四谷三丁目すし処のがみ・毎日のおしながき

冬から春が旬である貝がそろそろ終盤、初鰹・鰈・鱸・鯵など夏の魚が出てきました。

月曜日は定休日となっております

2024-04-01 20:19:09 | 4/1~4/30

[2024年]野上啓三が見ている豊洲市場の風景 寿司屋の七十二候
[春分・第十一候・桜始開さくらはじめてひらく]3/25~3/29

・秋田 男鹿半島 本桜鱒(ホンサクラマス) 今、店
・静岡 由比 桜海老(サクラエビ) 今、店
・神奈川 佐島 オニカサゴ 今、店
・北海道 野付 厚岸 選り抜きコバシラ 今、店
・新蕗の青煮(翡翠煮)作りました
・千葉 勝浦 金目鯛 今、店
・富山 スルメイカの塩辛 今、店
・富山 スルメイカ 今、店
・三重 津 蛤(はまぐり)今、店
・三重 津 香良州(からす)アオヤギ 今、店
・富山 射水 ホタルイカ 今シーズン初入荷 今、店
・北海道 厚岸 コバシラ 今、店
野上啓三インスタグラムsushi43nogami2←こちらに変更しました。
すべての魚・貝、天然ものです。
◇営業時間について◇火曜~土曜17:30~21:55※ラストオーダー(酒類・酒類以外全て)21:25まで
日曜お子さんデーは11:30~17:30です。※日曜はお子様の日です
店には月曜(+第一日曜日)以外10:30~営業終了+aおりますのでお気軽にご連絡ください!03-3356-0170
※レストラン予約代行サービス『オートリザーブ』でのご予約は日付・時間帯にかかわらず受け付けておりません。
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おかみノート
主人の実家はお寿司屋さん。私はなんにも知らないドシロウト。
今まで見たり聞いたり体験した 寿司屋のいろんなことを書いておきたいと思います。

『かっぱ橋まで』
飲食店を始めるのにはたくさんのグラスが必要だ。

酒屋さんから無償で提供してもらうものと以前ここで営業していた居酒屋さんのもの、そして最終的に足りないものは主人の実家からいただいてそのほとんどをまかなおうと思った。
酒屋さんからもらった酎ハイ用のグラスには真っ赤なローマ字で商品名が入っていた。
居酒屋さんが置いていったビールグラスには青い文字でメーカー名が、のんちゃん寿司からもらったロックグラスには黒い文字でお酒の名前が印刷されていた。
主人は「グラスがきちんと洗ってあるかが重要でどんな高級グラスを使っているかというのは問題ではない」と言った。
実際開店してみるとお客様は開店直後の気合いを感じてくださったのか、あえてそういうものを面白がってくれた。
酎ハイグラスにプリントされている星のマークを指差しながら
「ここ、この底から二つ目の星のところの濃さで作ってね!」
と言ったりしてくれていたので私もそれでいいと思っていた。

オープンして二年半になろうかという頃のことだった。
いつも来てくださる方が初めての方を紹介するからとお客様をおひとり連れて来てくださった。
暑い日だった。
まずは冷たいお茶をということで酎ハイグラスにたっぷりと入れた冷茶をお出ししたら“商品名のプリントされたグラスを出すようなお店にあなたは来ているのですか?私はちょっと遠慮したい”というようなことを遠回しに言われてしまった。
連れて来てくださったお客様は黙っていた。
私はギクッとした。
自分の中ではっきりとした意志が固まっていなかったからだ。
「実は買い替えたいと思っているんですよ。やっぱり無地のグラスですよね」と言い切るほど替える必要性を感じていなかったし「名入りのグラスでもぜんぜん問題ないじゃないですか。うちはずーっとこのままですよ」と笑い飛ばすほど吹っ切れてもいなかった。

