七瀬と周藤の戸籍を正式に弁護士を立てて改めたが受理は先だと保留にされたと言われ待つことにした。
外国人という身だったことで書類の不備は何とかという弁護士にホッとした二人もいた。
離れない清瀬を七瀬は陽緋へ頼み預けた・・・元の場所から やり直す事にして、清瀬は陽咲と陽緋と共に帰って行った。
奏大の弁護士に任せ母親へ頼み込んだ陽緋・・・向こうの話をして元の場所へ帰る事にした。
車のエンジンの音に、笑みを浮かべて出揃う人達の中へ戻れた嬉しさが陽緋に沸き起こった。
抱かれた二人・・・その姿を見ていた陽緋に違和感を持ち瀧川は部屋へ連れ出した。
『返すのか?』
『養子に・・・』
『本当の親だしな・・・』
『離れたくなくて陽咲も清瀬も熱まで出して・・・』
『だから迷うのか?』
そうだと頷く陽緋を抱き寄せた。
背から新たな腕が伸びて苦笑いをした陽緋だった。
『徳丸さん(笑)どうせなら一緒に暮らしたら?私出るけど?』
『(笑)引っ越してるぞ、ココから通ってるんだ。臨時にしたから二人の世話もしてやる』
だから働けと笑う徳丸は改めて呟いた・・・
『徳丸(笑)改め、瀧川那祇と言います。妹よ(笑)兄さんと呼べ』
『(笑)兄さんでいい?』
『雅弥は兄貴だろ?(笑)那祇兄貴でも良いぞ』
笑って呟く那祇に笑み返し、笑いながら抱き締めた陽緋だった。
『さっそくだが、陽緋の件で問い合わせありだ(笑)、榊グループの谷口という男を知るのか?』
苦笑いをして頷いた陽緋
『理由は?』
『本当の妹かと(笑)雅弥のな・・・社長が出ると声にせず(笑)偶然俺が出た時に聞いたんだ。
次は代理の者とか言って(笑)濁した話し方だった・・・
同じ場所だが、調べは別々の気がしたんだが・・・』
そう言いながら陽緋を見つめた。
『榊グループ筋で陽緋を捜索中みたいだぞ(笑)』
何をしたと陽緋を問う二人の目付きに苦笑いしかない・・・
『ホテル暮らしをしたなら、息子あたり(笑)。系列カフェからなら、娘あたり・・・何処かに繋がりを持ったな?』
二人に言われて深い深い ため息をした陽緋・・・声にもしたくなくて自分の部屋へ手を振りながら逃げた。
高田が子供たちを部屋へ連れてきてくれた。
久しぶりだと騒ぐ二人に優しく見つめる瀧川達だったが・・・
『陽咲ー(笑)清瀬ー(笑)』
雅弥が呼んだ・・・
『パパは?』
那祇が呟く・・・
『スーく(笑)オッ?』『(笑)オッミ』
笑って呟く二人に訝しげ、それが可笑しくて声にして笑う子供たちだった。
『七瀬が、スーく・・・ん?』
『陽緋は、オッミ?』
それぞれに言った言葉に笑うしかない・・・ベッドから頭をあげて驚いて陽咲達を見ていた陽緋・・・力なく倒れた姿に那祇が体を揺らす程に笑うのだった。
忙がしい日々に、自分を解放するように働く陽緋だった。
休みは子供たちを連れ出して遊びに出かけた。
毎晩のようにテレビ電話で七瀬と話す習慣にして清瀬の意識を強めた。
迷いなくママと声にする清瀬にホッとした二人・・・陽咲もキーママと呼ぶ事に笑った。
パパねと眺める清瀬を羨ましそうに見つめる陽咲を抱く那祇だった。
だからかオッミを知りたい那祇は、笑みながら陽咲と話をする。
本当の父親と思い込み陽咲が声にする事は誰も止めなかった。
仕事の以来だと陽緋を呼んだ瀧川・・・ドアを開けて固まる陽緋に笑い、内容を話した。
仕事顔の陽緋を観察する人達・・・バタバタと駆け込む子供の足音に瀧川は謝った。
『(笑)どれだけの子が?』
女性の呟きに苦笑いをして声にした。
『今は三人です(笑)、スタッフの子達ですから』
『仕事に支障は?』
『(笑)申し訳ない・・・今日は一件のみなので、許可を出していました。
よければ、お子さんも遊びますか?奥にプレイルームがあって(笑)楽しいですよ?』
『(笑)遊ぶ!』
静かにしていた子が呟いた・・・瀧川は誰かに連絡をする。
奏太が静かに顔を覗かせた・・・
『おいで(笑)』
『奏太(笑)お前より お姉さんだぞ?』
