9日(日)キャンプ二日目
私は冒険広場の片隅に個人用のテントを張り、子供たちを見守った。朝4時ごろから「寒い!」「寒い!」という声が近くの男子テントから聞こえてきた。うだるような熱帯夜から一夜にして10度以上下がり、9月下旬の朝になっていた。 確かに肌寒い。昨日のキャンプファイヤーの火種はまだ残っているはずだ。テントから出て薪を運んだ。火種の灰を取り除き、薪を重ねた。ほどなく炎が上がり、それを合図に子供たちが集まってきた。
火の周りに集まった子供たち
女子のテントからも腕をさすりながら数名が火の周りに集まった。 真夏の朝、たき火を囲みながらたたずむ光景は異様である。 今年の夏は記録的な猛暑となり、各地を襲った豪雨、季節外れの台風、とにかく異常続きの年となっている。
肌寒い朝も日が昇るころになると温度も上がり始め、子供たちもそれぞれのテントに戻っていった。そして朝食の準備に入った。
ビニールの袋をかき混ぜる
今日の朝食は飯ごうを使わず、非常用のご飯炊きを行うことになっている。各班を集合させ、その作り方を説明した。一般に市販されているビニール袋に米と水を同量入れ、空気を抜いて輪ゴムで縛り、沸騰した鍋に入れ、かき混ぜながら、約30分~35分。それで出来上がりである。 災害が起きたとき、最小限の水とお米があればご飯を炊ける。それを子供たちに体験してもらおうという試みである。鍋に入れる水は緊急時、川の水でもOKである。炊くときにあらかじめ梅干を入れておくと、梅味のご飯もできる。
御飯出来上がり
さて、どの班も本当にご飯が炊けるのか半信半疑の表情であったが、お米と水のビニール袋は約10分後だんだん膨らみ、浮いてくる。時々かき混ぜ、約35分後、鍋から取り出し、しばらく蒸らしておく。そして実食。 ちょっと堅めのご飯もあったが、十分満足のご飯が出来た。
どの班もまずまずのご飯が出来上がり、みそ汁、卵、ノリ、納豆、お新香の朝食となった。このご飯炊きを家に帰ってから、家族で試してほしいと言った。
朝食の後は記念品づくり、そうめん用容器づくり、そしてメインイベントの「流しそーめん」が待っている。
二日目 日程
記念品づくりは輪切りにしたエンジュの木片を使い、好きな絵柄を書く。その後は流しそーめんに使う竹の器と竹の箸づくりが待っている。ノコギリ、ナタ、小刀を使い、「マイ箸」、「マイ容器」を作った。
記念品づくり
竹の器、はしづくり
完成した記念品
そして いよいよ「流しそーめん」の時間が近づいてきた。 午前中からベテラン会員が太い真竹を元から5mで切り、それを二つに割り、縦につなぐ。傾斜をつけて水を流す。程よい傾斜で麺が流れることを確認し、スタンバイOKである。
流しソーメンの準備
各自、マイ箸、マイ容器を持って、約10メートルの樋の両側に並ぶ。特製の麺つゆをたっぷり竹の器に入れ、あとはそーめんが流れてくるのを待つだけだ。「よーし、いくぞ~」の掛け声とともにそーめんが 流れてきた。瞬く間にソーメンはすくわれ、下流で待つ子供たちのところまでは届かない。
いよいよスタート
下流で待つ子供たちからはブーイングの嵐。樋の中間にも名人(中学生)を配置し、そこからも流すことで不満を解消した。ちゃっかり体験者は最後尾に陣取り、つかみ損ねたそーめんが溜まる容器を前に悠然と麺をすくっていた。
今年も十二分に麺を用意したが、時間が経過しても子供たちの食欲は衰えることはなく、麺を茹でる裏方の女性陣は大人の分を心配する声も出始めた。 しかし間もなく「もー食えねー」「苦しい!」の声が上がり始め、どうやらギブアップとなった。 やっと大人の番になった。
子供たちの胃袋には驚かされたが、うまそうに食べる子供たちに刺激され、大人たちのお腹もグーグー鳴り始め、子供に負けず劣らず旺盛な食欲だった。最後に裏方を務めてくれた女性陣へ男性会員がそーめんを流し、その労に報いた。
食後の休憩を十分に取り、次はテントの撤収である。各班 名人(中学生)、会員の指導の下、テントの骨組みを外し、折りたたんで行く。かまど、テーブル、敷板、と順序正しく整理・整頓されて行く。
退所の集い(アンケート記入)
そして退所の集い。西小からは蛯原教頭先生、東小からは枝川先生がご出席され、子供たちのキャンプ体験をねぎらってくれた。
西小 蛯原教頭先生
東小 枝川先生
西小、東小の6年生からそれぞれ二日間の感想が発表された。
東小代表 杉山さん
西小代表 鏡田君
また、今年は5人の里山キャンプ名人が誕生し、理事長より一人一人に認定証が手渡された。 来年は中学生となるが、今年の名人とともに、後輩のサポーターとしてキャンプに参加してほしいとお願いした。
今年のキャンプは偶然、猛暑から逃れることが出来、絶好のキャンプ日和となった。 今回、サポーターとして参加してくれた中学生の働きは目覚ましいものがあり、私たちと参加児童の隙間を十分に埋めてくれたと感謝している。
中学生を信頼し、的確なサポートを指示することで名人(中学生)は期待以上の仕事をしてくれることを確信した。
今年新たに誕生した5人の里山キャンプ名人にも来年度、同じようなサポートを期待している。 こうしたキャンプができる自然(里山)が身近にある幸せを改めて感謝しよう とお話しした。
五郎助山、丸山はこの地域の宝物です。