気功の歴史と分類
”導引術”。
この言葉を耳にしたこと、ありませんか。
今日でいう気功に似たもので(導引=気功であるとする文献もある)、日本においても古く
から愛好者がいらっしゃいます。
導引術は、中国の各地域で独自の医療措置が形成(導引按キョウ(あんま):今日で呼ぶ
気功療法)されています。
”気功”という言葉は、隋唐時代の内書にでてきます。
当時は内練功法の総称を意味するものではなく、1950年頃に古くからある医療技術であった
内養功(静功の基本功)が、臨床に応用されはじめ、広めるときの総称として「気功」と命名さ
れたようです。
”気功”とは、体と呼吸と心を調えるための自己鍛錬法であり、病気の予防、治療、保健、知力
の強化などに効果的な内練功法の総称とされています。
今日、「気功」を、「気」は呼吸、「功」は呼吸と姿勢の調整と文字から訳す人、気を練る
ことに専念される人、いろいろのようなために、気功の概念について見直す必要性があるという
声もでてきているとか。
●気功の分類
その流派は何百、気功法の数は何千とされています。
私がお世話になった恩師などの話によると、各家にこのようなものがあり祖父母(親)から子(
孫)へ伝えられていたと聞いています。
公表数は、あくまでも、ということになりましょう。
公表されているものにおいては、各家各派の特色によって分けられ、それぞれに異なった功法、
効果(研究と実績)があります。
練習方式によって、まず「動功」「静功」と分けられ、その上で目的により「医療気功」「武術
気功」などのように分けられます。
●気功法VS養生法
養生法は、体質増強、疾病予防、老衰防止の一連の総称とされます。
気功法は、目的がいろいろにあるため、養生法とまったく等しいものとは呼べません。
養生法を含む功法はありますが・・・。
~ 養生法の内容(黄帝内経より) ~
・季節に応じて、人体の陰陽を調整する(陰陽変化法)。
・予防のための健康づくりや、鍛錬を行い病を予防する(調和法)。
・毎日規則正しく、体調にあった食生活を過ごす
・起居に注意し、過度な労をとらず、精神の修養に努め、あらゆる物事を楽観的にみてゆく。
●気功療法
気功療法という文字は、1934年の医書にでてきているとされています。
中国医学の臨床の有効措置として利用するものをさし、一般的に中国の古代から伝わる医術の
ことを呼びます。
・その理論は、中国医学体系の構成の一部分であり、陰陽五行説・経絡学説、気血津液学説を
基本理論としています。
気功療法は、気功法師の指導のもと、自らすすんで鍛錬し、自己治療と保健を目的とする、
体調を崩した当事者の心がけを重要とします。
気功療法は、心理的要素を含んでいますが、治療の主導権はあくまでも、体調を崩した当事者
自身にあり、これによって治療効果が左右されるといっても過言ではありません。
この点で、受動的な心理療法とは異なるといえます。
●気功学
・この学問は、中国の陰陽五行説・経絡学説・弁症法的治療の理論に基づき、気功の功法、
プロセス、機能原理、応用などを理解するものです。
・重要なこととして、確信、決心、持久力をもち、気功鍛錬に励むこと、呼吸を整え、鍛錬し、
からだはリラックスさせ、精神を安定に保ち丹田を意守し、全身の状況を改善することを目的と
します。
気功は、七情(憂哀喜思怒驚恐)や臓腑の機能障害による内因的疾病に効果があり、気に手伝い
補うものでもあります。
●気功鍛錬の特徴
《 医療気功の特徴 》
目的:自身が鍛錬対象となり、医療と健康。
意識的に心身や呼吸を調える鍛錬を行うことにより、病を予防、治癒能力を活性化するものです。
《 武術気功の特徴 》
武術気功は、「武芸」「国術」と称されることもあったようです。
その動きは、本能的な防御と自衛から練り上げられた動作が整理され、集成されたもの。
目的:蹴る、打つ、振る(つかむ)、転ぶ、を基本とし、体質の増進、意思や忍耐力の強化、