『そっか(笑)遊ぼ! ヒナー!』
『あーい!』『待って!』
続く声に苦笑いをした瀧川は、遊べと促し高田へ頼んだ。
『ユーキー!』
喜びの声に子供たち笑い声が小さくなって行った。
パソコンを使っていた陽緋の口が笑う・・・珍しいと他のスタッフさえ呟きながらも、話の中味を調整していった。
陽緋は会釈して出ていく・・・廊下で捕まり腕の中へ連れ込まれた。
おー!という どよめき・・・苦笑いをして彼を離すと陽咲に迷わずに会いに行く晴臣だった。
気づいた陽咲が駆け寄り・・・何も言わずに抱き上げた晴臣に抱き付いた陽咲もいた。
やっと会えた嬉しさで離さない陽咲・・・苦笑いをして陽緋は仕事に戻るのだった。
戻れば子供たちは居なかった事に陽緋は気づき瀧川を眺めた。
『夕食?食べてから返すとさ(笑)。連絡待ちしとけと伝言だ』
『マジか・・・』
『自分の子のように接しててホッとしたぞ(笑)良かったな・・・』
那祇が帰って来たが、居ないと聞いて つまらなそうに部屋へ戻って行った。
迎えに行き、眠る二人を車に乗せた陽緋・・・苦笑いをして助手席に乗り込む彼に驚いた。
ドライブだと呟く晴臣に、笑う陽緋は車を走らせ街を案内した・・・
『本当は・・・街中を一緒にいる姿も見せたくない・・・』
呟く晴臣に何の事だと車を停めて彼を見つめた。
『ホテルで・・・陽緋に会いに来た男が陽咲の父親か?』
『 ・・・』
『不穏な客はチェックするしな・・・前の部屋に入り込んでる映像も確認もした。
直ぐに出たが無事を確認させて・・・大丈夫だったとホッとしたんだ。
それは陽緋の部屋だと知ったのは後で・・・身元をこっちで調べて貰ってた。
ごめん、どうしても気になったから・・・繋がらないように大手に頼んだから大丈夫だとは思う・・・
陽咲は連れてかれないよな?』
『大丈夫・・・その場に連れてく気も無かったし、産まれて一年後に知ったから来ただけの事で・・・』
『完全に切れてるのか?』
『ん・・・陽咲に言う事も絶対にない・・・私だけの子・・・誰かに渡す気もない』
『陽緋は?』
『妊娠に気づく前に切って出たから大丈夫・・・残してない』
気持ちはないのだと言い切った陽緋を抱き寄せる・・・ホッとした晴臣と気づく。
ありがとうと呟く陽緋にキスをして、よりキツく抱く手に苦笑いをした。
『聞いていいか?』
その言葉に・・・その意味に気づいた。
話そうと、今なら言えると彼女は声にし過去という昔話を始めた・・・ジッと耐えるような顔の晴臣だった。
『だから産めた?』
『たくさん考えて・・・それでも微かに繋がった自分を残したくて・・・
絶対に交ざらないと思えたし、自分が生きる先に居たら幸せだと思えたから・・・かな。
代わりに出して自由にしてあげたかったから・・・そんな気もする。
産まれた陽咲が愛しくて・・・』
『彼の子だから・・・』
『何度も考えたけど、父親という存在は陽咲に重ならなかった。
陽咲だから・・・自分の子だから産めたのかも・・・
あの場所から出た時も、彼に支えはあったと迷わず 悩まずに出れた・・・心の奥から愛した人という想いは無かった・・・繋がる前に出たし。
それは彼も気づいてた・・・自分の子が産まれる前にって・・・最初で最後にって子供を抱きに来ただけだから。
多少は残るのかもしれないけど・・・私とは切って欲しいし、彼も区切りはつけたと思う』
良かったと微かに呟く晴臣に、優しく笑み返す陽緋だった。
『残りは聞けるのか?』
『(笑)出ないのね・・・私の親が隠してる・・・暫くは出さないって事ね・・・』
自分を調べていた調査の結果だろうと言ってみた。
『(笑)絞られるぞ?』
『ん・・・貴方の身内に利用される気もないけど・・・貴方を巻き込む事は嫌だ・・・頑張って逃げてよね』
『あー自信ねー』
思わず呟く晴臣に苦笑いをした。
『繋がりは怖いと姉貴が言った(笑)、より強固に・・・そう言って親族が手を使い出してるんだぞ?
