acc-j茨城 山岳会日記

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山でのあれこれ、便りにのせて


ただいま、acc-jでは新しい山の仲間を募集中です。

奥多摩・神戸川クドレ沢左俣右沢遡行-右俣下降

2019年05月29日 19時52分46秒 | 山行速報(沢)

2019/5/18 奥多摩・神戸川クドレ沢左俣右沢遡行-右俣下降

今シ-ズンの沢登り開幕戦。

どうしたって吟味に吟味を重ねてしまうよね。

 

クドレ沢は程よき滝場に程よき距離。

アプロ-チもお手軽だし、最終的には大岳山に突き上げて200名山も足下に出来てお買い得な感じ。

だけど、入渓点に戻る下山路がないみたい。

そこで、左俣右沢遡行右俣下降という計画。

もう、左だか右だか混乱してしまいますが、「オモシロそうな方を遡る」ということで。

あ、ちなみにクドレ沢の”クドレ”は「崩れている場所(=クズレ)」の訛り言葉のようですよ。

 

2019年沢初めにご一緒いただけたのは、kakさん、artさん。

artさんは沢初めというか、「初めての沢登」です。

 

神戸岩(かのといわ)をすぎて、次に通過するのが「神戸隧道」。

いわゆる、トンネルですね。

真っ暗な手掘り隧道は、なかなかスピリチュアルな雰囲気が満載です。

あ、ちなみに有名な”心霊スポット”のようですよ。

 

トンネル先のゲ-トから僅かで右から入るのがクドレ沢。

「禁漁」看板が目印です。

 

この右岸に踏み跡があるので、辿っていくと今にも崩れ落ちそうな丸太橋。

太いロ-プのフィックスがあるので、これを頼りに沢へ降りることにします。

 

沢歩きを思い出すようにゆっくりと歩きます。

序盤の滝場は概ね容易で、わざと水流を歩いたり、飛沫を浴びにいったり。

 

作業小屋が出てくると倒木が目立つようになって、右岸に切り出した材木置き場を見ると二俣はもうすぐです。

一休みして左俣に入ると、しばらくはボサと倒木なので、ガマンガマン。

 

左岸に岩壁を見るとその先がゴルジュ入り口の様相。

7m滝を慎重に超えると、その先に徳兵衛滝(25m)が見えます。

 

峡谷の滝はそれぞれ快適に登って徳兵衛手前は中岩沢側の滝を一段登って滝下へ。

なかなか立派な滝で、まさに滝行が出来そう。

今、記録をしたためながら「滝行すればよかったなぁ」などと少し後悔してみたり。

 

徳兵衛滝は中岩沢を少し登ってから中間の岩場を行きます。

茨の灌木があちらこちらに茂っていて、手強い。

というか手が痛い。

 

灌木を繋いで小さなテラスで一区切り。なかなかな奮戦です。(約25m)

フォロ-を迎えて、そこから左にトラバ-スします。

あとは木の根を使えば容易に滝上です。

下山後に確認すると、本当はもう少し中岩沢を登ってから巻くのが良いみたい。

 

ここからは小滝を登ったり、巻いたりしながら。

トポには見当たらない支流が立派な滝を擁して合流したりするけど、この辺はもう源流域。

感性に任せて、オモシロそうな方を遡ります。

 

やがて流れも消えるとヤブも少ない疎林登り。

時折、登山者が歩いているのが見えます。

 

それにしても登山道に合流したときの、何というのだろうこのキモチ。

解放感?安堵?達成感?それとも被虐性?

いずれにしても何かこう、屈折した感性を禁じ得ませんね。

 

そこからは登山道を快適に。

途中で、トラバ-ス道との分岐(道標あり)で下降する谷筋を確認したりしながら、そこそこ歩いて大岳山。

 

スゴい。

登山者がいっぱいいる。

見晴らしも良くって、人気のハイキングスポットなんですね。

さすが200名山だ。

あ、ちなみに八王子あたりから見る大岳山は、その山容から”キュ-ピ-山”と呼ばれるそうですよ。

 

一休みして、下山に取りかかります。

トラバ-ス道の道標まで、戻って杉林の急傾斜を下る。

踏み跡はないけど縦横に林道関係の仕事で踏まれています。

 

 

岩屑の堆積した谷筋を我慢しながら歩いてくと右俣右沢と合流。

ここからは立派な沢下りとなります。

 

五郎ノ沢とは五郎滝と共に合流です。

ほとんど水流がないので、滝というか垂壁。

とても登れるものではありません。

 

クドレ沢右俣は2段20mを懸垂下降。

その後の核心部は高巻かずに懸垂下降で通過します。

いずれも50mが1本あれば問題ないでしょう。

 

やがて伏流。沢筋は岩も乾いていて快適です。

左俣との出合二俣で一休み。

あとは作業小屋から踏み跡を行けば一投足。

最後の核心、丸太橋をやり過ごして林道に出れば、あっという間に林道のゲ-トです。

 

この季節に他に遡行者もいなかったので、意外な穴場かもしれません。

遡下降に山頂を加えると程々に楽しめます。

 

あ、ちなみに私達、こんなことやってて楽しいわけですが。

初沢登のartさん、共感して頂けそうでしょうか?

 

sak


風の谷の谷川岳中央カンテ

2019年05月24日 07時05分41秒 | 山行速報(アルパイン)

谷川連峰 一ノ倉沢烏帽子沢奥壁中央カンテ

2019.5.18(土)  天気:曇り/晴れ

メンバー:szt(CL),isi

装備:登攀具一式,ロープ(8.1mm×50m)×2

5/17 20:00つくば発→(佐野藤岡ICより高速利用)→23:00頃 谷川岳無料駐車場着(泊)

5/18 3:00基点P→4:30一ノ倉沢出合発→5:58中央カンテ登攀開始→7:10頃4P目開始→9:17 7P目開始→11:00終了点着→11:55南稜終了点上部テラス着→12:30頃6ルンゼ下降開始→14:10南稜テラス着→14:40中央カンテ取付き→16:00一ノ倉沢出合着→17:20基点P

 

 雪山登山はひとまず前週まで.5月の谷川は雪渓が続いてアプローチが楽.陽も長くなっているし,新入会のisiさんがまだルートを完登したことがないということなので,登ってみよっかな~と思っていた中央カンテに行ってきた.