それから数日後、ランチの営業が終わってすぐ出掛ける準備をした。
「かっぱ橋行ってくる」
「今から!?」
主人が驚くのも無理はない。グラスの買い替え問題は保留のままだったからだ。
「グラス買いに行くの?」
「そう」
「全部?」
「いや、さすがに予算的にキツイ・・っていうか本当は何も買えないくらいキツイ。でも酎ハイグラスとビールグラスだけはど――しても替えたい。ど――しても。何だかわからないけど、急に替えなくちゃダメって気になって」
「何も今行かなくてもいいじゃない。今度の休みに行けば」
「い―や、今日の営業に差し支える。買って帰ってこれる時間がギリギリでもあるのに行動に移さないで、全力を尽くさないまま夜の営業に妥協した気持ちで臨みたくない。そんな腐った気持ちでやったら絶対伝わる。それは絶対によくない」
「・・じゃあ気を付けてよ。無理に急いで帰ってこなくてもいいから」
「だいじょうぶ間に合うから」

ロックグラスが並んだ棚を眺めながらお会計を待っているとお店の人から声を掛けられた。
「ええと今ならまだ配送間に合うから・・明日の午後には着きますけど」
年配のその人は下がり気味の眼鏡の上からちらりと私を見た。
「今日使いたいんで持って帰ります」
仁王立ちのまま言った。
「・・ああ、そう。え―っと、十六と十六、三十二ありますよ。お連れの方が?」
「ひとりです」
「えっ・・」
ボールペンを持ったまま絶句しているその男性のもとに先ほど接客してくれた息子さんらしき人がビニール紐を持って戻ってきた。
「いやオレも言ったのよ。そしたら都内で大丈夫だって言うからさ、二個ずつ振り分ければいいかな」
「はい、すいません」
「都内ってどこ」
「四谷三丁目です」
「はー」
「オヤジほら早く手伝って」
「ああ」
お店の人はグラス六個入りの箱を二個ずつ紐で縛り手の部分にプラスチックの持ち手を付けてくれた。
「あと八個、八個・・・どうしようかな。肩に掛けるくらいっきゃもう身体空いてないよねぇ・・」
「あれは?商店会で作った」
「ああ、あれか。ん―、あと二枚か三枚なんだ・・・いいや!お嬢ちゃんだからやっちゃおう!」
お父さんはレジ横の引き出しから不織布で出来た紺色の大きなバッグを取り出した。
「かっぱちゃん!かっぱちゃんのプリント!ほら、かわいいでしょー。去年お祭りで作ったんだよ。これなら拡げりゃ箱ひとつかふたーつ入るだろ、な、な?」
息子さんは喋っているお父さんからその手提げバッグを取り上げると手際よく六個入りの箱ひとつと緩衝材に包まれた二個のグラスを入れて肩に掛け、両手に紐で縛った箱を持って二度三度しなり具合をチェックしながら
「オッケー、これで大丈夫でしょう」
と言って私に持たせてくれた。
しばらく歩き振り返ると心配そうに見送っているお二人の姿が見えた。
「気を付けて―!」
お父さんは手を振ってくれている。その言葉に頷きながら向き直った。肩のかっぱちゃんをもう一度背負いなおし両手にぐっと力を込めて持ち上げた。
重い。
思ったより重い。
そして背中にまだ視線を感じる。
格好をつけて商店街の端っこまでノンストップでガンガンに歩きたかったが二十メートルおきに休憩しながらが精一杯だった。
かっぱ橋通り商店街の入り口、洋食器のニイミに到着した。ニイミの巨大コック像はビルの屋上にある。信号を渡って少し距離を置いたほうがよく見えた。
「ニイミのおっさんよぉ・・。私のしていることは合ってますかね?」
まっすぐ前を見つめて動かない像に問いかけてみた。
銀座線田原町まであともう少し。

ありがたいことに四時過ぎの地下鉄の車両は五時台ほどは混んでいなかった。
赤坂見附で丸の内線に乗り換え四谷三丁目の二番出口を出た頃には首と腕と指の筋肉はほぼ麻痺していた。掛け声だ。掛け声を掛けないともう持ち上げられない。目に飛び込んだ看板の文字を心の中で思いっきり叫んだ。
「だ、い、ま、す、の、すまいだ――――っ!!!!」
その勢いで少し進んだがまた力が尽きた。妻家房の前で荷物を置いたらわるいのでもう少し粘って数メートル先まで進んだ。
痛む手をさすりながら私は何をしに行ったのだろうと思った。
我を通しに行っただけだ。しかもグラスを買ったお店の人に手厚い協力までしてもらって。
二年半というなんともあいまいな時期に、方針が定まっていなくって、二種類だけ替えるのが正解かも分からないまま何を中途半端なことを、さも一生懸命やってますみたいな顔をしてやってんだと思った。
店に辿り着くと主人が荷物の多さを見て少し驚き
「ごくろうさん。すぐ使いたいんでしょ、洗うからシール剥がしてこっちによこして」
と言った。
開店までギリギリの時間だった。主人にも迷惑をかけてしまった。しかもそこまでして替えたグラスだったが評価はあまりよくなかった。いままでのでよかったんじゃないの、と。
でも結果がどうであれもがいてよかったと思う。
もがかないよりもがいたほうがいいと思うから。