政略結婚に俺を使うのかって(笑)キレてやった・・・』
思い出したのか、笑って呟く晴臣を眺めた。
『パーティの計画を事実にする(笑)暫くはな。
俺はホテル業務が好きでやってる、巻き込むなって姉貴に言ってあるしな(笑)彼女が何とかする・・・』
『頼んだ(笑)。私は最初から交ざってないし、交ざる気もない・・・』
『それで一人で育てて来たのか?』
『(笑)運が良いだけ・・・巡りあって(笑)助けてくれて・・・スタッフも兄弟みたいで・・・』
『兄弟は?』
『(笑)濁しとく・・・固定して知ったら不味くない?(笑)顔に出そうよ?』
『あー仕事なら出ない自信はある・・・谷が俺を鬼と呼んだから(笑)出た事はないと思うぞ』
『なら聞かないで(笑)』
だなと笑みを浮かべた晴臣は、寝ていた二人を眺めた。
『離したくないな・・・周藤さんは諦めねーかな・・・』
『七瀬が無理(笑)。頑張って逃げ延びて子供を守る為に預けた想いが残ってるし・・・
清瀬も陽咲も大丈夫(笑)愛してる七瀬達もいるし私もオミもいる・・・』
笑みの中で穏やかな顔の二人・・・その寝顔に微笑む陽緋だった。
自分を見つめる眼差しに照れた陽緋もいた・・・何だと見返す度にキスをする。
『自宅を替えろ(笑)俺が泊まれないだろ』
『ん?泊めれるけど?』
『(笑)襲えねーだろ、俺は抱きたいの!陽緋に(笑)触りたいんだ!』
『 ・・・部屋、見た?』
『陽咲と清瀬に呼ばれたし(笑)。
あの区切りはヤバいだろ・・・家具だけの仕切りって(笑)』
あり得ないと呟く晴臣に微笑んだ。
動く陽咲に合わせリフォームし使い勝手よく仲良く暮らしてきた。
瀧川達の部屋には扉はある・・・多少の書類もあり悪戯防止に扉をつけたのだ。
陽緋の場所は逆に動けるようにカーテンで区切った・・・
個室は水関係と瀧川の部屋だけだったのだ。
低いベッドに替えて転落しても安全にし厚みのあるマットレスだけだった。
三人でも余裕で寝れる広さも、クローゼットもある・・・ただ肝心な壁と扉が無かった。
思い出したように笑う陽緋に、苦笑いをして口付ける晴臣だった。
狭さもある車内にムカつく彼、諦めろとキスをした陽緋・・・
『(笑)俺の部屋に谷が寝てる・・・も一つ借りとくんだった・・・』
『仕事に徹して(笑)』
『するが・・・な・・・』
ドアを開けると足を出して彼女を無理やり引き寄せ、膝に彼女を乗せた晴臣に驚いた・・・
『一つ忠告を(笑)、ひと気もないけどココにも防犯カメラは存在してるの・・・さらけだす気はない(笑)』
『ん?ヤバい?』
『物凄く(笑)』
街灯の下にあるカメラを指さして笑う陽緋に、仕方ないと諦めた。
最終日に時間を貰った晴臣・・・那祇に子供たちを頼んで陽緋を連れ出した。
有無はなくドライブをして迷わずに連れ込んだ晴臣に呆れた。
『次の楽しみにしない?』
『次は次(笑)、それまで我慢する俺を助けろよ・・・』
早々に手順よく促す晴臣・・・全部に手を出して会話を楽しんだ。
話しながら襲い、余韻に浸りながら触れ少しも離さない彼に苦笑いをした。
『まったく・・・』
『ん?さすがに何十個も準備はしてないぞ?(笑)専用に詰め込んで来てんだ・・・構うな(笑)』
驚いた顔に笑み口付ける・・・熱さに溺れていくようだった。
仰け反る陽緋へ食らいつくように触れる唇が巡る・・・返せと運び絡まり始め昂りは止めどなく続いた。
震え跳ねていく身へキスを落とし、追い込み追いこまれて浸る二人だった。
目覚めても外は真夜中で苦笑いをした陽緋・・・身動き一つさえ出来ず痺れた感覚は消えなかった。
優しい触れも心地好く・・・微かな揺れに焦るが小さな彼の唸りに見つめると照れた晴臣と微笑んだ。