中央カンテは,一ノ倉に入ると南稜,中央稜とともにたいていは取付いている人気ルート.先行パーティがいると落石が怖いので,出発は早めの3時の作戦.

一ノ倉の出合に来てみれば,「雪が多いんじゃない?」と感じたのは気のせいか?思い起こしてみれば,5月の時期にここへやってきたのも3年ぶり.月日の経つのは早いものです.

一ノ倉の出合より.この日はガスが多かった.

テールリッジに取付く頃には,後続パーティはすぐそこに.

中央稜の取付きに直前で後続の3人パーティに先を譲る.今日のルートを尋ねると,南稜とのこと.どうやら中央カンテは一番手で登れるみたい.早出の作戦が功を奏しました.中央稜の取付きでクライミングシューズに履き替え,中央カンテの取付きへ移動.6時ちょっと前に登攀開始となりました.

4P目をリードするisiさん.なかなか晴れ間が見えません.

チムニーの直前で4P目を終了.

6P目の構築した終了点.6P目は少しだけルートが外れたもののナイスリカバリーでした.

7P目のコーナークラックを抜けたところ.楽しめましたでしょうか? 

8P目を登るisiさん.このころには陽が差してきました.

終了点直前より.陽は差していますが風は強いのです.

11時頃,終了点到着.下降は岩の向こう側へ.

終了点より,朝日岳,笠ヶ岳,白毛門.夏の景色,とまではいかないかな?

奇数ピッチは私が,偶数ピッチはisiさんが担当.事前の予習が功を奏したのか?概ねルートを外すことなく11時頃には終了点へ.5P目の終了点辺りからは,南稜に大パーティが取付いたことや中央カンテに後続が2組入ったことがよくわかった.ガスは中間部辺りで切れ晴れ間は指すものの,終始風が強く2人とも上着を着ての登攀となった.

ルートの印象としては,ポイントに残置ハーケンや支点がまずまずあって人気ぶりがうかがえる.核心の7P目は残置ハーケンがなければあんなに攻めたムーブはできないだろーな~,と開拓した先人の遺産に感謝する.

終了点から懸垂下降してさらに1P下ったところ.こうしてみると立ってるね.

南稜終了点上部より.肩から懸垂したんだよね~.

南稜終了点の広いテラス.ここに出たときはホッとしました.

烏帽子岩の基部の終了点からは,岩を超すようにして懸垂下降.途中空中懸垂となりますが,ロープ2本なら余裕で下まで降りられます.下降したら対岸の少し古めの支点でセルフビレイ.ここからクライムダウンとなりますが,岩は乾いているとはいえバランスを崩すと止まらないので,念のためもう1P懸垂で下ります.

本来は笹薮と岩のコンタクトラインをトラバースしていけば南稜の終了点上部に出られたのですが,下に向かって微妙に踏み跡がみられるようにも見え途中で見つけた支点で確保しながら目的地である南稜の終了点をウロウロと笹薮を掴みつつ探します.

結局,一旦下がったもののトラバースしたのち少しだけ登り返して,南稜終了点上部と思われる広いテラスに到達.ロープをしまっているうちに,南稜を登っていた大パーティの1人が顔を出し,いま自分たちがいるところが南稜終了点の上部であることを確認してホッとするのでした.

小休止の後,6ルンゼを下降.途中で先行する大パーティから先を譲ってもらい,南稜テラスまではまずまず順調に下降します.ここでクライミングシューズからアプローチシューズに履き替えて移動となるのですが,鎌形ハングの下になかなか大きな雪渓が乗っかっており,そこから滴る水で中央カンテの取付きへトラバースするまではけっこう気を遣っての移動となりました.

中央カンテの取付きには14:40着.下降って気を遣いますよね~

中央稜の取付きを過ぎれば,あとはだいぶ楽になるだろうと思っていたものの,テールリッジ途中のトラバースで先行パーティがロープを出して下っている.少し待っている間に,よくよく考えてみれば風も強いことから,我々も念のためロープを出して50m下降する.

その後は順調に下り,テールリッジから雪渓に乗って一ノ倉の出合に着いたのは16時.駐車場で登攀具を外し,車に戻ったのは17時過ぎ.出発が早かったからもう少し早く降りれるかと思ったけど,やっぱり下降に時間がかかりますね~.

一ノ倉沢出合の雪.小雪壁状態?

登攀では風が強く寒さを感じることが多かったが,谷川岳の麓の樹々は緑に染まって,車に戻るころまでには夏の始まりを実感していた.

szt


雪の〆は立山で

2019年05月19日 13時00分16秒 | 山行速報(登山・ハイキング)

2019.5.11-13  天気:快晴 

メンバー:szt(CL),yuka

装備:冬装具一式(わかん除く),テン泊装備

5/10(金) 21:00自宅発→(主に高速道路にて移動)→1:40頃 扇沢無料駐車場着

5/11(土) 7:45扇沢駅発→9:22室堂ターミナル発→10:15雷鳥沢キャンプ場(BC)

5/12(日) 4:33 BC発→6:18剱御前小屋着→7:25別山南峰→9:20富士ノ折立登り返し→10:44大汝山→11:37雄山着→13:37一ノ越→15:40 BC

5/13(月) 6:05雷鳥沢キャンプ場→7:04室堂ターミナル着→9:17扇沢駅着

 

 振り返ってみれば,今シーズンはよく雪山に行ったものだ.個人的には,3年振りの雪山ラッシュといっていいかも.そんな雪のシーズンもそろそろおしまい.締めとしてチョイスしたのは,夏場も含めて初見参となる立山だった.

5/11(土) 天気:快晴

前回の頸城火打山に続いて,今回の山行も初日から快晴.1週間前の予報では天気はイマイチそうだったが,週末が近づくにつれ天気予報がどんどん良くなる方向に.これは誰の力なのでしょう?

前日の夜は,さすがに扇沢が遠いだけあって,珍しくもほぼ全線高速道路を利用.2時近くの就寝だったが,GWを外したアルペンルートは始発が7:45.どう頑張ってもそれ以上早く動けないため,のんびりとした朝を迎える.

電気バス,ケーブルカー,ロープウェイ,トロリーバスに揺られて外に出れば,そこは雪に囲まれた世界.文明の利器ってすごいですね.