『 かんぴょうの種 』 
「もう一回言いますけど、最高級なんですよね?」
扉を開けたら主人の怒鳴り声が飛びこんできた。
「おかしいでしょ?これで二回目ですよ!?・・ええ、はい明日持って寄りますよ、よろしくお願いします」
電話を切る主人を見た。
「なんかすごい怒ってるね」
「え・・あ、オレ?」
「どうしたの」
「いや、種がさ」
「種?」
「混じってんのよ」
「何に」
「これ」
突き出された手にはクッションのように押し込められたビニール袋入りの干したかんぴょうがあった。
「わかるでしょうよ、ほら、これ、この部分。ポツポツポツって」
カウンターに手を着き、身を乗り出しながらビニール越しの太い白い平ゴムのようなかんぴょうに目を凝らした。
「えー・・見た限りではよくわかんないけど・・」
すると主人はかんぴょうの束を取り出し、一本を選んで私に見せた。
「あー、このかけらみたいなやつね。なんだかカボチャのタネって感じだねー」
白いかんぴょうに薄っすらクリーム色の種のかけらが数センチ間隔に並んでいた。
「築地でこれ以上のものはないっていうランクのものを買ってるのね」
「はい」
「今まで三~四回は全く問題なかったんだけど、先週のに種が混じってて」
「おー」
「アッタマきて速攻抗議して替えてもらって」
「おー」
「これなわけ。また混じっているわけ」
「おおー・・」
主人はまたかんぴょうの束をビニール袋に入れた。
「えー、種が入ってるとそんなにダメなの?」
「口にあたるでしょ」
「あーそうか。でも丁寧に手で取れば大丈夫なんじゃない?」
「種に近い部分って軟らかいんだよ」
「それがダメなの?」
「表面に近い部分と全然違うから、水に戻すのも、火入れも味付けの滲み込み具合も、とにかく話しにならないくらい種の付近のものはダメなんだ」
「へぇ~。でも何で種が入るんだろう・・」
「かんぴょうって何から出来てるって知ってる?」
「うーんイマイチわかんない。なんか、ひょうたんみたいなんだっけ」
「夕顔の実を剥いていくんだよ」
「夕顔?」
「丸くて大きな実」
「ふーん」
「瓜科だからね。例えばそうだな・・身近なものでキュウリがあるじゃない。表面の緑の皮からカツラ剥きみたいにクルクル剥いていくと外側に近い部分は硬めな感じじゃない?スイカで想像してもいいけど。で、どんどん中心に向かって剥いていくと軟らかくなって水分が多くなって種が・・」
「入ってる!」
「そこ、そこなの。今オレが困ってるのは。かんぴょうにおけるそこの部分が入っちゃってることに怒っているの。安いものだったら在り得るんだけど、オレが仕入れてるかんぴょうは絶対にそんなことがあってはならないの。肉厚で、種から一番遠いところのばっかりで、質がいいものだけを選りすぐった特選のかんぴょうしか仕入れないんだから」

“かんぴょうだけは安ものを使うな。うんといいものを使え” 

と修行先の親父さんからずっと教えられてきたんだと主人は言った。

明日は『昭和のサンプル』『ポスティング』です。

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◎シャリ酢あわせ 動画アップしました(1分50秒)

◎かんぴょうを煮る動画アップしました(7分30秒)

