里山日記

NPO法人「里山を守る会」における活動の内容。
その日にあった様々な出会いと、感じたことをつづりたい。

卒業生に桜の枝をプレゼント

2021-03-24 06:07:32 | Weblog

3月22日(月)市内小学校の卒業式が行われた。

私たちの関城地区でも今年はコロナ禍のため、卒業生、保護者、先生方だけのちょっと寂しい式になると聞いていた。

そんな折、私の携帯がブルブルと鳴った。会員でもあり、長らく保護司を務められた田崎満男さんからであった。

「毎年、卒業式に 彼岸さくら(伊豆多賀という品種)の枝を西小、東小に 届けていたが、今年、事情があり、その木を切ることになった。ついてはコロナ禍で卒業する児童に「里山を守る会」としてその枝を送ったらどうだろう? というご提案であった。

詳しく事情を知るため、自宅に伺った。 久しぶりに会った田﨑さんは緑内障のため、ほとんど視力を失っていた。造園業を営んでいたが、たった1年で急速に視力が衰え、車の運転も不可能になり、仕事も辞めた。 と淡々と話しをされた。

しかし、声も、話し方も全く元気で、私の知る明るい田崎さんだった。 

伊豆多賀というさくらは丁度、卒業式の頃、花が咲くので、その枝を切り、児童一人一人にプレゼントしてはどうだろう。というご提案である。 

その桜を見たこともなかったので田崎さんを軽トラックの助手席に誘導し、道案内をお願いした。

その木は鬼怒川河川敷にすくっと2本立っていた。遠くからもよくわかるほどの大木に育っていた。

私が伺ったのは3月初旬だったので、まだ蕾は固かったが、てっぺんの方はちらほら咲き始めた蕾もあった。

今年も温暖化の影響でソメイヨシノの開花も例年より10日以上早いとの予測もあり、この伊豆多賀の開花が卒業式にぴっ

たり合うかどうかわからない不安もある、とのお話しであった。

「私一存では判断がつかないので、理事会に諮り、後日お返事をします。」と言って、自宅にお送りした。

早速、定例の理事会にこの話をしたが、意外と反対の声は出ず、せっかくのご厚意なので、受けようとなった。

その桜を見たいという意見も出たので理事5人で現場に出かけ、「これなら何とかなる。」という楽観的な意見が支配した。(その時は、卒業式の前日、人数分の枝を切り取り、水を入れた容器に入れて、自由に持ち帰ってもらう、との考えであった)

田崎さんに理事会の結果を報告し、卒業式にぴったり花が咲くことを願った。

ところがである。

その晩、田埼さんから電話があった。「息子に今回の話をしたら、今年は桜の開花が想像以上に早く、3/22日の卒業式には散ってしまう恐れがある。ここ数日のうちに、枝を切り取り、冷蔵庫に保管し卒業式に合わせ、開花させる方法でないとだめだ。」という。

息子さんは「花の会」という会社に勤務し、様々なイベントでその催しに合った時期に花を咲かせてきた経験があり、その道のスペシャリストだった。

思いもよらぬアドバイスに若干のパニックに襲われたが、気をとりなし、息子さんに詳しく話を伺うべく、翌朝、出勤前にお邪魔した。

息子さんの話によると、今の蕾の状況では、明日にでも適した枝を選び、2℃から5℃の冷蔵庫に容器に水を入れ保管し、当日のニ、三日前に外に出し、太陽に当てるという。(一枝に2,3割の花が咲き始めているのが理想という)+

早速理事会に諮り、翌日作業を開始した。 幸い、我が家に約一坪の冷蔵庫があり、室温を2℃~6℃に設定し、その中に長さ約40㎝~50㎝に切り取った枝約300本を大きなポリ容器3個に入れ、湿気を保つため、ポリ容器をビニールで包み、保管した。

まったくこうした経験がない我々にとって、唯一、息子さんの助言が頼みの綱だった。

毎日、冷蔵庫をチェックし、果たして順調なのか不安の日々が続いた。蕾の状況を見に来てくれた息子さんのアドバイスにより、冷蔵庫から出す日を3/18日に決定した。

当日、竹澤事務局長に手伝ってもらい、冷蔵庫から大きなポリ桶2つと小ぶりなポリバケツ計三個を軽トラに積み、五郎助山に向かった。

一部の枝に咲き始めた蕾もあったが、全体としてはまだ蕾は固く、果たして4日後に3,4分咲きになるのか正直不安だった。

19日、固かった蕾も徐々に膨らみを増してきたが、まだ理想の開花にはなっていない。(大丈夫だろうか?)

20日、全体の枝の一部に開花し始めた蕾が見え始め、確かな手ごたえを感じ始めた。

21日、予定通り9時に、理事が集まり、一本の枝に2割から3割開花した桜を枝の長さと蕾の数を整え、一本づつ水を含ん

だキッチンペーパーで切り口を包み、更にアルミホイルで包み、最後にビニール袋に入れ輪ゴムで留めた。

そして一本づつ、「卒業おめでとう」と書いた札を取り付け、西小(48名)、東小(59名)計107名分の桜の小枝が完成した。

そして3/22日(月)卒業式当日、午前8時、西小、東小にお届けした。

後日、西小、東小の校長先生より丁重なるお礼のお言葉を頂いた。

コロナ禍での卒業式に文字通り「花を添える」ことが出来、うれしかった。

この度のサプライズのご提案を頂いた田崎さんそして息子さんに御礼を申し上げ、無事その務めを果たしたことをご報告した。

以下西小ブログより

 