初日はターミナルから1時間ほど歩き,雷鳥沢キャンプ場に幕を張る.なんやかんやで時間はお昼近くになってしまい,さすがに計画していた奥大日岳は早々に諦める.キャンプ場周囲でビーコンの使い方の練習をし,あとはのんびりキャンプ気分いや観光気分の一日を過ごし,ちょっとだけ夕日に染まった立山を眺めて眠りにつくのだった.

雷鳥沢キャンプ場から立山.少しだけ赤いかな?

 

5/12(日) 天気:快晴

2日目は,雪が腐りだす前に剱御前小屋までの登りを始末しておきたく,薄暗い中BCを出立する.途中のハイマツ帯で雷鳥と初めて対面.たしかに冬毛は白くて綺麗である.天然記念物になって話題にするのもうなずける.ちなみに今回参加のyukaさんは,雷鳥の鳴き真似をすぐにマスター.雷鳥に出合う度に,鳴き声を真似て雷鳥に呼び掛けていた(ように見えた).是非,宴会芸としていろんな人に披露してほしいものだ.

剱御前小屋までは,雪が締まってアイゼンがよく効き歩きやすい.小屋の直前に1か所だけ絶対落ちたくないところがあったが,基本的にはトレースが踏まれまくっていて快適に小屋に到達する.

その後は,雄山まで北アルプスや富山の白い山々を眺めながら稜線散歩.人によっては全くアイゼン出さずに歩いて行った人もいるんじゃないかな?

剱御前小屋までの登りより.キャンプ場も小さくなってしまいました.

剱御前小屋直前の絶対に落ちたくないところ.油断しなければ問題ないでしょう.

別山手前の稜線より剱岳.そろそろあそこに行くことを考えてもいいのかなぁ..?

至る所で遭遇した雷鳥.奥に見えるピークは別山南峰.

富士ノ折立直下.この直前からアイゼン出しました.気が付けば奥に剱が,,

大汝山山頂にて.残雪の後立山連峰がよく見えました.

大汝山よりこれから向かう雄山.一面の山々を同時にお届けできないのがもどかしいところ.

 朝の剱御前小屋でお話をしたおじさん.ものの数秒で視界から消えてしまいました.

雄山山頂にて.ここでも奥には剱岳が...

 多分,,薬師岳(のはず?).下から眺めていたころを思い出す..

立山までの縦走ではにはいろいろありましたが,12時前になんとか雄山に到着.ここでたっぷり大休止をとって,白い山々の眺めを堪能します.それにしても今シーズンの雪山の〆が,3,000mを超すところになった上に好天に恵まれるとは..まるで,いままでの雪山山行をともにしてもらった参加者の方々の熱意が,高気圧の塊となって日本列島を覆ているかのよう,とは言いすぎでしょうか?

一ノ越からの下りにて.天気が良すぎて,完全武装が必要です.

BCに戻ったのは16時に近づいたころ.時間が余って浄土山まで足を延ばせるかと思っていましたが,出発が4時半であることを考えると余裕を持ったタイムスケジュールが吉と出たようです.テントの中に入ったら,翌日の荷を減らすためにもしっかり夕食は腹に納め,最終日の帰路の移動時間も考慮し明るいうちに寝袋に包まるのでした.

 

5/13(月)

最終日は予定通り4時に起床し,6時にテン場を後にします.途中雷鳥と遭遇しお別れを済ませたら,7時過ぎには室堂ターミナルに到着.初めて来る立山周辺の山々を,たっぷりと目に焼き付けて室堂ターミナルを後にします.乗り物に乗ってしまえば,2時間ほどで扇沢に到着.扇沢までの道中や,自宅までの道中で翌週以降の山行計画に思いを馳せるのでした.

室堂ターミナル付近より大日岳と奥大日岳.登れるものならいつか登ってみたいものです.

北アルプス,人気があるのは分かりますねぇ,,夏にもなんか計画を立ててみようかなぁ...

 

szt


ジャンダルム飛騨尾根

2019年05月09日 22時29分32秒 | 山行速報(アルパイン)

2019/5/4-5 ジャンダルム飛騨尾根-奥穂高岳

 

届かなかった。

その悔しさは何れ晴れる。

否、晴らさなければならない。

本当は、もう少し早ければ良かったんだけど。

 

未練を試練に代えて。

同じ景色を見るために。

そしてその先の景色を伝えるために。

 

 

2019/5/4

 

「二日」

これが、何とか確保できたスケジュ-ル。

 

本当は三日あれば、、、というのは叶わぬ願い。

前回だってそうだったじゃないか。

そして、その経験は生きてくる。

 

パ-トナ-はisiさん

事前に「初日はハ-ドに行くからね」と折込済み。

 

新穂高の駐車場で2時間の仮眠。

4時半には出立して、白出沢出合まで。

ここまでに途中で先行したのが1パ-ティ-。

トレ-スを拾って沢通しでいく。

 

天狗沢を望む

 

天狗沢出合に着くと、テントが1張。

そして先のパ-ティ-が飛騨尾根に入るべく、天狗沢を詰めていた。

 

一休みしながら尾根への取付き方を協議。

末端からではなく、少し登った尾根の側斜面からD尾根に乗る。

 

尾根には雪も豊富。

トレ-スもあるのでラクなんだけど、ひたすらな登り。

視界が開けて幕場跡など見るようになると眼前に飛騨尾根が俊立。

先行パ-ティ-が飛騨尾根へのトラバ-ス終盤を迎えていた。

 

苦しい登り

 

D尾根最後のダケカンバで一休み。

isiさんは余裕の表情。sakはここまでの登りが一番堪えた。

D尾根最後のダケカンバ

この木を目印にルンゼをトラバ-ス。

 

トラバ-ス開始

 

細いルンゼをひと登り

 

小尾根末端を掠めて細いルンゼをひと登りしてから右の草付に乗る。

一段上がって雪の斜面を行き、飛騨尾根に乗る。

 

飛騨尾根にのる(ハイマツMAX!)