◎玉子焼き動画アップしました(6分53秒)
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1dayアーカイブ2023年~2001年4月1日のおしながき[2023年][2022年][2021年][2020年]
[2019年]野上啓三が見ている豊洲市場の風景 寿司屋の七十二候
[春分・第十一候・桜始開さくらはじめてひらく]3/26~3/30
・久しぶり 大阪湾 藁めざし 小羽イワシ 今、店
・青森 八戸 イガウニ キタムラサキウニ 今、店
・大阪湾 小イワシ 今、豊洲
・千葉銚子 マカジキ 今、豊洲
・香川観音寺 赤貝 千葉富津 トリ貝 今、店
・三重 五味塚 蛤(ハマグリ) 今、店
[2018年]野上啓三が見ている築地の風景 寿司屋の七十二候
[春分・第十候・雀始巣すずめはじめてすくう]3/21~3/25
[春分・第十一候・桜始開さくらはじめてひらく]3/26~3/30
[春分・第十二候・雷乃発声かみなりすなわちこえをはっす]3/31~4/4

・千葉 勝浦 引縄 初鰹 今、店
・宮城 荒浜 マコカレイ シーズン初入荷 今、店
・長崎 平戸 白イカ 今、築地
・本日の一番魚(いちばんざかな=築地の競りで一番) 淡路沼島ぬしま 真鯛 今、築地
・北海道浜中 アオヤギ 今シーズン初入荷 今、築地
・北海道久遠 空輸 生ボタンエビ 今、店
・たまたま入荷 北海道小樽 蝦蛄 今、築地
・熟練の職人さんにより設置作業順調に終わりました。
・約18年間お疲れ様でした ネタケース冷却モーター交換
[2017年] 達磨いか・アジ・ほたる・かすご・アオヤギ・レアうに・ぼたん・とり貝新規入荷です。 
[2016年][2015年]泳ぎで入ってくるほたるいか、氷水に入れたまま運び、ご注文をいただいてから茹でます。ワタがあっさりしているというお声を頂戴することが多いです。銚子で獲れたきんめ鯛(=ちょうきん)という、きんめ鯛界のトップスターの座を揺るがす存在が入ってきました。千葉勝浦のきんめ鯛です。春、今の時期ならではの真鯛の白子が入りました。天然ものです。塩焼きでどうぞメニューカバーかえました。

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[2014年]メニュー、つくりかえました。001
0064月1日築地風景
006[2013年]塩をして酢に浸ける。いわゆる“酢〆”という技法です。仕入れてきた魚の旨味をひき出すためにやります。〆鯖、〆鯵、〆鰯などがよく登場するネタでしょうか。写真は桜鱒をルイベにしたものを〆ているところです。店を始めたばかりの頃、せっかく酢〆にしたものがほとんど出なくて参りました。ある日お客様が仰いました。「だって傷みそうな古い魚だからそうしてるんでしょ?だったら生でフレッシュなほうちょうだいよ。〆てないやつ」わかっていただくには繰り返しご説明するしかないと主人は何年も何年も「仕入れてきて同時に生でいくものと酢〆にするものとに分けています。生で素晴らしくいいものを〆るとまたすごくいいんです」とずっと言い続けてきました。今はもうお話しなど必要なくなりました。ご説明などしなくても、お客様が生のもの、〆たもの、どちらも同じように愉しんで選んでくださっているからです。これから青魚がどんどん出てきます。いろいろな青背の魚を味わってみてください。

004[2012年]通年出回るタイラ貝ですが、当店が仕入れる時期は2月~4月頃が中心になります。



 



 



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[2011年]



002煮あさりはひとつずつ殻から剥いて仕込みました。



おが屑の中の活大車海老(いけおおぐるまえび)は、茹でたてを握るのがおすすめです。一尾で二貫分たっぷりとれます。

*お知らせ*※地震によるビル屋上貯水タンク破損取り換え工事のため、  2011.4/2(土)の営業は13:00~17:00(LO16:30)                        とさせて頂きます。

 

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[2010年]先週から北海道の熊石、積丹、島牧と甘海老の入荷が続いています。今日の小樽産 も「ビカビカにいい」とのことです。とり貝は大きいので貝一個でにぎり二貫どりになります。しまあじ、昨年は屋久島のものが何本か入りましたが今回は串木野で、同じような感じのものだそうです。1.6kgの半身を仕入れました。

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[2009年]大阪湾の小羽いわしが小さくて太っていてだんだんよくなってきているとのことです。001_3

2008年4月1日データはありませんでした。



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