卒業生へ~サプライズの贈り物~NEW

カテゴリー:2021年3月22日
 今朝、里山を守る会の中川理事長様はじめ、会員の皆様が来校し、卒業生へ桜の枝をプレゼントしてくださいました。これは、毎年、卒業式のために、桜の大枝を運んでくださる田崎満男様からの申し出で、実現しました。数百本の桜の枝を切り、里山の会の方が預かり、今日、桜の花がほころぶように、温度調節してくださったそうです。一本一本持てるように包んでくださり、すてきなタグもついていました。このまま、1週間ほど花を楽しむことができるそうです。
 卒業式に、文字通り花をそえてくださいました。
 地域の皆様に、心から感謝いたします。

卒業式NEW  (東小HPより)

カテゴリー:2021年3月22日
校庭の桜が満開に咲き誇るなか、第49回卒業式が行われました。感染症対策のため、検温、消毒、換気のためのドアの開放など、ご協力いただきありがとうございました。
卒業生は、厳かな雰囲気の中、立派な態度で証書を受け取り、この関城東小学校を巣立っていきました。

卒業生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。みなさんのこれからのさらなる活躍を祈っています。

里山を守る会の方々より、卒業生に一枝ずつ桜の花をいただきました。ありがとうございました。

トンボ池、大規模な改修工事

2021-03-21 05:22:48 | Weblog

3月17日~19日 トンボ池の大規模な改修工事が行われた。まだ完璧に終了はしていないが約8割完了した。

今回、特に池の中にある島と道路を結ぶ橋の架け替えは20年ぶりのことである。

20年前、地元の電気工事会社のご厚意で木製の全長10メートルを超す電柱6本を寄付していただき、「橋げた」として今日まで数多くの来訪者の往来を支えてきた。

しかし、さすがに20年の風雪には耐えがたく、今回、檜の丸太に交換することになった。

会員の弟さんより、屋敷林の檜を寄贈いただけることになり、橋げた、池の周囲の土留めとして、利用させていただいた。

建築材としても十分に使える立派な檜の丸太で、土留めに使うにはもったいないほどの材料である。

クレーン、バックホーなど大型重機も事前に手配し、大掛かりな作業となった。

17日(初日)、20人を超す会員が集合。担当責任者の関根副理事長の指揮のもと、各自が持ち場に付き、作業を開始し

た。

この日のため、昨年の暮れから池を干し、バックホーが入れるよう乾かしていた。3mの間伐材を杭とするので、重機が

入らないと作業はままならない。

マルシゲ工業、岩瀬鳶工業の協力を得て、順調に作業は進んだ。

18日(二日目)会員は15名。初日の半数となった。

会員の平均年齢は70歳を超えている。最高齢は87歳である。しかも肉体労働に慣れた会員は少なく、足場の悪い作業は敬遠気味になる。

19日(三日目)朝8時に着くと私の他、たった3名しかいない。焦った。しかし、まもなく会員一番の猛者が2名駆けつけて

くれた。これで百人力である。その後2名が加わり、少数精鋭で驚くほどはかどった。

私自身、今年 古希を迎え、体力が衰えたのがよくわかる。

今後作業についても体力に合った時間割を考えないとまずい。

それはともかくとして、少し休んで完成させたい。

あー疲れた。

 

 


植樹体験

2021-03-07 05:47:40 | Weblog

3月5日(金) 西小6年生48名と当会が共同でクヌギ、コナラ、イロハモミジの苗木、計120本を里山の育種場に植樹した。

事前(2月)に白石久美子校長に植樹協力のお願いを打診したが、当時、茨城県独自の緊急事態宣言が発令中であり、「解除が実施されたら喜んで協力します。」との回答を頂いた。

果たして、2月23日より解除となり、学校側と協議の結果、実施日は3月5日(金)6年生が協力、とのご連絡を頂いた。

感染予防のため、できるだけ会員と児童の直接的な接触を避け、事前に苗木、支柱を植樹箇所に配布し、周到に準備した。

本来であれば、児童と会員が濃密になるべき植樹体験であるが、今回はお互い我慢せざるを得なかった。

新型コロナの出現により、昨年から約1年、里山で児童と触れ合う機会は皆無となり、くしくも6年生にとっては小学校生

活最後の里山体験となった。

1年生から5年生まで毎年里山で顔を合わせていたが、1年ぶりに見る子供たちは身長も伸び、青年と乙女の声に変わっていた。

田﨑会員が、「正しい植樹の仕方」を児童の前で実演し、会員に誘導された48名は配布された苗木の前に立ち、竹澤事務局長の号令で植樹が始まった。

始めは手間取っていた児童もいたが、用意された120本の苗木は瞬く間に約10aほどの育種場を占領してしまった。

慣れた子は一人で6本も移植してくれた。

植樹終了後、各クラスごとに記念撮影を行い、会員も最後列に静かに並ばせていただいた。

校長先生はじめ、担任の先生方も卒業前に里山体験が実現できて本当に良かったと言っていただいた。

場所を冒険広場に移し、思いがけなく6年生より「感謝の集い」のプレゼントがあった。

代表による6年間にわたる様々な里山体験のお礼の言葉、そして持参したハンドベルによる演奏が静かに森に流れ、整列し

た会員の心を暖かく満たしてくれた。

思いがけないサプライズのお礼と「中学生になっても、遊びに来てね。」と言って子供たちを見送った。