 

尾根上は予想外のヤブコギ。

少し下に雪はあるけど、もうグズグズ。

それでも少し我慢すれば踏み跡もあり、ヤブコギグレ-ドⅡ+といったところか。

 

正面の岩峰はロ-プを使うまでもなく、ひと登り。

切れたリッジのコルに出てからロ-プを出す。

 

ここからロ-プを出す

 

飛騨尾根の岩は節理が発達してクラック、ガバも多い。

高度感に加えて、快適なクライミング。そしてこの静穏好天。

 

ただひたすらに、無心となってリッジ、スラブ、フェイスを行く。

支点が少ないものの、取り立てて不安はない。

ただし、傾斜は強くそして長い。

高度の影響もあり息が切れる、体力勝負のル-ト。

 

今日は、「とにかく日暮れまでに行けるところまで行く作戦」。

そのため、事前にビバ-クポイントはしっかり押さえておいた。

 

ア-ベントロ-トがあらゆるものをオレンジ色に染める中、岩峰を行く。

行きついた、T1。

リッジの雪を均した1帖ほどの平坦地に幕を張る。

眼前にジャンダルムが大きい。

 

質素な食事をとったら昨夜の寝不足解消と行きたいところだが、水作りやら何やらで結局21:00の就寝。

気温は零度くらい。寒さもほぼ感じない。

 

 

2019/5/5

 

夜半から強風。

幕が潰されないだろうかと不安になる。

 

5時。外の様子をうかがうと天気は抜群に良い。

あとは風次第。

経験上の見込みもあって7時まで待つことにする。

ダメなら岳沢エスケ-プも検討しようと、isiさんに意思を伝えて二度寝。

 

7時。静穏。

外は今までなんだったのだろうと思うほどに無風。

これ、お天道さまの力なんだよね。

 

幕場(撤収済み)とジャンダルム

 

 

朝食のカップめんを食べて手早く登攀準備。

昨日の先行パ-ティ-がロバの耳あたりに見える。

 

ジャンダルムの天使

 

2ピッチでジャンダルム。

天使との出逢い。

 

ジャンダルムは15mくらいの懸垂下降。

リッジを進み、ロバの耳。

ここからの懸垂下降はトリッキ-&ロ-プスタックの恐れがあるらしい。

 

ロバの耳トラバ-ス(奥穂側からの写真)

 

奥穂からトラバ-スル-トを歩いてきた単独行者のトレ-スもあり、リスクを回避し踏み跡を追う。

それでもロバ耳を10mくらいクライムダウンしたところにある支点から15m位の懸垂下降。

降りついた左手に半分雪に埋もれた鎖が見える。

念の為、ここからもロ-プを出して、トラバ-スル-トに入る。

 

奥穂への花道

 

あとは、奥穂高岳までの花道を残すのみ。

山頂で、山荘側から登りついた人たちと喜びを分かち合う。

 

奥穂高岳

 

ここからは稜線漫歩というにふさわしい。

 

穂高山荘最後の下りを終えて

 

最後の下りに気を付ければ、穂高岳山荘。

涸沢から詰め上げてくる人達、下っていく人達。

人々の期待と余韻が交差し、ここ山荘前で混じり合う。

 

 

ジャンダルムと飛騨尾根

 

「ジャン飛騨、行かない?」

本心から言えば、行きたかった。

けれども仕事を理由に参加を見送ったあの夜。

 

今日という日は、5年前から始まっていた。

そしてその続き、系譜は継がれていくのだ。

  

穂高岳山荘の裏手から白出沢を快調に下る。

大滝は夏道を行くが、グズグズの雪。

 

飛騨尾根を振り返る

 

天狗沢出合を経て、新穂高温泉まではエピロ-グ。

これからの事を考えるに、丁度いい道程であった。

 

sak

 


残雪の頸城・火打山 灼熱の??雪上キャンプ

2019年05月07日 07時02分19秒 | 山行速報(登山・ハイキング)

2019.5.4-5 天気:快晴

メンバー:szt(CL),fuk(SL),kko,may

装備:冬装具一式,テン泊装備

5/3 21:00頃つくば発→高速道路使用→1:00頃笹ヶ峰キャンプ場P着(泊)

5/4 6:23笹ヶ峰キャンプ場P→7:37黒沢→9:48富士見平→10:10高谷池ヒュッテ着(ベースキャンプ設営)→11:17ベースキャンプ(BC)発→12:48火打山山頂→13:19下山開始→14:20 BC着(雪上講習)

5/5 7:26 高谷池ヒュッテ→9:04黒沢→10:13基点P→(ロープワーク練習)→12:00頃山行終了

 

 今年の大型連休は久しぶりに雪山を楽しむことができた.今回向かった先は豊富な雪を期待して新潟の火打山.その昔,雪のない時期に行った火打山では日本海を眺められたことに感激したんだっけ.

5/4(土) 天気:快晴

 基点は以前と同じく除雪の完了した笹ヶ峰キャンプ場の駐車場から.前回来たのは15年近く前のことでどんなところを歩いたのか,正直よく覚えていない.高速のICから駐車場まで狭いくねくね道を延々と運転したことは覚えているんだけど...

今年の雪はやっぱり少ないのでしょうか?

黒沢までは緩傾斜の広葉樹林帯を進む.トレースはあるようなないような.山スキーの人が多いためなのか,トレースは明瞭とは言えないがスキーも踏まれていそうなところをなんとなく進む.当日は登山者が意外と多いように感じたせいか,入山しているスキーヤーは少ないように感じた.

黒沢を過ぎたところでアイゼンを装着.

登山口から小一時間ほどで黒沢に到着しアイゼンを着ける.ここからはトレースがはっきりし始め,トレースを辿っていくと黒沢右岸の尾根を黒沢の反対側から回り込んでいく.しかしながら尾根に出るまでがなかなかの急登.しかも斜面は西向きのため朝陽が当たらず雪面はクラスト.バランスを崩したらかなりの距離を滑ってしまう.慎重を期して,kkoさんとmayさんには途中の安定したところでヘルメットとピッケルを装備してもらう.

ご覧の通りなかなかの急登ですが,kkoの足取りに危なげはなし.

上から撮ってみましたが,残念なことに急斜面ぶりが伝えられず

急な斜面を登りきって尾根まで出ると,いくらか傾斜が落ち着いてくる.ここで一息入れ,周りの山々の景色をそれぞれ思い思いに堪能する.

高妻山方面.白いです.

いくらか傾斜の緩んだ樹林帯を進んでいくと,富士見平と思われる辺りまでやってくる.ここまでくると樹々はぐっと減り,展望がぐっと広がる.この日は雲一つない快晴.いい天気で展望は最高だけど,陽射しの強さと照り返しも最高レベル.休むたびにせっせと日焼け止めを塗りたくる.