キスをして抱き寄せる彼に腕を回して凭れた。
『倒れる(笑)』
『な(笑)』
互いの小さな囁きも、熱さで包まれた。
『これだけ幸せで・・・あとから何かが来るようで怖くなる・・・』
抱き込まれた温かさに浸る陽緋の呟きだった。
『不思議と俺らは誰かの力で守られてる気がする(笑)。
俺らは密かに利用して自分達を切り離す力をつけような・・・』
迷いなく決めたら突き進む晴臣と思えた・・・それは自分の道を自分で決めて進む事だ・・・互いに似ていたのかと思え彼に笑み返した。
『陽緋(笑)俺らは溺れてる・・・可笑しな自分の体をもて余してる・・・だからその、笑顔で煽るな(笑)』
『し、してない・・・』
『(笑)陽緋もだろ』
手を運んだ・・・ほらなと笑うと忍ばせた晴臣もいた。
ビクつく身に可笑しくて、唇に触れ絡ませる ・・・繰り返し跳ねる陽緋・・・沈ませた中で震える晴臣・・・吐き出した熱さに酔いしれるように抱く二人だった。
一人で帰って来た陽緋に、陽咲が抱き付き泣き出した。
理由は陽咲が声にして気づき苦笑いをした・・・清瀬と一緒に怒り出した事で、可笑しくて笑う陽緋を睨む姿が可愛かった。
怒っていると意思を示す二人・・・奏太が遊びに来たと知り清瀬が出迎えにいった。
そっと抱き寄せた陽緋・・・
『会いに来るって(笑)、笑って待ってなきゃね』
『オッミ・・・』
そうだと笑み頷いた陽緋を見つめた陽咲もいた。
それでも寂しくて陽緋から暫くは離れなかった陽咲だった。
外国人という身だったことで書類の不備は何とかという弁護士にホッとした二人もいた。
離れない清瀬を七瀬は陽緋へ頼み預けた・・・元の場所から やり直す事にして、清瀬は陽咲と陽緋と共に帰って行った。
奏大の弁護士に任せ母親へ頼み込んだ陽緋・・・向こうの話をして元の場所へ帰る事にした。
車のエンジンの音に、笑みを浮かべて出揃う人達の中へ戻れた嬉しさが陽緋に沸き起こった。
抱かれた二人・・・その姿を見ていた陽緋に違和感を持ち瀧川は部屋へ連れ出した。
『返すのか?』
『養子に・・・』
『本当の親だしな・・・』
『離れたくなくて陽咲も清瀬も熱まで出して・・・』
『だから迷うのか?』
そうだと頷く陽緋を抱き寄せた。
背から新たな腕が伸びて苦笑いをした陽緋だった。
『徳丸さん(笑)どうせなら一緒に暮らしたら?私出るけど?』
『(笑)引っ越してるぞ、ココから通ってるんだ。臨時にしたから二人の世話もしてやる』
だから働けと笑う徳丸は改めて呟いた・・・
『徳丸(笑)改め、瀧川那祇と言います。妹よ(笑)兄さんと呼べ』
『(笑)兄さんでいい?』
『雅弥は兄貴だろ?(笑)那祇兄貴でも良いぞ』
笑って呟く那祇に笑み返し、笑いながら抱き締めた陽緋だった。
『さっそくだが、陽緋の件で問い合わせありだ(笑)、榊グループの谷口という男を知るのか?』
苦笑いをして頷いた陽緋
『理由は?』
『本当の妹かと(笑)雅弥のな・・・社長が出ると声にせず(笑)偶然俺が出た時に聞いたんだ。
次は代理の者とか言って(笑)濁した話し方だった・・・
同じ場所だが、調べは別々の気がしたんだが・・・』
そう言いながら陽緋を見つめた。
『榊グループ筋で陽緋を捜索中みたいだぞ(笑)』
何をしたと陽緋を問う二人の目付きに苦笑いしかない・・・
『ホテル暮らしをしたなら、息子あたり(笑)。系列カフェからなら、娘あたり・・・何処かに繋がりを持ったな?』
二人に言われて深い深い ため息をした陽緋・・・声にもしたくなくて自分の部屋へ手を振りながら逃げた。
高田が子供たちを部屋へ連れてきてくれた。