防御自衛技能のトレーニングなど。
目標:「精(活動源)」「気(生命活動の原動力)」「神(智・情・意の総体)」とする。
硬気功と呼ばれるものは、この一種で、内気の鍛錬と筋・骨・皮膚の鍛錬の功法と技法の結合
されたものです。
ここで重要視される「頸」は、「力(散じやすく浮いている)」とは異なり、活発で沈んでいて
鋭さがあるという意味をもちます。
●気功療法の歴史
B.C470年前後に発掘された装飾された器に
「呼吸は深ければ深いほど、吸い込む空気が多い。
これを導き、下で固めてしっかりさせる。それから吐き出す。
草木の萌ごとく上げ、吸い込んだ経絡も上までさかのぼって吐く。そうすれば天機が上に地機は
下に向く」
と刻まれていたとか。
・気功のはじまり
その昔、黄河流域(北方)では、常に河水が氾濫し、洪水が発生、いたるところに水がたまり、
湿度が過度に高くなり、そのために多くの人々は、むくみや関節、運動障害を訴えるようになる、
という事が生じました。
そこで、生活の中で積んだ知識から考え出されたのが上肢、下肢を動かす動作。
ある動きは労働の中から、ある動きは木々や草花、動物からヒントを得て、これらによって筋肉
のコリはほぐされ、骨は丈夫となり、血脈の滞りは少なくなり、体質を強めたそうです。
こういった類の話は他にも報告されています。
昔も今も、人は自分を取り巻く生活環境の中で、健康を保つことを想い、考え、つくり、動い
てゆくのは、自然なことなのかもしれません。
・気功療法は、中国の古代時代、日常生活や労働の中で悪天候や病気、老衰とたたかいながら
編み出された心身の鍛錬法であり、
長期実践により、効果が確認され、選択、採用されて伝えられたものが、今日に残っていると
考えられます。
これが、今日にある「動功」のはじまりです。
余談ですが、動功は「舞」と呼ばれることもあったようです。
・中国古代の「舞」とは・・・
単なる一種のスポーツ、芸術活動ではなく、老衰を防ぐ術である(後漢の文学者 博毅より)
・「舞」から「導引」へ・・
導引は、舞のレベルが高くなったものである(黄帝内経より)
●気功は宗教に起源するか
医療気功の歴史は5000年以上にのぼります。
仏教、道教が中国へ伝来し形成したのは、それよりずっとあとのこと。
(従来、仏教も道教も気功の修行を重んじ、長い間蓄積し総括して生まれた特色の功法としての
貴重な情報として残されており、この中には、予防、治癒、保健、養生、知能開発などに役立つ
功法が含まれていて、気功学の中の重要内容を占めている。)
●気功六代家系統(功法の特徴、練功の基礎、理論の体系による区分)
・医療:目的は、病気の予防、治癒、保健であり、研究がなされ効果が認められたもの。
・道教:修錬を重んじ「性」を練り「命」を修め、性と命の修行をして安静、無為の境地に達する
ひとつ方法として。
・仏教:悟りを悟り、精神解脱の心境に入る修行のひとつ方法として。
入定派は「四大(色身味触)皆空」を強調。参禅派は「修心養性(心の修養)、衆生
の済度を強調。
・儒教:摂生養気を目的とする。
・武術:体を鍛え、防御、自衛能力を高めることを目的とする。
・民間:生活(くらし)の中から生まれたものであり、準備運動と精神調和、病の予防と治癒、
保健(美容、運動不足、健康維持増進)につながるとし、その町や村に暮らす人々の中で伝承
されてきたもの。
※医療、道教、仏教、儒教はさらに五大流派(吐納派、禅定派、存想派、内丹派、導引派)に分
けられる。
※無極気功とは、楊露禅が太極拳を基礎につくりだした内家気功法をさす。
〔参考文献:中国気功学、気功学など〕
気功活用偏
●スポーツ
特に神経系を安定させる気功の鍛錬継続により、試合前の緊張はほぐれ、気分は落ち着く習慣
ができる。
試合開始後も協調性が乱されることなく実力を発揮できる。
●演劇、歌
丹田の気を鍛えることは、役者や歌い手の呼気を長くもたせることにつながり、また、表情筋