ようやくお目見えした火打山.山頂付近はもう溶け始めています.

左に高妻山,右に北アルプス.そして空は真っ青.最高の展望です.

富士見平にkkoさんと到着する頃には,fukさんとmayさんの姿は視界にない.快調に飛ばしているみたい.いやはやお強いですね~..

富士見平から高谷池ヒュッテまでは,ちょっと気持ちの悪い斜面をトラバース.事前の天気とこの日の天気なら雪面は安定していそうですが,条件が悪いときにはこのルート取りの選択はためらうところ.そんな気持ちになったのは私だけなのでしょうか?

ちょっと気持ちの悪いトラバース.この日は雪崩れる可能性は極めて低そうなので良いのですが..

遠くに見えていたとんがり屋根の高谷池ヒュッテには10時過ぎに到着.ここまではまずまずのスピード.初めての雪山テン泊というkkoさん,mayさんですが,その体力は今後の山行で生きてきますよ~.スキーヤーもふくめ日帰りの人が多いのかと思っていたら,高谷池ヒュッテの周りには意外なほどテントの花が咲くことに.われわれはヤドカリのように前のパーティが作ったブロックを拝借し,若干の整地も加えてテントを設営する.

高谷池ヒュッテ.このあともまだまだテントは建ちました.

テントを設営してもまだ11時過ぎ.この時間であれば十分山頂アタックは可能.ということでまずは今回の山行のメインディッシュ,火打山の山頂を目指すことに.しかし,陽射しの強さ,緩んだ雪面,標高の高さ,前日までの睡眠不足が重なったのか,なかなかつらい山頂までの道のりでした.

夏道は雷鳥平から尾根伝いに行くようですが,この日のトレースはスキーヤーが尾根の南側の斜面を辿ったようで,我々もそのトレースに続いてゆきます.はぁはぁ言いながら雷鳥平から続く火打山の肩まで歩き小休止.

火打山まであとちょっと!

時間も12時を過ぎ,肩から山頂までの間も雪は緩んでおり登りでは体力を吸い取られます.一歩一歩足を動かして喘ぎながらノロノロと山頂を目指していって,,,

山頂直下の登り.私はまっすぐ登りました.そのほうが楽そうだったので,,

無事山頂に到着.風はほぼ無風.周りに雲はありません.午前中に比べると幾分空気の澄み具合が落ちる気がしますが,それでも後立山連峰の山々や念願だった日本海を眺めることができ,まずはミッション達成といったところでしょうか.山頂では,記念撮影をしたり,山座同定をしたりとみんなで楽しいひと時を過ごすのでした.

はいポーズ!

こちらも,はいポーズ!

焼山,その後ろには北アルプスも.

白馬の大雪渓を教えてもらいました.わかります?

一見のどかな噴煙です.

そして日本海.早朝だともっと澄んで見えるのかな?

去年の五頭連山の沢登り以来となる,山の上からの日本海を堪能したら,頃合いを見て下山を開始.今度は妙高山を見ながらのハイキングです.

猛々しい妙高山を見ながら下山開始.

あんなに登りは苦しかったのに,下りはどうしてこんなに苦しくないんでしょう.雪面もゆるゆるな上,トレースもありベースを張った高谷池ヒュッテまでは快調に下ります.途中のちょっとした斜面で滑落停止姿勢の練習をしますが,あまりに雪が緩んでいてすぐに服はベチョベチョに.ちょっと滑落停止の練習をするには条件が揃わな過ぎたため,ここはすぐに切り上げてキャンプ地に戻ります.新入会したての皆さん,滑落停止はとっても大切なので,来シーズンはもっときちんと練習しましょうね.

キャンプ地に戻った後は,ビーコンの使い方の練習です.かくいうわたくしも今シーズンに入って正確な使い方を習ったばかり.実際は講習とは名ばかりの私の復習なのでした..

その後はテントの中に入り,ちょっとしたロープの結び方のおさらいや,雪山での水の作り方を実演.作った水で夕食を準備し宴会を執り行って就寝となりました.それにしても5月って陽が長いし,暖かいですね~.日当たりのいいキャンプ場ということもあり,快適な夜を過ごすことができました.

 

5/5(日) 天気:またしても快晴

2日目は5時起床.のんびり朝食を作り,ゆったりと後片付けをしていよいよ本格的な下山開始です.澄んだ空気のなか,雪をまとった山々の景色が見納めになるのは名残惜しいのですが,下界に戻らねば次の山にも向かえません.

さぁ,帰りますよ~.隙のない後ろ姿.

途中,やや傾斜の強いところでは簡単なアイゼンワークやピッケルワークも練習です.自分の身は自分で守らねばなりませんからね.

適度にクラストしていていい練習になった気がしますよ~

下りのポイントであった,クラストした急斜面の歩行も全く危なげなく完了し黒沢に到達.ここでアイゼンを脱いで,10時過ぎには駐車場に到着となりました.

荷物を降ろした後は,テントや装備品を乾かしつつ,準備していたロープとハーネスを持って懸垂下降の練習です.お二人とも初めての懸垂下降ということで,初めはあまり難しくないところで体験してもらいました.懸垂下降はこれからの山行で使いますから,よ~く覚えておいてくださいよ~.

懸垂デビューのkkoさん.

こちらも懸垂デビューのmayさん.

振り返ってみれば,滑落停止に,ビーコンに,アイゼン&ピッケルワークに,懸垂下降に,ロープの結び方にと盛り込みすぎだったかな?何よりも一番だったのは,やっぱり雲一つないお天気と山の景色だったのでは?と思っているのは,わたしだけではありませんように...

