなかった。さらに小松氏の手足となって働く法制局第1部の参事官には、安倍の地元・山口県庁に出向経験のある総務省の課長級キャリアを抜擢。これだって法制局に「安倍流」を押し付ける人事だ。

 考えの異なる人物をパージし、自分に好都合な人材を後任に据えるためなら、どんな禁じ手も犯すこの手口は、ナチス同然の恐怖政治そのものではないか

   「憲法9条の解釈変更に邁進(まいしん)する安倍内閣は、中国の海洋進出や
    北朝鮮危機を必ず結びつけようとする。この姿勢もナチスを彷彿(ほうふつ)
    させます。ナチスは第1次大戦の戦勝国である欧州諸国との対立を
    煽(あお)って、ドイツ国民を鼓舞。ナショナリズムの狂騒のドサクサで、
    独裁を許した『全権委任法』を成立させ、事実上ワイマール憲法を
    葬り去ったのです。麻生発言のように『誰も気づかないで変わった』わけでは
    ありません。安倍政権はナチスの手口で平和憲法をなきものにする気
    なのでしょうか」(立正大教授・金子勝氏=憲法)

 安倍政権はナチスと同じ独裁の道を着々と前進している。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013080602000105.html

米「投下に正当性」は「うそ」 O・ストーン監督が来訪
2013年8月6日 朝刊

 アカデミー賞の受賞作品「プラトーン」などで知られ、米国の軍事展開を批判する米映画監督のオリバー・ストーン氏(66)が、広島の原爆の日などに合わせて来日している。十五日まで長崎、沖縄を回り、原爆や米軍基地問題について人々と対話する予定だ。原爆投下を「正当性がない」と指摘、「歴史を正しく記憶することが大切」と訴えている

 「米国は日本がソ連に侵略されることを恐れていた。だから日本が降伏したがっているのを知りながら原爆を落とした」。広島市で市民団体のシンポジウムなどに参加したストーン氏は強調する。

 昨年、歴史学者でアメリカン大准教授のピーター・カズニック氏とテレビドキュメンタリー「もうひとつのアメリカ史」を制作、同名の本を出版した(日本語版は早川書房「オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史」)。公文書をひもとき、戦時中から今のオバマ政権まで続く覇権主義に疑問を投げかける内容だ。

 すべての元凶とみるのが日本への原爆投下。戦争を早く終わらせ、多大な犠牲を防ぐのに必要だったという米国の正当化理論に対し、ストーン氏は「私も長年、投下は正しかったと信じていたが、それは神話、うそだと分かった。今も子どもたちはうそを教えられている」と指摘する。

 さらに、米軍が沖縄をはじめ各国に軍事基地を展開していることを「非常に危ない」と懸念、「だから広島は象徴でなければならない」と訴える。

 安倍政権は「日米同盟強化」を理由に集団的自衛権の行使に布石を打ち、その先には改憲の議論が待ち構える。ストーン氏は日本の右傾化を「世界にとって危険なこと」とみる。カズニック准教授も「憲法九条は日本にとって要。安倍政権が変えようとしていることは問題で、悲惨な結果を招くだろう」と強調した。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013080602000160.html

【コラム】
筆洗
2013年8月6日

 ♪ピカッと光った原子のたまにヨイヤサー、飛んで上って平和の鳩よ…。一九四七年八月六日、つまり人類初の原子爆弾投下から丸二年たった日、広島市中心部では「平和音頭」にあわせて人々が通りを練り歩いたそうだ▼戦争体験がどう語られてきたかを検証した『焦土の記憶』(福間良明著、新曜社)によると、四六年八月六日の地元紙一面には「けふぞ巡り来ぬ平和の閃光(せんこう)」「広島市の爆撃こそ原子時代の誕生日」との見出しが掲げられた▼八月六日がまるで「祝祭」のような色を帯びていた背景には、連合国軍総司令部(GHQ)の情報統制がある。人々と街を焼き尽くした原爆は、戦争を早期終結させた「平和の閃光」とされたのだ▼広島に原爆が投下された三日後に現地入りした弊社の先輩記者に、話を聞いたことがある。原爆ドームの写真は一応撮ったが、目に入る被爆者にはレンズを向けもしなかったという▼「どうせ検閲で載せられない。そんなものを撮るため貴重なフィルムを無駄には使えない」。戦時中の情報統制下にあった記者には、そういう自己規制の心理が働いていたのだ▼権力者が情報を統制し、報道に関わる者が力に巻き取られれば、どんな大惨劇でも真相は隠されて、あたかもそれが「祝うべきこと」のようにすら伝えられる。八月六日は、そんなことを、改めて考えさせる日でもある。
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