四谷三丁目すし処のがみ・毎日のおしながき

冬から春が旬である貝がそろそろ終盤、初鰹・鰈・鱸・鯵など夏の魚が出てきました。

4月3日(水)

2024-04-03 18:58:05 | 4/1~4/30


野上啓三インスタグラムsushi43nogami2←こちらに変更しました。
すべての魚・貝、天然ものです。
◇営業時間について◇火曜~土曜17:30~21:55※ラストオーダー(酒類・酒類以外全て)21:25まで
日曜お子さんデーは11:30~17:30です。※日曜はお子様の日です
店には月曜(+第一日曜日)以外10:30~営業終了+aおりますのでお気軽にご連絡ください!03-3356-0170
※レストラン予約代行サービス『オートリザーブ』でのご予約は日付・時間帯にかかわらず受け付けておりません。
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おかみノート
主人の実家はお寿司屋さん。私はなんにも知らないドシロウト。
今まで見たり聞いたり体験した 寿司屋のいろんなことを書いておきたいと思います。

『 ルミ子 』
ポスティングは続いていた。
店の準備の時間が迫っていたが、あともう少しと自転車に乗ったまま腕を伸ばしてチラシを入れようとした瞬間バランスを崩し、地面に自転車ごと叩きつけられた。
アスファルトがすぐ近くにあった。
散らばったチラシも見えた。
なにより体の上に自転車が載っていて重い。
ひっくり返ったダンゴ虫のように手足をゆるく動かしていると
「 だ、大丈夫っすかぁっ! 」
という声とともに3~4人の若い男性がすごい勢いで駆け寄ってきて自転車を起こし、そして私の両腕と胴体を持って一気に抱えあげて起こしてくれた。
みんなでチラシまで拾ってくれている。 
「あの、もう大丈夫ですので、ありがとうございました」
私がお礼を言うと
「ウッス」
「ウッス」
と照れた様子でチラシを自転車のカゴに入れ、目の前にある予備校の中に入って行った。
数人の男の子に抱えあげられて思い出した。
私はあれに憧れていた。
紅白歌合戦の小柳ルミ子だ。
いつもルミ子はバックダンサーに華麗にリフティングをされていた。
男性にチヤホヤされたことのない私はいつかやってもらいたいもんだと秘かに思っていた。
夢はこんな風に叶うのかなと思った。
「いたたた…」
倒れる時に頭をかばったらしく、首が痛かった。膝も少し血が滲んでいる。
足を引きずり、ゆっくり自転車を押しながら考える。 
今どきの若い青年が、困ってる人を助けるのは感心だなと思った。
あと、私が触れないほどバッチイ感じじゃなかったのかと思うと嬉しい。
いや、悲惨過ぎて放っておけない状況だったとも考えられる。
それとも受験生ゆえに自転車から【落ちる】という行為を否定したかった?
…まぁ、なんでもいい。
今後は若い男の子に担ぎ上げられたことしか思い出さないのだから。

『 ポスティング2 』
狭い路地の住宅が密集した場所に着くとそこに自転車を停め歩きで一軒一軒ポストに店の宣伝チラシを投函していった。
予備校の前でコケてから二週間ほど経ち首も足もだいぶ治ってきていた。
二十~三十世帯のポストが連なるマンションの一階でひとつひとつのポストに投函していると、入れた傍から私のチラシに覆い被せるようにチラシをどんどん入れてくる人が現れた。
な、なにヤツ!?と思って手もとを見ると青と黄色を基調としたデザインの引越し業者のチラシだった。
二十代半ばとおぼしき男性はおそらくバイトでやっているのだろう。
私がポストに入れると後ろから追ってきてポストに入れる。また別のマンションに行っても後ろから私のチラシに被せていく。
もー!なんか気分わるいんだけど!!
アタマにきて、その人が入れた後に入れてやろうとしばらく自転車を停めて様子を窺っているとなかなかポストに入れようとしない。
いつの間にか居なくなっていて、安心して再開するとまた後ろから入れている・・というパターンでひょっとしたら“ポストの一番上になれ!”という指令でも受けているんじゃないかと思うくらいに後からくっついてきていた。
住宅街だからなのか、二週間くらいうろうろしているとそんなふうに同じ時間帯にチラシを入れる人は他にもいて気がつけば私を先頭に全然知らない三人とか四人が並んで黙々とポストに入れていくこともあったりした。
先頭・・ってことはまた私のチラシが一番下に埋もれちゃうってことじゃん! ダメじゃん!! 
私が作るチラシは細工した折り紙のようになっていて一日に溜まったチラシの中では一番下だろうが真ん中だろうが目立つかもしれないという自負はあった。
しかし細工しているだけに発行部数には限度があり、なるべく少ない数で有効数を多くしたかった。
あのパラフィン紙のようなバカデカいペラペラのチラシたちと一緒の場所で競いたくなかった。
となると、誰もが許可無くたどり着けるところではなくただノルマをこなすだけの人が行くはずのないより関門の多い場所でなければならない。
あった。あそこだ。
警察の護衛を必要とする人が住むマンションの門には電話ボックスのような駐在所がある。
もうそこに行ってしまおうと思った。
 