の調整能力を回復させることに働く。
●書画
書と呼吸の関係、丹田や心の置き場所について、今日も書のご指導をいただいている先生と
話し盛り上がったことがあります。
和紙と筆、墨とすずり、そしてこの自分。
このワがストレートに和紙に現れる、やり直しなしの厳しい世界。
意識をせずにも呼吸は調い、”書く”に通ずるのは、継続の賜物なのか・・・。
●教育
気功には、神経機能の失調を元に戻す(回復)させる作用がある。
うつ症の子どもや緊張に弱い子ども、神経質な子どもなどにも効果がある。
〔参考文献:中国気功学など〕
気功のいろは ~流派~
暮らしている環境、また体の症状に、”あうもの”というのがあります。
南と東で暮らす人、肺が弱っている人と肺がよく働く人では、自ずと健康保存(動き方・食事
内容など)の方法は異なってきます。
気功法も、もともとは暮らしが先で、そこからうまれたもの。
なので、呼吸法や、その型には、いろいろなものがあります。
「以前ある先生から呼吸はこうするようにいわれました。でも他の教室の先生は全く反対の
ことを言うんです。
先生どっちが正しいのですか?」という質問をよく受けました。
この質問のヒントになればと思い、一部の流派(思想、目的、特徴)について次に記しました。
●吐治派
呼吸の鍛錬を主(強調)する。
「吸新吐故(新しいものを吸い、古きものを吐く)を以って、内臓を丈夫にすることができる。」
この思考のもとに発展形成。
・この派には練気派、調気派、行気派、調息派・・・などがある。
[ 吐気派 ]
呼気を主体
呼気をするときに六字訣(嘘(シュイ)・阿(ヘー)・呼(チー)・口四(スー)・吹(ツゥイ)・口喜(シ)の音を黙読する。この六字は、陰陽五行説より五臓と三焦に響くもの(治癒)とされる。
(”少林寺秘伝驚異の健康気功”でも紹介させていただいている/発売元リイド社 )
[ 納気派 ]
吸気を主体。また閉気派ともされる。
吸気したあと、息を止め、200まで数えてから息を吐く(止める時間は長いほどよいとされる。)
●存想派
イメージを伴う功法で意念に集中する。
「存」とは、意識強化。
「想」とは、自身の体を想う。
・この派には存想派、観想派がある。
[ 存想派 ]
体内外の事物をイメージするもの(特にストレス、うつ症状、精神不安定、虚食過食などに
利用できる)
[ 観想派(内視派、返観派) ]
観・想の結合(体の内側と外側、体と心)する。
禅観法・丹田行気法などがあり、中には門外不出のもの、選ばれしものに伝えられるという
ものなどがある。
●内丹派
源は、唐と五代の時代にあり、早期の内錬功であり静功である。
思惟の内的集中を基礎に、意気があいより、内気が作脈や智脈など経絡に沿って循環し、運行
するのを感じることが特徴的。
●胎児派
胎児の呼吸状態を模範として作った功法が特徴的。
ヘソ呼吸とされるソレは、高度な深さを伴う緩慢な腹式呼吸であり、イメージとの結びつきで
成り立つ。
●周天派
天文用語の「周天」を借り、称する。
人体の「精」「気」「神」を鍛錬の対称とし、陰陽卦象の変化を理論とする。
丹田、練功の部位、体内の物質、意念の挙握と運用を錬功の三要素とする。
「精」を練って「気」と化する(小周天)、「気」を練って「神」とする(大周天)、「神」
を練って「嘘」に還る
三段階がある。
この派には南京、北京、東派、西派などがある。
●導引派(民間で伝わり広まったものの多くはこれにあたる)
動功を主(強調)。
広い意味では静功と動功を含む完全錬気功をさす。
意気(意識と呼吸)と体の動作、あるいはマッサージの結合したもので、思惟を平静に、
精神を穏やかとする。
動の中に静を、静の中に動を求める。
合行式導引(ゴリンギ、老子按摩法、易筋経など)、分行式導引(自分の患っているところ
に合わせて、その部分を中心とした治癒、予防法)などがある。
〔参考文献:中国気功・中国正当気功法・これが気功と武術だなど〕
