<1854> 余聞・余話 「法隆寺の防火演習」
寒中の寒の緩みの日差しかな
文化財防火デーの二十六日、世界遺産の奈良県斑鳩町・法隆寺で防火演習があった。昭和二十四年(1949年)一月二十六日に解体修理中の金堂から出火し、世界最古の木造建造物群の一つとして知られる金堂が焼け、全焼は免れたが、国宝の壁画が焼損した。この火災をきっかけに、昭和三十年(1955年)、国はこの日を文化財防火デーに定め、文化財保護の啓発を始めた。この呼びかけにともない、法隆寺では毎年この日に防火演習を行なっている。
防火演習の一斉放水は恒例となり、今日も西和消防署、地元斑鳩町消防団、法隆寺の自警団等が参加し、防火を願う法要の後、午前十一時から境内の鏡池畔で五重塔などの国宝建造物群を背景に消防車四台によって一斉放水が行なわれた。このところの冷え込みで池面は薄く氷が張っていたが、放水は威勢よく、塔を凌ぐ高さまであがった。快晴の天侯で、放水によって虹が現われた。
法隆寺では平成三十年(2018年)末の完了を目途に中門の解体修理が行なわれており、文化財保護が一層望まれるところである。 写真は好天に恵まれ、虹が出来た防火演習の一斉放水(左)と西門に掲げられた文化財防火週間の啓発看板(右)。