翌日、赤いチェックのエプロンにサンダルという“いかにも寿司屋で旦那を手伝ってます”という説明要らずのコントみたいな格好でミニ交番を訪ねた。
「すいません、あのー、四谷で寿司屋をやっている者ですが、こちらのマンションにチラシを入れさせていただきたいのですが・・」
「え?おすしやさん?」
「はい」
「チラシ?」
「はい」
「ダメだよ」
「ダメですか・・」
「うん」
「そうですか・・」
警察の人にそうキッパリと言われると諦めるしかない。やっぱり現実は甘くはなかったと自転車を引きながらとぼとぼと歩き出すと
「たぶんダメだけどね、行くだけ行ってみたら?」
と後ろから声がした。
「上の受付のところに人がいるから、そこで訊いてみたら?今連絡入れて人が行くって言っておいたから。それでダメだったら、ダメだ」
片耳にイヤホンをしたその人は「早く、早く」と私を急き立てた。
「え、あっ?自転車は置いて・・ですか?」
「いーや、自転車ごと行って。ここ置いてかないで」
「あ、はいっ」
通してもらえたという出来事にビックリしながらアスファルトの緩やかな上り坂を自転車とともに駆け上がった。
「すいませんっ、いま交番のところで通してもらった者ですが」
「ああ、なんか、おすしやさんだって・・」
「はいっ」
「せっかく来てもらったんですけどね」
「はい」
「ここの決まりで、チラシとか、そういった類のものはポストに入れられないんですよ」
「・・そうなんですか」
「どこのものもお断りしているんですよ。残念ですが」
「・・はい、わかりました。ありがとうございました。また何か機会がありましたらよろしくお願いします」
一礼して停めてある自転車のところに向かおうとしたら
「ちょっと、待って。どこのおすしやさん?チラシ一枚見せていただきましょうか」
と言われたのでまた管理人室の小窓の場所に戻った。
「・・そうですか、始めたばかりですか。私の孫もちょうどあなたぐらいの歳でねぇ。ポストにはあれですけど、この受付のところにしばらく置いておくのは出来ますよ。それでもいいですか?」
そう言われ、十部ほど置くことをお願いして何度もお辞儀をしながら降りていった。
「どうだったっ!!オッケーだったか!?」
あまりの大声に両ブレーキをギュッとかけた。
「だいじょぶだったろ!?」
警察の人は仕事の傍ら私が戻ってくるのを待っていたようで、かなり離れたところなのに声を響かせ話しかけてきた。
「あのう、ダメでしたっ」
「え?何!?聞こえない!!」
「ダメでした!」
「ダメぇ~ッ!?何でぇ!!」
「・・えっと、最終的にはチラシを受付に・・」
「えぇ――っ?」
自転車に引きずられるように降りていき
「一軒一軒のポストには無理でした」
と報告した。
「何でぇっ!」
「えっ、何でって言われても・・」
「いーじゃねぇかなぁ!入れさせてくれたって!!」
「あ、でも受付のところには数枚置かせてもら・・」
「そーじゃなくてよぉ!ポストに入れさせてくれたっていーじゃねぇかよぉ!!別にヘンなもんじゃねぇしよ」
「はぁ、まぁ・・」
「・・しっかしケチだなぁー!そっか、ダメかぁ――」
後頭部に手をやり顔をしかめている姿を見たら嬉しくなって涙が出てきてしまった。
「あの、管理人室まで通していただきましたし、本当にありがとうございました」
「あそう?それでいいの?」
「はい!もう満足です!」
失礼しますと言いながらお辞儀をし、自転車に跨ってペダルを漕ぎ出すと
「がんばってよ!!」
と後ろから大きな声がした。
片足をアスファルトに着き振り返りお辞儀をした。
またがんばろうと思った。

