acc-j茨城 山岳会日記

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片品川水系・栗原川ツバメ沢~ケヤキ沢下降

2022年06月14日 23時48分27秒 | 山行速報(沢)

2022/6/1~2 片品川水系・栗原川ツバメ沢~ケヤキ沢下降

 


長雨が訪れる前に、ひとり沢旅。
もちろん、泊付の沢旅だ。

先日の笹ミキ沢で、たなさんが推していたのを思い出し行先は栗原川にした。
滝は概ね巻くこともでき、遡下降で周回も可能。

ヤレヤレな日々に、一息つかさせていただきましょうか。


栗原川林道の追貝側終点から松ゾリ沢先まで林道を歩く。
尾根沿いを少し下って左の尾根にトラバース。
急な尾根を下ると栗原川。

さすがに「川」だけあって、水量は多い。
と思っていたのだが、下山後に過去の記録と見比べると、この日の水量は多かったようだ。

河原を左に右に歩いていくと岩塚ノ滝
川幅一杯に流れを落とす。
ものすごい水量、そして瀑風だ。

先行の釣師が二人。
彼等の流儀も踏まえて、この後の先行を申し出るのも礼儀かと、しばらく待つ。
しかし、この飛沫舞う滝つぼでの一投に集中している様子。
ならばと静かに手前左岸から巻きに入る。

滝上からはナメが広がる。
とても広大で開放的な景観だ。
水量多く「気持ちよくペタペタと」といかないのが残念だ。

右岸に石垣を見る。
大正時代、足尾銅山の木材供給地として栄えた源公平集落の跡だそうだ。

 

 

源公ノ滝を程よく快適に越え、その後もナメと容易な滝が断続する。
透明度の高い流れは川床のカラフルな瀬石たちを瑞々しく映し出し、深淵で爽やかなクリアブルーを発色する。
気分よく、ゆったりと歩く。

立ちはだかる岩壁にただならぬ雰囲気。
大膳ノ滝。
三段に滝を落とし、いずれも登攀可能とのこと。
手前、右岸のルンゼから巻きに入る。

ルンゼから左小尾根へ上がって滝場を巻く。
途中、右へと延びる踏み跡に従う。
すると石垣が散見。円覚址の一端に乗る。

石垣に導かれて尾根を越えると不動沢に掛かる円覚ノ滝上。
大膳ノ滝から始まるゴルジュ内に本流と不動沢を分けており、こちらは支流の不動沢ということになる。
滝上から懸垂下降で、ゴルジュに入り本流の5段の滝を登ることもできるのだが、ここはおとなしく難場はすべて巻く。

不動沢をしばらく遡行。
ガイドブックにあるピンクテープは見当たらず、少し行き過ぎてしまったが携帯アプリで確認、補正。
少し急な尾根を登るとどこからともなく踏み跡が現れ、コルを経て本流へと導いてくれる。

石楠花の尾根を下っていくと栗原川本流。
降り立った場所が幕場適地となっている。

さて、今日はここで一泊。
時間は正午を少し過ぎた頃。
ザックを下したなら、やることはたくさんある。


「今日は、好きに生きる」
その記念すべき時を宣言する
何ら掣肘なき、いまここで


焚火に、肴に、花陽浴。
沢旅の悦楽は幕場にあり、と言っても過言ではなかろう。
いやむしろ、必然だ。
発日、外辺、他火、給。旅はかくあるべし。

暮れゆく水辺で独り、無心にゆらぎと過ごす。
帳が降りると、水音と闇に包まれる。
孤独に震える夜があるなら、孤独を謳歌する夜があってもいい。


闇にゆらぐ、紅蓮華
爆ぜて粒子は天に舞う
底から見上げる、星の流れに


明けて、手早く朝食をとったら早めの出発。
午後は天候が崩れる予報。

ツバメ沢は時折、ナメが断続し小気味良い。
滝場は登るも良し、巻くも良し、だ。

いくつかの分岐は川床の低いほうへ行く。
林道が近くなると、ゴミを散見。
それを嘆いたところで解決はしない。
自分ができるのは、拾って持ち帰ることだけだろう。
これからも楽しめるように、できる範囲で。
前回の山行で学んだことだ。

前方に土管。林道だ。
土管をくぐって、林道に上がる。
くぐらなくても上がれるが、ここはオモシロそうな方へ。

林道をしばらく歩いて、林道分岐(ツバメ沢支線)
ここから、ケヤキ沢へと下降する。

このケヤキ沢が、また良い。
ナメに立ち止まり、森の木立を見上げると木漏れ日が溢れている。


沢ヤかな涼に吹かれながら
いきものたちの讃歌を茫然と浴びる
ただただ、石のように


10m滝は右岸巻き。
巻き道は明瞭。

最大のケヤキ沢ノ大滝は右岸を巻き上がり、ルンゼへ向けて懸垂下降となる。
30mロープで最初の懸垂。
降り立った場所に踏み跡とトラロープ。
少し巻き上がりすぎたみたい。

このルートが見いだせれば、ここから懸垂下降を始めることになる。
見回せば立ち木に巻かれた懸垂支点のスリングもある。

しかし、この支点を使うとルンゼに降り立つまで20m以上はありそう。
しかも途中で区切るにも立木がない。
ロープの長さが心配なので、大滝寄りの立ち木豊富な岩壁へと下る。

この巻きで3回の懸垂下降を要した。


滝下から見るケヤキ沢ノ大滝はこの沢の白眉。
岩壁に囲まれ落とす流れは圧巻だ。

この後現れるスリットゴルジュは、右岸左岸とも巻き下ることもできるようだが、
オモシロそうなので懸垂下降して通過する。

再びナメが現れると栗原川との出合。
初夏のような日差しに河原が照らされ、眩しかった。

 


時は云うほど永くない
漣も永遠じゃない
奔れ、放て


sak


↓ 栗原川ツバメ沢~ケヤキ沢下降の動画です