 

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立岩

2019年05月06日 18時44分54秒 | 山行速報(登山・ハイキング)

2019.5/6(月):kei2、他1名

 

西上州のドロミテと言われているらしい。
ドロミテ?  行ったこともなければ知っている人も少ないと思う。
調べてみたら・・・
イタリアの北部に位置する世界遺産で荒々しく削られた山々の雄々しい姿が特徴的な山だそうです。
一方、南牧村の”立岩”(たついわ)は、岩と痩せ尾根の変化に富んだ魅力的な岩壁の山と紹介されています。


登山口から植林された斜面を緩やかに30分ほど登っていくと、鎖のあるガレ場の立岩登り口に到達。
登り出た所が立岩のコル。

ナイフリッジの鎖場

立岩最高点・西立岩山頂

ヤセ尾根

切り立った絶壁の中にある不動様 
上部からミストシャワー・・・あせる威怒牟幾不動滝(いぬむきふどうだき)


威怒牟幾不動(いぬむきふどう)


不動様はボロボロ


無事周回して戻ってきました。


GW中にも関わらず、先行者がいない中、静かな山歩きができました。
整備された登山道で不安要素なし。
威怒牟幾不動滝は一見の価値あり。是非自分の目で確かめてください。


おつかれさまでした。

☆☆☆ kei2(^_^)/ ☆☆☆


奥秩父 赤岩岳(直登ルート)

2019年05月02日 05時28分28秒 | 山行速報(薮・岩)

2019.4.28(日) 天気:晴れ

メンバー:szt(CL),yuka

装備:登攀具一式,ロープ(8.6mm×50m)×2,クライミングシューズ,カム(未使用)

4/27 21:40 つくば発→高速道路使用→1:30頃 上落合橋登山口P着

4/28 6:12 基点P→6:43 赤岩橋公民館跡→7:47 赤岩峠→8:30頃? 登攀開始→9:54 2P目スタート→10:53 小休止→11:08 3P目取付き→12:00頃 登攀終了→12:57 下山開始→12:59 赤岩岳山頂→13:23 赤岩峠→14:03 赤岩橋公民館跡→15:08 基点P

 

 バリエーションルートでどこか手頃なところはないかとネットで検索していると,ひょんなことから両神山に登る八丁峠のその先の,赤岩尾根の記録をみつけこれが気になりだす.あれやこれや調べてみると,赤岩尾根にある赤岩岳や途中のP1583にロープを出して登っているところがあるみたい..練習するには良さそうかな?そんな気持ちで,赤岩岳とP1583をクライミング後,赤岩尾根を縦走する計画で奥秩父へ向かってみた.

基点は上落合橋登山口にある駐車場.車は4~5台は停められそう.天気は晴れているものの,寒気が入っているせいか日陰はとても寒い.それでもこの時期になると陽は長くなるから,山の計画も長めのものを立てられる.

ニッチツの住居跡がある赤岩峠への登山口へは,舗装された林道を下っていく.駐車場では冷たい風が吹きつけていたが,30分も歩けば体も温まる.赤岩橋の駐車場(幅広くなった路肩)には車が3台停まっている.「あら~,出遅れたかな~?まぁ,先行パーティで渋滞してたら赤岳への直登はパスだな」と思い,住居跡をパスして赤岩峠への登山口へ.

目立った標識があるのかと思っていたら,特にそれらしいものはなし.”山火事注意”の赤いのぼりのわきにある作業路のような踏み跡のそばに目印があり,それを頼りに山へ入る.踏み跡は時に薄くなりかけるが適度な間隔で目印があらわれ,さらには比較的新しい踏み跡を先行パーティのものだろうと予想して薄暗い植林帯をえっちらおっちら登ってゆく.すると植林帯は切れ,芽吹く前の広葉樹林帯が広がる小尾根に出た.

植林帯が終わった直後の登り.明るくなりました.

なんか練習できそうな岩峰あり.ただスズメバチの巣があったから夏は要注意?

直前までこの登山口へつながる県道と林道が通行止めだったようなので,登山道は明快ではないがそれと思われる踏み跡を頼りに赤岩峠まで足を進める.

赤岩峠まで登ってみれば,先行の5人パーティが登攀具を身につけ出立するところ.挨拶しつつ今回の予定を尋ねると,赤岩尾根を八丁峠までの縦走路を歩くよう.どうやら直登ルートには誰も取付いていないようで,ちょっとほっとして小休止.

7:47赤岩峠着.取付きはここからすぐ.

赤岩峠で休むものの,これからの予定を考えるとあまりのんびりもしていられない.ひとまず取付きと思われる尾根の基部まで移動する.取付きと思われる針葉樹には黄色のリボンが巻いてある.

ここでロープを出しクライミングシューズに履き替える.ただ,ここは赤岩岳の西側の尾根にあたり,8時台では陽が全く当たらず寒いことこの上ない.パートナーのyukaさんはフリースの上にダウンジャケット.それ正解です.こちらはリードをするのでさすがにダウンは暑かろうと思いフリースを上に羽織るだけ.天気は良いが,寒気のおかげか風は至って寒いのです.

寒さに打ち震えながら登攀開始.基部から尾根に向かって近づき,あまり考えもせず基部からみて右にある南側のフェイス状の岩壁へ進んでいく.右上した先に灌木がありそこを支点に取れそうだと思い,登ってみると思いのほか脆そう.そしてスタンスもなかなかにシビア.

んっ?ちょっと待てよ..このルートこんなに難しかったけ??こんなところ行ったら,トラバース気味だし,マルチピッチデビューのyukaさんのフォールは必至...落ち着いて落ち着いて,と一旦クライムダウンして,藪っぽい凹角状をめがけて左へトラバース.ここならフォローでもなんとか登れそうかな?ということを踏まえてロープを引いてゆく.

藪っぽい凹角状を見上げたところ.ここならきっと登れるはずとおもいまして..

リーチ差や筋力差を考えて,ところどころにお助け紐やお助けアブミをセットしつつ登ってゆく.適当な灌木もあり支点をとるのには困らない.ほぼいっぱいにロープを引いたところで傾斜も緩まり,使えそうな灌木で支点をセット.見上げれば下調べした2P目の取付きっぽいところでのビレイとなった.

フォローのyukaさんにコールを送りロープを引き上げるが途中でロープがピタリと止まる.少し心配になって大声で様子を確かめるが返事はなし...あれ~,岩にでもぶつかって気絶でもしてるのだろうか??と気を揉んでいると,ロープがじわりじわりと引けるようになる.ゆっくりではあるけれどフォローも登ってきて,無事1P目は終了.なんでも岩が少しハング状になっていて声は聞こえど,声は届かずだったみたい.よかったよかった

1P目の終了点より.2P目はチムニー状を登りました.