明日は『シャリ』『助六寿司』です。

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◎シャリ酢あわせ 動画アップしました(1分50秒)

◎かんぴょうを煮る動画アップしました(7分30秒)

◎玉子焼き動画アップしました(6分53秒)
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1dayアーカイブ2023年~2001年4月3日のおしながき
[2023年] 野上啓三が見ている豊洲市場の風景 寿司屋の七十二候
[春分・第十一候・桜始開さくらはじめてひらく]3/26~3/30富山射水 スチームホタルイカ【動画】
・秋田男鹿半島北浦 本サクラマス 今、店
・兵庫明石 オコゼ 今、店
・三陸宮城 シャコ 今、店
・北海道釧路 姫(ひめ)ニシン 今、店
・青森 陸奥湾 サクラマス 今、豊洲
[2022年]
 野上啓三が見ている豊洲市場の風景 寿司屋の七十二候
[春分・第十二候・雷乃発声かみなりすなわちこえをはっす]3/31~4/4
・宮城 石巻 シャコ 今、豊洲
・和歌山すさみ ケンケンガツオ 初鰹 今、店
愛知 師崎 平貝と隠れエビ 今、店
・木の芽の鉢植え 今、豊洲
・神奈川 佐島 スミイカ 今、店
・長崎 対馬 紅瞳 ノドグロ 今、店[2021年][2020年][2019年][2018年]
[2017年]
『ミル貝』

007 ミル貝です。部位の名称は右上段から 柱(はしら)・ミル・ミル舌(みるした)、左下段がヒモです。小さめのミル貝でしたらおつまみの一人前はこれの四分の一、大きいものでしたら五分の一から六分の一です。なるべく各部位を召し上がっていただきたいので揃っていればそれぞれを少しずつ切り分けます。



にぎりでもおすすめです。すぐ剥いてお出し致しますので、どうぞ遠慮なくご注文ください。


『ガラスのまな板』
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トリ貝を貝殻から取り出してさばく時、主人はかなり気を遣います。
トリ貝らしい“黒色”は、指で強く持ったりざらざらしたまな板に触ったりなど、少しの摩擦でも剥がれてしまうからです。
身の下の白色が所々出てしまっては、味は同じでも商品価値に微妙に差がつきます。
ですので、なるべくつるつるした場所で仕込みます。
まな板の上にラップを敷くか、ガラスの上か。

当店ではトリ貝の仕込み用にガラスのまな板を作りました。




[2016年]コハダ、アジ、イワシです。この時期コハダは少し大きいのですが、主人が仕入れるコハダは市場に出ている中でかなり小ぶりで味のいいものを選んできています。毎日築地に通っている者の強みです。[2015年]


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002[2014年]包丁、研いでいます。4月3日築地風景
[2013年]Rimg0035_2 お通しは今季初登場の石川・七尾の新もずく酢です。築地にも今日から入荷だそうです。本日は佐島のタコを煮ます。(足のみ)



004[2012年]地ビール・オゼノユキドケ≪ホワイト≫、品薄でしたが本日たくさん入りました。

 

018



 



[2011年]



マグロの剥き身、マグロの赤身、かつお、甘海老‥



赤いネタの競演です。



『赤』といってもいろいろな赤があります。



 



Photo_2



[2010年]



活けのぼたん海老は冷蔵庫で泳いでいます。002



今日はめんたいこがあります。



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[2009年] 寒ブリが終わったと思ったら、もうワカシ、イナダの季節到来です。今日のイナダは1.2kgです。煮あさりはつまみでもにぎりでも。005



若竹煮は、熊本産の筍と三陸のわかめでつくります。



 



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