”導引術”。
この言葉を耳にしたこと、ありませんか。
今日でいう気功に似たもので(導引=気功であるとする文献もある)、日本においても古く
から愛好者がいらっしゃいます。
導引術は、中国の各地域で独自の医療措置が形成(導引按キョウ(あんま):今日で呼ぶ
気功療法)されています。
”気功”という言葉は、隋唐時代の内書にでてきます。
当時は内練功法の総称を意味するものではなく、1950年頃に古くからある医療技術であった
内養功(静功の基本功)が、臨床に応用されはじめ、広めるときの総称として「気功」と命名さ
れたようです。
”気功”とは、体と呼吸と心を調えるための自己鍛錬法であり、病気の予防、治療、保健、知力
の強化などに効果的な内練功法の総称とされています。
今日、「気功」を、「気」は呼吸、「功」は呼吸と姿勢の調整と文字から訳す人、気を練る
ことに専念される人、いろいろのようなために、気功の概念について見直す必要性があるという
声もでてきているとか。
●気功の分類
その流派は何百、気功法の数は何千とされています。
私がお世話になった恩師などの話によると、各家にこのようなものがあり祖父母(親)から子(
孫)へ伝えられていたと聞いています。
公表数は、あくまでも、ということになりましょう。
公表されているものにおいては、各家各派の特色によって分けられ、それぞれに異なった功法、
効果(研究と実績)があります。
練習方式によって、まず「動功」「静功」と分けられ、その上で目的により「医療気功」「武術
気功」などのように分けられます。
●気功法VS養生法
養生法は、体質増強、疾病予防、老衰防止の一連の総称とされます。
気功法は、目的がいろいろにあるため、養生法とまったく等しいものとは呼べません。
養生法を含む功法はありますが・・・。
~ 養生法の内容(黄帝内経より) ~
・季節に応じて、人体の陰陽を調整する(陰陽変化法)。
・予防のための健康づくりや、鍛錬を行い病を予防する(調和法)。
・毎日規則正しく、体調にあった食生活を過ごす
・起居に注意し、過度な労をとらず、精神の修養に努め、あらゆる物事を楽観的にみてゆく。
●気功療法
気功療法という文字は、1934年の医書にでてきているとされています。
中国医学の臨床の有効措置として利用するものをさし、一般的に中国の古代から伝わる医術の
ことを呼びます。
・その理論は、中国医学体系の構成の一部分であり、陰陽五行説・経絡学説、気血津液学説を
基本理論としています。
気功療法は、気功法師の指導のもと、自らすすんで鍛錬し、自己治療と保健を目的とする、
体調を崩した当事者の心がけを重要とします。
気功療法は、心理的要素を含んでいますが、治療の主導権はあくまでも、体調を崩した当事者
自身にあり、これによって治療効果が左右されるといっても過言ではありません。
この点で、受動的な心理療法とは異なるといえます。
●気功学
・この学問は、中国の陰陽五行説・経絡学説・弁症法的治療の理論に基づき、気功の功法、
プロセス、機能原理、応用などを理解するものです。
・重要なこととして、確信、決心、持久力をもち、気功鍛錬に励むこと、呼吸を整え、鍛錬し、
からだはリラックスさせ、精神を安定に保ち丹田を意守し、全身の状況を改善することを目的と
します。
気功は、七情(憂哀喜思怒驚恐)や臓腑の機能障害による内因的疾病に効果があり、気に手伝い
補うものでもあります。
●気功鍛錬の特徴
《 医療気功の特徴 》
目的:自身が鍛錬対象となり、医療と健康。
意識的に心身や呼吸を調える鍛錬を行うことにより、病を予防、治癒能力を活性化するものです。
《 武術気功の特徴 》
武術気功は、「武芸」「国術」と称されることもあったようです。
その動きは、本能的な防御と自衛から練り上げられた動作が整理され、集成されたもの。
目的:蹴る、打つ、振る(つかむ)、転ぶ、を基本とし、体質の増進、意思や忍耐力の強化、
