大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2019年06月06日 | 写詩・写歌・写俳

<2709> 余聞、余話 「夏の鳥二題」

      喜怒のこと哀楽のこと除外例なく身に負へる各々の生

  ここでは「夏の鳥二題」として奥宇陀・曽爾高原のホオアカと奈良公園のスズメをとりあげてみたいと思う。では、曽爾高原のホオアカについて。

       高原の新緑を身に囀るは楽しからずや頬赤のこゑ

 ススキが芽立ちを終え、新葉をつけた茎を伸ばし始め、山焼きによる末黒がすっかり消え去り、一面の新緑。その新緑が日差しを受け、瑞々しい六月はじめの曽爾高原。お亀池の辺りを散策した後、亀山峠まで登った。湿度の低い一日で、高原特有の強風もなく、快適だった。

                                              

 広い草原にはところどころに焼け残ったススキの枯れた茎が突き出し、ホオジロ科のホオアカが新緑を独り占めするごとく、その枯れた茎の先にとまって頻りに囀るのが聞かれた。ホオアカはホオジロに似るが、頬に赤褐色の斑紋があるのでこの名がある。囀る声も似ているが、ホオジロほど甲高くない。北海道から九州まで分布し、国外ではアジアに広く棲息している留鳥で、曽爾高原では五月から七月の繁殖期によく見られ、夏鳥の感がある。では、次に奈良公園のスズメについて。

            水を乞ふ季節とはなる公園の鹿も雀も水辺を求め

  奈良公園では鹿苑においてバンビの公開が行われているが、スズメには子育てを終えて一段落している様子で、元気がよい。ところで、日本列島は既に五月に猛暑の日が記録され、この記録は異常と思えるが、奈良においても暑い日が続き、水の恋しい季節の到来を感じさせた。

                

  東大寺の参道を行き交う外国人観光客がソフトクリームを求め売店の前に人だかりを見せていた。それはまさに真夏の光景。そんな午後のひととき、近くの小川の水たまりではシカが水を飲みに入り、すぐ近くではスズメが水浴びをする姿があった。シカを撮るため観光客が近づくと、スズメは若葉の繁るモミジの枝に移り、暫くしてまた人がいなくなると、水たまりに下りて水浴びをするといった具合で、それを何度も繰り返していた。 

  写真は上段左がススキの枯れた茎の先にとまるホオアカのオス、右は曽爾高原の新緑のススキ原(後方は亀山)。下段左は水たまりで水を飲む奈良公園のシカ、右は羽を震わせ水浴びをするスズメ。


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