久しぶりだと騒ぐ二人に優しく見つめる瀧川達だったが・・・
『陽咲ー(笑)清瀬ー(笑)』
雅弥が呼んだ・・・
『パパは?』
那祇が呟く・・・
『スーく(笑)オッ?』『(笑)オッミ』
笑って呟く二人に訝しげ、それが可笑しくて声にして笑う子供たちだった。
『七瀬が、スーく・・・ん?』
『陽緋は、オッミ?』
それぞれに言った言葉に笑うしかない・・・ベッドから頭をあげて驚いて陽咲達を見ていた陽緋・・・力なく倒れた姿に那祇が体を揺らす程に笑うのだった。
忙がしい日々に、自分を解放するように働く陽緋だった。
休みは子供たちを連れ出して遊びに出かけた。
毎晩のようにテレビ電話で七瀬と話す習慣にして清瀬の意識を強めた。
迷いなくママと声にする清瀬にホッとした二人・・・陽咲もキーママと呼ぶ事に笑った。
パパねと眺める清瀬を羨ましそうに見つめる陽咲を抱く那祇だった。
だからかオッミを知りたい那祇は、笑みながら陽咲と話をする。
本当の父親と思い込み陽咲が声にする事は誰も止めなかった。
仕事の以来だと陽緋を呼んだ瀧川・・・ドアを開けて固まる陽緋に笑い、内容を話した。
仕事顔の陽緋を観察する人達・・・バタバタと駆け込む子供の足音に瀧川は謝った。
『(笑)どれだけの子が?』
女性の呟きに苦笑いをして声にした。
『今は三人です(笑)、スタッフの子達ですから』
『仕事に支障は?』
『(笑)申し訳ない・・・今日は一件のみなので、許可を出していました。
よければ、お子さんも遊びますか?奥にプレイルームがあって(笑)楽しいですよ?』
『(笑)遊ぶ!』
静かにしていた子が呟いた・・・瀧川は誰かに連絡をする。
奏太が静かに顔を覗かせた・・・
『おいで(笑)』
『奏太(笑)お前より お姉さんだぞ?』
『そっか(笑)遊ぼ! ヒナー!』
『あーい!』『待って!』
続く声に苦笑いをした瀧川は、遊べと促し高田へ頼んだ。
『ユーキー!』
喜びの声に子供たち笑い声が小さくなって行った。
パソコンを使っていた陽緋の口が笑う・・・珍しいと他のスタッフさえ呟きながらも、話の中味を調整していった。
陽緋は会釈して出ていく・・・廊下で捕まり腕の中へ連れ込まれた。
おー!という どよめき・・・苦笑いをして彼を離すと陽咲に迷わずに会いに行く晴臣だった。
気づいた陽咲が駆け寄り・・・何も言わずに抱き上げた晴臣に抱き付いた陽咲もいた。
やっと会えた嬉しさで離さない陽咲・・・苦笑いをして陽緋は仕事に戻るのだった。
戻れば子供たちは居なかった事に陽緋は気づき瀧川を眺めた。
『夕食?食べてから返すとさ(笑)。連絡待ちしとけと伝言だ』
『マジか・・・』
『自分の子のように接しててホッとしたぞ(笑)良かったな・・・』
那祇が帰って来たが、居ないと聞いて つまらなそうに部屋へ戻って行った。
迎えに行き、眠る二人を車に乗せた陽緋・・・苦笑いをして助手席に乗り込む彼に驚いた。
ドライブだと呟く晴臣に、笑う陽緋は車を走らせ街を案内した・・・
『本当は・・・街中を一緒にいる姿も見せたくない・・・』
呟く晴臣に何の事だと車を停めて彼を見つめた。
『ホテルで・・・陽緋に会いに来た男が陽咲の父親か?』
『 ・・・』
『不穏な客はチェックするしな・・・前の部屋に入り込んでる映像も確認もした。
直ぐに出たが無事を確認させて・・・大丈夫だったとホッとしたんだ。
それは陽緋の部屋だと知ったのは後で・・・身元をこっちで調べて貰ってた。
ごめん、どうしても気になったから・・・繋がらないように大手に頼んだから大丈夫だとは思う・・・
陽咲は連れてかれないよな?』
