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黒田「残留」決断の犠牲者になるか、井川(9日)

2006-11-10 14:28:53 | Tigers DEN β
 黒田博樹(広島東洋カープ)のFA(フリーエージェント)移籍と井川慶のポスティング・システム(入札制度)はLINKしていない、と阪神タイガースの球団首脳は言明していたが、それは「嘘」だったことがハッキリした。宮崎恒彰オーナーの厳命と言うことは、前オーナーの久万俊二郎氏の「意思」だろう。事態は急変を告げきてきた。それだけ黒田の獲得に自信を持っていたのだろう。思わぬ心変わり……

 星野仙一SD(シニア・ディレクター)のように、黒田の「残留」を「美談」だとは決して思えない。FAというのは、プロ野球選手が9年掛けて得られる自由な権利。それを他人(地元・私設応援団)からのプレッシャーを受けて、「残留」を決めてしまう、というのは決して「美談」ではない、と思う。FAの存在意義が問われる事態だ。

 MLB(メジャーリーグ)の場合、代理人(エージェント)制度が確立しているから、一昨年のカルロス・ベルトラン(ニューヨーク・メッツ)のように、ヒューストン・アストロズでポストシーズン進出に貢献し、地元から熱狂的に「残ってくれ」と請われながら、あっさり大金を積まれ、ニューヨークに移って行った。しかし、それは本人の決断ではなく、代理人の選択になるから、移籍した本人にプレッシャーは及ばない。その辺が後からFA制度を導入した日本プロ野球との根本的な違い、だ。

 メジャーリーグのFAは、代理人によって、選手の自由意志(権利)が守られている。代理人制度が根付いていない、日本のプロ野球ではFA選手本人に直接プレッシャーが掛かる。「裏切り者」と呼ばれるリスクを背負わざるを得なくなる。それだけに悩み苦しみ、5年前の片岡篤史(引退)のように記者会見で涙を流すようなことになる。黒田の決断はある視点から見れば「美談」だが、日本のFA制度の欠点を露呈した、とも言える。

宮崎オーナーが厳命「井川出すな」 (デイリースポーツ)