防御自衛技能のトレーニングなど。
目標:「精(活動源)」「気(生命活動の原動力)」「神(智・情・意の総体)」とする。
硬気功と呼ばれるものは、この一種で、内気の鍛錬と筋・骨・皮膚の鍛錬の功法と技法の結合
されたものです。
ここで重要視される「頸」は、「力(散じやすく浮いている)」とは異なり、活発で沈んでいて
鋭さがあるという意味をもちます。
●気功療法の歴史
B.C470年前後に発掘された装飾された器に
「呼吸は深ければ深いほど、吸い込む空気が多い。
これを導き、下で固めてしっかりさせる。それから吐き出す。
草木の萌ごとく上げ、吸い込んだ経絡も上までさかのぼって吐く。そうすれば天機が上に地機は
下に向く」
と刻まれていたとか。
・気功のはじまり
その昔、黄河流域(北方)では、常に河水が氾濫し、洪水が発生、いたるところに水がたまり、
湿度が過度に高くなり、そのために多くの人々は、むくみや関節、運動障害を訴えるようになる、
という事が生じました。
そこで、生活の中で積んだ知識から考え出されたのが上肢、下肢を動かす動作。
ある動きは労働の中から、ある動きは木々や草花、動物からヒントを得て、これらによって筋肉
のコリはほぐされ、骨は丈夫となり、血脈の滞りは少なくなり、体質を強めたそうです。
こういった類の話は他にも報告されています。
昔も今も、人は自分を取り巻く生活環境の中で、健康を保つことを想い、考え、つくり、動い
てゆくのは、自然なことなのかもしれません。
・気功療法は、中国の古代時代、日常生活や労働の中で悪天候や病気、老衰とたたかいながら
編み出された心身の鍛錬法であり、
長期実践により、効果が確認され、選択、採用されて伝えられたものが、今日に残っていると
考えられます。
これが、今日にある「動功」のはじまりです。
余談ですが、動功は「舞」と呼ばれることもあったようです。
・中国古代の「舞」とは・・・
単なる一種のスポーツ、芸術活動ではなく、老衰を防ぐ術である(後漢の文学者 博毅より)
・「舞」から「導引」へ・・
導引は、舞のレベルが高くなったものである(黄帝内経より)
●気功は宗教に起源するか
医療気功の歴史は5000年以上にのぼります。
仏教、道教が中国へ伝来し形成したのは、それよりずっとあとのこと。
(従来、仏教も道教も気功の修行を重んじ、長い間蓄積し総括して生まれた特色の功法としての
貴重な情報として残されており、この中には、予防、治癒、保健、養生、知能開発などに役立つ
功法が含まれていて、気功学の中の重要内容を占めている。)
●気功六代家系統(功法の特徴、練功の基礎、理論の体系による区分)
・医療:目的は、病気の予防、治癒、保健であり、研究がなされ効果が認められたもの。
・道教:修錬を重んじ「性」を練り「命」を修め、性と命の修行をして安静、無為の境地に達する
ひとつ方法として。
・仏教:悟りを悟り、精神解脱の心境に入る修行のひとつ方法として。
入定派は「四大(色身味触)皆空」を強調。参禅派は「修心養性(心の修養)、衆生
の済度を強調。
・儒教:摂生養気を目的とする。
・武術:体を鍛え、防御、自衛能力を高めることを目的とする。
・民間:生活(くらし)の中から生まれたものであり、準備運動と精神調和、病の予防と治癒、
保健(美容、運動不足、健康維持増進)につながるとし、その町や村に暮らす人々の中で伝承
されてきたもの。
※医療、道教、仏教、儒教はさらに五大流派(吐納派、禅定派、存想派、内丹派、導引派)に分
けられる。
※無極気功とは、楊露禅が太極拳を基礎につくりだした内家気功法をさす。
〔参考文献:中国気功学、気功学など〕
気功活用偏
●スポーツ
特に神経系を安定させる気功の鍛錬継続により、試合前の緊張はほぐれ、気分は落ち着く習慣
ができる。
試合開始後も協調性が乱されることなく実力を発揮できる。
●演劇、歌
丹田の気を鍛えることは、役者や歌い手の呼気を長くもたせることにつながり、また、表情筋