2P目.出だしはチムニー状を登る.チムニーの間に灌木があり,ここにまたしてもお助け紐をセット.チムニーを抜けると藪は減って周りの山々が見渡せ,高度感,開放感が出てくる.テラス状になっていて周りの風景を楽しめるところだ.特に厳しいところもなく,ビレイしやすいところで適当な灌木に支点をセット.フォローのyukaさんも危なげなく登ってくる.陽当たりも良くなり,清々しくてとても気持ちがいい.

チムニーの間にある灌木にランニングをセットしてパチリ.

灌木も少なくなって,周りの眺めが爽快です.

フォローのyukaさん.危なげない登りです.

2P目を終了したところで10:30過ぎ.このペースだと,赤岩岳まで行けたとしても縦走するにはちょっと慌てることになりそう.ということで,陽当たりもいいし,休めそうなスペースもあるしで小休止をすることに.

考えてみれば,yukaさんは初めてのマルチピッチのクライミング.深刻なトラブルなくここまで上がれたし,気持ちのいい天気なんだから今日はクライミングを楽しむ一日に予定変更.まずは無事に赤岩岳の山頂へ到着できるように進みましょうと話し合う.

小休止後,クライミングを再開.2P目の終了点からやや左へトラバースした尾根状の所から3P目をスタート.このピッチが一番高度感を体感できたかな?核心と思われるカンテへのトラバースも直前に残地ハーケンがあり,リードでもそれほど怖さは感じない.カンテを抜けた先でお助け紐をぶら下げて先へ進む.ランニングの取り方が悪かったせいでロープが重くなったため,太い立ち木で支点をとりピッチを区切る.

区切った先は藪交じりとなり,ビレイもいらないくらい.安定したところまで抜けて最後は肩がらみでフォローをビレイしてクライミングは終了.ランニングをうまくとれば,小ピークの手前に陽当たりの良い快適なテラスがあり,記録を残したパーティはここまで3P目のロープを伸ばしたのだろう.

快適なテラスに到着したのが12時頃.今日は赤岩岳の山頂まで行って登山道を引き返そうということで話はまとまり大休止とする.

核心と思われるところを越したところ.フォロー用にお助け紐もセット.

3P目のフォローも危なげなし.

大休止後はいよいよ下山.計画では縦走で抜ける予定だったので,下山路となる赤岩岳を北から回り込む登山道のことはあまりよく調べていなかった.なので油断は禁物,まずは赤岩岳を目指して行動を開始する.休憩したテラスから先へ進むと,明瞭に踏まれた跡があり,2分ほどであっけなく赤岩岳山頂に到着.周りを見れば,手作りの標識があり,赤岩岳方面への目印も下へ続いている.これなら道に迷うことはなさそうだ.

それでも,赤岩峠から3Pで山頂まで登っただけあって,登山道は急傾斜.一部切れ落ちたところあり,ロープは出さないもののクライムダウンする場面ありと油断大敵である. 

山頂直下の下り.ご覧のように目印は豊富.

リボンだけでなく,ケルンもあり.

一部クライムダウンもあり.

登山道を赤岩峠まで下れば,あとは来た道を戻るだけ.明るい広葉樹林帯を過ぎ,暗い植林帯をすぎればニッチツの住居跡.

赤岩峠付近では芽吹きはまだ.見通しも良く,陽が当たれば清々しい.

登山口着.右ののぼりが目印です.

ニッチツの住居跡にて.廃墟を感じさせない華やかさ.

林道まで降りたら,装備を外し小休止.あとは車やバイクに気を付けて駐車場まで戻るだけ.この道中,今回完遂できなかったP1583へのクライミングと赤岩尾根の縦走をコンプリートしようと,計画がまた一つ決まったのでした.

計画にはなかった林道歩き.花をめでることができて,これはこれでよかったのです.

次にここへ来るのはいつだろう?ほかに参加者もいるのかな??

 

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尾瀬 鳩待峠から至仏山、平ヶ岳、景鶴山~ケイズル沢 山スキー

2019年05月01日 02時08分33秒 | 山行速報(山スキ-)

日程:2019年4月23日~24日

メンバー:sasa

ルート
4月23日:鳩待峠(5:40)-至仏山(8:30)-猫又川二俣(9:40)-テン場(JP)(13:00)-平ヶ岳(15:40)-テン場(JP)(18:00)
4月24日:テン場(JP)(6:50)-景鶴山(9:20)-ヨッピ吊橋(10:30)-山ノ鼻(12:20)-鳩待峠(13:50)


去年の尾瀬につづき、今年の春スキーは尾瀬へ行こうと決めた。
今回の計画は、平ヶ岳と去年、天候悪化で行けなくなってしまった至仏山とケイズル沢のリベンジだ。

4月23日
朝5時、鳩待峠の駐車場に到着、駐車場にはすでに15台ほど車あり。ここで駐車料金2,500円を係りの人に払う。
駐車場のすぐ上に鳩待峠休憩所の建物があり、雪は去年よりも多く残っている感じだ。

鳩待峠の案内板にある登山ポストに登山計画書を入れ、至仏山へ向けシールで登り始めた。
天気予報は晴れなのに、ガスっていて視界が悪い。赤布を確認しながら無数にあるトレースの中を登って行く。途中のピークは北側を巻いていった。
オヤマ沢田代を過ぎて小至仏山の登りになった辺りからガスが無くなりはじめ、周りには雲海が広がった。
息をのむような幻想的な景色が現れしばらく眺めていた。山登りをやっていて良かったと思う瞬間でもある。

小至仏山の手前からトラバースするトレースありどうするか悩んだが、小至仏山を登るルートを選ぶ。小至仏山からシールを付けたまま少し下りトラバースのトレースと合流し、ひと登りで至仏山に着く。至仏山の頂上には先行者が2名休んでいた。後から数名登ってくる。
ここから見える平ヶ岳はとても遠くに見えて、もし時間があれば今日中にあそこまで行こうとはとても思えない距離だ。

軽く休憩してからムジナ沢へ滑り降りる。まだ早い時間なのに気温が高いせいか、すでに雪がゆるんでいて驚いた。
ムジナ沢上部には岩が出ているエリアがあり危険。北側の尾根に向かいトラバースしていく。
ムジナ沢北側の尾根は平で滑りやすい斜面が続いている。やがて樹林帯を抜けると猫又川が流れる柳平に着く。
スキー板のワックスが落ち、汚れて滑りが悪くなっているので、シールは貼らずにこのまま猫又川沿いを進むことにする。
去年の4月10日には無かったが、この辺りはクマの足跡が多い。
猫又川二俣から先は左俣へ進む。雪が多く残っており、左俣の沢は大部分が雪で覆われているので、好きな所で渡ることが出来る。