『大丈夫・・・その場に連れてく気も無かったし、産まれて一年後に知ったから来ただけの事で・・・』
『完全に切れてるのか?』
『ん・・・陽咲に言う事も絶対にない・・・私だけの子・・・誰かに渡す気もない』
『陽緋は?』
『妊娠に気づく前に切って出たから大丈夫・・・残してない』
気持ちはないのだと言い切った陽緋を抱き寄せる・・・ホッとした晴臣と気づく。
ありがとうと呟く陽緋にキスをして、よりキツく抱く手に苦笑いをした。
『聞いていいか?』
その言葉に・・・その意味に気づいた。
話そうと、今なら言えると彼女は声にし過去という昔話を始めた・・・ジッと耐えるような顔の晴臣だった。
『だから産めた?』
『たくさん考えて・・・それでも微かに繋がった自分を残したくて・・・
絶対に交ざらないと思えたし、自分が生きる先に居たら幸せだと思えたから・・・かな。
代わりに出して自由にしてあげたかったから・・・そんな気もする。
産まれた陽咲が愛しくて・・・』
『彼の子だから・・・』
『何度も考えたけど、父親という存在は陽咲に重ならなかった。
陽咲だから・・・自分の子だから産めたのかも・・・
あの場所から出た時も、彼に支えはあったと迷わず 悩まずに出れた・・・心の奥から愛した人という想いは無かった・・・繋がる前に出たし。
それは彼も気づいてた・・・自分の子が産まれる前にって・・・最初で最後にって子供を抱きに来ただけだから。
多少は残るのかもしれないけど・・・私とは切って欲しいし、彼も区切りはつけたと思う』
良かったと微かに呟く晴臣に、優しく笑み返す陽緋だった。
『残りは聞けるのか?』
『(笑)出ないのね・・・私の親が隠してる・・・暫くは出さないって事ね・・・』
自分を調べていた調査の結果だろうと言ってみた。
『(笑)絞られるぞ?』
『ん・・・貴方の身内に利用される気もないけど・・・貴方を巻き込む事は嫌だ・・・頑張って逃げてよね』
『あー自信ねー』
思わず呟く晴臣に苦笑いをした。
『繋がりは怖いと姉貴が言った(笑)、より強固に・・・そう言って親族が手を使い出してるんだぞ?
政略結婚に俺を使うのかって(笑)キレてやった・・・』
思い出したのか、笑って呟く晴臣を眺めた。
『パーティの計画を事実にする(笑)暫くはな。
俺はホテル業務が好きでやってる、巻き込むなって姉貴に言ってあるしな(笑)彼女が何とかする・・・』
『頼んだ(笑)。私は最初から交ざってないし、交ざる気もない・・・』
『それで一人で育てて来たのか?』
『(笑)運が良いだけ・・・巡りあって(笑)助けてくれて・・・スタッフも兄弟みたいで・・・』
『兄弟は?』
『(笑)濁しとく・・・固定して知ったら不味くない?(笑)顔に出そうよ?』
『あー仕事なら出ない自信はある・・・谷が俺を鬼と呼んだから(笑)出た事はないと思うぞ』
『なら聞かないで(笑)』
だなと笑みを浮かべた晴臣は、寝ていた二人を眺めた。
『離したくないな・・・周藤さんは諦めねーかな・・・』
『七瀬が無理(笑)。頑張って逃げ延びて子供を守る為に預けた想いが残ってるし・・・
清瀬も陽咲も大丈夫(笑)愛してる七瀬達もいるし私もオミもいる・・・』
笑みの中で穏やかな顔の二人・・・その寝顔に微笑む陽緋だった。
自分を見つめる眼差しに照れた陽緋もいた・・・何だと見返す度にキスをする。
『自宅を替えろ(笑)俺が泊まれないだろ』
『ん?泊めれるけど?』
『(笑)襲えねーだろ、俺は抱きたいの!陽緋に(笑)触りたいんだ!』
『 ・・・部屋、見た?』
『陽咲と清瀬に呼ばれたし(笑)。
あの区切りはヤバいだろ・・・家具だけの仕切りって(笑)』