の調整能力を回復させることに働く。
●書画
書と呼吸の関係、丹田や心の置き場所について、今日も書のご指導をいただいている先生と
話し盛り上がったことがあります。
和紙と筆、墨とすずり、そしてこの自分。
このワがストレートに和紙に現れる、やり直しなしの厳しい世界。
意識をせずにも呼吸は調い、”書く”に通ずるのは、継続の賜物なのか・・・。
●教育
気功には、神経機能の失調を元に戻す(回復)させる作用がある。
うつ症の子どもや緊張に弱い子ども、神経質な子どもなどにも効果がある。
〔参考文献:中国気功学など〕
気功のいろは ~流派~
暮らしている環境、また体の症状に、”あうもの”というのがあります。
南と東で暮らす人、肺が弱っている人と肺がよく働く人では、自ずと健康保存(動き方・食事
内容など)の方法は異なってきます。
気功法も、もともとは暮らしが先で、そこからうまれたもの。
なので、呼吸法や、その型には、いろいろなものがあります。
「以前ある先生から呼吸はこうするようにいわれました。でも他の教室の先生は全く反対の
ことを言うんです。
先生どっちが正しいのですか?」という質問をよく受けました。
この質問のヒントになればと思い、一部の流派(思想、目的、特徴)について次に記しました。
●吐治派
呼吸の鍛錬を主(強調)する。
「吸新吐故(新しいものを吸い、古きものを吐く)を以って、内臓を丈夫にすることができる。」
この思考のもとに発展形成。
・この派には練気派、調気派、行気派、調息派・・・などがある。
[ 吐気派 ]
呼気を主体
呼気をするときに六字訣(嘘(シュイ)・阿(ヘー)・呼(チー)・口四(スー)・吹(ツゥイ)・口喜(シ)の音を黙読する。この六字は、陰陽五行説より五臓と三焦に響くもの(治癒)とされる。
(”少林寺秘伝驚異の健康気功”でも紹介させていただいている/発売元リイド社 )
[ 納気派 ]
吸気を主体。また閉気派ともされる。
吸気したあと、息を止め、200まで数えてから息を吐く(止める時間は長いほどよいとされる。)
●存想派
イメージを伴う功法で意念に集中する。
「存」とは、意識強化。
「想」とは、自身の体を想う。
・この派には存想派、観想派がある。
[ 存想派 ]
体内外の事物をイメージするもの(特にストレス、うつ症状、精神不安定、虚食過食などに
利用できる)
[ 観想派(内視派、返観派) ]
観・想の結合(体の内側と外側、体と心)する。
禅観法・丹田行気法などがあり、中には門外不出のもの、選ばれしものに伝えられるという
ものなどがある。
●内丹派
源は、唐と五代の時代にあり、早期の内錬功であり静功である。
思惟の内的集中を基礎に、意気があいより、内気が作脈や智脈など経絡に沿って循環し、運行
するのを感じることが特徴的。
●胎児派
胎児の呼吸状態を模範として作った功法が特徴的。
ヘソ呼吸とされるソレは、高度な深さを伴う緩慢な腹式呼吸であり、イメージとの結びつきで
成り立つ。
●周天派
天文用語の「周天」を借り、称する。
人体の「精」「気」「神」を鍛錬の対称とし、陰陽卦象の変化を理論とする。
丹田、練功の部位、体内の物質、意念の挙握と運用を錬功の三要素とする。
「精」を練って「気」と化する(小周天)、「気」を練って「神」とする(大周天)、「神」
を練って「嘘」に還る
三段階がある。
この派には南京、北京、東派、西派などがある。
●導引派(民間で伝わり広まったものの多くはこれにあたる)
動功を主(強調)。
広い意味では静功と動功を含む完全錬気功をさす。
意気(意識と呼吸)と体の動作、あるいはマッサージの結合したもので、思惟を平静に、
精神を穏やかとする。
動の中に静を、静の中に動を求める。
合行式導引(ゴリンギ、老子按摩法、易筋経など)、分行式導引(自分の患っているところ
に合わせて、その部分を中心とした治癒、予防法)などがある。
〔参考文献:中国気功・中国正当気功法・これが気功と武術だなど〕