2~3日前のトレースは猫又川中間の尾根に続いていた。左俣をしばらく進み、沢が右に回り込んで少し進んだ所で尾根に取り付く。
スキー板にシールを貼って、左俣の沢から斜面をトラバースしながら少しずつ上がり、尾根上のトレースに合流した。
事前に予定ルートを地形図とGPSに記入しているので、悩まず進んで行ける。
今年のように沢が雪に覆われていれば、右俣を詰め上がるのも良さそうだ。
すでに気温が高くザラメ雪はグズグズになっている。シールは水分を吸いまくり重く滑りが悪くなってきた。

途中から複雑な地形を過ぎると、前方に屏風状の岩壁がある大白沢山が現れる。
大白沢山の左側を回り込み、テン場予定地のジャンクションピーク(JP)に到着。
まだ13時で時間があるので、急いで平ヶ岳へ向かう準備を始めた。
明日の天気が悪くなってしまうこともあり、無理してでも平ヶ岳まで往復した方が良いと判断したからだ。

目の前にあるP1920手前コルからは、帰りの事を考えて左側の斜面を緩やかに登りながらトラバースしていく。P1920を巻いた所からスピードアップの為、シールを外して滑り降りた。
白沢山のピークも登らないで、左側斜面を巻いていく。
次の平らなP1936は、手前のコルから緩やかに登りながらトラバースしていく。
ここを過ぎると、いよいよ平ヶ岳の最後の登りになる。

あんなに遠くに見えていた平ヶ岳が目の前にある、とても信じられないなあと思った。
緩んだザラメ雪で体力をかなり消耗しているのでもうヘトヘトだ。
のっぺりとした斜面を登ると観測用のポールが見えた。とりあえずポールを平ヶ岳の頂上とした。
天気が良く気分も景色も最高だ。
見渡す山並みは見る角度がちがうからなのか、どの山なのか全く分からないが、今朝登った至仏山はかなり遠くに見えている。

帰りはスキー板にワックスを塗り直し、登ってきた大斜面を楽しく滑り降りて行く。
しかし、テン場のジャンクションピークまでは、登り返しがあるので気が重い。
夕方になっても雪の表面はクラストしてなく、雪がグズグズで緩斜面の滑りが悪のには参った。
白沢山は板を担いでつぼ足で登り返した。P1920はシールを貼って登り返すが、意外と距離が長くてうんざりする。
ジャンクションピークの登りでまたシールを貼って登り返しテン場へ戻った。

すでに18時になっているので暗くなる前にツェルト張りにかかるが、いつの間にか風が強くなっていて張るのが難しい。
今回は28Lのザックで来たので、アルミマットは無しだ。去年と比べて気温があまり下がらないので寒さは感じない。

4月24日
朝起きたら、天気は曇りだがガスってないのでホッとした。
冷え込みもなく雪は少し緩んでいて気温は4℃。今日は景鶴山経由で帰るだけなので、のんびり準備をする。

テン場からスキーで滑り降り、そのまま大白沢山の北側を巻いていく。次のピークも登らずにコルからコルへトラバース。
景鶴山への登りは西側のコルから北側を巻いて東側のコルへ向かい、東側の稜線を登る。去年は景鶴山へ行くのに西側から稜線沿いで進んでみたら岩と潅木と急斜面で大変だった。
東側のコルからは板を担いで雪稜を登り、岩の手前でザックをデポして頂上へ向かう。
景鶴山頂上は尾瀬ヶ原の眺めが良い。至仏山や燧ヶ岳の上部には雲がかかっていて今にも雨が降り出しそうだ。

ケイズル沢の上部にはクラックあり、中間にはデブリあり、滑り降りるラインを観察する。
スキー板にワックスを塗り、デポした地点からケイズル沢へ滑り込んだ。
傾斜があるが雪が緩んでいるので快適にターンができる。雪崩の危険が少なそうな立木がある斜面を滑る。
ケイズル沢の下部は緩やかな斜面が広がり、尾瀬ヶ原に向かって快適なスキーが楽しめた。

樹林帯を抜けると尾瀬ヶ原に出て、ヨッピ吊橋に着く。この吊橋は、まだ板が設置して無いので慎重に渡る。次の橋にも板が無かったが問題なく渡れた。
20年くらい前、2月の厳冬期に尾瀬ヶ原をスキーで歩いたことを思い出す。
どの橋かは忘れたが、橋の架台が細く危険で渡れなくて、濡れながら雪が積もった川を渡ったりして大変だった。

山ノ鼻にある小屋では雪かきをしていて、今日始めて人と会う。去年もそうだったが、人のいない静かな尾瀬はとても気に入っている。大昔の尾瀬にタイムスリップしたかような体験ができた。
山の鼻を過ぎたところでとうとう雨が振り出し、雨具を着て鳩待峠へ登る。
雨の尾瀬もまた良し、とても充実できた山スキーだった。

 

鳩待峠から至仏山へスタート


小至仏山の登りでガスが晴れ雲海が広がった


小至仏山に登ると景色がきれいだった

 

至仏山から平ヶ岳

 

至仏山から 左が平ヶ岳、右が燧ヶ岳、正面がムジナ沢から尾瀬ヶ原

 

猫又川二俣 今年は雪が多い

 

二俣尾根をトラバースしながら登る

 

大白沢山

 

テン場のジャンクションピークから平ヶ岳

 

午後1時から平ヶ岳へ向かう


やっと目の前まで近づいた平ヶ岳

 

歩いてきたルートを振り返ると、遠くに見える至仏山

 

平ヶ岳山頂にある観測用ポール

 

至仏山をバックに記念写真

 

平ヶ岳から滑り降りる

 

一晩過ごしたツェルト

 

テン場から見る大白沢山と景鶴山

 

景鶴山の雪稜を登る

 

景鶴山頂上も雪が多い

 

景鶴山直下からケイズル沢へ滑り込む

 

ケイズル沢中間部にはデブリがあった

 

ケイズル沢下部の快適な斜面

 

ヨッピ吊橋 川の水は濁っていた

 

鳩待峠への登り 電話線に届きそう

 

GPSログ 赤:1日目、青:2日目