あり得ないと呟く晴臣に微笑んだ。
動く陽咲に合わせリフォームし使い勝手よく仲良く暮らしてきた。
瀧川達の部屋には扉はある・・・多少の書類もあり悪戯防止に扉をつけたのだ。
陽緋の場所は逆に動けるようにカーテンで区切った・・・
個室は水関係と瀧川の部屋だけだったのだ。
低いベッドに替えて転落しても安全にし厚みのあるマットレスだけだった。
三人でも余裕で寝れる広さも、クローゼットもある・・・ただ肝心な壁と扉が無かった。
思い出したように笑う陽緋に、苦笑いをして口付ける晴臣だった。
狭さもある車内にムカつく彼、諦めろとキスをした陽緋・・・
『(笑)俺の部屋に谷が寝てる・・・も一つ借りとくんだった・・・』
『仕事に徹して(笑)』
『するが・・・な・・・』
ドアを開けると足を出して彼女を無理やり引き寄せ、膝に彼女を乗せた晴臣に驚いた・・・
『一つ忠告を(笑)、ひと気もないけどココにも防犯カメラは存在してるの・・・さらけだす気はない(笑)』
『ん?ヤバい?』
『物凄く(笑)』
街灯の下にあるカメラを指さして笑う陽緋に、仕方ないと諦めた。
最終日に時間を貰った晴臣・・・那祇に子供たちを頼んで陽緋を連れ出した。
有無はなくドライブをして迷わずに連れ込んだ晴臣に呆れた。
『次の楽しみにしない?』
『次は次(笑)、それまで我慢する俺を助けろよ・・・』
早々に手順よく促す晴臣・・・全部に手を出して会話を楽しんだ。
話しながら襲い、余韻に浸りながら触れ少しも離さない彼に苦笑いをした。
『まったく・・・』
『ん?さすがに何十個も準備はしてないぞ?(笑)専用に詰め込んで来てんだ・・・構うな(笑)』
驚いた顔に笑み口付ける・・・熱さに溺れていくようだった。
仰け反る陽緋へ食らいつくように触れる唇が巡る・・・返せと運び絡まり始め昂りは止めどなく続いた。
震え跳ねていく身へキスを落とし、追い込み追いこまれて浸る二人だった。
目覚めても外は真夜中で苦笑いをした陽緋・・・身動き一つさえ出来ず痺れた感覚は消えなかった。
優しい触れも心地好く・・・微かな揺れに焦るが小さな彼の唸りに見つめると照れた晴臣と微笑んだ。
キスをして抱き寄せる彼に腕を回して凭れた。
『倒れる(笑)』
『な(笑)』
互いの小さな囁きも、熱さで包まれた。
『これだけ幸せで・・・あとから何かが来るようで怖くなる・・・』
抱き込まれた温かさに浸る陽緋の呟きだった。
『不思議と俺らは誰かの力で守られてる気がする(笑)。
俺らは密かに利用して自分達を切り離す力をつけような・・・』
迷いなく決めたら突き進む晴臣と思えた・・・それは自分の道を自分で決めて進む事だ・・・互いに似ていたのかと思え彼に笑み返した。
『陽緋(笑)俺らは溺れてる・・・可笑しな自分の体をもて余してる・・・だからその、笑顔で煽るな(笑)』
『し、してない・・・』
『(笑)陽緋もだろ』
手を運んだ・・・ほらなと笑うと忍ばせた晴臣もいた。
ビクつく身に可笑しくて、唇に触れ絡ませる ・・・繰り返し跳ねる陽緋・・・沈ませた中で震える晴臣・・・吐き出した熱さに酔いしれるように抱く二人だった。
一人で帰って来た陽緋に、陽咲が抱き付き泣き出した。
理由は陽咲が声にして気づき苦笑いをした・・・清瀬と一緒に怒り出した事で、可笑しくて笑う陽緋を睨む姿が可愛かった。
怒っていると意思を示す二人・・・奏太が遊びに来たと知り清瀬が出迎えにいった。
そっと抱き寄せた陽緋・・・
『会いに来るって(笑)、笑って待ってなきゃね』
『オッミ・・・』
そうだと笑み頷いた陽緋を見つめた陽咲もいた。
それでも寂しくて陽緋から暫くは離れなかった陽咲だった。